著者
牧田 義也
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、20世紀前半のアジア太平洋地域における公衆衛生制度の形成過程に対して、アメリカ合衆国の海外医療事業が与えた影響を、アメリカ赤十字社及び同社が主導した国際赤十字連盟の保健事業に焦点を当てて考察した。1898年の米西戦争以降、アジア太平洋地域への進出を加速した合衆国は、20世紀初頭に同地域で多くの医療事業を展開した。本研究はアメリカ赤十字社の海外医療事業に注目し、同社の活動が植民地医学を基盤としつつ、現地住民との協働・対立を通じて、各地の保健制度を構築していった過程を検証した。さらに、同事業を通じて各地の衛生事業の平準化が促進されたことを指摘し、公衆衛生の制度化の国際的契機を論証した。
著者
石井 陽子
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

レイヤー構造を持つ液晶相には大きく分けて2種類存在し、一つは水と界面活性剤の混合系から成るラメラ相で、もう一つは棒状低分子単成分系からなるスメクチック相である。この様なレイヤー構造を持つ液晶では層法線方向と層面内の方向において拡散係数が大きく異なることが知られているが、その異方性はラメラ相とスメクチック相において一桁以上の異なることが知られている。本研究では、液晶層間の異種分子の存在が層法線方向の拡散係数に及ぼす影響を調べる事を目的に、低分子単成分系にアルカンを混合した膨潤スメクチック相の自己拡散係数の測定を行った。結果、層間のアルカン分子の存在は層法線方向の拡散を疎外することがわかった。
著者
加藤 智崇
出版者
福岡歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、歯科治療の中断を防ぐため、中断患者の背景を解析することを目的とした。協力歯科医院の中断患者に電話インタビューを行い、93名中5名から回答を得て質的に解析した。この結果を用いて患者背景を調査するアンケート項目を作成した。アンケート調査はweb上で中断患者と歯科を定期受診する患者にアンケート調査を実施した。結果、中断患者は、健康意識が低く、歯科に対してネガティブな感情を持つ者が多い可能性が示唆された。
著者
田口 由香
出版者
大島商船高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、日英史料を用いて多角的な視点から幕末期の国際関係を解明した。幕末期のフランスによる幕府支持とイギリスによる長州藩支持という通説的な見方は一面的であるため、イギリス政府の文書や新聞などから全体像を分析した。その結果、イギリス政府は幕府と長州藩の対立に中立方針をとっており、駐日公使も幕府と長州藩に和解を勧めていたこと、一方でイギリス新聞の記事には貿易利益を優先して有利な方を支持する傾向がみられることを明らかにした。また、下関開港問題をもとにイギリスと長州藩の貿易志向を日英両史料から分析した結果、イギリス駐日公使らが大名との直接貿易を実現しようとしていたことを明らかにした。
著者
後藤 勝正
出版者
聖マリアンナ医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

老化に伴う筋力と骨塩量の低下を防止するための安全かつ効率的なストレス負荷で筋力増大をもたらす新しいトレーニング方法の開発に関して、筋力トレーニングを骨格筋に対するストレスと捉え、骨格筋に対する新しいストレスとして温熱刺激に着目した。そこで本研究では、温熱刺激による(1)骨格筋細胞の増量と増殖とその作用機序、(2)温熱刺激による筋トレーニング効果の促進、ならびに(3)温熱刺激による筋萎縮からの回復促進、について、新しいストレス負荷による骨格筋の肥大の可能性を探ることを目的とした。実験モデルとして培養骨格筋細胞ならびにWistar系雄性ラット(生後12週齢)を用い、実験的萎縮筋モデル(後肢懸垂モデル、前十字靭帯損傷モデル)を採用した。培養骨格筋細胞の実験ではL6(ラット)およびC2C12(マウス)を用いた。培養骨格筋細胞に対して温熱刺激(41℃、60分)、機械的伸展刺激ならびに両者を組み合わせて加えることで、骨格筋細胞の増殖や肥大に対する温熱刺激の効果が両細胞で確認された。したがって、温熱刺激による骨格筋細胞の増量は種に依存する現象ではないと考えられた。ラットを用いた実験では、温熱刺激のみにより骨格筋肥大が促進するか検討し、41℃の温熱環境に60分間暴露することで筋肥大が引き起こされた。また、後肢懸垂モデルを用いひらめ筋を萎縮させた後、後肢懸垂を解除し通常飼育をする前に温熱刺激を加えることで、萎縮からの回復過程が促進した。さらに、前十字靭帯損傷モデルでは、萎縮した筋ではストレスタンパク質の発現増加が認められ、温熱刺激による筋萎縮抑制の可能性が示唆された。以上より、温熱刺激が筋タンパク増量効果をもたらすことが明らかになった。また、温熱刺激による骨格筋の肥大は。(1)ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)/Artシグナル伝達系を活性化させることでもたらされることが明らかになった。
著者
小原 顕
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

