著者
Wang Hsien-Chi Lee Shu-Hwae Chang Tien-Jye WONG Min-Liang
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.855-859, 2004-07-25
参考文献数
9
被引用文献数
9

牛海綿状脳症(狂牛病)のような遅発性神経病は,動物による汚染飼料の摂取によって伝達されることがある.したがって,市販飼料中の肉成分を検査することは,こうした疾病をコントロールする上で公衆衛生上重要なことである.そこで,PCR-RFLP法を用いて,犬用飼料と猫用飼料の肉成分の検査を行った.動物ミトコンドリア・チトクロームb(cytb, CYT)遺伝子のヌクレオチド配列(359塩基対)をPCRで増幅してから,制限酵素AluIまたはMboIで切断する方法により,台湾で市販されている犬用飼料と猫用飼料各8銘柄について検査を行った.その結果,犬用飼料については全銘柄が,犬以外の3種類以上の動物種(牛,豚,山羊,鶏)由来の肉を含むこと,猫用飼料については5銘柄が鶏肉を含むことが認められた.
著者
松田 敬一 大塚 浩通 一條 俊浩 川村 清市
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.75-77, 2006-01-25
参考文献数
23
被引用文献数
3

バナナ給与が子牛の免疫細胞に及ぼす影響を調査した.バナナ(2g/kg BW)を5日間経口給与して0, 5, 10および15日目に白血球表面抗原の解析を行った.5日目において給与群のCD^<3+>, CD^<3+>CD45R^-およびCD^<3+>TcR^+細胞数は対照群に比較して有意に増加した(P<0.05).以上のように, 子牛へのバナナ給与はTリンパ球を増加させることから, 感染防御能を高める可能性が考えられた.
著者
佐藤 宏 鈴木 和男 宇仁 茂彦 神谷 晴夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.1203-1206, 2005-12-25
参考文献数
28
被引用文献数
4 10

2003年5月から2005年4月の2年間に, 和歌山県を主体とした関西3府県で駆除された野生化アライグマ555頭について腸管寄生虫を調べた.そのうち61頭から, 鳥類を固有終宿主とする7種の鉤頭虫が検出された.これらは, Centrorhynchus bazaleticus, Centrorhynchus elongatus, Centrorhynchus teres, Sphaerirostris lanceoides, Plagiorhynchus ogatai, Porrorchis oti, Southwelina hispidaの幼鉤頭虫と同定され, これまで日本あるいは極東からは未確認であった3種, すなわちC. bazaleticus, C. teres, S. lanceoidesが含まれていた.幼鉤頭虫のアライグマからの検出は, 春先から初夏にかけて高く(月別検出率8.3-36.8%, 平均21.5%), その他の季節では低かった(同様に0-20.0%, 平均6.3%).このように, 季節によって鉤頭虫検出率が変動する要因は不明である.国内に分布する野鳥の鉤頭虫相やその地理的分布についてはほとんど情報がなく, また, 検査材料調達にも限界があることから, 国内各地で通年的に駆除されるアライグマからの鉤頭虫検出情報に大きな手がかりを期待したい.
著者
鈴木 樹里 三輪 宣勝 熊崎 清則 阿部 政光 釜中 慶朗 松林 伸子 後藤 俊二 松林 清明
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.361-366, 2001-04
参考文献数
17
被引用文献数
1 5

飼育下においてニホンザルの身体成長がどのようにまたどこの部位が変化するのかを明らかにするために,放飼場とケージという異なる飼育様式で1歳齢から7歳齢までの,雄77例,雌92例を対象に身体の各部36項目の生体計測を行った.ケージ飼育個体の計測値は多くの項目で放飼場飼育個体の値より小さかった.雌雄ともに初期発達期に成長率が大きい項目で育成空間の大きさの影響を受けやすいことが明らかになった.多くの項目は性成熟期の成長によって初期成長の遅れを回復するが,移動運動に関連する前腕最少周囲径,手長,下腿最少周囲径および足長では発達初期の影響を大きく受け,ケージ飼育個体の成長の遅延したままであった.雌の方が雄よりも飼育スペースの大きさの影響を受けやすいことも明らかになった.これらのことからニホンザルの持っている本来の成長を保証するためには,面積が広く且つ垂直方向に自由に運動できる飼育環境が必要であることが示唆された.
著者
坂口 翔一 岡田 雅也 庄嶋 貴之 馬場 健司 宮沢 孝幸
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.785-790, 2008-08-25
参考文献数
19
被引用文献数
2 32

