著者
岩井 和郎 初鹿野 浩
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.2, no.5-6, pp.311-318, 1965-03-31 (Released:2010-07-01)
参考文献数
14

Black pigments deposited in the lung may be the indicator of environmental pollution during one's life. These pigment foci increase their number age by age, and are seen more abundantly in the man's lung than in the woman's lung. The correlation between these pigment deposits and pathological changes of bronchopulmonary system was studied on 196 autopsy cases died of the diseases other than respiratory disease. After macroscopic observation, more than four parts of the lung, i. e., S1a, S2b, S9 and the lower lobe main bronchus, were examined histologically, and the relation between the degree of pigmentation and the frequency or severity of each pathologic change was studied.The pigmented foci appear usually after 20 years of age, and increase their number after 40 years of age, especially after 60 years of age. These pigmentations are seen most in the apex and S2a, then in S2b, S6 and S3, and rare in the basal part of the lung. Squamous cell metaplasia and basal cell hyperplasia of bronchial- or bronchiolar epithelium seemed to have some relation with the black pigment deposit, and these changes are more frequent and severe in the lung of marked pigmentation. But, hyperplasia of mucous glands or goblet cells in bronchial or bronchiolar walls did not show any relation to the amount of pigment deposit, as well as the cell infiltration of bronchial or bronchiolar wall. Fibrous thickening of bronchiolar walls and small scar tissues scattered in the lung had some relation with the degree of pigmentation, and emphysema (mainly centrilobular emphysema) seemed to have relation with the deposition of black pigments.Although our series contain only a few cases which had been diagnosed as chronic bronchitis clinically, it can be thought from these observations that an inhalation of the polluted air stimulates the bronchiolar wall and causes chronsc bronchiolitis, bronchiolopneumonia and sometimes centrilobular emphysema on one hand, and causes deposition of black pigments in the lung on the other hand.
著者
谷崎 勝朗 中田 安成 高橋 清 細川 正雄 小野 波津子 石橋 健 合田 吉徳 中村 之信 佐々木 良英 木村 郁郎
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.98-102, 1978-02-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
14

Allergo-immunologic investigations and examinations of the autonomic nerve system were performed in a case of bronchial asthma with myasthenia gravis. The results were as follows:1) Asthma attacks and blephaloptosis were observed to tend to appear alternately.2) The same trend was shown by administration of mecholyl or other anti-cholinergic drugs and when such drugs were given asthma attacks increased, although blephaloptosis improved.3) Asthma attacks in this patient resembling those of many patients with bronchial asthma were observed mainly in the early morning.4) Allergy examinations showed normal serum IgE level, negative skin reaction tests and no peripheral eosinophilia.These results show that asthma attacks and symptoms of myasthenia gravis seemed to appear alternately in interaction of acetylcholine, showing a see-saw phenomenon and suggest that the autonomic nervous system participates in an induction mechanism or process in asthma.
著者
長島 康之 岡部 健 八田 峰夫 杉村 久雄
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.27, no.12, pp.1562-1567, 1989-12-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
11

住民検診で発見された胸部腎の1例を報告した. 37歳の家婦で, 自覚症状はない. 胸部X線写真上, 右横隔膜上に半球状の陰影を認め, 造影CTにて右腎を確認した.両腎動脈は正常位から分岐し, 右腎動脈は上方へ直線的に挙上していた. その他の合併奇形は認めなかった. 胸部腎は自覚症や機能異常をともなうことは少なく, 画像検査の発達した今日, 診断は容易ではあるが, 発育異常の観点から合併奇形の検索は不可欠である.
著者
木平 百合子 小林 淳 松岡 緑郎 北村 諭
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.26, no.10, pp.1029-1032, 1988

健康成人男子26名に紙巻タバコ5本を20~30分間という短時間内に喫煙させ, 血中補体C3a値およびC5a値を radioimmunoassay 法を用い測定した. 血中C3a値およびC5a値はいずれも喫煙終了直後に有意な上昇を示し, 喫煙終了20分後にも増加する傾向を示した.
著者
杉江 琢美
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.33, no.12, pp.1355-1360, 1995

