著者
竹原 一明 大城 哲也 松田 絵理子 西尾 喬子 山田 隆弘 吉村 政雄
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.1093-1095, 1995-12-15
被引用文献数
13

ガチョウパルボウイルス(GPV)IH株を用いて, 不活化ワクチンを作製した. 免疫応答はウイルス中和試験で, 免疫効果はワクチン接種群から孵化したヒナを汚染農場に導入して調べた. その結果, ワクチンの筋肉内注射により, バリケンに高い中和抗体価が誘導された. 移行抗体保有ヒナはGPV感染に対し生存率が高く, 防御効果と考えられた. また, 高い移行抗体価保有ヒナに対しても, ワクチン注射により中和抗体を誘導できた.
著者
Munoz A. Santisteban R. Rubio M. D. Vivo R. Aguera E. I. Escribano B. M. Castejon F. M.
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.747-752, 1997-09-25
被引用文献数
2 11

8頭のアンダルシア馬 (3〜4年齢) の適性が分析された. 動物は砂質の走路で種々の2段階からなる運動テストに供した. 第1段階は4スピード (4.17, 5.56, 6.96, 8.33m/sec) を段階的に増加させ, 各々の速さで, 1,000mの距離を最大下強度で走行させた. 動物は, 4スピードの間毎に2分休ませた. 第2段階は最大相の終了2分後, 1,000mを最大スピード走行させた. 心拍数, 血漿乳酸濃度, 速度, 血液のPCV, とpHのデータを得た. 最大心拍数, 最大速度, 乳酸濃度, 乳酸のピーク値, 最小pHと最大PCVは機能的指標として評価された. 馬を分別することを可能にする重要な要素はこれらの適性値と馬を管理するトレーナの情報と関連させることである. 馬を分別するために変動する最高の弁別手段は最小pH, 乳酸濃度, 最大心拍数, と最大速度であった. 最大PCVとの関連において, 8頭の馬に差は認められなかった. 運動耐性テストにおけるこれらの機能的指標の各々の影響が議論された.
著者
大塚 浩通 渡辺 知香 小比類巻 正幸 安藤 貴朗 渡辺 大作 増井 真知子 林 智人 安部 良 小岩 政照 佐藤 繁 川村 清市
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.1161-1166, 2006-11-25
被引用文献数
7 35

周産期における乳牛の栄養状態と細胞性免疫機能の関係を明らかにする目的で,異なる2つの飼養内容にあった2群の乳牛の免疫状態を観察した.免疫解析としては末梢白血球ポピュレーションおよびreal-time RT-PCRによる末梢血単核球のIFN-γ, TNF-α, IL-4およびIL-10のmRNAを計測した.乾乳期の飼料内容は1群(N=6)では非繊維性炭水化物が不足しており,II群(N=6)では充足していた.I群の血糖値はII群にくらべ分娩前12週から分娩後16週にかけて有意な低値を示した.1群の総コレステロール値はII群に比べ分娩後2週から10週まで有意な低値を示した.I群のCD3^+T細胞およびCD4^+T細胞数はII群に比べ分娩後6週および14週に有意な低値を示した.またI群のCD21^+B細胞はII群に比べ分娩前の16過と12週および分娩後の2過と10週で有意に低かった.一方,I群におけるCD4^+/CD8^+比は分娩後2週から14週までII群に比べ有意な低値が見られた.分娩後6週ではI群のIFNγ/IL-4mRNA比がII群に比べ明らかな低値を示した.周産期において低栄養にある乳牛では分娩後に細胞性免疫の低下のあることが明らかとなった.
著者
石川 明子 松井 基純 釣賀 一二三 坂元 秀行 高橋 芳幸 金川 弘司
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.965-968, 1998-08-25
被引用文献数
4

