著者
須田 善行 菅原 広剛 高山 純一
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

(1) カーボンナノチューブ(CNT)の原料ガスであるCH_4にCO_2ガスを添加したところ,多層CNTの層数・内径・外径が増加した。また,CO_2添加により単層CNTの直径分布を太い方へ変化できた。(2)CNT成長領域から60cm程度の距離にプラズマを発生させることで,Si基板上に堆積したAl_2O_3/Fe/Al_2O_3の3層構造触媒から欠陥のほとんどない高品質な単層CNTが合成できた。
著者
井上 幸孝
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

現地調査を引き続き行うために、8〜9月にかけてメキシコに滞在した。現地では、昨年度に引き続きメキシコ国立公文書館において原史料の調査を継続した。とりわけ、今回は同文書館内Mapoteca所蔵の関連史料を数多く参照し、地図や図版史料を写真という形で持ち帰ることができた。また、必要な文献で未入手だったものについても、メキシコ滞在中に手に入れることができた。さらに同地での2度の発表機会(下記)では、現地研究者との有意義な意見交換をすることができた。それ以外の期間については、昨年度以降に収集してきた史料の分析を進め、その成果を口頭発表いう形で積極的に発表した。口頭発表をしたのは、CANELA学会(5月27日、南山大学)、日本ラテンアメリカ学会(6月3日、アジア経済研究所)、社会人類学高等研究院での講演(9月13日、メキシコ市)、メキシコ国立自治大学歴史学研究所での研究発表(9月14日、メキシコ市)である。その上でさらに考察を深め、研究論文(次頁記載のもの)として公表した。研究論文の主たる内容は、土地権利認定書(論文では「権原証書」と訳した)のこれまでの研究の概要と問題点の指摘、ならびに、メキシコ盆地南東部の数村落のナワトル語文書の個別事例分析である。前者は昨年度までに収集した主にスペイン語の資料をもとに研究動向を整理し、本研究のみならずメキシコやその他の国々の研究者にも有益となる当該研究テーマの問題点と今後の方向性を示そうとした。後者については、これまで総括的にしか扱われてこなかった事例をナワトル語原文に基づいて詳細に分析し、16世紀(スペイン征服)以前の概念が17世紀以降に編纂されたこれら文書群に反映されている点を明らかにした。
著者
牧野 冬生 亘 純吉 菊地 靖 ヘルブリング ユルック ライスリス メリー
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、「都市貧困者と隣接性を伴う居住」、「都市における多元的帰属意識と場所性」、「『共通の枠組み』に関する理論と方法」の3つの問題系に関して、メトロマニラ貧困地域を中心に人類学的フィールドワークと建築学的実測調査を軸にした調査を実施した。過密な都市空間における生活者の生活形態及び共同体を分析し、多元性を有する特徴的な帰属形態の様相を明らかにすると共に、住民との相互批判的な対話を可能とする「共通の枠組み」として空間実践モデルを検討した。
著者
内田 由紀子
出版者
甲子園大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、感情経験(生起・表出)プロセスおよび対人関係の中で生じる感情推論プロセスについて多角的に検討し感情の文化・社会的性質の解明を行うことを目的としている。この際特に、「人の心の働きは社会・文化に参加することを通じて形作られる」という文化心理学の理論的枠組みに準拠し、感情生起・表出および推論プロセスと文化的習慣とのかかわりに着目した実証研究を行うこととした。さらにこのような基礎的・実証的研究と併せ、対人コミュニケーションの中での感情の役割を解明することにより、異文化理解や文化的適応のあり方を検討し、心の健康と文化的適応に関連する諸分野への貢献を目指す。平成19年度は、(1)日米における感情推論とその基盤となる「感情概念」形成(2)文化の中で生まれる感情的コミュニケーションと文化的な適応・不適応との関連、に着目した研究を行った。(1)については平成18年度に引き続き、自己と他者の情報量を統制したスクリプトおよび写真刺激を呈示した際の人々の感情推論の行い方に着目した研究を日米で行い、成果を国内外の学会にて報告した。(2)については、不適応や適応の指標と、日々の感情表出・感情経験の変動量との関係を調べる研究を日米で行った。研究遂行にあたり、海外との共同研究者(ミシガン大学北山忍教授、スタンフォード大学ヘーゼル・マーカス教授との綿密な打ち合わせを行い、日米での研究を実行、研究成果の報告を日米両国で行った。
著者
杉浦 浩子
出版者
岐阜大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1.精神障害者の「生きる能力」を構造化構造化を試みるために,精神科デイケア利用者に面接調査を行った。調査内容は勝田モデルの枠組みに従い,(1)生産の技術に関する能力(2)人間の諸関係を統制したり調整したり変革したりする能力(3)自然と社会についての認識の能力(4)世界の状況に感応し表現する能力を調査した。デイケア利用者では,(2)の能力不足を感じる人が多く,この能力の向上が社会復帰意識を高めると考えられた。2.一般の人々の精神障害者の「生きる能力」評価一般の人々が精神障害者の「生きる能力」をどのように評価しているかを明らかにするため,4つの能力を細分化し,質問紙を作成した。一作成した質問紙を用い,M大学1年生138名と中高年層94名に調査を実施した。(1)精神障害者の「生きる能力の評価」:全体で評価の低かった能力は,人間関係の能力の中の「協調性がある」「リーダーシップがとれる」「トラブル時の対応」であった。また,生産技術の能力の中の「新たな技能や資格の習得」「長時間の勤務」も低かった。逆に高かったのは,表現する能力の中の「芸術への関心」「芸術的表現」であった。中高年層と大学生を比較すると,中高年層の評価の方が有意に低かったのは,認識の能力の中の「学力」「知能」,生産の技術の中の「家事労働」であった。学生の評価の方が有意に低い項目はなく,中高年層の方が偏見が強いことが明らかとなった。(2)精神障害者との社会的距離と「生きる能力」の関連:「生きる能力」の評価の低い人は,社会的距離の多くの項目で「受け入れにくい」と答えていた。また,人間関係の能力の評価の低い人は,社会的距離の友人・職場で「受け入れにくい」と答えた人が多く,社会的距離での受け入れと「生きる能力」の評価には,関連性がみられた。
著者
向井 友花
出版者
青森県立保健大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

