著者
山ノ内 崇志 赤坂 宗光 角野 康郎 高村 典子
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.135-146, 2016 (Released:2017-07-17)
参考文献数
44
被引用文献数
2

全国の湖沼の水生植物の種多様性を保全することを目的とし、得点化と相補性に基づき優先的に保全すべき湖沼を評価した。文献より植物相の情報が得られた全国361湖沼のうち、近年(2001年以降)の情報が得られた最大74湖沼について解析した。得点化による手法として、現存種数、希少性、残存性の3指標により順位付けを行った。評価の結果、いずれの指標でも類似した湖沼が上位に入る傾向があり、3指標それぞれで20位以内(以下、上位)となった全26湖沼のうち、14湖沼が全ての指標で上位に入った。このことは、一般的に現存種数が多い湖沼は絶滅危惧種が多く、残存性も良好な傾向があることを示すと考えられた。相補性解析では、近年の情報が得られた85種を最低1湖沼で保全する保全目標で評価した。1000回の試行の全てにおいて、20湖沼の選択をもって保全目標を達成し、得点化による指標で抽出された湖沼に加えて、種数は少ないが汽水性や北方系など特徴的な希少種が分布する湖沼が選択された。このことから、現在得られている情報に基づく限りにおいて、相補性解析だけでも現実的な湖沼数の選択が可能と考えられた。保全すべき湖沼の解析対象は近年の情報が得られた湖沼に限ったため、これを補う目的で過去(2000年以前)の情報のみが得られた湖沼を再調査の候補地として評価した。過去の種数および希少性を指標として湖沼を順位付けするとともに、近年の記録が得られていない種(現状不明種)28種の分布記録がある湖沼を抽出した。これにより、過去の記録種数・希少性指標での上位20湖沼と現状不明種指標で抽出された全湖沼として、計61湖沼が調査候補として抽出された。保全優先湖沼として抽出された湖沼は日本各地に分布しており、湖面積や最大水深に偏りは見られなかった。水生植物の保全を考える上では、大湖沼に限らず様々なタイプの湖沼に注目する必要がある。
著者
濱田 信夫 宮脇 博巳
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.49-60, 1998-04-25 (Released:2017-05-25)
参考文献数
80
被引用文献数
1

Far more studies on lichens as bioindicators of air pollution have been done in Europe and North America than in Japan. It is therefore necessary to grasp the background of European scicnce in this field in order to perform these difficult studies. Such studies shoud help to clarify the comprehensive influence of many air pollutants on lichens, and recent changes in the environmental situation. Remarkable studies carried out in Europe over the last 30 years, and recent reports, including those on acid rain, are reviewed. The authors discuss how to actually perform studies of lichens in Japan, based on their investigations in and around Osaka City.
著者
長池 卓男
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.35-54, 2002-04-30 (Released:2017-05-25)
参考文献数
265
被引用文献数
2

To examine ecologically sustainable forest management, studies of the effects of forest management on plant species diversity were reviewed. For ecologically sustainable forest management, the harvesting methods must mimic the natural disturbance regime of the corresponding forest type. Clear cutting affects plant species diversity more than partial cutting methods (e.g., shelterwood logging and selection logging), and since forest management eliminates coarse woody debris and snags from stands, this greatly influences any species that favor such a habitat. The distance between patches in a fragmented landscape is an important factor for seed dispersal and establishment in each patch. In addition to using the species diversity index, and indicator, umbrella, and keystone species to evaluate the effects of forest management on plant species diversity, plant functional types and stand structural variables have been proposed. Basic and applied research (e.g., population ecology, landscape ecology, and conservation ecology) is required to achieve ecologically sustainable forest management that conserves natural ecological processes.
著者
髙橋 文 田中 健太郎
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.183-190, 2019 (Released:2019-12-24)
参考文献数
69

生殖的隔離機構が生じる遺伝的メカニズムについては、Bateson-Dobzhansky-Mullerモデルで示されたように遺伝的要素間の不適合に起因することが古くから概念化されている。モデル生物であるキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)やその近縁種を用いた研究では、交尾後に生じる不適合性に関与する遺伝子が複数同定されている。また、外部生殖器形態の種間差のような量的形質についても原因となる遺伝領域に迫るツールを駆使することができる。このような不適合性の生起には、自然選択が関与している場合としていない場合があるが、交尾後の生殖的隔離に寄与する遺伝子が同定されたケースの多くで、アミノ酸の置換速度が速いなど、正の自然選択が関与した痕跡が見られる。特にショウジョウバエでは速い進化の原因として、ゲノム内コンフリクトから生じる強い正の自然選択の関与が多く報告されているが、環境適応による自然選択が不適合性の生起に関与するケースがもう少し見つかってもよいのではないか、またそれを明らかにするためにモデル生物を用いる利点や難点は何か、今後の展望について考察する。
著者
辻田 有紀 遊川 知久
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.121-127, 2008-05-30 (Released:2018-02-09)
参考文献数
29
被引用文献数
14

