著者
小松 真
出版者
岩手医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

コアンダ効果を伴う放電駆動マイクロウォータージェットの軟組織切開に対する性能評価を行い,多目的な外科的切開装置の提案を試みた.その結果,水中放電により直接ジェットを安定駆動する条件を特定し,それが切開に適した性能を持つことを確認した.また切開時の血管等の組織保存に関わるコアンダ効果について,円柱硬組織に対しその効果が出現する接触角度の範囲を大要的に特定した.以上により切開過程の部分的な評価と,広いレンジにわたり強さを調整する方法の確立ができたことで,多部位に適用できるジェットの発生方法を提案できた.
著者
大山 小夜
出版者
金城学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

貸し手側である業者と借り手側である消費者による金銭貸借をめぐる相互作用(消費者信用取引)において、紛争は、多くが複数の業者から借り入れる消費者の返済の遅れに始まる。このため、消費者信用取引の紛争は、一般に、多重債務問題と呼ばれる。破産はその一帰結である。本研究の目的は、紛争当事者が出会う市場、市場で生じた紛争の事後処理と市場に法規制を行う司法、借り手に資源を投与することで紛争の解決を図る行政など、消費者信用と多重債務問題に関わる諸制度の実証研究を通じて、紛争解決のための政策的、社会学的示唆を得ることである。この目的に対し、本年度の研究内容は以下の通りである。第1は、消費者信用市場のグローバル化にともなう紛争拡大の実態把握と、紛争解決のための国際的取り組みの必要性の提言である。2005年3月末、日本弁護士連合会が消費者信用法制について韓国で現地調査を行った。報告者はこの調査に同行し、帰国後、補足調査を行うことで次の2点を明らかにした。一つは、多重債務問題は、経済の低成長期にある社会において、高い収益性のある消費者信用市場への規制緩和と、市場から脱落する個人への司法的行政的救済制度(セーフティネット)の未整備による不幸な結婚によって生じること。いま一つは、こうした不幸な結婚には、豊富なノウハウと資金力をもつ諸外国業者による市場進出も大きく関わっていることから、多重債務問題の解決には、当該国内だけでなく、国際的取り組みが必要なこと、である。第2は、消費者信用市場への規制をめぐる論点整理である。市場へ事前に包括的な規制をかけることで紛争を防ぐという意見に対し、近年、市場に規制をかけないかわりにそこで生じる紛争を事後的に個別的に解決すればよいという意見が出されている。そこで、後者の、紛争解決のあり方の代表例として、日本の司法における紛争処理の実態を検討し、その利点と問題点を整理した。
著者
水田 邦子
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究で新たに抗ヒトGDD1ポリクローナル抗体を作製した.また,GDD1遺伝子の機能解析を目的にGDD1発現ベクターを作製し,培養細胞における外来性GDD1安定発現システムの確立を試みてきた.しかし,GDD1タンパクは細胞内で非常に分解を受けやすく,タンパク検出が困難であった.このため,GDD1遺伝子の生理的機能は長く不明であったが,申請者らはGDD1が筋萎縮を症状とするLGMD2の原因遺伝子であることを発見し,筋芽細胞株を用いた発現実験で骨格筋恒常性維持にGDD1遺伝子が重要な役割を発揮していることを証明した.
著者
伊達 聖伸
出版者
上智大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、フランスのライシテの歴史を批判的に見直す一方で、ケベックのインターカルチュラルなライシテの分析を進めた。その結果、政教関係の国際比較のツールとして、また新たな共生の原理としてライシテを再定式化するためには、ライシテの構成要素がさまざまな社会でどのように編成されているのかをとらえることが重要であることがわかった。また、日本の政教関係史をライシテの観点から読み解くための見通しが得られた。
著者
佐久間 路子
出版者
白梅学園大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、児童期中・後期の自己概念の発達を縦断的調査によって明らかにすることを目的に、小学校4~6年生を対象に質問紙調査を行った。その結果、4~6年生の間に、自己の捉え方が否定的になり、コンピテンスが低下することが、部分的に明らかになった。また6年生になると自己の肯定的・否定的側面への気づきが高まることが明らかになった。この結果を生かして、高学年における自己理解を深める授業実践について考察した。
著者