液体Heに大振幅の定在波音波を励起すると非定常な巨大吸収が観測される。これは音場によって蒸気泡が生成され、さらに泡が音場と非線形に相互作用することに起因すると、申請者は考えている。この説を定量的に証明するため、リアルタイムに音場の絶対値を測定できる装置光ハイドロフォンを開発した。この装置は、 超流動相および蒸気相を含む1.5~5.5Kのヘリウム中で、動作することを確認した。密度換算には成功したが、圧力換算に必要な精度には至らなかった。この原因はAPD検出器の本質的な問題に起因することを突き止めた。この問題さえクリアすれば、音響タブレンスの定量的観測に一歩近づけるはずである。
著者
武内 章記
出版者
独立行政法人国立環境研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

地球規模の水銀汚染対策として、火山や熱水活動によって排出される自然由来の水銀と、人間活動によって排出される人為起源水銀とを識別することができるトレーサーの開発を目指した。本研究では、還元気化装置と多重検出器型誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて、魚類中の極僅かな自然界の水銀同位体比変動を計測する分析方法を開発し、魚類中の水銀同位体比に非質量依存同位体分別の影響が検出されて、底質や岩石などに含有されている水銀とは異なる同位体比組成をもっている事を明らかにした。
著者
相島 葉月
出版者
国立民族学博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、空手道の稽古に取り組むエジプトの都市中流層の事例を手がかりに、中東におけるモダニティの系譜を探求することであった。近年、新自由主義経済の広がりにより、学歴や所得で中流層と下流層を差異化することがより困難になる中、「教養」の有無を指標とする新たな「階層観」が構築されつつある。この文脈において本研究は、エジプトのスポーツ実践に象徴された「身体化された教養」をめぐるポリティクスを、西洋的近代性に代わる、独自のモダニティを創出する試みとして考察した。
著者
高木 俊雄
出版者
沖縄大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、欧州の研究コミュニティを中心に発展を見せている「実践としての戦略(SaP)」の実証的、理論的発展を目的とし実施された。また、こんにちのSaPの議論が戦略をどの位相で捉えるのかによって全く異なった展開を見せているため、それらの整理検討も視野に入れて行ってきた。具体的内容としては、(1)既存の戦略論のアプローチであるプロセス論の延長としてSaPを捉える視点、(2)企業実践における規範としての制度を梃子とした戦略の視点、(3)企業が「戦略」という言葉を用いることでどのような実践を可能にしているのか、そして(4)戦略論が企業の戦略実践の中でどのように構築されてきたのかについて検討を行った。
著者
椋木 雅之
出版者
広島市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本年度は,スポーツシーンに意味づけし,その結果を利用する技術を開発した.対象として,実際に放送された野球映像を用いた.野球における1シーンは1投球に対応する映像区間である.1投球区間に現れる映像ショットの種類,構成について検討したところ,・1投球から次の投球までの間が短いシーンは,見送りやファウルである・打球が飛んだ場合,その打球を追うカメラワークを含んだショットが現れる.・1シーンの中で,実際にプレイに関係するのは,投球開始から,打者や走者,投手をアップで写したショットまでの間であり,その後は,リプレイなど,ゲームの流れに無関係な映像が含まれる.などの特徴があることが分かった.これらの知識を導入するために,ショットの種類として,1.投球開始時に現れる「プレイ開始ショット」2.打球を追ってカメラワークが起こる「ボールを追うショット」3.打者,走者,投手をアップで撮影する「プレイヤショット」の3種類を取り上げ,自動的に識別する処理を実現した.これらのショット種別を利用して,3種類のダイジェスト生成を行った.1つ目は,3ショット以下で構成されるプレイを除去し,残りのショットのうち,1投球区間で「プレイ開始ショット」から最初に現れる「プレイヤショット」のみを集めたダイジェストである.このダイジェストは,試合の重要な流れを網羅しつつ,60分の映像を20分に短縮することができた.2つ目は,「ボールを追うショット」を含むプレイ区間を集めたもので,打球の飛んだプレイからなる5分間のダイジェストを生成した.3つ目は,「ボールを追うショット」を含むプレイが多く現れたイニングを抜き出したもので,実際に得点の入ったイニングからなる5分間のダイジェストを生成した.このように,ショットの種別を元にして,各種のダイジェストを生成することができた.
著者
藤 秀人
出版者
富山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

