著者
内田 匡輔
出版者
東海大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

今年度の研究は以下のように実践した。1 授業分析のフィードバック昨年度得られた成果をもとに、聾学校の傾向をリーフレットにまとめ作成、配布した。授業担当教諭には、授業の結果を否わせて報告できた。興味を示した襲学校入訪問しこ授業研究を行った。その結果、聾学校で「良い体育授業」を行っている学校のモデルを挙げることができた。また、教材をこちらが準備して授業を実施する「出前授業」を2校において実践した。2 継続的な授業研究の実施結果最終的に、6校8教諭25授業の記録がてきた。また、形成的授業評価アンケートを作成実施し、125名の生徒の授業評価を収集することができた。まず授業映像を分析した結果、聾学校の授業においては、普通校の授業に比べてマネジメント(授業準備、片付け等)にかける時間が長く、生徒の運動学習時間を短くしているという結果を得ることができた。また、アンケートから、聾学校の生徒は、意欲・関心の項目が普通校よりも高く、運動量が少ないにもかかわらず、授業には満足しているということがわかった。最後に、モデルと考えられた学校は、マネジメントの割合が聾学校全体め平均よりも多いにも関わらず、授業評価は聾学校の中で最も高かった。これは、聾学校独自の教材研究の成果と考えられた。3 出前授業の実施神奈川県と北海道の聾学校で出前授業を実施する機会を得た。そこで、教材を工夫した授業の実践を試みた。いずれも、これまでの襲学校め授業分析と比較し、同様の期間記録の傾向が見られたものの、生徒の授業評価には、意欲関心が低くなるという違いが見られた。この原因についてに今後研究をすすめ、聾学校における授業評価の妥当性を継続して研究してゆく。4 結果のまとめと公表本研究結果を集約し、第6回日本発育発達学会において発表することができた。また、一部教材研究の結果を日本体育学会第58回大会で発表した。これらの研究結果をもとめ協力校に配布することができた。
著者
ウッド ドナルド
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

This project focused on the life and writings of Akita farmer Yoshida Saburo (1905-1979) who, despite his humble beginnings in a small village on the Oga Peninsula of Akita Prefecture, became an amateur ethnographer, earned the patronage of Shibusawa Keizo (grandson and heir of Shibusawa Eiichi) and mingled with the leading figures of .Japanese ethnology and sociology while living in Tokyo from 1937 to 1945.
著者
高橋 弘充
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、我々が日米欧共同で開発・製作したPoGOLite検出器をもちいて「はくちょう座X-1」から硬X線偏光を検出することを目指した。2011年度・2012年度では天候などによりPoGOLite気球の放球を実施・成功させることはできなかったが、2013年度には初めて放球に成功した。フライト中には、「はくちょう座X-1」だけでなく他のブラックホール連星系GRS 1915+105やパルサー星雲である「かに星雲」の観測を実施することができた。
著者
竹林 慎一郎
出版者
三重大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

最近の研究で、がん遺伝子の活性化により誘導される細胞老化は、細胞内エネルギー代謝にも大きな変化をおこしていることが分かってきた。我々は、培養細胞をモデルとして用い、網膜芽細胞腫の原因遺伝子として知られるRbが細胞老化にともなうエネルギー代謝変化を調節していることを明らかにした。具体的には、老化細胞におけるミトコンドリア呼吸の活性化がRb依存的におこっていることを見出した。さらに、網羅的な遺伝子発現および代謝産物解析により、Rbタンパク質が解糖系を中心とする複数の代謝関連遺伝子の発現レベルを上昇させることでエネルギー源供給を亢進させ、下流のミトコンドリア呼吸を活性化していることを明らかにした。
著者
野村 久子
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、国の制度や公的資金による農業文化遺産維持継承の支援の取組と、市場メカニズムを用いた支援の取り組みについて日英における制度比較を行い、支援体制について整理を行った。具体的には、農業環境制度の中に組み込んだ形で歴史的構築物、石垣やフットパスといった農業文化遺産保全の維持継承を行っている英国を事例として、特に、伝統的風景や歴史的農業構築物の維持を目的とした制度の仕組みや運用手順、事例について明らかにした。また、国内においては、福岡県朝倉市の三連水車を事例として、市場メカニズムを用いた市民参加型の支援の可能性があることを示した。
著者
根来 貴成
出版者
金沢美術工芸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