性成熟に達した10頭の飼育下の雄エゾヒグマを不動化した後, 電気刺激射精法により, 延べ21回の精液採取試験を行った.運動精子を含む射出精液は, 21回のうち14回から得られ, 採取された精液の量およびpHは, 平均2.7mlおよび7.4であった.また, 精子の濃度, 運動性, 生存率および奇形率は, それぞれ平均471.6×10^6個/ml, 80.2%, 89.7%および21.8%であった.
著者
高木 久 福田 俊 飯田 治三 佐藤 淳 佐藤 れえ子 内藤 善久
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.311-316, 1996-04-25
被引用文献数
4

ビタミンAD_3E(V-AD_3E)の合剤, ビタミンA(V-A)あるいはビタミンD_3(V-D_3)の単剤を哺乳期の子牛へ生後7日齢から10日間大量経口投与し, 牛ハイエナ病の発症試験を実施したところ, V-AD_3E剤(日量V-A 300万I.U., V-D_3 30万I.U., V-E1, 200I.U.)を投与したV-AD_3E群(2頭中2頭), その半量を投与したHalf V-AD_3E群(2頭中1頭), およびV-A 300万I.U.を投与したV-A群(2頭中1頭)の計4頭に発症が認められたが, V-D_3 30万I.U.を投与したV-D_3群では観察されなかった. 発症子牛では, V-Aの過剰を示す血中のエステル型のV-A(レチニルパルミテート)が高値を示し, 長骨の成長軟骨板は狭窄や構造の変性などを示した. V-AD_3E群はV-A群と比較して, 発症年齢が早く, 体重増加率の低下および後肢だけでなく前肢の成長不全も重度であった. 以上, 牛ハイエナ病は, 子牛の成長軟骨板に対する過剰なV-Aの作用により発症し, さらにV-D_3によって発症が促進されるものと推測された.
著者
和田 あづみ 柿添(石田) 裕香 加藤 秀樹 六車 香里 江袋 美知 奥本 正昭 都築 政起
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.427-434, 2000-04-25
被引用文献数
3

我々は, 1992年5月に大阪府堺市で捕獲した野生マウス(Mus musculus molossinus)を起源とする近交系の育成を試み, 1998年4月に新たな近交系MSKR系統として確立した.本研究では, この系統の形態学的, 繁殖学的, および遺伝学的基礎特性を明らかにした.MSKRマウスは60日齢時点で, 一般的な近交系マウスC57BL / 6Nの約60%の体重を示すと共に, C57BL / 6Nより小さい尾長 / 頭胴長比および後足長 / 頭胴長比, C57BL / 6Nより大きい耳介長 / 頭胴長比を示した.本系統は, 近親交配20-22世代において, 初産日齢63.20±2.71日, 初産子数6.20±0.37匹という, 優れた繁殖能力を示した.また, 遺伝学的基礎特性調査として, 34マイクロサテライトマーカータイプ, 29生化学的識遺伝子型, 9免疫遺伝学的標識遺伝子型, 3毛色遺伝子型, ならびに8種の制限酵素によるミトコンドリア制限酵素切断長多型を調査した結果, 本系統が従来の系統と異なるユニークなゲノム組成をもつことが明らかになった.
著者
高木 哲 北村 剛規 保坂 善真 大崎 智弘 ボスナコフスキー ダルコ 廉澤 剛 奥村 正裕 藤永 徹
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.385-391, 2005-04-25
被引用文献数
1 11

RECKは近年発見された膜結合型内因性マトリクスメタロプロテイナーゼインヒビターであり, ヒトの臨床例においてその発現量と腫瘍の悪性度に負の相関が認められることが報告されている.本研究では犬のRECK遺伝子のクローニングを行った.その結果, cDNAは2,913塩基で, ヒトと95.5%, マウスと91.9%の相同性を示す971残基のアミノ酸から構成されることがわかった.様々な正常組織でのmRNAの発現量をリアルタイムPCR法にて定量した結果, 肺と精巣で高い発現が認められたが, 腫瘍細胞では極めて低い発現のみ認められた.免疫染色では精子, 平滑筋, 偽重層上皮などに強い染色性が認められ, 発現ペクターを用いた実験では腫瘍の浸潤能が抑制されていた.
著者
中島 千絵 SILVA VAZ Jr. Itabajara da 今村 彩貴 今内 覚 大橋 和彦 小沼 操
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.1127-1131, 2005-11-25
参考文献数
24
被引用文献数
2 26

