著者
中村 満 繩田 隆生 松岡 憲二 小田原 良誠 長谷川 汪 田和 宗徳 池内 隆治 大田 信太郎 西牧 紀子
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.177-184, 1983-11-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
4

うつ病は近年増加の一途をたどり, 鍼灸の臨床においても仮面うつ病の患者にしばしば遭遇する。これらの患者には症状の原因である抑うつ感情に対する治療が必要である。今回, 仮面うつ病スクリーニングテストを行い, うつ傾向の者を選び出し鍼治療を行った。方法: Actual Group として百会, 身柱, 心兪, 巨闕, 神門, 三陰交, Placebo Group として陶道, 風門, 水分, 下廉, 懸鐘を選び金鍼にて置鍼10分, 週3回の治療を行った。結果: Actual Group は4週後には71%が正常域に達し, 精神症状と身体症状ともに改善された。Placebo Group では4週後でも64%が抑うつ領域にあった。結論: 精神疾患によく用いられる経穴による鍼治療で精神症状と同時に身体症状の改善をもたらし, うつ状態の寛解か認められた。
著者
古市 崇雄 池内 隆夫 大矢 啓三
出版者
香川県農業試験場
巻号頁・発行日
no.56, pp.43-49, 2003 (Released:2011-03-05)

1.「さぬきのめざめ」は香川県農業試験場で選抜した雌株「No.17」と雄株「No.16」との単交配による交雑品種であり、萌芽が極めて早く、若茎の開頭が遅く、収量性の高い品種である。2002年7月に種苗法に基づき、品種登録の出願をおこなった。2.「昭和58年度種苗特性分類調査報告書:アスパラガス」による特性分類では、植物体の草丈、茎の第1側枝高の高さはやや高い。収穫若茎は茎色がやや淡緑、茎のアントシアニンの発現がやや多く、茎数が多い。若茎頭部の色は緑、頭部のしまりは緊、開頭の早晩は晩である。低温要求性は低く、萌芽の早晩は極早生、越冬性と低温伸長性は高い。3.「さぬきのめざめ」における春芽の萌芽は「ウェルカム」や「メリーワシントン500W」に比べて施設栽培で1週間、露地栽培で2か月早い。品薄・高単価な12月下旬から収穫が可能で、収穫期間を通じて収穫物の外観品質が優れることから、春芽どりの増収や夏芽の秀品率向上が期待できる。
著者
池内 隆夫 上野 学 与儀 実夫 長谷川 和則 佐々木 春明 浜島 寿充
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.1677-1682, 1991-12

1)非細菌性前立腺炎および前立腺炎様症候群における肛門疾患合併率は29.7%,活動性病変合併率は15.4%であり,他の泌尿器科疾患での合併率に比し有意に高い.2)合併肛門疾患では痔疾患とくに痔核の合併頻度が高い.3)治療による臨床的有効率は非細菌性前立腺炎が71.4%,前立腺炎様症候群が58.2%であった.4)前立腺炎と痔疾患とくに痔核の合併および発症とは深い関係がある.肛門疾患を合併する前立腺炎に対して桂枝茯苓丸は有用であった
著者
石井 努 池内 隆治 勝見 泰和 松本 勅 片山 憲史 越智 秀樹
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.244-248, 1994-09-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10

変形性腰椎症の患者40名 (男性28名, 女性12名, 年齢42~80才, 平均61.2才) に対して運動療法とSSP療法を併用した鍼治療を行い, ペインスケール法を用いて治療効果の検討を行った。鍼治療は腎兪, 志室, 大腸兪など腰部を中心に雀啄術を行い, ほかに症状に応じて治療点を加えた。鍼治療の後に, 運動療法として Williams Exercise より, 腹筋・背筋の強化運動および背筋とハムストリングスのストレッチ運動を行わせた。そのうちの背筋の強化運動中には背筋部にSSP療法を併用した。その結果, 平均治療回数5.6回, 治療期間は35.9日であり, 治療効果はペインスケールで10から0または1に改善した著効が22.5%, 2~5に改善した有効が55.0%, 6~8に改善したやや有効が20.0%となり良好な治療成績が得られた。
著者
坂井 友実 津谷 喜一郎 津嘉山 洋 中村 辰三 池内 隆治 川本 正純 粕谷 大智
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.175-184, 2001-05-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