高地における睡眠時に出現する周期性呼吸 (PB) と高地順化や急性高山病 (AMS) との関係について明らかにするため, 標高5,100mにおいてパルスオキシメーターを用いてPBの出現時間を測定し, 主に標高5,100m前後で行動した日本人6人 (A群), 標高7,000m以上で行動した日本人9人 (B群), 高地居住民族であるシェルパ8人 (S群) の3群で比較検討した. 又, AMSの諸症状を点数化し (AMS-SCORE), PBとの関係をみた. その結果, 日本人の2群間では有意差は見られなかったがA群でPBの出現は多い傾向がみられ, S群ではPBの出現はほとんどみられなかった. 日本人においてAMS-SCOREとPBの発現には正の相関がみられた. PBの周期時間は3群間で差は見られなかった. PBの出現と高度順化, AMSとは密接な関係のあることが示唆された.
著者
菅 守隆 西川 博 安藤 正幸 田中 不二穂 赤池 孝章 坂田 哲宣 河野 修 伊藤 清隆 中嶋 博徳 荒木 淑郎
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.461-466, 1989-04-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
16

マイコプラズマ肺炎の診断は, 発症初期には困難なことが多く, 決め手となる補助診断法はない. 我々は, マイコプラズマ肺炎が細菌性肺炎と異なった免疫応答をすることに注目し, 血清中 Adenosine deaminase 活性値 (ADA) が発症初期の細菌性肺炎とマイコプラズマ肺炎の鑑別に有用か否かについて検討した. その結果, マイコプラズマに対する抗体価が上昇する以前の早期 (発症3~10日目) に, マイコプラズマ肺炎患者11名の血清中ADAは, 32.1±12.0U/l (63.9~18.7U/l) であり, 正常対照者の平均値±2SDである20.8U/l以上の活性値を示す患者は11例中10例であった. 一方, 細菌性肺炎患者20名では12.5±3.3U/l (4.6~18.6U/l) であり, 全例20.8U/l以下であった. マイコプラズマ肺炎患者のADAは, 細菌性肺炎患者および正常対照者に比べて有意に高く (p<0.001), 発症初期の細菌性肺炎とマイコプラズマ肺炎の鑑別に極めて有用であると考えられた.
著者
増本 英男 飯干 宏俊 脇坂 ありさ 谷口 治子 芦谷 淳一 伊井 敏彦 迎 寛 松倉 茂
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.1277-1282, 1996-11-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
14

症例は52歳, 女性. 急に咳嗽, 高熱, 喘鳴, 呼吸困難が出現. ペニシリンやセフェム系抗生剤に反応なく, 緊急入院となった. 室内空気下でPaO249.8Torr. 胸部X線では小粒状影, 胸部CTではびまん性に小葉中心性の微少結節と気管支壁の肥厚を認めた. マイコプラズマによる急性細気管支炎を疑い, ミノサイクリンを開始後, 胸部CT上の小結節は消失した. その後血清学的にマイコプラズマ感染症と診断できたが, 低酸素血症が遷延し, 閉塞性換気障害の存在 (1秒率62.8%), 換気血流シンチの異常などより, 閉塞性細気管支炎への進展を疑った. TBLBや気管支造影では確診は得られなかったが, メチルプレドニゾロン1g 3日間, その後プレドニゾロン40mg/日投与により低酸素血症, 肺機能, 換気血流シンチは改善した. 閉塞性細気管支炎への移行が疑われ, 早期のステロイド投与が有効であったマイコプラズマ急性細気管支炎の1例を報告した.

1 0 0 0 OA 気管支喘息 II

著者
長谷島 伸親 小林 淳晃 竹澤 信治 大和 邦雄 門山 周文 川野 裕
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.33, no.10, pp.1105-1110, 1995

ベリリウムの使用量に比し, 本邦の慢性ベリリウム症の報告は少なく20数例である. 今回, 我々は, 低含量Be銅合金加工工場で発生した慢性ベリリウム症の一例を経験した. 症例は24歳, 男性, 労作時呼吸困難を主訴に受診した. 19歳の時より当院受診時まで, 1.8%未満のベリリウム銅合金加工工場に勤務し, 細線加工に従事していた. 胸部X線像では左気胸と両肺にびまん性の微細な粒状影と嚢胞が認められ, 肺機能検査は, 拡散障害と拘束性障害を示していた. 肺生検組織で壊死を伴わない類上皮細胞性肉芽腫と胞隔炎を認め, 肺組織に正常より高濃度のベリリウムが検出された. BeSO<sub>4</sub>による気管支肺胞洗浄液リンパ球刺激テストと末梢血リンパ球刺激テストは共に陽性であった. 職業歴と検査所見より慢性ベリリウム症と診断した.
著者
森田 志保 本田 泰人 藤島 卓哉 平澤 路生 田中 裕士 佐藤 昌明 阿部 庄作
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.676-679, 1994-07-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
12
被引用文献数
1