すべてのネコはRD114ウイルスという感染性の内在性レトロウイルスをもっている。ネコの細胞を製造に用いた弱毒生ワクチンには、RD114ウイルスが迷入する可能性がある。ネコ用ワクチンにおけるRD114ウイルスの迷入を調べるために、今回我々はLacZ遺伝子をマーカーとしたマーカーレスキューアッセイを開発した。調べた4種類のヒト由来株化細胞(TE671細胞、HeLa細胞、293T細胞、HT1080細胞)のうち、TE671細胞(ヒト横紋筋肉腫由来細胞)がRD114ウイルスにもっとも感受性が高く、また同細胞においてウイルスが効率よく増殖した。RD114ウイルスの感染は、ウイルス吸着時にpolybreneを2μg/mlから8μg/ml添加することにより約5倍増大した。最大のウイルス力価を得るためのウイルス吸着時間は4時間で十分であった。LacZ遺伝子を導入したTE671細胞に階段希釈したRD114ウイルスを接種したところ、限界希釈したサンプル(すなわち10感染ユニット未満)において、ウイルス接種後12日後にLacZマーカーレスキューアッセイによりウイルスの検出ができた。今回得られた結果をもとに、感染性のRD114ウイルスを検出するLacZマーカーレスキューアッセイの標準法を提唱する。
著者
近藤 千雅 牧田 登之
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
The Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.743-748, 1996
被引用文献数
2

雄Wistarラットにペルオキシゾーム増加剤であるbezafibrateを混餌投与し, 肝臓における微細構造変化を電子顕微鏡を用いて経時的に観察した. 体重100g当たりの肝重量, ペルオキシゾームの数および面積の計測の結果, 肝重量およびペルオキシゾームの面積は投与14日(それぞれコントロール群の2.2倍, 10.6倍)において, またペルオキシゾームの数は投与30日(コントロール群の6.8倍)において最大であった. これらの値は, 投与90日では最大時のそれぞれ62%, 52%, 67%と著しく減少していた. ミトコンドリアにおいては, 投与90日にクリステが小胞化しその中に線維状構造物を含んでいた. カタラーゼ染色による細胞化学的検索では, 投与7日において弱い活性を示すペルオキシゾームが多数観察された. 以上より, 肝肥大およびペルオキシゾームの数的増加はbezafibrate投与後短期間で誘発されるが, bezafibrateの投与中であってもピーク後それらは著しく減少することが判った. これはペルオキシゾーム増加剤の休薬時に観察される現象に類似していた. またbezafibrateはミトコンドリアにも形態的に変化を及ほすことも判った.
著者
山崎 義和 青野 逸志 大宅 辰夫 芝原 友幸 門田 耕一
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.149-153, 2002-02-25
参考文献数
18
被引用文献数
1

14歳齢で死亡した雌ピューマに胃・十二指腸腺癌と直腸腺腫が認められ, 胃ではヘリコバクター様細菌感染が, 直腸ではスピロヘータ感染を伴う慢性炎症がそれぞれ観察された.肉眼的には種々の大きさのポリープ状腫瘤が, 胃, 十二指腸, 直腸の粘膜面に散見された.組織学的には胃の腫瘍は腸型腺癌で, 腸間膜リンパ節, 脾臓および肺に転移を示した.十二指腸の癌細胞は粘膜内に留まり, 多くの腫瘍細胞が増殖細胞核抗原(PCNA)免疫染色に対し強陽性を示した.直腸の腺腫においてもPCNA陽性細胞は散見されたが, その数は癌組織に比べはるかに少なかった.以上の結果から, 今回認められた消化器腫瘍の発生と上記の細菌感染との間に何らかの因果関係があるものと推察した.
著者
HOJO Yuri TSUCHIYA Takuma SHIRAKI Ayako SUZUKI Kazuhiko SHIBUTANI Makoto MITSUMORI Kunitoshi
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
The Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.625-628, 2012
被引用文献数
4