初年度は、病院を利用する方が待ち時間を快適に過ごせるよう、医師や看護師、患者らからのアドバイスをもとに椅子の制作を行った。その成果はイタリアの家具展で紹介され、高い評価を得た。また、2013年~2014年には、病院でのデザインに味わいを持たせるため、癒しと音楽との観点から音楽堂の待合空間のための椅子のデザインを展開した。ケアの機能に音楽性が加わり、癒しともてなしを融合したより魅力的なデザインが生まれた。人気投票の結果、評価の高い椅子は、待ち合い空間のくつろぎや癒しを楽しむ配慮がなされたものであり、機能性だけではなく、形や色、サイズの工夫によって待つ間のストレスや不安を軽減できることがわかった。
著者
坪井 陽子
出版者
中央大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1.Chandra衛星でM17 HII領域を観測し、886ものYoung Stellar Objectsを検出した(Broos, et. al. 2007 ApJS)。その40%はAvが10等以上の減光を受けた若い天体であり、IRS5/UC1領域、Kleinmann-Wright天体、M17-Northといった有名な星生成領域や、新たに発見した、2pcの長さの孤状領域、0.1pcスケールの領域にある程度が付随していた。残りの減光を受けた天体は、集団で生まれている星よりも多く、分子雲全体に大きく拡散していた。M17には何百かのClass I原始星候補が存在するとされているが、結局そのうち64個からX線が検出された。2.すざく衛星による銀河中心方向のサーベイで、早期A型星から大きなフレアが受かった(Miura, et. al.2008 PASJ)。強い磁場が存在しないとされるA型星から、原始星と共通する大きなフレアが受かったことは驚きに値する。フレアループの磁場の強さは、50gauss、ループの長さは0.05AUと導けた。最も考えられうる放射機構は、そのA型星は他の星と近接連星系をなしており、相互作用を及ぼしあうことによって磁場が増幅されているという説である。3.すざく衛星を用いてM17 HII領域の拡がったX線成分を検出した。高電離状態の元素からの輝線を複数検出し、この拡がったプラズマは、300万度程度の単一温度の太陽コロナモデルでフィッティングできること、水素に対する元素の組成比は太陽組成比の0.1-0.3倍であること、元素同士の組成比はNeを除いて大体太陽組成と同等で、Neのみが太陽組成の2倍あることを明らかにした。これらの結果は我々の観測した5pc程度の拡がりのどこでも同じ結果であった。4.すざく衛星を用いて、超新星残骸の研究(Bamba, et. al.2008 AdSpR、Takahashi, et. al.2008 PASJ)、および超新星残骸の集合体と考えられているNorth Polar Spur (Miller, et. al. 2008 PASJ)の研究を行った。
著者
谷口 千絵
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的のひとつは、妊娠期を通じて、対象者自身が生活活動量を測定することによって対象者の妊娠経過および健康に対する認識と行動化へ寄与するか明らかにすることである。子年度は引き続き、生活活動量の測定方法について検討した。1つの方法として、加速度計(ライフコーダEX)を用いた歩数および活動量の実測があり、プレテストを実施した。また、もう一つの方法として、今年度は調査票により生活活動量を測定する方法を検討した。先行研究によると具体的な運動については、自記式でもインタビュー形式でも妥当性にほとんど違いはないことが明らかになっている。しかし、生活活動量については明らかになっていない。第一段階として、日記法を用いて実施したが、どの生活行動を記述するのか明確にならず、対象者によってバラツキがでることが考えられた。第二段階として、主な生活行動を項目として列挙した記録用紙を用いたが、対象者の生活パターンが多様であるため、該当する項目が少なく一定の記録用紙は完成しなかった。主に座位の行動や不活動が生活行動の大半を占める対象を想定しているため、質問紙による測定が困難であった。セルフモニタリングは単独あるいは、別の手法と組み合わせて、個人の行動変容を促す認知行動的介入のひとつの技法である.その有効性は一般成人においては、多く先行研究において確認されている。また、必ずしも目標に設定どおりの行動をとることができずに、やり損なったときめ罪悪感を感じたり、逆戻りの生活行動に戻らないような予防的な措置が必要ともいわれている。妊婦を対象とした場合は、失敗体験として受け止めることや実施しなかったことが児への罪悪感へつがることを防ぐための方策を介入にあたって検討する必要があることが明らかになった。
著者
得 津晶
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

