著者
小林 吉之
出版者
国立障害者リハビリテーションセンター(研究所)
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は,ヒトが歩行中に転倒するもっとも主要な要因である『つまずき』が生じる一因を解明するために,これまで著者らが行ってきた研究で得られた知見を基に,ヒトが歩行中に足部の位置をどの程度正確に知覚できているか,その特性を実験的に明らかにすることを目的とした.本研究の結果,ヒトの足部は歩行中遊脚期にも30mm程外側に偏っている事が確認された.
著者
兵藤 不二夫
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

寒帯林の遷移過程における植物の窒素源の変化を明らかにするために、スウェーデン北部において約400年と5000年の遷移系列を対象にし、その植物及び土壌窒素の窒素同位体分析を行った。その結果、2つの遷移系列において植物の窒素同位体比が有意に変化することが明らかになった。土壌の溶存有機態窒素や無機態窒素の同位体分析の結果と合わせると、この植物の窒素同位体比の変化は、植物が溶存態有機窒素やコケによる窒素固定、そして菌根菌へとその窒素源を変化させていることを反映しているものと考えられる。
著者
梶山 秀雄
出版者
島根大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

前年度の研究成果をふまえた上で、ポストコロニアリズム批評、カルチュラルスタディーズ関係の文献を狩猟し、引き続きディケンズ作品に散見される「催眠術」、「動物磁気」、「自然発火」といった疑似科学的な主題を、当時の雑誌、新聞の超自然現象をめぐる言説と対置させ、より文化的な背景の中にテクストを読み込む作業に従事した。また、物語手法や疑似科学への接近という観点から、ディケンズとをポストモダン以降の作家と比較研究を行い、その成果の一端を、論文「「別名で保存」される『大いなる遺産』-ピーター・ケアリー『ジャック・マッグズ』」として島根大学『外国語教育センタージャーナル』(2005年)に発表した。次いで、疑似科学についてのディケンズの基本的な見解、および当時の言論人の反応について検討し、メスメルの提唱した.「動物磁気」を、シャルコー、フロイトと受け継がれていく催眠療法の原初的な形態として位置づけ、疑似科学としての精神分析の再読を試みた。これらの研究成果の総括として、「美しく燃える人体-ディケンズと疑似科学」というタイトルの論文を執筆、島根大学『外国語教育センタージャーナル』に掲載予定である。
著者
徳武 千足 坂口 けさみ 芳賀 亜紀子 近藤 里栄
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

乳児を持つ母親の添い寝及び添え乳のヒヤリハット経験は 1 割以上があり、約 7 割が出産後入院中より開始していたことより、母親に関わる専門職が正しい知識と方法を持って方法を指導していくことの必要性が示唆された。また、新生児期における呼吸循環機能は、 動脈血酸素飽和度が 95%未満を示す時間があり、 自律神経機能は、明らかなパターンはなく不安定、個別差が大きいことが明らかとなった。
著者
滝沢 元和
出版者
山形大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

銀河団衝突に伴う高エネルギー現象について、数値シミュレーションとX線観測の両面から迫った。N体+(電磁)流体シミュレーションを用いて衝突銀河団での特徴的な磁場構造や質量評価の不定性を明らかにした。すざく衛星を用いたX線観測で非熱的硬X線放射の上限値を求め、磁場強度の下限値を制限した。さらに重力レンズの同時データ解析で、系の力学状態に迫った。
著者
内海 秀幸
出版者
千葉工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