吸血中のフタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)より唾液腺を採取してcDNAライブラリーを作成し, ランダムに選んだ発現タンパク遺伝子の配列をblastx (NCBI)等のプログラムを用いて解析した.得られた633配列はその相同性によって, 同一あるいはごく近縁の遺伝子由来と思われる213配列に集約された.全633配列のうち, blastxを用いた相同性検索により発現タンパクの機能予測がなされたものは全体の36%であり, 残りの64%は未知の遺伝子であった.機能が予測されたタンパクの大半は細胞の生存に必要なハウスキーピングタンパクであったが, 血液凝固阻害因子類似の蛋白を含めたプロテアーゼインヒビターやメタロプロテアーゼ, 他のダニで分離されている免疫抑制物質に類似したタンパク遺伝子等も同定された.これらのタンパクはダニの吸血に際し何らかの重要な役割を演じている可能性があり, 新たな抗ダニワクチン抗原の候補となりうると考えられる.
著者
清水 一政 尾関 美愛 田中 克典 伊東 佳代 中條 真二郎 浦川 紀元 厚地 幹人
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.753-757, 1997-09-25
参考文献数
17
被引用文献数
3 27

東南アジア地域に自生するガガイモ科植物のギムネマ・シルベスタ (Gimnema sylvestre) は古くから糖尿病, リウマチあるいは痛風などの疾病に効果があると伝承されている. しかし, 甘味抑制と苦味を有し問題がある. 本研究は甘味抑制と苦味を示さないギムネマ・イノドラム (Gimnema inodorun) (GI) 葉を用い, モルモット腸管平滑筋の高濃度K^+収縮に対する実験, モルモット回腸の酸素消費量の測定, モルモット回腸の糖輸送電位測定およびラットの糖負荷による血糖値測定試験を行い, GI葉成分の糖利用との関連について検討した. GI葉の抽出・精製物は高速液体クロマトグラフィーで4分画 (F-I〜F-IV) し, これらの各分画成分を用いて実験を行った. その結果, GI葉中には腸管平滑筋の収縮, 酸素消費量の増加, 糖輸送電位の増加あるいは血糖上昇をそれぞれ抑制する効果があることが示された. 従ってこれらの成績より, GIの薬理作用は, 腸管におけるブドウ糖吸収を抑制することにより血糖上昇を抑制している可能性が示唆される.
著者
吉川 泰永 森松 正美 落合 和彦 永野 昌志 山根 義久 冨澤 伸行 佐々木 伸雄 橋爪 一善
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.1013-1017, 2005-10-25
参考文献数
32
被引用文献数
13

乳腺腫瘍はヒトの女性および雌イヌでもっとも発症頻度の高い腫瘍である.BRCA2遺伝子は, DNAの修復に関与する巨大タンパク質をコードしており, ヒトではBRCA2が変異すると腫瘍罹患リスクが上昇する.BRCA2タンパク質はガン抑制タンパク質であり, これがヘテロ接合性の消失(LOH)によって不活化すると乳腺腫瘍が発症すると考えられている.本研究では, イヌBRCA2のLOH解析に適当な多型マーカを確立するために, 腫瘍に罹患したイヌ30例と罹患していないイヌ21例についてエキソン27領域のゲノム配列を解析した.これまでにイヌBRCA2遺伝子座で報告されていた多型は10204ins/delAAAだけだったが, この他に新たに4種類の単一ヌクレオチド多型(SNP)を発見した.これらのあわせて5つの多型を解析した結果, 4つのアリル型が存在することが判明した.今回解析した多型の中で10204ins/delAAAの出現頻度がもっとも高かったため, PCR法を応用してこの多型を判別する方法を確立した.この方法は, イヌのBRCA2においてLOHと腫瘍発症との関係を解析するうえで有用と考えられる.
著者
大宅 辰夫 丸橋 敏広 伊藤 博哉
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.1151-1155, 2000-11-25
参考文献数
23
被引用文献数
3 58