A subcutaneous tumor in the left inguinal region was present in an 11-year-old female bloodhound. Histopathologically, the tumor showed invasive growth and extensive necroses, and it was composed of spindle-shaped, elongated, and stellate neoplastic cells accompanied by occasional giant cells arranged in fascicular, herringbone, or irregular storiform patterns with abundant production of collagen fibers. The cytoplasm of most tumor cells was positive for vimentin, alpha-smooth muscle actin, and calponin, but was negative for desmin, smoothelin, and S-100. Furthermore, most of the tumor cells were negative for Iba1 while some tumor cells were weakly positive. Thus, this tumor was diagnosed as a high-grade myofibroblastic sarcoma according to the diagnostic criteria for human myofibroblastic sarcomas.
著者
Sarierler Murat Cullu Emre Yurekli Yakup BIRINCIOGLU Serap
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.1137-1142, 2004-09-25
参考文献数
27
被引用文献数
21

18か月齢雌のドーベルマンピンシェル犬が1か月前からの右前肢跛行でAdnanMenderes大学獣医学部附属教育病院に上診した.各種検査所見から,症例は動脈瘤性骨嚢胞と診断され,外科的な嚢胞内膜の掻爬と骨セメント注入による治療の結果,12か月後に治癒した.本症例の結果は,周囲組織の損傷を伴っていても骨融解がない動脈瘤性骨嚢胞では外科的掻爬と骨セメントによる治療で良好な予後が得られる可能性を示した.
著者
古家後 雅典 中田 健 角田 修男 森好 政晴 澤向 豊
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.1121-1124, 2008-10-25
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

日本のサラブレッド種雄馬(n=16)の精子形態を繁殖シーズン中に調査した.奇形精子の頭部と尾部,細胞質小滴付着精子,種雄馬ごとに観察した全標本の内メデュサ細胞が認められた標本の割合は,それぞれ3.9±2.1%,11.5±5.9%,2.4±2.6%,20.1%であった.精子頭部の面積,長径,短径,縦横率の値は,それぞれ12.54±1.34μm^2,5.93±0.40μm,2.69±0.21μm,0.46±0.05であった.メデュサ細胞を除いたすべての観察項目で,種雄馬間に有意な差が認められた(P<0.05).
著者
古岡 秀文 長谷川 光 古林 与志安 松井 高峯
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.557-560, 1999-05-25
参考文献数
13
被引用文献数
1

北海道の十勝地方に繁養されていた14歳の雄のアラブ種を, 下位運動ニューロンの系統変性疾患である馬運動ニューロン病(EMND)と病理学的に診断した. 検索馬の脊髄腹角には, EMNDに特徴的な神経細胞の好酸性細胞質内封入体を伴う変性腫脹や軸索腫大が観察された. 末梢神経の検索では, ときに大食細胞の浸潤を伴う髄鞘崩壊からなるWallerian型の軸索変性が頻繁に観察された. また, 電子顕微鏡学的に神経細糸の蓄積からなる薄い髄鞘に被われた軸索腫大もしばしばみられた. 神経線維のときほぐし標本では, 髄球を伴う髄鞘崩壊, 分節性の脱髄や軸索腫大が観察された.
著者
芳賀 嘉久 荻野 祥樹 大橋 秀一 味戸 忠春 橋本 和典 沢田 拓士
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.115-120, 1997-02-25
参考文献数
24