水銀圧入試験を対象とした研究においては,圧入により水銀が空隙に浸入する場を表現する一般的な熱力学的つりあい式と,場固有の微細構造特性を定める数理モデルを連成させることにより,水銀の圧入過程の基本的傾向を表現することが可能な基礎式の定式化を行った.平成19年度は主に,この基礎式に対する,汎用性を実験的に確認するための研究を実施した.その結果,若材齢時におけるセメント系材料の組織構造形成過程を含む各種のセメント系材料の微細構造特性を表現する上で妥当であることが判明した.また,ガス吸着試験に着目した研究では,上記の水銀圧入試験を対象に構築された基礎式に基づいて定められる空隙径分布関数を反映した新たな理論吸着等温関係式の構築を行った.この理論吸着等温関係式の特徴は,従来のBET理論のように飽和蒸気圧において発散する形式ではなく,湿度の全範囲で閉じた形式となっている.この研究についても,本年度は各種材料へのる汎用性を実験的に確認するための研究を実施した.その結果,各種の乾燥の履歴を受けた硬化セメントペーストに対しててもその形式が妥当であることが判明した.これらの研究により,水銀圧入試験とガス吸着試験に対して,空隙径の分布特性に基づく相互換算を可能とした理論の枠組みが整備できた.また,熱重量分析については,温度上昇にともなうエネルギー変化と水分脱水過程との関係を明確にすることにより水分の熱的作用における脱水過程が微細構造特性を反映した結果であることを確認した.さらに,各水分離脱過程の活性化エネルギーを速度論的見地から評価することにより材料内水分の吸着性情を定量的に明らかにした.
著者
白浜 公章
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、データマイニング技術を映像処理に応用して、大量の映像が蓄積された映像アーカイブから、所望のイベントを効率的に検索するための3つの手法を開発した。1つ目は、ラフ集合理論と呼ばれる技術を用いて、所望のイベントに特有の特徴量(色、エッジ、動きなど)の組み合わせをパターンとして抽出する手法を開発した。2つ目は、イベント中に出現する概念(人、車、建物など)をビデオオントロジーとして体系化し、概念間の関係性に基づいて検索精度を向上させる手法を開発した。3つ目は、異常な編集パターンが使用されている映像区間を印象的なトピックとして抽出する手法を開発した。
著者
久保 幸弘
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