大腸菌O157は, 牛が主たる保菌動物であり, 糞便中に排菌されることが知られている.我々は, 大腸菌O157保菌牛の排菌阻止を目的とした生菌製剤を開発し, 実験感染牛への経口投与による予備的な排菌阻止試験を試みた.生菌製剤の試作には, 成牛糞便から分離した乳酸産生菌であるStreptococcus bovis LCB6株及びLactobacillus gallinarum LCB12株を用いた.4ヶ月齢のホルスタイン牛8頭に大腸菌O157を実験感染させ, 感染7日後に排菌を継続した4頭の保菌牛に生菌製剤を経口投与し, 大腸菌O157排除効果を調べた.生菌製剤の投与により, 糞便への大腸菌O157の排菌は完全に阻止され, 再排菌も認められなかった.実験期間中の糞便中VFA濃度を定量したところ, 排菌阻止は, 生菌剤投与をきっかけとした糞便中VFA, 特に酢酸濃度の急激な上昇と相関していた.また, 実験感染の過程で感染しなかった4頭の糞便中VFA濃度は, 感染した4頭に比べ, 有意に高く, 牛での大腸菌O157保菌には糞便中VFA濃度が一要因として関係していると考えられた.今回の成績は, 特定の条件下の牛を用いた予備的試験において得られたものではあるが, 生菌製剤の応用による大腸菌O157保菌牛の排菌阻止の可能性が示唆された.
著者
斉藤 久美子 田川 雅代 長谷川 篤彦
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.797-799, 2003-07-25
被引用文献数
2 11

人の梅毒検査用RPRテストが兎梅毒の診断にも有用であることが報告されていることから,日本の伴侶兎について兎梅毒の血清学的調査を行った。2001年4月から2002年3月の1年間に来院した兎で,梅毒の症状も発症歴もなく,交尾歴のない単独飼育の伴侶兎100頭に対してRPRテストを行ったところ,35例が陽性,65例が陰性であった。伴侶兎における本症予防のためにはRPRテストを行って繁殖兎を選別する必要性があるものと思われた。
著者
渡来 仁 杉本 千尋 尾上 貞雄 小沼 操 保田 立二
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.17-22, 1995-02-15
被引用文献数
3

Theileria sergenti のレセプターとして, ウシ赤血球膜ガングリオシドが機能しうるか否かを調べるために, ウシ赤血球膜由来のガングリオシドならびにウシ赤血球膜のガングリオシドと同じ糖鎖構造を持つガングリオシドをリポソームに組み込み, 原虫によるリポソーム凝集反応を行った. 原虫は, N-アセチルノイラミン酸(NeuAc)を持ったI型ガングリオシドを組み込んだリポソームを弱く, またN-グリコリルノイラミン酸(NeuGc)を持ったI型ガングリオシドを組み込んだリポソームを強く凝集したが, GM3(NeuAc), GM3(NeuGc), sialosylparagloboside(SPG) (NeuAc), SPG(NeuGc), i型ガングリオシド(NeuAc)ならびにi型ガングリオシド(NeuGc)を組み込んだリポソームは凝集しなかった. このことは, ウシ赤血球膜のI型ガングリオシド(NeuAcおよびNeuGc)が, T. sergenti のレセプターとして機能していることを示唆するとともに, I型ガングリオシド(NeuAc)に比べてI型ガングリオシド(NeuGc)のほうが, ウシ赤血球膜において, T. sergenti のレセプターとして強い活性を持っていることを示唆している. さらに, T. sergenti 感染前後の赤血球を用いて, ウシ赤血球膜のガングリオシド組成の変化を分析したところ, T. sergenti 感染後において, I型ガングリオシド(NeuAc)の量が僅かに(p < 0.05), またI型ガングリオシド(NeuGc)の量が顕著(p < 0.01)に減少した. しかしながら, 他のガングリオシドにおいては, T. sergenti の感染に伴う変化が認められなかった. この現象は, T. sergenti 感染後の赤血球においては必ず認められ, T. sergenti感染に伴う特徴的なガングリオシドの組成の変化であることが示された.
著者
Kim Junghyun Chung Han-Kook Jung Taewon CHO Wan-Seob CHOI Changsun CHAE Chanhee
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.57-62, 2002-01-25
被引用文献数
6 70