遺伝的多様性を確保しつつ野生植物の自生地復元を実施するためには、栄養繁殖ではなく、種子繁殖での個体増殖が望ましい。ところが、ラン科植物では、自生地に種子を播種し、個体を増殖することが困難である。ラン科の種子は、自然条件下での発芽に共生菌からの養分を必要とするため、生育に好適な共生菌のいる場所に播種しなければ発芽しない。しかし、自生地で共生菌が生育する場所を特定することは非常に難しい。共生菌が生育する場所を特定するためには、種子を入れた袋を地中に埋設し、定期的に回収することで発芽を観察する野外播種試験法が有用である。そこで本報では、絶滅が危惧されているマヤランとサガミラン(サガミランモドキ)を対象に、野外播種試験を行った。その結果、一部の試験区で多くの発芽が観察され、自生地における共生菌の分布を特定することができた。さらに、発芽に好適な深さや時期なども推定でき、野外播種試験法の有用性が示された。本手法は、ラン科植物の自生地内保全を行う上で実践的な技術となるばかりでなく、発芽の環境や種子休眠など、学術的な知見も得られる有用な手段として、幅広い応用が期待できる。
著者
安元 暁子
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.301-311, 2009 (Released:2017-04-20)
参考文献数
78
被引用文献数
2

植物では動物と異なり種分化の原動力として性選択や性的対立はほとんど注目されてこなかった。本稿では受粉前、受粉後受精前、受精後の過程の順に、動物との違いや植物における性選択や性的対立についてレビューし、生殖隔離の進化との関連について議論する。受粉前の花による生殖隔離は、性選択や性的対立ではなく、以前と異なるポリネーター分類群へ花が適応することにより生じやすいと考えられる。受粉後受精前の過程は性選択と性的対立が生じやすく、特に激しい性的対立のもとで、急速な生殖隔離の進化が起こりやすい可能性がある。受精後の過程は哺乳類などの胎生の動物や子育てをする動物と良く似ており、栄養供給をめぐる性的対立がゲノムインプリンティングなどの進化を通して生殖隔離の進化に関与したのかもしれない。
著者
拝師 智之 小泉 博 新井 朋徳 小泉 美香 狩野 広美
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.249-257, 2009 (Released:2017-04-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

0.2テスラ(T)小型MRI装置を用いて収穫果実におけるモモシンクイガ(Carposina sasakii Matsumura)幼虫の食入害を非破壊的に観測した。安定性が高い三次元スピンエコー法(分解能(470μm)3)によって食害孔、虫糞とともに成長した幼虫を検出することができた。本測定法では輪郭が明瞭な画像が得られたが、撮像時間は一果実につき82分を要し、果実に食入した幼虫の行動観測のためには撮像できる試料数の制限が問題となる。食害孔および蓄積された虫糞は、輪郭の鮮明度が若干劣るが、三次元グラディエントエコー法(分解能(860μm)3)によって27分で検出された。グラディエントエコー法による食害孔の拡大の追跡は、果実における幼虫の活動を追尾する指標となると同時に、試料の数に関する問題を解決できる。画素サイズに対して幼虫は小さいので、幼虫自体の検出には画素サイズが小さい画像を長時間かけて撮像することとともに、画像回転などの画像処理技術が必要であるが、0.2T小型MRIは果実における蛾の幼虫の生態学において、ユニークで新しい視点を切り拓く研究手法となると考えられる
著者
嶋津 信彦
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.99-110, 2011-05-30 (Released:2018-01-01)
参考文献数
16

2010年6月22日から10月18日に沖縄島300水系において、延べ流程340kmを踏査し、外来水生生物31分類群と在来魚41分類群の分布を記録した。生物の確認は、主に川を歩いて遡りながらの目視観察で行われた。結果、外来水生生物の分布は、島の南部に多く、北東部で少なかった。カワスズメ属、グッピーおよびコイは順に141、120および54水系で確認された。セルフィンプレコ属やジルティラピア、アカミミガメなどは、人口密度の高い南部に分布が集中していた。一方、ダニオ属やプラティ、コウタイなどは、観賞魚であるが人口密度の低い北部でのみ記録された。絶滅危惧種をはじめ在来魚の分布は、北部と中西部に多かった。ソードテールは、北部での分布拡大が著しい外来魚であり、絶滅危惧種への影響も危惧される。
著者
川道 美枝子
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.211-220, 1980
被引用文献数
2