GPSに代表される衛星測位システムでは,衛星から送信される擬似ランダム符号や搬送波の位相観測値を用いて,衛星,受信機間の距離を測定(測距)し,受信機座標を求める.従来,受信機単独でその絶対座標を求める手法は「単独測位」と呼ばれ数m程度の誤差を持つとされている.本研究では,この誤差要因を,1.電離層・対流圏の影響,2.衛星の軌道誤差,3.サイクルスリップ,4.移動体の動的モデル,の4つに分類し,その各々についてより正確な数式モデルを構築(GRモデル;GNSS Regression equation)し,観測データからこれらを同時に推定することにより,測位精度の向上を図った.また,サイクルスリップに関しては,測位演算アルゴリズムにおいて使用されるカルマンフィルタのイノベーション過程を監視し,カイ2乗検定,尤度比検定に基づく検出手法を提案した.さらに移動体の動的モデルに関しては,移動体の速度を一次のマルコフ過程,加速度を一次のマルコフ過程,躍度を一次のマルコフ過程と仮定するモデルをそれぞれ構築し,精度の検討を行った.また,測位に用いる衛星の選択手法として,衛星の仰角による重み付け,観測残差の絶対値による衛星選択アルゴリズムを構築し,上述の高精度単独測位アルゴリズムに導入し,測位計算プログラムを実現した.それらの結果,実証実験においては,本学所有のNovAtel社製受信機および国土地理院殿の電子基準点で得られた観測データ等を用い,静止点において常に約50cm程度の精度で受信機座標を得ることが可能であった.
著者
金子 育世
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本人英語学習者のスピーキングにおける感情表現を観測し、米語母語話との比較を行うため、生成実験を実施した。日本人大学生10名(男性6名、女性4名)と米語母語話者(男女各1名)を被験者とし、2つの課題のもとに書かれた英文手紙をテープレターにするつもりで読んでもらい、録音した。感情表現の中でも愛情表現と哀悼表現に着目し、それらが第二言語と第一言語でどのように異なるかを観測するため、課題は「付き合って3年目の記念日に恋人に渡すラブレター」と「大学入学前にとてもお世話になった先生が亡くなったことについて、先生の家族に送るお悔やみの手紙」とした。日本人被験者は全て海外滞在経験のない大学生で、英語能力はTOEICにおいて平均が484点(280点〜650点)であり、米語母語話者は英語教材の録音を担当するプロのナレーターであった。音声資料において、音声分析ソフトを用いて音声波形、スペクトログラム、イントネーションカーブを作成し、米語母語話者が強調している語を分析語とした。日本人被験者の各分析語のピッチ高低差、持続時間、強度を測定し、米語母語話者のものと比較、分析を行った結果、日本人被験者は米語母語話者に比べて、ピッチの高低差が少なく、持続時間が短かいが、強度は高いことが観測された。このことから、日本人英語学習者はピッチの高低差と持続時間の不足部分を強度で補おうとしていることが示唆された。また、男性よりも女性において英語母語話者に近い音響特徴が観測され、女性の方が英語における感情表現の習得が進んでいることも示唆された。さらに日本人の音声資料に関して、単音、プロソディ、感情表現、全体的印象を4人の英語母語話者(男女各2名)にそれぞれ評価してもらった結果、ラブレターよりもお悔やみの手紙の方が高い評価を得た。このことから、日本人英語学習者は愛情表現よりも哀悼表現において習得が進んでいることが示唆された。
著者
能町 しのぶ 村井 文江
出版者
滋賀医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、死産時の看護ケアを行っている助産師が捉える効果的な看護支援と、死産を体験した母親が捉える死産時の看護ケアニーズから、死産時の看護プログラムを構築していくことを目的としている。看護支援の提供者である助産師21名、看護支援の受け手である死産体験者10名にインタビューを実施した。結果、母親と子どもの安全を保障すること、母親と死産した子ども、家族が共に過ごす場・時間を確保すること、母親や家族の意思決定を支援すること、退院後のフォローをすることが、プログラムの内容として挙げられた。
著者
新 恵里
出版者
京都産業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究の二年目として、本年度は、法医学の分野において、被害者への支援、特に遺族ケアを行っている諸外国の取り組みについて文献の収集、調査、検討を行った。司法解剖における遺族ケアについては、グリーフ・カウンセリングが主流であり、医療機関での遺族対応の問題も含めて文献、資料収集を行った。また、下記の諸外国において、文献の収集およびインタビューによる調査を行った。1)外傷体験を持ちやすい専門職(警察、消防、検視官など)へのメンタルケアと同時に、遺族ケアも行っているアメリカ合衆国の行政機関からインタビューを行った。2)「犯罪被害者庁」をもち、捜査段階で国選弁護人を被害者につけ、また司法解剖においては遺族に説明義務を持たせているスウェーデンでの取り組みについて調査を行った。3)検死および検死法廷(Coroner's Court)の制度が整っているオーストラリアビクトリア州において、検死事務所所属のカウンセラー、検死法廷での民間支援機関であるCourt Networkの責任者およびスタッフ、ボランティア、長期的な支援を行っている民間支援機関Compassionate Friendsのスタッフからインタビューによる調査を行った。これらの研究結果は、第43日本犯罪学会で報告を行ったほか、第7回国際法医学シンポジウムにおいても、報告を行う予定である。また、日本における犯罪被害者支援政策は、犯罪被害者等基本法において整備されつつあるが、過渡期にある現在、これら研究成果をもとに、今後も本研究を発展的に継続する予定である。
著者
門田 功
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