1999年1月から2001年12月までの間に発生した離乳後全身性消耗症候群について, 疫学, 組織病変および混合感染の有無についてレトロスペクティブに調べた.離乳後全身性消耗症候群の診断は臨床所見(体重遅延), 特徴的な組織病変(肉芽腫性炎と封入体形成)と病変中のサーコウイルス-2(PCV-2)の存在によってなされた.これらの所見に基づいて1, 243例中の133例(8.1%)が離乳後全身性消耗症候群と診断された.年齢は25日齢から120日齢の間に分布していたが, 大多数は60日齢から80日齢(78例, 58.6%)に集中していた.発生は年間を通してみられたが, 5月(38例, 28.6%), 4月(18例, 13.5%), 6月(13例, 9.8%)の順に多かった.特徴的, 普遍的病変は, リンパ節, 肝臓および脾臓における多発性の類上皮細胞と多核巨細胞からなる肉芽腫性病変であった.また大多数の例(113例, 85, 0%)で混合感染がみられた.PCV-2とヘモフィルス・パラスイス(43例, 32.3%)ついで豚生殖器・呼吸器症候群(39例, 29.3%)との混合感染が多かった.病変部には他のウイルスや細菌に比べPCV-2の存在が圧倒的に多かったことから, 離乳後全身性消耗症候群の病因としてPCV-2が強く示唆された.
著者
小澤 真 大橋 和彦 小沼 操
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.1237-1241, 2005-12-25

ニューカッスル病(ND)はニューカッスル病ウイルス(NDV)により引き起こされる鶏の最も重要な感染症のひとつあり, 生および不活化ワクチンにより制御されている.しかしNDVは多種類の野鳥など, ワクチンされていない鳥に感染し, これらの感染がNDの発生・伝播に重要な役割を果たしているので, 野外での新たなNDの制御法が必要である.ファージディスプレイ法は目的の標的分子に結合するペプチドの検索方法として有用であり, バイオパンニング法によりNDV結合性ペプチド3種類(EVSHPKVG, WVTTSNQW, およびSGGSNRSP)を同定した.ファージ上のこれらのペプチドのNDV結合特異性は抗NDV鶏血清を用いた競合ELISA法により確認された.またこれらのアミノ酸配列をもとに作製した合成ペプチドはin vitroにおいて部分的にNDVを中和した.今回同定したペプチドモチーフは, 免疫系に依存することなくNDV感染を阻止する新規分子の同定へと発展する可能性を有している.
著者
村田 浩一
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.785-790, 2002-09-25
被引用文献数
1

1988年から2001年までの13年間に国内で捕獲された701羽の野鳥について血液内寄生虫の保有状況を調査した.供試した野鳥は一部を除いて傷病が原因で神戸市内およびその周辺で保護され,動物園に治療のために持ち込まれた個体であった.総検査羽数の10.6%にあたる74羽に血液内寄生虫の感染が認められ,その内,住血原虫の寄生する個体はPlasmodium spp.が12羽,Haemoproteus spp.が36羽およびLeucocytozoon spp.が32羽であった.ミクロフィラリアがイカル(Coccothraustes personatus)およびツグミ(Turdusnaumanni)の各1羽から検出された.Haemoproteus sp.とLeucocytozoon sp.の混合感染が4種6個体,ミクロフィラリアとLeucocytozoon sp.の混合感染が2種2個体にそれぞれ観察された.住血原虫の感染が比較的多く認められた鳥種は,コノハズク(Otus scops):4羽中3羽,ホンドフクロウ(Strix uralensis):14羽中10羽,ハシブトガラス(Corvusmacrorhynchos):26羽中17羽,ウミネコ(Larus crassirostris):7羽中4羽,アオバズク(Ninox scutulata):9羽中5羽,ハシボソガラス(Corvus corone):39羽中18羽,ゴイサギ(Nycticorax nicticorax):29羽中7羽であった.
著者
村田 浩一 仁位 亮介 由井 沙織 佐々木 絵美 石川 智史 佐藤 雪太 松井 晋 堀江 明香 赤谷 加奈 高木 昌興 澤邊 京子 津田 良夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.501-503, 2008-05-25
被引用文献数
2