症例は60歳男性. 咳嗽, 血痰出現し, 精査目的に当科入院. 画像上, 病変は左肺尖部に存在し, 空洞を有する結節性病変であった. 確定診断の目的で経気管支肺生検を施行, 組織学的に好塩基性の放線菌顆粒を認め, 肺放線菌症と診断した. 治療として, ピペラシリン, クリンダマイシンの点滴治療およびシプロフロキサシンの内服治療を行い, 著明な改善を認めた.
著者
木野 稔也 福田 康二 古江 増裕 茆原 順一 泉 孝英 大島 駿作
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.23, no.7, pp.829-836, 1985

61歳男子の肺気腫症例に, 水性ディオノジール<sup>®</sup>を用いて選択的肺胞気管支造影を施行したところ, 6日目から発熱のほか咳嗽, 喀痰, 呼吸困難などの喘息様症状を呈し, 胸部X線写真上気管支肺胞に残留した造影剤を中心に浸潤影を認め, 検査所見では喀痰および末梢血好酸球増多, 血清IgE高値を示した症例を報告した. この症例は, 造影剤が残留した部位を中心に生じた喘息性肺好酸球増多症と診断することができるが, その病因として, 水性ディオノジール<sup>®</sup>の好酸球に対する chemotactic substance としての作用によるもののほか, 真菌抗原に対するI型およびIII型アレルギーの関与が示唆されたことから, アレルギー性気管支肺真菌症としての診断基準をも満すことになり, 造影剤とともに偶然に真菌抗原が長期間気管支肺胞内に貯留したことによって生じた可能性などを考察した.
著者
草島 健二 村田 嘉彦 大石 不二雄 下出 久雄 木村 文平 杉田 博宣 小山 明 中野 裕康 河端 美則
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.30, no.9, pp.1673-1681, 1992-09-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
19

原発性肺癌の手術例480例を対象として, 担癌肺での原因不明の慢性間質性肺炎 (UIP) の性状を検討した. UIPは30人 (6.3%) にみられ, 性別では男が26例で, 平均年齢は68歳であった. 肺癌の組織別では扁平上皮癌が17例と多く, 部位別では下葉は18例であった. 肺癌は全例末梢発生で, 間質性肺炎が存在する部位にみられ, 胸膜に近い部位から発生したと推測できる例が多かった. UIPの拡がりは胸膜下1cm 以下にとどまる限局性のものが27例と多くを占めた. UIPのタイプによりそれを, 壁在型, 気腫型 (線維化と構造破壊の混在), 気腔内滲出型に分けたところ, 壁在型8例, 気腫型22例であった. 壁在型はCT上胸膜下の濃度上昇のみを呈した場合があった. 気腫型の特徴は, 肺活量の減少がなく, CT上線維化部位に大小不揃いの嚢胞がみられる点であった. 肺癌の早期発見や術後の経過などの点で限局性UIP (特に気腫型) は重要な病変と考えた.
著者
小林 理 成田 昌紀 河内 広志 浅野 良三 外山 譲二 永井 明彦 来生 哲 荒川 正昭 藤田 雅 広井 忠夫
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.22, no.10, pp.925-931, 1984-10-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
11

症例は, 25歳男性で家業は味噌製造業である. くり返す気管支喘息, 血清IgE上昇, くり返す肺浸潤影があり, 気管支造影で典型的な中枢性気管支拡張像を認めた. こうじに含まれる Asp. oryzae およびその亜種が喀痰中より検出された. エドワードの二重透析法によりそれらの真菌より抗原を作成し, オクタルニーの沈降抗体法を施行したところ患者血清との間に沈降線を認めた. 吸入誘発試験では, 即時型および遅発型反応が陽性となった. TBLBでは, 肺胞壁および肺胞腔内に, 好酸球, リンパ球, 形質細胞の浸潤を認めた. 以上より Asp. oryzae およびその亜種によるABPAと診断した.
著者
山脇 功 桂 秀樹 平良 真奈子 角陸 知妹 橋本 幾太 千代谷 厚 近藤 光子 玉置 淳 永井 厚志 金野 公郎
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.12, pp.1331-1336, 1996-12-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
21