昨年に引き続き、赤潮の原因毒であるブレベトキシンBの合成研究を行った。デオキシリボースを光学活性源として、BC環部に相当するα-クロロスルフィドとFG環部アルコールをそれぞれ合成した。両者を銀トリフレートを用いて縮合し、O,S-アセタールを合成した。さらに数段階でアリルスズを導入して分子内アリル化反応のための基質を合成した。この化合物を銀トリフレートで処理したところ84%の収率で環化反応が進行し、目的の化合物が立体選択的に得られてきた。得られた化合物に対し、Grubbs触媒による閉環メタセシスをおこなってB-G環セグメントを得ることができた。さらに数段階を経てA環を構築し、A-G環部とした。これをJK環部に相当するカルボン酸とエステル縮合し、さらに数段階を経て環化前駆体を合成した。この化合物に対して先ほどと同様に分子内アリル化と閉環メタセシスをおこない、ブレベトキシンBのポリエーテル骨格を得ることができた。この化合物に対してラクトン化、脱保護、アリルアルコールの選択的酸化を行い、ブレベトキシンBの全合成を完了した。合成品の各種スペクトルデータは天然のものと完全に一致した。また、同様の方法論を用い、イェッソトキシンおよびアドリアトキシンのFGHI環部の収束的合成に成功した。これらの化合物は下痢性貝毒の原因毒として、二枚貝養殖に多きな被害を与えており、ブレベトキシンBと同様深刻な社会問題となっている。本研究により、これら海産毒の活性発現機構に関する研究が進展するものと期待される。
著者
武内 謙治
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、少年司法における「未決」段階の身体拘束に関する刑事政策上・国際人権法上の関心が高まるなか、現在それが果たしている機能とあるべき像を探ることを目的とした。本研究に取り組む中で公表した論文・学会報告・図書では、国際人権法上指摘されてきた日本の問題点は近時なお深まりを見せていること、それを解決するためのひとつの法策には国選付添人制度の拡充があることを示した。
著者
高山 喜晴
出版者
独立行政法人農業技術研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ラクトフェリンは骨芽細胞の分化を促進する機能を持ち、骨形成を促進するサイトカインとして再生医療への利用が期待される。このためには、有効濃度のラクトフェリンを骨芽細胞に持続的に供給するドラッグ・デリバリー・システム(DDS)の開発が必要である。〓型コラーゲンは骨組織を構成する主要な細胞外マトリックスであると同時に、様々な細胞増殖因子を内包し、徐放する性質を持つことが知られている。そこで、〓型コラーゲンが骨芽細胞分化の過程において、ラクトフェリンの徐放担体として利用可能か検討するため、ウシラクトフェリンを含有する〓型コラーゲンゲル薄膜を作成した。この薄膜上でMG63 ヒト骨肉腫由来細胞を単層培養し、デキサメサゾン添加により骨芽細胞に分化誘導すると、ラクトフェリンを含まないコラーゲンゲル薄膜と比較してアルカリフォスファターゼの活性化・オステオカルシンの産生などの分化形質の発現とマトリックスの石灰化(カルシウムの沈着)が促進された。この結果より、〓型コラーゲンゲル薄膜がラクトフェリンの徐放担体として培養骨組織の形成に有用であることが示された。
著者
井上 宜裕
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究の第一義的な目的は、わが国における「刑事手続を利用した損害回復制度」の問題点を抽出、分析し、より被害者にとって利用しやすい損害回復制度を確立することであった。フランスの私訴制度及びドイツの付帯私訴制度と本制度を比較検討した結果、本制度には、無罪判決に際する民事賠償に何ら配慮されていないという決定的な問題が存することが明らかになった。上記の目的を達成するためにもこの点の修正が急務である。
著者
大西 正光
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

インフラプロジェクトでは、複数の(実際には多数の)リスク要因が存在していることが通常である。しかし、複数リスク下における、プロジェクトリスクの最適なリスク分担構造について、未だ理論的な裏付けによって導かれたものは存在しない。本研究では、インフラプロジェクトにおける複数リスクのアンバンドリングを考慮した最適リスク分担構造を、合理的意思決定モデルを用いることによって、演繹的に導き出した点に新たな貢献がある。
著者
野間 幹晴
出版者
一橋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本年度は主に次の2つの研究を行った。第1の研究が多角化と株主資本コストに関連する実証研究であり、第2は経営者の業績予想と会計発生高に関する実証研究である。多角化と株主資本コストについては実証分析を行い、「証券アナリストジャーナル』に掲載した。本研究では、多角化戦略が株主資本コストに与える影響を実証的に検証した。多角化にともなう企業と投資家との情報格差の拡大によって、当該企業への投資に対するペイオフ推定のリスクが増大し、資本コストが上昇すると考えられる。先行研究の多くはコングロマリット・ディスカウントの要因として経営の非効率性を指摘するが、本稿では多角化戦略の採用自体がリスクプレミアムをもたらす要因となることを示した。実証分析から、多角化は資本コストに影響を与えるリスクファクターであり、その内容や実施形態に応じて資本コストに対して異なる影響を与えることが解明された。経営者の業績予想と会計発生高の関連についても日本企業のデータを用いて実証分析を行った。分析の結果、経営者予想の予測誤差と会計発生高、および経営者予想の予測誤差と正常会計発生高の間に統計的に有意な関連があることが明らかになった。また、経営者予想の改訂と会計発生高、および同改訂と正常会計発生高との間に関連があることを明らかにした。こうした分析結果は、経営者が発生主義会計を十分に理解していないことを示唆する。この研究については、マレーシアで開催された、"19^<th> Asian-Pacific Conference on International Accounting Issues"において発表を行った。
著者
神薗 健次
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