【背景】本邦での鍼に関するランダム化比較試験の試みは数少なく、対照群に鍼治療以外の治療法をおいた研究はほとんどない。本邦において、医療制度の中に鍼灸が位置付いてゆくためには、質の高い臨床研究の結果が求められている。今回の臨床試験はこのような状況を踏まえ鍼を受療することの多い「腰痛症」を対象として行われた。【目的】「腰痛症」に対する低周波鍼通電療法の有効性および安全性を経皮的電気刺激法を対照としたランダム化比較試験により検討する。本試験は1995年9月から1996年6月にかけて瀬踏み的になされた第1期の研究を引き継ぐ第2期に相当する探索的なもので, 第3期の確認的な試験へ向けてのデータ収集の意味を持つ。【対象および方法】下肢症状がなく、発症から2週間以上経過した腰痛患者を対象に低周波鍼通電療法 (A群) と経皮的電気刺激法 (T群) の多施設ランダム化比較試験とした。観察期間は2週間、治療回数は5回とした。通電は各群とも1 Hzで15分間行った。【結果】目標症例数の80例に対して71例の応募者があり、68例が封筒法によりA群とT群に割付けられ、最終的にはA群の31例とT群の33例が解析の対象となった。背景因子として、年齢、罹病期間などには両群間に有意差はみられなかったが、性別、鍼治療経験の有無、経皮的電気刺激法の経験の有無には有意差がみられた。疼痛スケール (以下「VAS」とする) は最終時でA群は5.3±3.0に、T群は5.9±3.4に軽減した。また、主要評価項目であるVASをもとにした痛み改善度の効果判定では、A群は13/31例 (41.9%) に改善がみられ、T群では10/33例 (30.3%) に改善がみられた。さらに、副次的評価項目である日本整形外科学会腰痛治療成績判定基準 (以下「JOAスコア」とする) は初診時14.5±3.0点、T群は15.0±2.8点であったが、最終時では15.9±2.0点と15.8±2.6点であった。しかし、A群とT群の両群問では、VAS及びVASをもとにした痛み改善度JOAスコアにおいて統計学的な有意差はみられなかった。【考察】プロトコールに沿ってデータの収集が行われたことは中央委員会の設立によるところが大きいと考える。目標症例数に達しなかったことは、臨床試験に対する患者の理解が低いことや参加施設のおかれている立地条件が考えられるが、患者募集の仕方にも工夫をしてみる必要があると思われる。また、鍼の効果を立証していくためには介入の方法や評価項目などについて検討していく必要があると思われた。【結論】腰痛症に対するA群とT群との間には有効性の差はみられなかった。第3期へ向けての基礎的データが収集された。
著者
池内 隆夫
巻号頁・発行日
no.68, pp.1-5, 2018 (Released:2018-07-18)

1. 「さぬきのめざめビオレッタ」は香川県農業試験場で選抜した雌株「R05R13」と雄株「R05R65」との単交配による交雑品種であり,萌芽が早く,若茎の開頭が遅く,紫色が濃い雌雄混合,四倍体品種である。2017年4月に種苗法に基づき,品種登録の出願を行った。2. 農林水産植物種類別審査基準特性表アスパラガス種による特性分類では,植物体の草丈,茎の第一側枝高は長である。収穫若茎は茎色が濃紫,茎のアントシアニンの発現が多く,茎数は少である。若茎の頭部のアントシアニン着生は多,萌芽の早晩は中生である。3. 「さぬきのめざめビオレッタ」における簡易雨よけ栽培による若茎は,「バーガンディー」に比べ色が濃紫であり,形状の揃いも良い。特に気温の高い盛夏期の夏秋芽どり期において若茎色が濃いことから,安定した品質が望め,秀品率の向上が期待できる。
著者
越智 秀樹 片山 憲史 池内 隆治 行待 寿紀 河窪 紳介 堀口 正剛 三船 哲郎 伴 眞二郎
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.247-253, 1990-09-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
23

変形性膝関節症の初期の患者 (20名, 平均年令61歳) に対して鍼治療, Silver Spike Point (以下SSPと略す) 療法および運動療法を併用した治療を行った。効果判定はわれわれが考案した変形性膝関節症評価表のスコアと, 変形性膝関節症の主徴の1つである大腿四頭筋の萎縮に対する客観的効果の指標として膝伸展筋力の測定を用いた。その結果初診時の平均スコアは23.4点であったが最終治療 (平均治療回数6回, 平均治療期間42日) の後では8.2点とスコアが減少し症状が改善した。また初診時の膝伸展筋力に比較し, 最終治療時では平均38.5%の筋力の増強がみられた。
著者
久永 晃資 岩田 剛敏 池内 隆 五十嵐 章紀 足立 邦明 林谷 秀樹
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.54-57, 2004-01-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
9