福田 亮子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は人間の持つ感情、情緒を生体信号測定に基づき客観的に評価する手法の提案を目的としている。感情・情緒に関する従来の研究は情報を受容するいわば受動的な状態において行ったものがほとんどであるが、感性を考慮したインターフェイスや環境の設計を行うには、人間がこれらと受動的にも能動的にも関わることから、何らかの行動をしている際、すなわち能動的な状態でどのような感情・情緒が生起するかを把握することも重要である。前年度までのデータをさらに詳細に分析したところ、各種生体信号データのうち精神性発汗量が能動的に作業する際の感情の継時変化をよく反映していることが明らかになった。また実験課題については、比較的単純で練習効果も大きくない電卓を用いた計算作業が行動による感情の変化を観察する上で適しているとの確証が得られた。そこで本年度は、当該課題を遂行する際の行動観察と生体信号計測、ならびに作業前と作業後の主観評価を組み合わせた実験を行った。その結果、印象評価因子には作業前と作業後で共通するものとそうでないものが存在することが示された。前者は対象物の本質的な印象に関わる因子であるのに対し、後者は使用前は見た目をもとにした印象、使用後は課題遂行という行動経験をもとにした印象であり、課題遂行によりその際用いた道具の印象が変化することが明らかになった。このような変化が作業過程のどの部分で生じたかを分析したところ、押すべきボタンが見つからず探しているときなどで精神性発汗量が増加していた上、試行全体においてその変化の頻度が高く変化量も大きい場合は作業後の印象がネガティブなものとなる傾向が認められた。このような手法により感情の変化を引き起こす行動をある程度特定することが可能となったが、その結果は使いやすさを超え利用者の感情に影響を与えるようなインターフェイスや環境の設計に活かすことができるものと考えられる。
著者
倉田 玲
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本国憲法第15条第3項には「成年者による普通選挙を保障する」と明記されているが,公職選挙法第11条第1項には「次に掲げる者は,選挙権及び被選挙権を有しない」として,第2号に「禁錮以上の刑に処せられその執行を終るまでの者」を,第3号に「禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)」が列記されており,ここに議会制民主主義の政治過程の根幹に関わる重大な憲法問題がある。この問題の本質を探るため,従来から日本の選挙法の理論と実務にモデルを提供してきたアメリカ合衆国の諸州における同種の問題の構造を実証的に検分してきた。現地の関連訴訟の書類など第1次資料を中心とした文書の収集と整理を進めたとともに,とりわけニュー・ジャージ州立ラトガース大学に設置されている2つの法科大学院の双方を訪問し,カムデン校の州憲法研究所とニューアーク校の憲法訴訟クリニックに属する研究者各位の協力を得て,裁判所に係属中の訴訟の関係者に対する聴取調査を含む現地調査を遂行したことにより,近年では市民的及び政治的権利に関する国際規約に基づく人権委員会の報告書(2006年9月15日),欧州安全保障協力機構の民主制度人権事務所の報告書(2007年3月9日),あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約に基づく人種差別撤廃委員会の報告書(2008年3月5日)など国際機関の文書によっても抜本的な是正が勧告されるまでになった同国における重罪犯の選挙権剥奪が,州権基調の連邦制度を固有の背景としつつ,それを共有しない日本の法制度にも通底する根源的な問題として,破廉恥罪という古典的な概念の歴史的な沿革に由来する要素を核心部分に内包していること解明した。また,現在の世界各国に類例をみないほど広範囲にわたって峻厳な剥奪の実態が看取される合衆国の諸州においては,この種の制度を運用する選挙実務の次元でもマイノリティ集団に属する有権者に対して差別的な効果を及ぼしている重大な過誤が多発していることを検知し,この点についても分析した。
著者
茂木 耕作
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

東シナ海、西部熱帯太平洋、インド洋に注目して、夏季モンスーン期の降水系について内部構造、維持過程、その周囲への影響などを調べた。1.東シナ海上における梅雨前線降水系の停滞機構、2.西部熱帯太平洋域における陸風前線降水系の北進メカニズム、3.東シナ海、西部熱帯太平洋、インド洋の降水系周辺における観測データが周囲に及ぼす影響の評価、という主な3項目について解析を進め、領域毎の降水系の特性を明かにした。
著者
西村 一之
出版者
日本女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