金融派生証券価格理論においては,まず原資産価格の変動を表すモデルとして,例えば対数正規過程などの確率過程が与えられる.次に派生証券は,ヨーロピアン型の場合では,派生証券満期におけるペイオフとして特徴付けられ,これはモデルの上では満期時点における原資産価格の関数として与えられる.そして,当該金融派生証券の現在時点における価格は,満期でのペイオフの割引現在価値の期待値を,いわゆるリスク中立確率測度のもとでとることによって得られる.これが,無裁定価格理論の概要である.本研究は,金融派生証券価格を非対称情報のもとで考察することを目標としてスタートした.平成19年度における本研究の研究実績の概要は以下の通りである.前年度までに Bikulov and Volovich(1997)によるBrown運動による対称確率積分を定義し,Malliavinの発散作用素との関連を論じたが,今年度には論文のさらなる改訂を行い,最終的に学術雑誌Stochastics第79巻・第6号に成果を発表するに至った.前年度より引き続き手がけていた,Donskerの不変原理に相当する定理の証明は未完であるが,p進時変数のDoobの不等式に相当するものを求めるということが新たな問題として浮かび上がった.また,前年度得られた成果であるρ進有理数全体を時変数にとるBrown運動をPaley-Winnerの方法によるBrown運動の構成について,The Third International Conference on p-Adic Mathematical Physicsにて成果報告を行った.
著者
一之瀬 貴
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

【研究の目的】ファットローディング法は高脂肪を摂取して筋内に脂肪を貯蔵し、その脂肪を運動時のエネルギーとして有効利用する方法である。筋内への脂肪の貯蔵には筋のリポプロテインリパーゼが重要な役割を担っており、その活性は運動後に高まるが、糖質の摂取によって低下することが知られている。一方、スポーツの現揚では運動中に使われたグリコーゲンを速やかに回復することが重要なので、運動直後に糖質を摂取することは不可欠である。本研究では運動直後に糖質を摂取する条件の下、どのようなタイミングで高脂肪を摂取すれば運動時の脂質利用を効果的に高めることができるのかを検証した。【研究の方法】6名の若年成人男性を対象として、運動と食事を2日間統制した後、3日目に自転車エルゴメータを用いて運動試験を行い、疲労困憊までの運動時間と糖質・脂質の酸化量を評価した。食事統制は無作為な順序で、1週間以上間を空けて3回行った:1)運動直後に糖質を中心とした基本食のみを摂取する、2)運動直後に基本食と高脂肪食を同時に摂取する、および3)運動直後に基本食を摂取して、3時間後に高脂肪食を摂取する。運動後以外の食事は全て同じとした。【研究の成果】疲労困憊までの運動時間は基本食と比較して高脂肪食を摂取した場合に延長した。疲労困憊までの脂質酸化量は基本食より高脂肪食を摂取したときに高かったが、糖質酸化量は同じであった。したがって、高脂肪食摂取による運動時間の延長は脂質利用の増加による糖質利用の節約に起因したと推察される。一方、運動時の脂質酸化量は運動直後または運動3時間後に高脂肪食を摂取した揚合で同じであった。以上の結果から、運動後の食事では糖質だけでなく、高脂肪を積極的に摂取することの重要性が示唆された。また、運動後3時間以内の高脂肪摂取による脂質酸化量の増加は、糖質摂取の影響の変動に関係がないことが明らかになった。
著者
橋爪 真弘
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

インド洋熱帯域の海面水温の異常変動「ダイポールモード現象」とバングラデシュのコレラ患者数の関連を明らかにするため時系列解析をおこなった。エルニーニョ現象の影響とは独立して、ダッカ(都市部)およびマトラブ(農村部)でのコレラ流行が「ダイポールモード現象」およびベンガル湾海面水温と関連あることが明らかとなった。