The food habits of chipmunks were studied by feeding observations in an oak forest for six years. In 1711 sightings of feeding, 41 plants and 16 animals (mostly insects) were identified. Various portions of the plants (seeds, fruits, buds, leaves, flowers and sap) were utilized in different seasons. Acorns were consumed in as many as 21 percent of the total number of sightings. Crown foraging for cherry seeds and elm samaras was common in early summer, and in late summer the chipmunks frequented crop fields for wheat. The number of available food items decreased markedly in autumn, although many acorns were consumed and hoarded during this period. Scattered and nest hoards were actively made in autumn, but the former was not consumed during winter. The overwintered acorns in the scattered hoards and fresh vegetables were heavily utilized in spring. Significantly, the fluctuation of acorn production affected the reproduction of chipmunks in the following year. Thus, the active, scattered hoarding activities in autumn appear to have an important function in the spring life of chipmunks.
著者
森 章
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.283-291, 2009-11-30 (Released:2018-02-01)
参考文献数
44
被引用文献数
3

森林は陸域の生物相の約65%を支えており、森林における生物多様性の保全は、多くの分類群の保全につながる。しかし、人為の影響を欠いた森林はごく僅かで、多くの森林が人間の生活活動の場である。そのような森林においても、生態系の人為改悪を防ぎ、生物多様性の保全という機能を持たせることが、これからの持続可能な森林管理における主要課題である。本研究では、「自然生態系、生態プロセス、生物多様性の保全を主目的にしていない景観中のエリア」と定義される"マトリックス"において、如何に生物多様性に配慮するか、配慮できるか、その重要性を論じる。そこで、日本と同様に森林面積が高く、保護区率の低いスウェーデンでのマトリックスマネジメントの事例に着目した。スウェーデンでは、歴史的に長い間、人間活動が行われ、土地所有形態も零細かつ複雑になっている。国や地方自治体が大規模な自然保護区や国有林を一元的に所有・管理できる状況ではなく、国有林面積は僅か7%ほどで、民有林が国土の大半を占めている。しかし、スウェーデンでは、各土地所有者が生産性だけに焦点を当てた森林施業を行うわけではなく、生物多様性に配慮した新しい森林施業・管理を行っている。国立公園や自然保護区といった法的な保護対象となる森林の保全だけでなく、希少種の生育する潜在性の高い森林を数多くの私有地に指定し、伐採せずに保護している。また、伐採活動を行う施業林においても、伐採時に全ての樹木を伐採、搬出するのではなく、動植物相のための住み場所としての樹木や枯死木を残しておくといった、生態系の機能や生物多様性に対する配慮がなされている。つまり、スウェーデンでは、マトリックスの中に存在する、経済活動の対象となる森林において、如何にして生物多様性に配慮しながら管理、保全するのかを重要視している。このようなスウェーデンで実施されている新しい森林管理は、人為影響を受け続けた日本の森林生態系の保全、復元、そして管理に対しても、非常に重要な示唆を含んでいると考えられる。
著者
戸島 久和 小池 文人 酒井 暁子 藤原 一繪
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.133-141, 2004-12-25 (Released:2017-05-26)
参考文献数
34
被引用文献数
3

Communities and populations of forest plants in urban areas may be modified by human activities. The vegetation at 50 study sites in fragmented urban forests in Kamakura, Japan, was studied in 1988 and 1998. Changes in the plant community during a decade were analyzed by principal component analysis. In normal succession, vegetation usually shifts from deciduous forest to evergreen forest. However, the forest communities did not show such a shift to evergreen forest. Therefore, normal succession was not dominant in these fragmented urban forests. Some evergreen plants, pioneer trees, and forest-edge plants significantly increased in frequency during the ten-year period. No significant decrease of forest plants was observed. This change in species composition was related to the distance of the study site from the nearest road, residential area and forest edge, and to the number of zoochoric species. Invasion of zoochoric species from roads, residential areas and forest edges may have an important influence on community change. Such an edge effect on population levels should be considered in community conservation planning, in addition to the physiological edge effect caused by sunlight and wind. The effect of roads decreased with distance inside the forest.
著者
更科 美帆 吉田 剛司
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.15-26, 2015