近年、人文社会科学の領域では、植民地研究の蓄積が進んでいる。しかし、それらの多くが生活世界とはある意味かけ離れた感があることを否めない。また、かつて日本が植民統治してきた朝鮮半島、台湾、南洋群島などをめぐる、植民地研究は未だ手薄である。本研究は、日本の植民地支配が50年間に亘った台湾をその対象とした。台湾社会では、現在その生活世界の様ざまな場面で、日本の植民統治と関連する事象、また台湾の人によってそれを言及される事象が、私たちの前に示される。本研究で現地調査の対象となった漁業領域においても、それは同様である。調査地である台湾東部における漁業は、日本人漁業移民の移住と公的機関による漁港の築港を伴う開発に由来する。日本人漁業移民は、移民村と呼ばれる場所に集住していた。1930年代後半より周辺地域に暮らす台湾の人びと(漢人/先住民アミ)が、日本人主体の漁業領域に参入する。このとき、日本人漁民との問で顔の見える関係性のなかでの技術移転が行われた。この技術移転は、1945年以降に実施された国民党政府による漁業振興策の中でも継続した。こうした1945年をはさんだ約10年間を経て、調査地は1980年代半ばまで東部地区を代表する近海漁業基地となった。植民統治期からこの地を代表してきたカジキ突棒漁は、船長を中心とした漁法だが、戦後活躍してきた彼らの多くが日本人漁民との漁撈を経験している。そして、彼らの持つ漁撈技術を始めとする「船長の力」は、漁撈の成功を目的としている。その力の起源をめぐっては、日本人漁民との漁撈経験が重要な位置を占めている。実際に彼が、日本人漁民とともに漁撈にあたったのは、若年の頃のごく短い期間でしかない。しかし、このときに習い覚えたと言及することは、彼らの社会内部に通用する「民俗知識」の中に、日本植民統治期の影響が取り込まれていることを示している。これをある種の翻訳過程の結果としてとらえることが出来る。以上を踏まえての研究成果の一部はすでに国際ワークショップの場や台湾の学術雑誌に投稿を通じて公表している。
著者
坂田 五月
出版者
聖隷クリストファー大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

【はじめに】温罨法は、身体の一部に温熱刺激を与えることにより保温と筋緊張緩和を促進する看護技術である。これまでの研究に引き続き平成18年度の研究では、熱源が異なる器具を用いた場合の保温と安楽の効果に注目した。【研究方法】対象は研究協力の同意が得られた成人24名。実験は冬季に実施し、温度は20℃、相対湿度50%に調節した。下着と長袖寝衣を着用し、掛け物はアクリル毛布1枚とした。15分間の安静臥床の後に毛布で身体を被覆した。湯たんぽを貼用した。生理学的指標としてR-R間隔、表面皮膚温度、腋窩温、皮膚血流量、寝床内の温湿度を連続測定し、R-R間隔より心拍数と心拍変動解析によるHF、LF成分を求めた。HFのパワー値を副交感神経反応の指標、LFとHF成分の比(LF/HF)を交感神経反応の指標とした。心理学的指標として温冷感と湿度感、快適感をそれぞれリカートスケールで得点化した。統計解析、Wilcoxonの順位和検定により基準値との差とSpearmanの相関により各項目間の関連性を検証した。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮】聖隷クリストファー大学倫理委員会による承認を得て実施した。【結果】安静臥床終了時の足趾皮膚表面温度21.86±3.48℃、寝床の足元温度21.85±2.64℃、足趾温冷感-2.83±0.92点。HFのパワー値は45分まで上昇し、30分と45分で基準値との間に有意差を認めた。全身温冷感は快適感との間に高い正の相関(r=0.703)が認めた。足趾温冷感は快適感(r=0.664)とHFのパワー値(r=0.255)との間に正の相関を認めた。【考察】足元に使用した湯たんぽによる皮膚表面への温熱刺激は、身体の温冷感を改善し副交感神経の活動を亢進させる。湯たんぽの効果は60分を目安に評価し、湯たんぽの温湯の交換や足浴など保温や安楽を促進する援助を再検討する必要がある。
著者
星 雅丈
出版者
成美大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、地域における療養型病院の現状と、他の医療・介護施設との関係について、施設配置の状況や施設間連携の現状などを総合した調査・データ分析により療養型病院の地域における必要性を明示することを目指した2009~2011年度にかけて、京都府北部(中丹地域)におけるにおける療養型病院・介護老人福祉施設・介護老人保健施設の施設数・病床数・収容可能数や物理的配置、施設間移動距離等の調査を実施した。結果、療養型病院の過少や、人口と高齢化率とのミスマッチが示唆された。
著者
生田 英輔
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