妊娠高血圧症候群の病態の軽減に対する植物性ポリフェノールの有効性を見いだすため、妊娠ラットに一酸化窒素(NO)合成酵素阻害剤を投与あるいはフルクトース(果糖)を過剰摂取させ、アズキポリフェノール摂取が血圧、酸化ストレス、糖・脂質代謝に及ぼす影響を検討した。その結果、アズキポリフェノール摂取はNO欠乏妊娠ラットに顕著な血圧上昇抑制効果は示さなかったが、腎臓のMn-SOD発現を増加させた。またフルクトース摂取妊娠ラットに認められた肝臓の脂質合成転写因子の発現上昇を一部抑制した。
著者
成田 啓之
出版者
山梨大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

研究代表者は本研究課題を通して以下の成果を得た。(1)ブタ脈絡叢上皮細胞(CPEC)の一次繊毛プロテオームを解析した。(2)新生児マウスCPECの繊毛の観察によって、この繊毛が出生前後の一時期に運動することを見いだした。(3)運動している時期のCPECには9+0型の一次繊毛に加えて9+0型の繊毛や非典型的な繊毛が混在していることを見いだした。(4) DNAマイクロアレイなどを用いて細胞あたりの繊毛数を規定していると予想される遺伝子群を同定した。
著者
後藤 雄治
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

原子力発電所では、炉心内の1次冷却系配管や、炉心付近の構造物に関して入念な検査が実施されている。しかし炉心から離れた2次系の鋼管は、放射線が含まれない部分であるため、長期間に渡る詳細検査の頻度は必ずしも多くはない。そこで運転を止めず、安価で常時検査が可能となる状態監視検査技術の構築が望まれる。本研究では、直流磁場と微小交流磁場を併用することにより、短時間で鋼管の裏面減肉検査が実施できる電磁気検査法の研究開発を行った。
著者
長谷川 正哉
出版者
県立広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

『浮き趾』は静止立位時および歩行時に足趾が地面に接地しない状態と定義づけられている,本研究成果から浮き趾は若年・高齢者問わず発症する事が確認された,また浮き趾者では足趾による安定した支持基底面(身体の土台)の形成ができず,歩行中の重心の前方移動(体重の移動)が困難であること,および中足骨頭部(足趾の付け根部分)に荷重が集中し,足部アライメント(外反母趾や偏平足など)の異常につながる可能性があることなどが確認された.
著者
川端 弘治
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

広島大学1. 5m望遠鏡と可視広視野偏光観測装置HOWPolを即時観測可能となるように整備し、ガンマ線バーストに対して世界的にも稀な可視残光の明るい初期フェーズの偏光測光観測を行うことにより相対論的ジェットの磁場構造に関する新たな知見を得ることが出来た。併せて、超新星や古典新星などの恒星の爆発現象に対してその初期観測を行い、爆発の機構について議論した。
著者
松田 かおり
出版者
関西看護医療大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