本研究では、北海道において4種の国内外来カエルによる捕食被害の実態を明らかにすることを目的とし、近年カエル類の食性調査においても汎用性が期待される胃重要度指数割合を用い食性調査を実施した。その結果、アズマヒキガエル、ツチガエルは地表徘徊性生物、特にアリ類を大量に捕食しており、アズマヒキガエル、トウキョウダルマガエル、トノサマガエルはカエル類を捕食していることが明らかとなった。外来カエルの捕食による北海道独自の生態系ピラミッドへの影響や在来カエルとの競合または駆逐が懸念される。また3種の外来カエルが希少種を捕食していたことが判明した一方で、1種の外来カエルはセイヨウオオマルハナバチなどの他の外来種を捕食していることが判明した。北海道においてアズマヒキガエル、トノサマガエル、トウキョウダルマガエルの3種は分布拡大傾向にあるため、広範囲にわたる捕食影響が懸念される。特に近年、北海道では水稲が盛んであり、水田地域を生息域として利用するトウキョウダルマガエル、トノサマガエルの分布拡大は今後の地域の湿地生態系に大きな影響を与える可能性がある。
著者
藤井 伸二
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.127-131, 2019 (Released:2019-08-08)
参考文献数
18

生物の公開標本データの信頼性について、ヒルガオ科マメダオシを材料に検討した。その結果、公開データにおいては情報の正確性(同定の正しさ)は全国の標本の7割程度、情報の網羅性(既存標本のうちで公開されている件数)は近畿地方産標本の3割程度であった。一例のみだが、この結果に基づいて公開標本データの利用に際して留意すべきことへの意見を述べた。ユーザーはデータの信頼性や特性についてよく理解した上で利用することに加えて、ユーザー自身が誤情報修正のフィードバックに積極的に関わることが望まれる。
著者
江口 和洋 武石 全慈 永田 尚志 逸見 泰久
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
生態誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.107-113, 1992
参考文献数
17
被引用文献数
1

A research on the altitudinal distribution of forest birds was conducted on the Yakushima Island, south-western Japan, in winter, 1983. Three types of the assemblages of dominant bird species were recognized in respective plant formations from the coastal area to the mountain top : Hypsipetes amaurotis, Zosterops japonica and Parus varius in an evergreen broad-leaved forest (40-900 m) and in a Cryptomeria forest with evergreen broad-leaved trees (900-1200 m), Z. japonica, P. ater, Troglodytes troglodytes and P. varius in a Cryptomeria forest with deciduous trees (1200-1555 m), and Z. japonica, Turdus naumani and Emberiza cioides in a mosaic of a scrub of Pseudosasa and Cryptomeria forest (1555 m-1886 m). Overall, of the thirty-two species recorded, twenty-two were residents and ten were winter visitors. Of the seven dominant residents, three species shifted downward, one shifted upward, and three did not shift from their breeding sites. Winter visitors were characterized by many seed or fruit eaters, or ground-foraging insectivores and no canopy-foraging insectivores, which is in contrast to summer visitors. Winter visitors mainly invaded the Cryptomeria forest with deciduous trees or shrub in a forest edge, the habitats being liable to a great seasonal change.
著者
柴田 治 内川 公人 木下 哲雄 新井 澄
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.141-146, 1973
被引用文献数
4

Meteorological observations were made at the grassland of the Utsukushigahara Heights (ca. 2000 m above sea-level) situated in the subalpine zone. The air temperature at this Heights was about 7℃ lower than that at Matsumoto City (ca. 600 m above sea-level) through the season. During the winter period, the depth of snowdrift in the Heights varied topographically. The snow temperature in the upper zone, or down to a depth of 10 cm was consistently lower than the air temperature, but that in the zone lower than 10 cm in depth was higher than the air temperature. The snow temperature was affected by the variation of the air temperature with the lapse of time, and there was less variation and a rise in the snow temperature with the increase in the depth of the snow. The thinner frozen-layer of the soil was found with the increase in the depth of snowdrift, but the soil below the 150 cm deep snow was not frozen. When the soil was frozen under a thin snow cover, in the bare-ground, the frozen-soil consisted of three layers. That is, the upper layer was frozen hard, the lower one was frozen slightly, and the larger between them contained numerous ice-needles and crevices. In the grassland, however, there were two frozen layers without the development of the middle layer. In the light-snow region of the subalpine zone, the middle layer of the frozen-soil in the bare-ground seems to prevent the plant invasion.
著者
羽田 健三 市川 武彦
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
生態誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.93-100, 1967
被引用文献数
1

This report deals with nest building, copulation, egg-laying incubation, hatching, and chick-raising, based on the results of the outdoor observations for the purpose of studying the life history of the birds in the Zenkoji basin (altitude about 400m) in the northern part of Nagano Prefecture from 1963 to 1964. The main part of the observations was done in the Nagano district in the center of the basin, and most of the life history during the breeding season of the bird was described based upon the observation on one nest in 1964.