阪神・淡路大震災における調査から、倒壊を免れた家屋内でも、家具転倒等による負傷者が発生している。このような被害を防止するために、その危険度を定量的に評価する手法を開発した。大腿骨骨折に焦点を当て、実験とシミュレーションによる危険度評価を試行した。実験に関しては、より現実に近い環境を想定し、多様な条件下での家具転倒実験を実施した。また、実際の被災状況を想定するため、アンケートを実施し、防災意識や家具の状況を把握した。
著者
佐藤 哲彦
出版者
熊本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究の目的は、我が国における犯人特定技術、すなわち捜査技術の近代化過程において、どのような技術が適用されてきたのか、それによってどのようなことが行われてきたのかということを、実際の資料に即して、批判的アプローチの観点から検討することにある。昨年度に引き続き本年度も、主として明治・大正・昭和初期の捜査技術資料、捜査関係者の手記などを収集、またこれらに加えて特に捜査技術の基礎を構成した医学的・心理学的文献を収集、これらをディスコースの観点から分析した。それによると、まず当初の予測通り、捜査技術の近代化-それは一面では捜査技術の西洋化あるいはその輸入ともいえるものであるが-において、医学的・心理学的知識が重要な役割を果たしているということが挙げられる。それはたとえば、「性」という考え方の周辺に捜査対象者を位置づけようという努力に結実する。しかしながら昨年度の研究で示唆されたように、それは単なる技術の輸入あるいは翻訳ではない。それはむしろ、近代化(西洋化)に伴う社会変動と同調し、その表出として位置づけられる一方で(輸入・翻訳の側面)、過度な社会変動を抑制すべく配置された統治技術の一端として位置づけられるものである(統治性の側面)。この場合、過度な社会変動とは、常識カテゴリーの混乱を含意する。たとえば、放火や殺人において、犯罪者の語りは、いずれにしても、捜査員の語りの間接話法として位置づけられるべく捜査上の仮説が提起される。このような仮説は、捜査上合理的とされる価値に基づいて編成される。すなわち、「認知上の平常な価値」(H・ガーフィンケル)による合理性である。したがって、近代的捜査技術は、その「価値」に見合う形で西洋の科学的知識を目的論的に摂取したものと位置づけられる。すなわち、近代的捜査技術は従来の秩序の輪郭を自己言及的に再生産するための技術として位置づけられるのである。
著者
佐藤 実
出版者
大妻女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では近世における中国ムスリムの人生儀礼研究の具体的な分析として、劉智が著した『天方典礼』の婚姻篇、喪葬篇を検討した。まず『天方典礼』は朱熹『家礼』の構成にならって書かれていることがわかった。劉智は儒教儀礼について真っ向から否定することはなく、逆に儀礼にたいする考え方はイスラームと儒教とでは共通していると主張している。そしてそうした人生儀礼を実践することによって、中国ムスリムじしんが中華の秩序をになっていると認識していたことを明らかにした。
著者
越智 祐子
出版者
同志社女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、ふたご等の育児(多胎育児)者が感じる育児困難について、当事者と協働で多胎育児支援を啓発する映像表現をおこなう過程を通して考察した。妊娠・出産・育児の暗黙の基準は単胎のものであり、多胎育児者は自分の感情や経験という「目の前の現実」とは合わないことにとまどい、不全感を抱いていた。本研究の成果は、映像作品および同作品を用いた専門職向け研修プログラムとして、広く一般に提供される。
著者
伊藤 孝一
出版者
名古屋市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

HCV母子感染例の小児7例を対象にPEG-IFN単独療法直前、治療後2-4週でのHCV NS5b領域の遺伝子解析を行った。PEG-IFNα-2a 90μgまたは180μgを週1回、24週間または48週間皮下注投与され、6例は治療完遂し、1例は12週で治療中止した。治療4、8週時のHCV-RNA陰性化は、2例(29%)、7例(100%)。治療終了後24週でのHCV-RNA陰性(SVR)は6例(86%)。7例全てにおいて治療後2-4週時点でHCV NS5b領域に変異を認めなかった。
著者
黒沢 健至
出版者
科学警察研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