銀行法や独占禁止法上の株式保有制限等の業法規制が、適切な会社経営のインセンティヴのある者(株主)に議決権を認めるという会社法上の考慮を実現する機能を果たすことを導き、従前の私的利益の議論と関係することを導いた。他方、私的利益規制論は会社への出資のうち株式のみに着目したものであるため、一般的・普遍的な議論はできず、広く資金提供者にコミットメントを供給することが重要であるとした。
著者
土佐 朋子
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

23本の『懐風藻』写本についてほぼすべての調査を行い、同時に新たに12本の『懐風藻』写本を紹介した。その結果、これまでの群書類従系統とその他の系統に区分する考え方を改め、群書類従に至るまでの本文系統、すなわち江戸期の書写活動の過程における本文派生状況を明らかにする必要性を指摘した。とくに、江戸初期の林家における書写活動の過程で、複数の本文が生じた可能性を指摘した。また、現存最古の注釈書『懐風藻箋註』を翻刻し、その作者今井舎人が系譜学者鈴木真年であることを確定し、歴史的関心から施される江戸期版本書入と比較して、漢籍に典拠を求める注釈姿勢の異質さを明らかにした。
著者
林 弘典
出版者
明治国際医療大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、国内外において初めて、柔道の審判員が実際にどのような位置で投技評価を行っているかを検証した。現在の副審は移動できないために、異見発生を含め投技評価の半数以上は推奨される審判員の位置(主審と副審2名を線で結んだ三角形の内側)で行われていないことや主審に視界を遮られて投技が見えにくい場面があることが明らかとなった。ゆえに、主審と同様に副審も移動して投技評価を行うことが望ましいことを提言した。
著者
石塚 哉史
出版者
弘前大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、日本の農産物輸出戦略の現状と課題を明らかにするために、①農産物輸出支援政策及び関連事業の展開を整理、②事業主体及び対象品目の差異に留意し、輸出戦略を検討、③輸出相手国・地域の消費者意識と購買行動を検討、に焦点をあてて日本国内の輸出産地及び中国及び台湾の輸出相手国・地域の大消費地での実態調査を中心に分析を行った。分析の結果、①輸出相手国・地域の消費者が限定されている点、②農産物輸出に取り組む産地・食品企業は品目・製品差別化を徹底していた点、③食品企業は、自社製品に応じた販路を形成するとともに、製品のプロモーション活動の徹底が市場確保に重要なポイントであることが明らかとなった。
著者
五十嵐 泰正
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

現在、日本の諸都市では、地域イメージ戦略を核としたまちづくり運動が盛んであり、多くの場合その中では、地域の固有性や多様性を称揚する理念が謳われるこが、グローバルな流動性を前提とした現代においては、それらは非常に大きな困難を抱え込んでいる。このパラドクスとそこからの脱却の模索を、千葉県柏市における数量調査・インタビュー調査や東京都上野地区におけるインタビュー調査などから明らかにした。
著者
大隈 貞嗣
出版者
三重大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

われわれが作製した血管血球系特異的p38αコンディショナルノックアウトマウスおよびマクファージ特異的コンディショナルノックアウトマウスにおいて高脂肪食による肥満の抑制が観察され、マクロファージにおけるp38αが肥満を促進していることが示された。またマクロファージ特異的p38αcKOマウスにおいて食餌誘導性NASHモデルを作製したところ、肝における炎症および線維化が減少していた。また老化促進マウスとの交配に関しては作製途中であるため予備的にp38阻害剤投与実験を行ったところ、寿命延長効果が認められた。
著者
奥村 久士
出版者
大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設)
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

