著者
グエン ミンレ
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

意味解析の改良をねらい,文脈素性を用いる方法を実装することを主に研究した.また,意味解析モデルを実装するのにラベルなしデータがどのように有効かについても研究しました.これらの点に関して,注釈のない大規模コーパスを語クラスタモデルによりモデル化し,識別学習モデルのための素性を抽出しました.意味表現と自然言語文の同期モデルを学習するために, forest-to-string法を適用した.この問題に対し,我々は,機械学習および線型計画法を用いて,法令条文の項(paragraph)の論理構造を2段階で学習する新しい枠組みし示した.
著者
吉田 稔
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

テキスト中の数値表現を適切に取り扱い,数値と言語の統合的なマイニングを行うための基盤技術の研究を行った.具体的な方針として,テキストを接尾辞配列により索引付けし,そこで数字列に対し,数値としての検索が行えるように拡張を行った.このシステムを,大規模なテキストに適用できるよう高速化し,これにより,文字列と数値の関係を対話的に取得できる基盤を構築できた.また,応用先として,数値を多く含む業務レポート等に対するテキストマイニングの研究を行った.
著者
市野 順子
出版者
電気通信大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

マンガデザイナの観察を通して,マンガデザインの初期段階においてデザイナは,キャラクタ(登場人物の設定)・プロット(物語の筋書き)・ネーム(ラフなコマ割)の三要素を用いて,抽象化と具体化を繰り返しながら試行錯誤していることがわかった.しかしながら,従来のツールはこれらのタスクについて十分に支援していない.本研究では,デザインの初期段階のマンガデザイナを支援するシステムを作成した.本システムでは,デザイナは,アイディアの抽象表象と具体表象の間をシームレスに行き来しながら三要素を作り上げることがき,また多数枚を同時に参照できる.プロデザイナによる評価を行い,デザイナが本コンセプトに好意的な反応を示し,提案システムを用いてデザイン作業を行うことに関心があることがわかった.
著者
石川 正敏
出版者
東京成徳大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

近年,地域研究などで実施される野外調査では,様々なモバイル機器を使ったデータを収集が行われる.さらに研究者の多くは,野外でのデータ収集にあわせて手書きメモを作成する.このように収集されたデータや手書きメモは,大量である上に書式が不統一であるため,研究者はそれらの分類や分析に必要な関連付けを効率的にできない.そこで本研究では,野外調査で収集したデータを関連付けて蓄積し地理情報として公開することを支援する野外調査支援システムを開発した.さらに,地域研究者による実際の野外調査で提案システムを評価し,その有効性を確認した.
著者
永崎 研宣
出版者
一般財団法人人文情報学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では東洋学古典文献学のための研究情報共有基盤を実現するためのWebコラボレーションシステムの開発を行った。実体験可能なシステムを開発し研究者からのフィードバックを得てさらなる改良を行い、それを通じて、東洋学古典文献における電子テキストの活用手法に関わる特性を明らかにした上で、システムのアウトプットが様々な形で活用可能であることも明らかにした。そして、国内外の関連学会・研究会において適宜研究発表を行った。
著者
波多野 賢治
出版者
同志社大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,多くのWeb検索エンジンが検索結果の表示形式にとらわれず,Webデータに対する情報検索における新しい検索結果の形式をWeb文書間のリンク構造,Web文書内の文書構造,そして利用者が入力する情報要求から算出される索引語の重みにより決定する方法の提案を行った. 本研究の成果は二つあり,一つは索引語の重みを正確かつ高速に再計算可能なアルゴリズムの提案,もう一つは誰もが容易に使用可能な情報アクセス機構の開発を行ったことである.その結果,索引語の重み再計算コストを約64%に減らすことができ,またどの文書のどの部分に利用者の情報要求を満たす部分が存在するのかを判断できる有用なツールとなり得ることが判明した.さらに,ドメイン内検索においてはこのような提示形式が非常に有効に機能することが判明し,本研究を行う意義は十分にあったということができる.
著者
河角 龍典
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、平城京および長岡京の考古学的遺構のGISデータベースが構築された。これのGISデータベースは、効率的に遺構情報を検索し、表示するための機能を持っている。そのGISデータベースの地理情報を利用することによって、両都市の都市構造や古環境を可視化することができた。
著者
中村 努
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は,情報通信技術(ICT)が特定の地域に受容されていくプロセスを一般化するため, ICTの先進国たる日本と欧州,新興国たる中国の3地域における医薬品流通システムの実態分析を通じて,日本の医薬品流通システムを相対化した。本研究は,情報ネットワークの受容プロセスに焦点を当てることで,国や自治体などの政策など制度的環境や顧客特性を踏まえた取引形態などの地域的文脈が,情報ネットワークの態様を規定していることを明らかにした。
著者
小野 雄一
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、普通教室において実施される外国語の授業におけるモバイル機器の利用の可能性を探るものである。本システムの特徴は、普通教室の中に無線LANおよび授業支援用サーバを設定し、学習者にはモバイル機器としてiPod Touch を使用していることである。本研究の大きなテーマは、(1)システムの使用感に関する性能評価、および、(2)実際の外国語の授業における実践と評価、であった。本研究の結果、iPod Touchの性能面における課題や小さな画面に起因する不便性があるにも関わらず、適切に授業にブレンドさせることによって、学習者の意識や動機づけ等にポジティブな影響をもたらすことを示している。このことは、ポストCALLシステム設計の上で、大きな指針を提示するものと考えられる。
著者
後藤 一章
出版者
摂南大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究課題では,日英パラレルコーパスを利用し,英語の頻出表現とその日本語訳が付与されたリスト,及び日本語の頻出表現とその英語訳が付与されたリストをそれぞれ作成した。自然言語処理分野の手法を援用し,コーパスにおける日本語表現の出現分布と英語表現の出現分布の比較から,対訳関係にある日英・英日表現を抽出した。得られた対訳表現リストは,日本人英語学習者が自然な英文を作成する際の有用な手がかりとなることが期待される。
著者
A Bugaeva
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