臨床研究では、メトトレキサートによって治療を受けている関節リウマチ(RA)患者を対象に、多施設無作為割付二重盲検比較試験を行っている。中間解析では、既存治療群と比較して時間治療群において治療成績が高い傾向を示した。基礎研究では、RAモデル動物を対象に炎症反応の日周リズムを評価した結果、RA発症前では認められなかったが、RA発症後に血中SAA(炎症の指標)やTNF-alphaに明瞭な日周リズムがあることが明らかとなった。今後、この機序解明を実施することで、個別化治療に向けた投薬マーカーの同定が期待できる。
著者
市島 宗典
出版者
中京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、1996年以降、衆議院の選挙制度として用いられてきた小選挙区比例代表並立制下において、国庫支出金を主とする補助金の各地方自治体に対する配分を手段として利用することによって、政権の維持を可能にしてきたということを実証的に明らかにすることである。財政を拡大しにくい、一様に補助金を減らす方向である場合にあっては、政権与党に対する支持の高い地域ほどその度合いが緩やかであることが明らかとなった。したがって、補助金を手厚くする局面にとどまらず、補助金を減らす局面においても、その配分には政治的な影響がみられるということである。
著者
北條 慎太郎
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

申請者は、亜鉛トランスポーターが輸送する亜鉛イオンがシグナル因子として機能し(亜鉛シグナル)、骨軟骨代謝や免疫応答に深く関わることを明らかにしてきた。亜鉛の欠乏症は重篤な免疫機能の低下を引き起こすことが知られているが、亜鉛や亜鉛トランスポーターがどのように免疫系を制御しているのか、その分子機序は明らかにされていない。本申請研究は、免疫系の一つの柱である抗体産生に関わるB細胞において高い発現を示す亜鉛トランスポーター ZIP10に注目し、B細胞特異的にZIP10を欠損したマウスを構築することによってその機能を解析した。ZIP10欠損マウスでは末梢の成熟B細胞の減少が認められ、それが関与する抗原特異的な抗体産生能が減弱していた。また、ZIP10を欠損したB細胞の寿命は野生型と比較して短く、この表現型はB細胞内因性の異常に起因していることが判明した。成熟B細胞の生存や抗体産生能はB細胞受容体(BCR)シグナルによって制御されていることが知られている。ZIP10欠損B細胞では、BCR刺激依存的な細胞増殖能の低下が認められ、BCRシグナル伝達の異常が確認された。興味深いことに、予想に反して、ZIP10欠損B細胞ではBCRシグナル伝達の中心的な役割を果たすSrcファミリーキナーゼ LYNの活性化がBCR刺激後に亢進しており、この原因の一つとしてLYNの制御因子であるCD45の脱リン酸化活性が減弱していることがわかった。すなわち、今回得られた結果は、ZIP10がBCRシグナル伝達における新規のレギュレーターであり、CD45の活性を介してシグナル強度を調節することによって、B細胞の機能を制御していることを明示するものである (論文投稿準備中)。本研究は、第八回 トランスポーター研究会年会 優秀発表賞 および 第86回日本生化学会大会 鈴木紘一メモリアル賞 の表彰を受けた。
著者
山崎 健一
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

地震波の伝搬と同時に電磁場の変動が観測されることがある。この研究では、震源からある程度離れた場所での現象に焦点を絞って、既知の物性理論から予測される地震時電磁場変動を計算し、それを観測事実と比べることにより、仮定した既知の理論だけで観測事実を説明しうるのかを明らかにすることを試みた。その結果、既知の理論だけでは説明できない変動が含まれていることが確認された。このことは、地震動を電磁場変動に変換する未知のメカニズムがまだ存在することを示唆している。
著者
赤石 記子 長尾 慶子 岩田 力
出版者
東京家政大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

加熱条件及び発酵条件の異なる小麦粉製品の抗原量に及ぼす影響について研究を行った。普通小麦粉及びスペルト小麦粉を用いてヨーグルト発酵液及び麹発酵液を添加した各種ソースを作成し、それらの抗原量を、発酵液を添加しない基準ソースの抗原量と比較した結果、いずれのホワイトソースに比べてもブラウンソースの抗原量が少なく、発酵液添加ホワイトソースでは基準ホワイトソースよりも多く低アレルゲン化の可能性が期待された。
著者
岡本 美子
出版者
茨城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