最近1年間に漢方薬による薬剤誘起性肺臓炎と診断した6症例を臨床的に検討した. 発症までの薬剤投与期間は14日から110日 (平均38日) であった. 症状は呼吸困難, 発熱, 乾性咳嗽が多く, 聴診上 fine crackles を聴取した. 検査所見では全例でCRPとGOTの異常を認め, LDH上昇は5例, 好酸球増多は1例であった. 胸部単純X線およびCT写真上, 陰影は両側びまん性で線状・網状の間質陰影を主体に種々の程度の浸潤影を伴うものが多く, その分布に一定の傾向はなかった. また, 1例は胸水を伴っていた. 4例に行われた気管支肺胞洗浄液では, リンパ球の増加とCD4/CD8比の低下が多く認められ, 経気管支肺生検では4例中3例に器質化肺炎像と胞隔炎の組織所見が得られた. 薬剤リンパ球刺激試験では6例中4例が陽性であった. 2例は漢方薬の中止により, 4例はステロイド投与により軽快した. 漢方薬服用中は薬剤誘起性肺臓炎の発現に注意が必要と考えられた.
著者
桂 秀樹 橋本 幾太 平良 真奈子 角陸 知妹 山脇 功
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.1239-1243, 1996-11-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
16

柴朴湯による薬剤性肺炎の1例を報告した. 症例は72歳, 男性. 咽頭違和感に対し柴朴湯の投与を受けた. 投与後42日目より呼吸困難, 発熱を認め来院. 呼吸不全及び胸部X線写真上びまん性線状, 粒状影を認めた. 経気管支肺生検では胞隔の軽度肥厚を伴う器質化肺炎像を呈し, 気管支肺胞洗浄ではリンパ球, 好中球, 好酸球の増加を認めた. リンパ球刺激試験では柴朴湯に対し陽性を示し同剤による薬剤性肺炎と診断した. 同薬剤の中止及びプレドニゾロンの投与により臨床症状, 呼吸不全, 胸部X線写真の改善を認めた. 当薬剤による薬剤性肺炎の報告は疑診例を含め本邦で第5例目と思われる.
著者
戸島 洋一 山崎 琢士 徳留 隆博
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.904-910, 1996-08-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
7

小柴胡湯による薬剤性肺炎の2例を報告した. 症例1はC型肝硬変の61歳男性で, 内服開始約50日後, 発熱, 下痢, 呼吸苦で発症, 来院時PaO2 26Torrと著明な低酸素血症を呈した. 画像は上肺野優位のびまん性粒状影, すりガラス影でステロイドパルス療法に反応せず, 人工呼吸も施行したが消化管出血を合併し, 入院45病日に死亡した. BALFではリンパ球および好中球比率が増加, 死亡時の肺組織は硝子膜形成を伴わない胞隔の肥厚, II型肺胞上皮細胞の腫大を示した. 症例2は68歳男性で, 内服開始約80日後に咳, 呼吸苦, 発熱で発症, PaO2 61Torr, 両下肺野に不規則な浸潤影を認めた. BALFではリンパ球 (CD8+) の増加, TBLBでは肺胞腔内へのフィブリン, 好中球の滲出 (一部は器質化) の所見を得た. ステロイドの反応は良好で約40日で軽快退院した. 両症例とも小柴胡湯に対する末梢血DLSTが陽性であった. 症例2は小柴胡湯による薬剤性肺炎として典型的であったが, 症例1のような劇症型は稀である.
著者
丸山 佳重 丸山 倫夫 高田 俊範 原口 通比古 宇野 勝次
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.84-89, 1994-01-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
14
被引用文献数
1

六君子湯による薬剤性間質性肺炎の1例を報告した. 症例は79歳, 女性で間質性肺炎の疑いで入院した. 労作時息切れと咳嗽, 胸部X線上両肺の容積減少とびまん性粒状網状影認めた. 薬剤性間質性肺炎を疑い, 全内服薬を中止すると共に, プレドニン治療を開始したところ, 臨床症状, 検査所見, 胸部X線・CT上に改善を認めた. 経気管支肺生検では間質性肺炎像を呈し, リンパ球刺激試験・白血球遊走阻止試験では六君子湯に対し陽性を示した. 当薬剤による薬剤性間質性肺炎の報告は本邦で第1例目と思われる.