アイヌ語は消滅の危機にある。系統関係は不明で、いずれかの古い語族の名残であろう。アイヌ語の研究は、北東アジアの言語史、また人類の知性の多様性の理解において、重要な意義を有する。本プロジェクトでは、フィールド調査によって得られたアイヌ語の音声資料のコーパス構築を進めた。さらに、このアイヌ語資料のコーパスに基づいてアイヌ語動詞範疇に関する類型論的研究を行った。アイヌ語のヴォイス(充当、使役など)についていくつかの論文を発表し、またヴォイス標識の相互作用について研究を行ってきた。本研究はアイヌ研究を世界に広く知らしめ、人類の知的財産へのアイヌ語の言語的・文化的貢献の理解を助けるものになるだろう。
著者
荒川 慎太郎
出版者
東京外国語大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

西夏語は、11-13世紀に中国西北部の要衝を占めた西夏国で話された言語である。西夏文字・西夏語は話者・使用者が絶えたものの、仏典をはじめとした豊富な言語資料が残る。ロシア科学アカデミー東洋写本研究所は、質量共に一級の西夏語資料を有しており、一部の文献のマイクロは、日本の東洋文庫に保管されている。本研究では、ロシア所蔵の西夏文文献の整理とデータベース化を進展させると共に、ロシア所蔵資料を用いた言語学的研究を行った。
著者
寺村 裕史
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

古墳のデジタル地形測量を、調査者1人でハンディGPSを用いて計測した場合に、どこまでの精度でデータを記録できるのか、またトータルステーションを用いた計測データとの精度や形の比較検証をおこなうために、岡山市・造山古墳の各陪塚を対象に簡易測量を実施した。成果として、トータルステーションを用いた地形測量よりも精度は劣るが、地形のプロファイリングなど個人で計測するにあたっては、許容誤差の範囲におさまり、十分今後の研究に有用な方法であり、空間データ処理が可能であると結論づけた。
著者
梅津 信幸
出版者
茨城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

遺構の発掘は基本的に破壊的な検査であり、遺構実測図はその過程を記録する最も重要な記録の一つである。多くの実測図は発掘現場で手描きで作成された後にスキャンされ、考古学者が多大な時間をかけて多数の点をクリックして手作業でベクトル形式に変換する。本研究で提案するラスター・ベクター変換アルゴリズムにより、そのような非効率な状況が改善された。イスラエルのテル・レヘシュ遺跡の実測図をスキャンして用いたベクトル化の実験から、提案するアルゴリズムによって手作業によるクリックと編集の負担が大幅に軽減されることが確認された。
著者
佐古 愛己
出版者
佛教大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