女性にとってむくみ(下肢浮腫)は日常的におこるマイナートラブルであり、妊婦においても健康な妊婦でも70~80%、妊娠高血圧症候群妊婦では約85%に浮腫が認められるほどである。臨床的には、体重の増加と浮腫の程度を脛骨稜を手指で圧迫して判定している。しかし、その判断、方法は主観に左右され正確に定量化されていない。また、対処法の効果についても検討されているものはほとんどない。本研究目的は、妊婦の下肢浮腫を部位別多周波生体電気インピーダンス法(SBIA法)を下腿に限局して用いて下腿水分の細胞内外比で評価し、その改善法を検討することである。1)合併症のない健康な妊婦の調査を行った。縦断的に調査した研究対象者においても、妊娠高血圧症候群、貧血などの合併を起こした者はいなかった。また、部位別多周波生体電気インピーダンス法(SBIA法)を実施中に気分不良や起立性低血圧を起こした対象者は見られなかった。今回の対象者の中には脛骨稜を手指で圧迫して判定する浮腫の程度では、++の判定になる症例はいなかった。調査の結果、妊婦のむくみ(下肢浮腫)の自覚と部位別多周波生体電気インピーダンス法(SBIA法)から算出した細胞外液量は相関を認めた。以上から、SBIA法における妊婦の個体のむくみの客観的評価は今後有用であると考えられる。2)成人女性への対処法の検討の結果、下肢挙上は、仰臥位に比べ、SBIA法においても、自覚的にもむくみは軽減した。また、足浴において、グレープフルーツオイルの有無で比較検討したところ、むくみの改善はグレープフルーツオイルの有無で統計的に差は認めなかった。しかし、足浴は、自覚的にもSBIA法によってもむくみに効果的であった。以上から、下肢挙上および足浴の効果が客観的にも明らかとなった。
著者
小林 光一
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

アデノ関連ウイルスを利用したwnt11治療によりウイルス性心筋炎マウスの生存を約3割改善することが可能であった。またその機序の解明のためマクロファージ系の培養細胞を使いwnt11を作用させたところ活性化されたマクロファージからの炎症誘導物質の産生が有意に抑制されることが確認された。副作用が少なく、持続的な発現誘導が可能なアデノ関連ウイルスを利用することでwnt11が心筋炎に対して治療効果を示すことが確認された。
著者
上向井 正裕
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

コンパクトで多項目一括検査可能な2波長蛍光免疫センサへの応用を目指し、赤色および近赤外のマルチスポット表面放射集積半導体レーザの設計・作製を行った。赤色集積レーザにおいては5×5および7×7のマルチスポットが得られ、近赤外においても同様のマルチスポット出力が得られる出力結合器を作製した。またノッチフィルタとロングパスフィルタの組み合わせた励起光カットフィルタを用い、赤色・近赤外の半導体レーザ励起による蛍光検出予備実験に成功した。
著者
有吉 欽吾
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、リチウム二次電池用電極材料の分極測定を目的として、新たな分極測定用電気化学セルの考案ならびにリチウム二次電池材料の分極挙動を描き出すことが可能な電気化学測定手法を確立した。さらにこの分極測定法を用いて種々のリチウム二次電池材料の定常分極測定を行い、リチウム二次電池材料の分極では抵抗分極のみがみられることを明らかにし、またこれら単極の分極挙動からリチウム二次電池の入出力特性を予測することが可能であることを実証した。さらに、リチウム二次電池材料の入出力特性において、材料の結晶性が重要な因子であり、高結晶化させることで優れた入出力特性が得られることを見出した。
著者
田中 稲子 三輪 律江 松橋 圭子 谷口 新 尾木 まり 高辻 千恵
出版者
横浜国立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

乳幼児を中心とする子どもとその保護者にとって日常的な居場所となるような街区公園の環境整備を目指して、保育施設による集団利用も考慮した公園に求められる様々な住環境要素についてアンケート調査等を通して把握するとともに、そのような屋外空間での快適な住環境やその必要性を体感できるような温熱環境等の物理環境に着眼した環境教育プログラムを開発した。
著者
桑原 浩平 窪田 英樹 濱田 靖弘 中村 真人 長野 克則 池田 光毅 谷地 誠 南沢 慶一
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

芝生や路上で気候要素の垂直分布(50, 100, 150cm)の測定を行なった。50cmの気温と環境グローブ温(長波放射のみ考慮)は150cmよりも高いが,気温と環境グローブ温はほぼ等しいため,環境グローブ温の垂直分布は長波長放射よりも気温の影響が大きい。また吸汗速乾素材と綿素材の衣服が生理心理反応に及ぼす影響を評価するために被験者実験を行った。速乾素材の方が汗による着衣重量増加量は有意に少なかったが,平均皮膚温や不快感には有意な差が見られなかった。
著者
成田 新一郎 徳田 元
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