Actinobacillus pleuropneumoniaeの溶血性菌体外毒素であるA. pleuropneumoniae RTX-toxin I(Apx I)およびApx IIの防御効果を豚で評価した. 供試したヘモリジンは, A. pleuropneumoniae血清型1, HA-337株の培養上清から, Apx IおよびApx IIの両方を認識する単クローン抗体をリガンドに用いたイムノアフィニティークロマトグラフィーにより精製した. 精製ヘモリジンにリン酸アルミニウムゲルアジュバントを混合したワクチンを4頭の豚に注射した. 対照群の4頭にはプラセボーを投与した. 溶血中和抗体は, ブースター注射後ワクチン接種群にのみ認められた. 同一菌株での噴霧攻撃後, 4頭の対照豚のうちの1頭が死亡した. 生残した3頭も重度の肺炎症状を呈し, 剖検時にはこれらの豚に広範囲に及ぶ肺病変が認められた. 対照的に, ワクチン接種群に死亡豚はなかった. 攻撃後, 2頭のワクチン接種豚に一過性の発熱だけが観察された. 剖検時に, 本群の2頭の肺にわずかな限局した病変が認められたが, 残りの2頭には肺病変はまったく認められなかった. これらの結果から, Apx IおよびApx IIから成るヘモリジンワクチンは, 血清型1に起因する豚胸膜肺炎に対して有効な防御活性を有することが示された.
著者
川畑 明紀子 桃井 康行 村山 井上 美穂 岩崎 利郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.1103-1107, 2005-11-25
参考文献数
35

イヌmdr1遺伝子における4塩基の欠失を日本で飼育されている8犬種, 193頭の犬で調べた.変異遺伝子はコリー, オーストラリアン・シェパード, シェットランドシープドッグで見つかり, 変異遺伝子頻度はそれぞれ58.3%, 33.3%, 1.2%だった.遺伝子型がMDR1/MDR1の犬の末梢血単核球ではMDR1蛋白は検出されたが, mdr1-1Δ/mdr1-1Δのコリーの末梢血単核球では検出されなかった.MDR1の基質であるローダミン123の排泄は遺伝子型がMDR1/MDR1のリンパ球では見られ, その排泄はMDR1阻害剤であるベラパミルによって阻害された.一方, 遺伝子型がmdr1-1Δ/mdr1-1Δのリンパ球ではローダミン123の排泄はわずかであった.これらの結果から, 変異mdr1遺伝子はコリー種の犬に高率に存在し, 遺伝子型がmdr1-1Δ/mdr1-1Δの犬は機能的なMDR1を持たないことが示唆された.
著者
フェルナンドトーレス ボジノ 佐藤 邦忠 岡 明男 菅野 幸夫 保地 真一 小栗 紀彦 ヨアヒム ブラウン
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.225-229, 1995-04-15
参考文献数
22

輓用種牡馬4頭について, 精液性状, 繁殖成績, 及び精液の保存性(液状保存と凍結保存)の関係を検討した. 精液性状については膠質除去後の精液量, 精子の濃度, 正常精子率, 及び精子運動性を調べ, また繁殖成績については過去3年間の累積の妊娠率とした. 精液の液状保存は5℃で行い, 0, 24, 48, 72時間目に精子の運動性を調べた. 精液の凍結保存には2種類の異なる希釈液(ブドウ糖-EDTA-ラクトース・卵黄希釈液, 脱脂粉乳-清澄卵黄希釈液)を用い, 凍結融解後の精子運動性と正常精子率を調べた. 精液性状の各値と繁殖成績は通常の変動範囲内にあったが, 膠質除去後の精液量, 正常精子率, 精子運動性, 及び繁殖成績に種牡馬間で有意差が認められた. しかしこれらのパラメーター間には相関性は認められなかった. 液状精液の保存性には種牡馬間で有意差が認められ, 保存前の精子運動性が最も高い個体で最も良好であった. また凍結精液では使用した希釈液にかかわらず融解後の精子運動性(13.8〜26.3%)と正常精子率(19.5〜38.0%)はともに低い値であった. 個々の種牡馬において精液の液状保存と凍結保存の結果には相関性が認められなかった. 以上の結果から, 精液の保存に対する適性を他のパラメーターから類推することは困難であると思われた. 輓用種牡馬精液の耐凍性を向上させるには,現在の凍結精液作製に関わる標準的手法に改良を加える余地が残されている.
著者
TAKANOSU Masamine HATTORI Yuki
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
The Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.82, no.12, pp.1769-1772, 2020
被引用文献数
5