古代都城平安京から中世都市京都への変貌は、従来、京域内の変化に関しては、律令制的都市支配制度の形骸化、解体による治安の悪化や都市民による巷所の形成など、権力の弱体化や不在が中世都市の形成に繋がったとする視角が主流であった。本研究では、度重なる御所の焼失や頻繁にみられる天皇や上皇などの居所の移動(移徙)が、院政期に次々に実施される新宅(内裏・里内裏や院御所)造営と密接に関連しており、さらにその背景には、造営を請け負う受領をめぐる人事との関係がみられる点を明らかにして、当該期の政治・経済・人事制度に関連する構造的な問題の存在と、権力者により積極的に中世的都市の構築が図られていた側面を指摘した。
著者
楠井 清文
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、二つの目的を持つ。第一に、植民地期韓国で日本語によって刊行された文芸雑誌を収集し、デジタル化することで、資料の利便性を高めることである。第二に、それらに基づいて、当時の日本人の文学活動を明らかにすることである。研究成果では、第一の点について、三つのデータベースを構築・公開することができた。第二の点については、1920年代に朝鮮で詩雑誌が盛んに発行されており、朝鮮の詩人と交流するなど、幅広い活動を行っていたことが明らかにできた。
著者
松葉 涼子
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本年度は大英博物館における絵入版本資料計1828点を調査し、目録化した。目録データはすべて博物館に納品しており、館のデータベースに反映される。また、博物館の版本コレクションのうち、582点をしめるジャック・ヒリアー旧蔵の版本データの撮影を行い、版元情報のデータ入力を実施した。また、すでに公開されている書籍画像データベースを参照しながら、版元基礎情報のデータ入力を進めている。以上の作業によって構築されたデータは版元総合目録として公開する予定である。所蔵資料の画像全公開を目標とする書籍閲覧システムにおいては、版元の住所表記など細かな情報を入れ込むことは困難であった。ところが、版元データベースとして別に走らせておき、書籍閲覧システムと連結させることができれば、版本一点ごとに版元の詳細なデータを付加することができる。版元データベースは、他の書籍閲覧システムにも活用し得る基礎的データとなり、現在各所蔵機関ですすめられている所蔵資料のデジタル化においても大きな意味をもつものとなる。さらに、作業と並行して浮世絵出版と版元との関連に着目し研究をおこなった。まず、吉原俄の浮世絵出版にみる歌舞伎音曲と版元の関係性を明らかにした。また、大英博物館所蔵資料の江戸役者絵本を中心に、江戸役者絵本の出版事情を整理し、浮世絵との比較のなかで、役者絵本が出版された意義について検討し、地方にむけて出版するための意図が役者絵本の出版事情にどのように関わっていたかについて述べた。
著者
山田 修
出版者
東京芸術大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の最大の目的は、3Dデータの活用を彫刻文化財の修理において日常的に用いる手法にし、作業効率を改善し、低コスト化、質の向上を目指し、より多くの彫刻文化財の修理を可能にすることである。実際の修理に対し手作業とデジタル操作に関わるコスト、時間といった諸要素の効果を可能な限り定量化し分析していくとともに、技術の伝承性を考慮した上で従来行われてきた伝統ともいえる作業方法と3D技術の共存できる接点を検討した。
著者
村井 源
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

聖書など古典テキストに特徴的に見られる、構造的な記述(キアスムス、パラレリスムスなど)を科学的に分析するための基盤を構築した。まず個々の構造を納めるためのデータ構造を設計しソフトウェアを開発した。次に聖書の構造的な記述を(旧約39巻、新約27巻、旧約続編11巻の、約1500の構造と約7700の対応テキスト箇所の対)を分析し、データベースに納めた。また分析結果が妥当かを統計的に判定するためのプログラムを開発した。得られたテキスト中の構造のリストはホームページ上(http://www.valdes.titech.ac.jp/~h_murai/bible/bible.html)で公開している。
著者
三宅 真紀
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、聖書学におけるギリシャ語新約聖書の主要な校訂本を対象にして、写本の異読情報を付帯した意味ネットワークを構築し、グラフ理論に基づいたネットワーク分析を適用した。また、共通箇所が多い校訂本に埋もれている微小な違いに焦点をあてながら、類似テキストの差異の抽出を試みた。さらに、類似性を表す統計値とTEI(Text Encoding Initiative)エンコードガイドラインに準拠して作成したディジタル批判本を組み合わせた、異本比較研究ツール開発した。