生活空間を共有する人と犬が快適に生活するために, どのくらいの頻度で犬を洗浄したらよいかを検討するために, 犬の被毛の脂質の成分や量を調べるとともに, これらが洗浄前後でどのように変化するかを経時的に観察した. その結果, 犬被毛の脂質は脂肪酸, コレステロールおよびステロールエステル, ワックスエステル, グリセロールエステルなどのエステル類で構成されており, 特にエステル類は脂質の80%以上を占めていた. また, 犬被毛の脂質量は洗浄直後に洗浄前の約60%にまで減少したが, 72時間後には洗浄前のレベルまで回復した. そして, 洗浄後72時間が過ぎる頃から動物臭が感じられるようになった. これらの結果から, 衛生的な観点からみると, 室内犬の洗浄は3~4日に1回くらいの割合で行うことが適当と考えられる.
著者
高野 和郎 坂田 暉英 福山 公基 太田 宏 前田 洋 李 雅弘 尾上 保夫 青木 隆一 高場 利博 岩堀 嘉和 松下 功 金子 和義 三富 静夫 唐沢 弘文 藤井 浩一 森本 和大 石井 淳一 上村 正吉 藤巻 悦夫 村田 恒雄 森 義明 菅谷 修一 西堀 実 薄井 武人 安藤 公信 清田 卓也 熊谷 日出丸 前田 正雄 鈴木 庸之 本多 儀一 門馬 満 藤本 昇 安藤 光彦 口石 将博 崔 相羽 高須 克弥 平井 啓 小池 勝 平塚 進 鈴木 武松 土持 喬 初鹿野 誠彦 津田 紘輔 諸岡 俊彦 藤井 陽三 清水 一功 八田 善夫 直江 史郎 坂木 洋 海老原 為博 太田 繁興 佐々木 彰 村山 義治 塚田 政明 清水 晃 山口 明志 江頭 亨 坂本 利正 渡辺 佐 加藤 水木 片桐 敬 吉田 文英 小島 昭輔 新谷 博一 鈴木 孝臣 金沢 英夫 落合 泰彦 堀坂 和敬 藤巻 忠夫 平木 誠一 橋本 敏夫 加藤 国之 石井 靖夫 菅 孝幸 赤坂 裕 今村 一男 甲斐 祥生 中西 欽也 太田 繁興 近藤 常郎 落合 元宏 松井 恒雄 依田 丞司 吉田 英機 丸山 邦夫 池内 隆夫 入江 邦夫 佐々木 彰 清水 晃 鈴木 周一 坂木 洋 塚田 政明 秋田 泰正 森 弘道 天野 長久 本多 平吉 山口 明志 坂本 利正 安達 浩行 草ケ谷 雅志 高野 和郎 中川 克宣 鶴岡 延熹 小野 充 阿万 修二 植原 哲 渋谷 徹 桑原 紘一郎 小黒 由里子 後藤 晋 島袋 良夫 安藤 彰彦 国枝 武幸 今西 耕一 小田切 光男 鄭 政男 佐川 文明 田代 浩二 大瀬戸 隆 菅沼 明人 町田 信夫 前田 尚武 小泉 和雄 鈴木 一 安藤 弘 山崎 健二 井出 宏嗣 福山 公基 木村 明夫 小林 祐一郎 狩野 充二 長嶺 安哉 木村 明夫
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.30, no.12, pp.820-825, 1970
著者
縄田 隆生 中村 辰三 小田原 良誠 篠原 昭二 池内 隆治 北出 利勝 南川 正純 兵頭 正義
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
日本鍼灸治療学会誌 (ISSN:05461367)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.105-112, 1981-03-15 (Released:2011-05-30)
参考文献数
8

We previously reported on needle damage to needles sterilized 50 times. This time we increased the number of sterilizations to 100 times and investigated needle damage. damage.Sterilization was performed using a small high pressure steam sterilizer at a temperature of 126°C for 25 minutes each time.1. Non-gold or silver needles had a tendency to become finer but there was no remarkable weight change noted.2. Resistance to bending tests showed that Chinese needles become more difficult to break.3. Elasticity tests showed that non-gold needles become easier to restore to their original state.4. Insertion tests showed that some needles, especially Chinese needles and stainless steel No. 3 needles, become more difficult to insert smoothly.5. Hardness and sturdiness tests showed a general decrease in both factors with the exception of hard silver No. 3 needles and Chinese needles which become sturdier.
著者
池内 隆治 長谷川 汪 田和 宗徳
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.238-242, 1982-01-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
12

東洋医学において古くから消化器疾患に対して種々の経穴が用いられ鍼灸治療が行われている。胃疾患に対しては足三里, 陽陵泉などの経穴がよく用いられているが, 足三里では胃酸の分泌が亢進する傾向があり, 胃酸過多の者には用いず陽陵泉を用いる方がよいといい伝えられている。これら経穴の特性についてはいかなる病態生理に基づいたものであるか不明である。今回, われわれは, テレメトリ胃腸内pH値測定機を用いて, それぞれの経穴と胃疾患と関係の深い胃液pH値の変動について検討を加えた結果, 足三里刺激群, 梁丘刺激群は胃液の塩酸分泌を亢進する傾向がみられ, 陽陵泉刺激群は胃液の塩酸分泌を抑制する傾向がみられた.
著者
伊藤 隆 渡辺 賢治 池内 隆夫 石毛 敦 小曽戸 洋 崎山 武志 田原 英一 三浦 於菟 関矢 信康 及川 哲郎 木村 容子
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.195-201, 2009 (Released:2009-08-05)
参考文献数
1

