- 著者
-
幕内 博康
- 出版者
- 一般財団法人 日本消化器病学会
- 雑誌
- 日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
- 巻号頁・発行日
- vol.105, no.9, pp.1299-1308, 2008 (Released:2008-09-05)
- 参考文献数
- 62
- 被引用文献数
-
2
欧米ではBarrett腺癌の増加が著しく,本邦でも報告例が増加している. Barrett食道癌の発生母地であるBarrett食道はSEBEを含めても集検例の6.1%,医療施設の受診例では20.1%であった. 欧米では,Barrett食道からの腺癌の発生は0.5%,食道癌全体の半数をしめているが,本邦ではまだ少なく,われわれの施設で食道癌全体の0.9%を占めるに過ぎず,1973年から2005年までの報告例は431例であった.Barrett腺癌についてその診断面では,拡大内視鏡やNBI,治療面ではEMR, ESDが進歩·普及しつつある. Barrett食道の発生,定義,Barrett腺癌の発生,サーベイランス,精密診断,治療法など,まだまだ数多くの問題点が残されている.