南大東島に生息する野鳥4科4種183個体の血液原虫感染状況を調査した.そのうち3種109羽(59.6%)に血液原虫感染を認めた.ダイトウコノハズク30個体の末梢血液中に原虫を認めなかった.Haemoproteus sp.およびPlasmodium sp.感染がダイトウメジロ14羽(45.2%)に認められた.モズおよびスズメにPlasmodium spp.感染が認められ,感染個体比率はそれぞれ92.2%(94/102)と5%(1/20)であった.
著者
小松 武志 山本 欣郎 坪田 敏男 阿閉 泰郎 鈴木 義孝
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.329-335, 1996-04-25
被引用文献数
7

野生個体1頭と飼育個体3頭から採取した精巣組織材料を用いて, ニホンツキノワグマ(Selenarctos thibetanus japonicus)における精子形成サイクルについて, 光学顕微鏡および電子顕微鏡による観察を行った. 光顕による観察から, 精子細胞の核およびアクロソームの形態学的変化に基づいて, 精子細胞を11ステップに分類した. さらに, この精子細胞の形態学的変化, 減数分裂像および精子細胞の管腔への遊離時期を指標にして, 精上皮サイクルを8ステージに区分した. 一つの精細管横断面は, 大抵単一のステージによって占められていた. ステップ1-2の精子細胞は, よく発達したゴルジ装置を持ち, ステップ3-5では核膜表面を被うアクロソームに沿って, 三日月状に観察された. ステップ6の精子細胞は先端を基底膜方向に向け, 精子細胞の細胞膜とアクロソーム外膜とが接着した. ステップ9においては, アクロソームがセルトリ細胞の細胞質ヘ突出している像が観察され, ステップ11になると, 精子細胞の細胞質のほとんどがセルトリ細胞に取り込まれ, 精子細胞そのものは精子として管腔へ遊離した.
著者
San Gabriel Maria Concepcion S. 遠矢 幸伸 杉村 崇明 清水 孜 石黒 信良 望月 雅美
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.97-101, 1997-02-25
被引用文献数
1 11

日本で分離されたイヌカリシウイルス(CaCV)No.48株をMDCK細胞で大量培養し, 塩化セシウム平衡密度勾配超遠心により精製した. 精製ウイルスをSDS-PAGE解析したところ, 約60キロダルトンの1種類の主要ウイルス蛋白のみの存在がクマシー染色により示された. カプシド蛋白と考えられる同一のバンドはマウス高度免疫血清を用いたウェスタンブロッテイングにより検出され, 本カプシド蛋白はMDCK細胞において感染後少なくとも2時間で合成されていた. 実験感染犬における抗CaCv抗体の産生がマイクロ中和試験とウェスタンブロッテイングにより示された. 同様に, 血清調査においても中和抗体の存在が示されるとともに, 精製ウイルスのカプシド蛋白に野外血清が反応することが明らかとなった. これらの結果はCaCV No.48株のカプシド蛋白が免疫原性を有し, 本蛋白に対する抗体をウェスタンブロッテイングにより検出しうることを示している.
著者
荒木 誠一 鈴木 護 藤本 昌俊
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.1055-1056, 1992-10-15
被引用文献数
9

鶏卵白由来の卵白粗製物(AEWP)に経口投与で生体防御能を増強する作用を見出した. マウスにAEWP500mg/kg〜2g/kgを大腸菌感染1日前に予防的に投与することにより, 用量依存的な感染防御効果が認められた. また, AEWP12mg/kg〜1.5g/kgを黄色ブドウ球菌感染直後から14日間毎日治療的に連投することにより, 用量依存的な延命効果および生存率の上昇が認められた. 食品由来のAEWPは, 経口投与によって感染抵抗性を増強した.