東洋医学論文には東洋医学を西洋医学のルールで論じることに起因した特異性がある。西洋医学に比較すると,人文科学的要素の多い東洋医学では記述が主観的になる傾向がある。目的,方法,結果,考察は,論文内容を客観化させ,査読者と読者の理解を容易ならしめるために必要な形式と考えられる。より客観的な記述のためには,指定された用語を用いることが理想であるが,現実的には多義性のある用語もあり,論文中での定義を明確にする必要がある。伝統医学では症状と所見と診断の区別が不明瞭な傾向があるが,科学論文では明確に区別して記述しなくてはいけない。新知見を主張するためには,問題の解決がどこまでなされているかをできるだけ明らかにする必要がある。投稿規定の改訂点である,漢方製剤名の記述方法,要旨の文字数,メール投稿について解説した。編集作業の手順について紹介し,再査読と却下の内容に関する最近の議論を述べた。
著者
池内 隆夫 井口 宏
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.40, no.7, pp.587-591, 1994-07

既往治療に対して頑固で難治の経過をとり,特に骨盤底緊張症状の強い17例のprostatodyniaの症例に,前立腺周囲または骨盤内の鬱血を改善する目的で低周波針通電を行ない,既往の治療法に比して明らかに高い臨床的有用性が期待できることを報告した
著者
池内 隆夫 上野 学
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.321-325, 1993-04

Prostatodynia症例において排尿症状の程度をBoyarsky scoreで算定して治療成績との関係を検討し,難治症例における尿流障害についてUFMで検索した。1)初診時より排尿に関する訴えが高度な症例(Boyarsky score 7以上)の頻度は9.3%に相当した。2)排尿症状が高度な患者は排尿症状がないまたは弱い患者に比較して治療成績が有意に低く,現行の治療法では反応しない前立腺以外の臓器に由来する別の疾患の合併または混入の可能性が強いと推測された。3)排尿症状が強く難治の症例のUFM所見は,最大尿流量率異常を89%に,尿流曲線異常を100%に認め,下部尿路の器質的または機能的障害に起因する疾患が強く疑われた。4)Boyarsky scoreによる排尿症状の程度の把握および排尿症状高度症例に対するUFMによる検索は,下部尿路の器質的・機能的障害に起因する疾患を鑑別してprostatodyniaから除外するためのスクリーニング法として臨床的有用性が高い
著者
池内 隆夫
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.801-806, 1990-07

西洋医学治療の結果,難治・再発した慢性非細菌性前立腺炎と前立腺炎様症候群の症例に対し漢方療法を試みた.1)漢方療法の臨床効果は,慢性非細菌性前立腺炎61例では著効率21.3%,臨床的有効率67.2%であり,前立腺炎様症候群82例では著効率19.5%,臨床的有効率52.4%であった.2)漢方単独療法と西洋薬併用治療群の効果を比較すると,前立腺炎様症候群では両群間に差はないが,慢性非細菌性前立腺炎では漢方単独群より抗菌剤併用群の方が効果が優れていた(p<0.1).3)慢性非細菌性前立腺炎での併用抗菌剤の効果では,new-quinolon系薬剤がST合剤やtetracycline系薬剤より良好であった.4)使用漢方薬の臨床効果を検討し,両病型ともに桂枝茯苓丸と四物湯の効果が良好であった.5)漢方療法での副作用発現率は9例6.3%であり,桂枝茯苓丸の投与例に多かった
著者
佐々木 昌一 池内 隆人 神谷 浩行 小島 祥敬 梅本 幸裕 郡 健二郎
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.559-563, 2004-08

擬似的な微小重力環境における哺乳類の造精機能や精子運動性,受精,初期発生に対する影響を検討した.微小重力環境における頭側への体液移動モデルである尾部懸垂マウスでは,精巣/体重比と血清テストステロン値が有意に減少した.ジェット機のパラボリックフライトにより作り出された微小重力環境においてヒト精子運動能は低下した.クリノスタットを利用した擬似微小重力環境下では体外受精の受精率には影響しなかったが,96時間の培養でマウス受精卵が桑実胚および胞胚形成した割合は有意に少なかった.微小重力環境下では,精巣萎縮とテストステロン産生低下をきたし,精子運動性の低下を認めるが,受精能には影響を与えず,受精卵の初期発生には障害を及ぼす可能性がある