グラム陰性細菌のリポ蛋白質は細胞質で前駆体として合成され、Sec膜透過装置の作用で内膜を透過した後、内膜に存在する酵素群の作用で成熟体となる。Lntはリポ蛋白質生合成の最終段階でアミノ末端システインのアミノ基にアシル鎖を付加する酵素である。Lntはグラム陰性細菌の生育に必須であると考えられていたが、本研究ではリポ蛋白質特異的ABCトランスポーターLolCDEを過剰発現させることにより、lnt遺伝子を欠失する大腸菌を作製することに成功し、アミノ末端にアシル鎖を持たない「アポリポ蛋白質」とリポ蛋白質輸送因子(Lol因子)との相互作用を解析した。
著者
長尾 佳代子
出版者
大阪体育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

2006年夏に、Southern Illinois University, Morris Libraryにおいて、Karma初版の掲載誌のバックナンバー、Open Court社が所蔵していた校正原稿、及び書簡類などの調査を行った。原稿や編集者間で交わされた書簡などの調査から、第2版単行本での文章改訂の詳細やその後の単行本出版の際の挿絵や製本、販売方法、宣伝活動などについて行った著者の指示の具体的な様子が分かった。鈴木大拙、長谷川武次郎、大原嘉吉、釈宗演らとPaul Carusが交わした大量の書簡の調査からは、東京帝国大学等の日本の教育機関や宗教界との活発な交流の詳細が判明した。また、その他の書簡類等からは、Paul Carusの出版活動における思想的な背景について、フリーメイソンとしての活動やドイツ系アメリカ人社会での活躍、物理学や数学、音楽などの多岐にわたる分野での多彩な活動の様子など、多くの情報が得られた。これらの調査結果の一部は「南イリノイ大学カーボンデイル校特別文庫注の日本資料」(『大阪体育大学紀要』vol.38,pp.61-70)として報告した。また、2007年6月3日に京都、花園大学において開かれる仏教文学会大会で「『蜘蛛の糸』原資料Karma出版の経緯---オープン・コート社寄贈南イリノイ大学モリス図書館所蔵資料について---」と題して研究発表を予定している。収集したKarma各版の整理と分析は、これらの調査結果の分析と平行して現在も進めている。
著者
畑 靖紀
出版者
独立行政法人国立文化財機構九州国立博
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

室町時代の中国文物に対する認識の基盤を解明しようとする本調査研究では,当時の中国文物受容の枠組みを規定した足利将軍家の評価・意義付けを主要な課題として下記の3つの観点から考察した。(1)前年度に引き続き,文献資料とくに後花園天皇(1419-1470)の室町殿行幸を記録した『室町殿行幸御餝記』(永享9年:1437)の記載に注目して,伝来する同書の写本を校訂した。その内容をもとに会所附書院に飾られた文房具などの唐物飾りの組み合わせを分析して,その陳列方法および陳列装置との関わりを考察した。(2)現存する東アジアの美術・工芸のうち日本で唐物飾りとされた作品,およびこれらと同時代の作品を調査して,その基礎的なデータを収集した。特に九州国立搏物館の特別展「京都五山 禅の文化展」および韓国国立中央博物館の展観において出陳作品を詳細に観察し,室町時代を中心とする東アジアの美術・工芸に関する具体的な知見を得ることができた。(3)足利将軍家による中国文物受容の枠組みを相対化する試みとして,唐物のなかでも中心的な位置付けを与えられた仏教絵画に注目し,鎌倉・南北朝・室町時代の現存作品や文献資料を考察した。とくに日本最古の白衣観音図とされる九州国立博物館所蔵の一本について紹介を行い,その意義を考察した。
著者
熊倉 誠一郎
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

挿管し陽圧呼吸で管理する全身麻酔施行前後に、気道上皮被覆液中(以下ELF)のインターロイキン-8(以下IL-8)濃度の測定を行った。揮発性吸入麻酔薬であるセボフルランに亜酸化窒素を併用投与すると、併用しない場合と比較し、術後ELF中のIL-8の濃度が有意に上昇した。しかし静脈麻酔薬であるプロポフォールに亜酸化窒素を併用投与した場合には、IL-8濃度の上昇は有意には高まらなかった。以上から今回の研究によりセボフルランと亜酸化窒素を併用投与することで肺局所に炎症を惹起する可能性が認められた。