タンパク質のシミュレーションが難しい理由は,自由エネルギー曲面に多くの極小状態があるからである.この問題を解決するために提案されてきた手法の1つがレプリカ交換法である.本研究では狙った構造に近づくように力をかける「へリックス・ストランドレプリカ交換法」を提案し,ペプチドに応用した.その結果,この方法では通常のレプリカ交換法よりも天然構造により近づけ,折りたたみにより成功した.さらに「レプリカ置換法」を提案した.この手法では2つのレプリカ間だけで温度を交換するのではなく,3つ以上のレプリカ間で温度を置換する.この方法を用いることでレプリカ交換法よりも効率的なサンプリングを実現できることを示した.
著者
五十嵐 学
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

インフルエンザの流行を効率よく制御するためには、抗原変異の機序を理解し、予測することが必要である。本研究では、インフルエンザウイルスの主要抗原であるヘマグルチニン(HA)とそのモノクローナル抗体(mAb)に焦点をあて、ウイルスがmAbからエスケープする際に起こるHA上のアミノ酸置換の特徴を明らかにすることを目的とした。具体的には、アミノ酸置換に伴うHA-mAb複合体の相互作用変化、およびHAの機能や構造安定性への影響を分子シミュレーション等の計算科学的手法により解析し、実際にエスケープ変異株で観測されるアミノ酸と比較した。
著者
南保 明日香
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

エボラウイルス侵入機構の分子基盤を解明するため、本研究においては、侵入過程に関与する宿主因子の網羅的同定を目的として検討を行った。その結果、エボラウイルス様粒子(VLP)の細胞表面への吸着、ならびに細胞への取込み、エンドソーム膜との膜融合における効果を定量的に評価することに成功した。現在、ハイコンテンツイメージング機器を用いた系の最適化とsiRNAスクリーニングを計画している。今後、同定された各種候補因子の機能解析を進めることで、エボラウイルス侵入機構の分子基盤の理解、ならびに抗エボラウイルス薬の開発に大きく貢献することが期待される。
著者
雨宮 護
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では,2002年以降にわが国の大都市で活発に行われた防犯まちづくりの諸対策のうち,特に防犯カメラの設置事業に焦点をあて,犯罪への影響を検証した.具体的には,自治体による公共空間への防犯カメラ大規模設置事業の事例を対象に,同事業の取り組み実態を明らかにし,さらに,繁華街への防犯カメラの大規模設置事例を対象に,設置前後での犯罪情勢の変化を明らかにした.その結果,①事業の内容は自治体により大きく異なること,②特に防犯カメラ設置時における台数や箇所選定の決定過程や市民への説明の機会において課題があること,③繁華街に設置された事例では,財産犯に効果が見られたことなどを明らかとした.
著者
村田 裕和
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

萩原恭次郎と岡田龍夫が「印刷術による総合運動」と名づけた詩集『死刑宣告』(1925)について、その生成過程を調査し、それが当時の活版印刷文化の歴史的文脈の中でどのような意味を持っていたのかを考察した。また、シンポジウムを開催して1920年代のプロレタリア芸術の諸相を再検討した。特に、美術・映画・漫画などの視覚芸術を中心に、ジャンルの境界領域において、多様な実験的活動が行われていたことを明らかにした。
著者
滝本 和広
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

完全非線形楕円型・放物型偏微分方程式に対し,その境界値問題の可解性や解の振る舞いについて研究し,非線形現象の解明を目指した。幾何学的な構造を持ったk-曲率方程式と呼ばれる完全非線形偏微分方程式の境界爆発問題の解の一意性,および平均曲率型の準線形放物型方程式における正値定常解の解構造および放物型方程式の解の時間無限大における挙動に関する新たな研究結果を得た。