惑星系形成の場としての星周円盤の性質を、円盤ダストの空間分布の観点から明らかにするため、8mすばる望遠鏡の中間赤外線観測装置COMICS等を用いた星周円盤ダストの観測を進めた。この結果、いくつかの著しく広がった円盤を発見し、特に大きな広がりを持つ天体の性質を詳しく調べた。10太陽質量星周の円盤1個については、その10-1000AUスケールの構造・フレア構造・温度分布・ダストの性質などを解明した。この円盤は、太陽質量程度の星の周囲の円盤でも期待されるような熱的構造を示す一方で、存在するシリケイトダストの種類は、低質量星周とはかなり異なり、プラズマ等による変性の可能性が示唆される。
著者
石井 大祐
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、マンガ画像の作画支援を主目的とし、作者の意図するマンガのシーンに応じた画像の半自動構築、あるいは補助的な画像効果等を付与可能とする技術の検討を行っている。研究の初年度となる本年度は、マンガの画像的特徴と物語上の表現のメタデータ化に関して検討を行った。マンガの画像的特徴を抽出するためには、マンガ画像の解析技術が必須となる。近年では、キャラクターをパーツ毎に別レイヤとして登録することで、当該キャラクターのアニメーション化が可能となる技術が実現されている。ただし、パーツをあらかじめ別画像として用意することが必須である点、キャラクターの生成については各種パラメータを数値として適切に設定する必要がある点に課題がある。より柔軟な作画支援を実施するためには、描かれたキャラクターから構成要素の分解を可能とする画像解析技術が重要となる。本年度は、画像解析に関するサーベイを実施した。本研究成果は、HCGシンポジウムオーガナイズドセッションI「コミック工学」にてオーガナイズドセッション賞を受賞した。マンガの表現の一つとして、シーンがある。我々は画像特徴を用いた表現情報の取得という観点から、マンガ画像上に配置されている構成要素の情報からシーンの分断点となるコマの検出を試みた。本研究を遂行するにあたり、正解情報の定義が必須となることから、マンガ作者に正解情報の供与を受けた。今回の検討では、手動で構成要素情報をメタデータ化し、これを用いてシーンの転換となるコマに存在する構成要素の重要性について解析を行った。我々はこれまでにマンガ関連研究を遂行するにあたり、メタデータ付与等の作業を実施しやすくするためのソフトウェアを開発してきた。マンガ関連研究の活発化のため、本ソフトウェアについてアップデートを実施し、本研究成果の一部並びに実験用マンガ画像提供用として構築したウェブサイト上にて公開した。
著者
石原 宏
出版者
佛教大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本年度は、昨年度までに、いわゆる"健常な"大学生(非臨床群)を対象として行った箱庭制作調査と制作者による体験の語りをデータとして行った質的分析をベースデータとして、研究代表者がこれまでに臨床心理士として関与した臨床事例におけるクライエント(臨床群)の体験の比較分析を行った。その結果、非臨床群の制作体験には出現していなかった臨床群に特有と考えられる体験のあり方が浮き彫りとなり、またそこで見られた特徴的な体験のあり方が、そのクライエントが、臨床の場を訪れざるを得なかった心理的課題と密接に関連しており、クライエントを見立てる有効な手がかりとなり得ることを示すことができた。また、こうした比較分析を通して、制作者の体験からみた「治療的要因」について検討したところ、箱庭の用具そのものやセッティングそのものに治療的要因があるというよりも、そうしたセッティングがあたかも治療的要因を持つかのように体験することを可能とする制作者自身の心の機能にこそ「治療的要因」の本質があるのではないかと考えられた。こうした点については、臨床心理学のみならず、進化心理学の観点からみた「感覚」に関する議論(Humphrey,N.,2006)や、神経心理学の観点からみた「触覚」と「視覚」の曖昧さに関する議論(Armel,K.C.&Ramachandran,V.S.,2003)、またイメージを「仮想的身体運動」として捉える視点(月本ら,2003)などとも矛盾なく馴染むのではないかと考えられた。
著者
寺井 晃
出版者
京都産業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究において研究代表者は,期待インフレ率についての理論・実証分析を行った.まず,候補者の選好が選挙制度でどのような結果をもたらすのか,モンテカルロシミュレーションを行った.小選挙区制度では経験則として知られる「3乗法則」よりも議席数は偏り,比例代表制度は概ね有権者の選好を反映する議席数となる結果を得た.次いで,期待インフレ率の回答者の分布が「混合分布」から生じているのではないかと考え,当てはめを行った.こうして得た期待インフレ率の系列は,合理性の検定の結果,一定程度の優位性が認められた.
著者
亀井 敬史
出版者
公益財団法人応用科学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

持続可能なエネルギーシステムの成立性を、サプライチェーン・マネージメントの手法を応用した評価法で検証する方法論を確立し、原子力や再生可能エネルギー、電気自動車などのエネルギーシステムに適用した。この結果、持続可能なエネルギーシステムに関わる物質(材料としてのレアアース、廃棄物としてのトリウムおよび使用済み核燃料、燃料としてのトリウム)の物量収支分析から、システムの最適化が可能であることが示された。