<p>Two Scottish Fold mixed cats are described in this report. Case 1 is a mixed Scottish Fold and Munchkin cat. Extremities of this cat resembled the Munchkin cat, while the ear pinna were folded forward like the Scottish Fold cat. Case 2 is a mixed Scottish Fold and American Curl cat. The ear pinna were curled caudally like the American Curl. Severe exostosis in the hind leg was observed in radiographs taken around one year of age in both cats. Both cats were dominant homozygous for c.1024G>T of the <i>transient receptor potential vanilloid 4</i> gene, responsible for osteochondrodysplasia in the Scottish Fold cat. Cross breeding with Scottish Fold cats could produce unknown phenotypes, and should be avoided.</p>
著者
Munoz A Riber C Santisteban R RUBIO MD AGUERA EI CASTEJON FM
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.13-20, 1999-01-25
参考文献数
38
被引用文献数
27

8頭の競技馬(4頭 : アングロハンター, 4頭 : アングロアラビアン)を使用してクロスカントリー競技2種目(初級レベルと上級レベル)での心血液循環系と代謝系の反応を検討した. この研究では特に, 競技中の筋肉のエネルギー再生産に関与する主な代謝経路の解明に焦点を当てた. 競技を通して心拍数を計測し, また, 頚静脈から準備運動前, 競技直後, 5分後および10分後に採血した. 血液検査ではRBC, PCV, Hb, MCV, MCH, MCHC, WBC, LYMおよびGRANを調べた. また, 血漿中の乳酸と蛋白質量を測定し, 乳酸はその時間的消長を測定した. クロスカントリー競技はRBC, Hb, PCV, MCVと血漿蛋白質濃度の有意な上昇を起こした. 血漿乳酸濃度は4mmol/lの無酸素性作業閾値を越え, 最大13.3mmol/lに達した. 心拍数は140から200(回/分)以上で最大230を示し, これが運動中の筋肉の酸素供給の限界を示している. 以上の結果から, クロスカントリー競技中の筋肉エネルギーの再生産は酸化作用と乳酸形成を伴う解糖作用の両者によって供給されていることが判明した. すなわち, 競技馬にはスタミナと体力の養成が要求される.
著者
Borchers Kerstin Lieckfeldt Dietmar Ludwig Arne FUKUSHI Hideto ALLEN George FYUMAGWA Robert HOARE Richard
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.70, no.12, pp.1377-1381, 2008-12-25
被引用文献数
7

ウマヘルペスウイルス9型(EHV-9)はトムソンガゼルの脳炎から分離された.EHV-9の自然宿主は不明であるが,ガゼルの感染源はシマウマであると考えられている.この仮説を検証するために,我々はセレンゲティ生態系に棲息する43頭のバーチェルシマウマ(Equus burchelli)と21頭のトムソンガゼル(Gazella thomsoni)由来の血清中に,EHVに対する中和抗体が存在するかを調べた.7頭のシマウマがEHV-1,EHV-9とグレイビーシマウマ由来EHV-1 T965株およびT616株に対して中和抗体をもっていた.17頭のバーチェルシマウマと1頭のトムソンガゼルの三叉神経節において,EHV-9gB遺伝子ならびにEHV-1 ICP0遺伝子をNested polymerase chain reaction (PCR)により検出することを試みた.その結果1頭のシマウマの三叉神経節からEHV-9特異的配列が検出され,さらに塩基配列を決定することでPCRの結果を確認した.以上の結果から,バーチェルシマウマはEHV-9の感染を受け,同ウイルスは潜伏感染していると考えられた.
著者
江島 博康 野村 耕二 Bull Robert W.
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
The Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.623-626, 1994
被引用文献数
3