動画像に施された画像改ざんに対する検出法に関する開発を行った。本研究では、CCDやCMOSなどの半導体撮像素子における画素ごとの電気特性のばらつきに起因する個体特徴を利用して、改ざんの有無並びに改ざんの時空間位置の特定を行うことに特色がある。撮影に用いられたカメラが既知で入手可能な場合にはコンテンツ改ざんやシーン挿入を検出できたほか、撮影カメラが未知の場合でもシーン挿入を検知可能な方法を開発した。
著者
川本 佳代
出版者
広島市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的である「一地域(研究代表者が属する広島市とその近郊)の大学や研究機関に所属する各領域の専門家,文化施設の学芸員,中・高等学校の教員が学習支援者として連携して,中・高校生の知的好奇心に基づく継続的な探究を可能にする学習コミュニティを構築する」ために,本年度は以下を行なった。(1)教員等によるコミュニティの維持・継続的なシステム利用NetCommonsの改良版(新機能の一部は昨年度本研究により実現)を導入し、広島県物理教育研究推進会などの大学教員・中・高等学校教員等がコミュニティを維持した。また、新たに大学の教員による中・高校生を対象とした講義のために、大学教員と高校教員とのコミュニティを構築した。(2)学習コミュニティの構築理科・科学を継続的に探究するための学習コミュニティ用サイトを充実させた(ルーム構成:各科目のルームの他、[みんなの広場][科学なんでもルーム][イベント情報][質問の部屋][職員室]他)。また、広島地域の大学の教員、中・高等学校の教員、文化施設の学芸員らに呼びかけ、平成18年度からこのサイトを利用した地域の中・高校生と大学教員等から成るコミュニティを構築し、大学教員による中・高校生を対象とした講義と連携させることになった。これにより、生徒は講義の内容や講義時間に限定されず、あらゆる科学事象について継続的な探究を行うことができる。(3)地域密着型科学コミュニティサイトの活性化要因に関する研究地域密着型科学コミュニティサイトを活性化する要因を明らかにするために既存のサイトの分析を行った。「科学サイト」「コミュニティサイト」「子ども向けサイト」各100サイトとそれらに含まれる地域密着型サイトを対象として、データマイニング手法と統計手法を用いて活性化した(=アクセス数の多い)サイトの特性や、各領域の専門家の作成するサイトの特性を明らかにした。その結果、(1)地域に密着したイベント情報の提供、(2)画像や動画・音声を交えた科学に関する情報の提供、(3)子どもの興味をひきつける手法として「キャラクターの登場」や「FLASHの使用」など、(4)コミュニケーションの促進の手法として,掲示板の設置と管理者の積極的な介入など、(5)利用者の興味を持続させる手法として「メールマガジンの配信」「月1回以上の更新」「無料会員登録制」などが有効であることがわかった。
著者
関口 秀紀
出版者
独立行政法人情報通信研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

情報機器の1つであるPC(Personal Computer)が動作時に非意図的に放出する電磁雑音を受信することによって、モニタ表示画像が再現される情報漏洩問題が顕著化し、PCおよびATM端末のような街角端末で表示する情報の漏洩が懸念されている。そこで、電磁雑音に起因するモニタ表示画像の情報漏洩を定量的に評価する方法を確立し、国際標準化機関に提案すると共に、本情報漏洩を防止するソフトウェア的な対策技術の研究・開発を行った。
著者
服部 圭介
出版者
大阪経済大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

研究成果として主に,論文"Policy and Product Differentiations Encouragethe International Transfer of Environmental Technologies"をまとめた。ここでは,地球環境という国際公共財を共有する国家間の戦略的な技術移転のインセンティブを分析した。結果として,環境政策の水準と,国際市場における企業が生産する財の差別化の程度にかんする非対称生が大きな場合のみ,自発的な環境技術移転が行われることが明らかとなった。これは,地球温暖化問題に対する京都議定書における,CDM(クリーン開発メカニズム)や,ODA(政府開発援助)を通した環境技術の移転の問題に関して,重要な政策的含意を有すると考えられる。