イヌ赤血球型のDシステムについて, 30品種3,191例を対象にその品種別出現頻度および遺伝子頻度を比較検討した. 日本で飼育されている犬のDシステムの頻度は品種により大きく異なることが明らかとなった. すなわち, D1型は在来種の方が欧米種に比較して高く, 欧米産の品種はD2型の頻度が高い傾向を示した. また, 日本において雑種と呼ばれる品種は, 在来種と欧米種との中間に位置する値を示した. これらの中で, 非常に興味深かった所見としては, アフガンハウンドのD1遺伝子頻度が在来種である柴犬と同じ0.3333を示した点, また, 在来種である土佐犬のD1遺伝子頻度は0.063と低く, 欧米産であるマルチーズの0.097よりも低い値であったことがあげられた.
著者
高木 昌美 高橋 敏雄 平山 紀夫 Istiyananingsi Mariana Siti Zarkasie Kamaluddin Sumadi 緒方 宗雄 太田 修一
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
The Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.637-642, 1991
被引用文献数
5

1987年から1988年にかけて, インドネシア共和国西部ジャワのワクチン未接種の在来鶏(12農場, 196羽)および採卵鶏(8農場, 197羽)を用いて, Haemophilus paragallinarumに対する赤血球凝集抑制抗体の測定を行うと共に, 野外病鶏からの本菌の分離を試み, これらの地域における鶏伝染性コリーザの調査を行った. 本菌に対する抗体は, 地域に関係なく, 在来鶏および産卵鶏から検出された. 供試した農場の70%(14/20), 供試鶏の19%(73/393)に抗体が検出された. A型抗体は, 計11農場(55%)で検出され, 11%(45/393羽)の鶏が陽性を示した. C型抗体は, 計5農場(25%)で検出され, 8%(30/393羽)の鶏が陽性を示した. また, コリーザ様症状を呈する鶏からA型菌2株, C型菌1株の計3株が分離された. これらの成績から, インドネシア国西部ジャワでの, 両血清型による本病の発生が明らかとなった.
著者
増田 晃 助川 剛 水本 直恵 谷 浩行 宮本 忠 笹井 知美 馬場 栄一郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.1177-1182, 2000-11-25
被引用文献数
4 31

イヌの外耳炎ではMalassezia pachydermatisが優勢な起炎菌として検出されるが, この真菌の持つ宿主特異性や部位特異性を解明する一助とするため以下の調査と実験を行った.1370頭の来院犬中にみられた120頭の外耳炎症例を対象に, 外耳炎の発生率, 耳翼の形状, 犬種との関係について疫学的調査を行った.垂耳犬種では672頭中85例(12.6%)が, 立耳犬種では698頭中35例(5.0%)が外耳炎であり, 両犬種間には有意差がみられた(P<0.05).脂肪酸定量のための耳垢材料が採取できた95例の耳垢サンプルについて, 培養によりM.pachydermatisを確認した後, 主な脂肪酸をガスクロマトグラフィーにより定量した.M.Pachydermatisの検出率は垂耳犬種で55.2%, 立耳犬種で53.6%と差がなかったが, 総脂肪酸量の平均値は垂耳犬種の方が立耳犬種よりも高く, 立耳犬種でありながら極端に高い脂肪酸値を示したシベリアンハスキーの値を棄却すると両耳型群の間には有意な差(P<0.05)がみられた.42株のM.pachydermatis分離株について脂肪酸の発育増強効果を調べたところ, 大多数の菌株が脂肪酸を利用しながら速く発育することが分かった.以上の結果から、犬種により差はあるものの脂質が多量に分泌されるイヌの耳道内では脂肪酸を好むM.pachydermatisがよく発育し, これはM.pachydermatisがイヌ外耳炎の優勢起炎菌になる理由の一つであると考えられる.