著者
三須 俊彦 高橋 正樹 合志 清一 蓼沼 眞 藤田 欣裕 八木 伸行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.8, pp.1681-1692, 2005-08-01
参考文献数
13
被引用文献数
12

実時間画像処理に基づくサッカー中継映像用のオフサイドライン可視化システムを開発した. 本システムは, 固定カメラ画像中の人物を抽出し, そのワールド座標を求める. 更に色情報に基づいてユニフォームを分類することでフォーメーション解析を行ってオフサイドライン位置を特定する. 中継用カメラのパン・ズーム操作をロータリエンコーダによって計測することで, ワールド座標を実写ハイビジョン映像上に変換し, パン・ズーム操作に連動したオフサイドラインを仮想表示することができる. 本論文では, システムのブロック構成を追いつつ画像処理手順について定式化を行う. また, 実際のJリーグ公式戦において実施したフィールド実験の結果を示す.
著者
青木 直史 棚橋 真 岸本 英一 桑野 晃希 安田 星季 岩越 睦郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.747, pp.67-70, 2005-03-18
参考文献数
8
被引用文献数
1

札幌の「YOSAKOIソーラン祭り」で用いられる鳴子を具体的なターゲットとして, 踊り手のパフォーマンスをアシストするIT楽器「サイバー鳴子」を開発した. サイバー鳴子には衝撃センサが組み込まれており, バチの動きに合わせてフルカラーLEDを発光させることで, 踊り手のパフォーマンスに同期したイルミネーションを演出できるようになっている. 本発表では, サイバー鳴子の開発過程について述べた後, YOSAKOIソーラン祭り2004におけるモニター試験について報告する.
著者
河野 憲之 柳井 啓司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.230, pp.59-64, 2013-10-03

多くの人々がTwitter を利用するようになり,大量に投稿されたツイートを通して人々の行動や考えを分析することが可能となった.ツイートには画像が付与されたものも多く,特に昼食時,夕食時には,食事の画像が大量にツイートされる.そこで,本稿では2011年5月から2013年8月の2年4ヶ月の間に収集した約10億件の画像付きツイートに対して,食事キーワード検索と高速食事画像認識エンジンを用いて,100種類の食事画像を抽出する実験を行った結果を報告する.実験では,食事画像ランキング,一部の食事カテゴリについてサンプリングによる抽出精度評価,また位置情報食事画像ツイートを用いた「ラーメン」と「カレー」に関する地域分布の分析を行った.またさらに,我々が構築した100種類の食事画像データセットを自動的に拡張するためのフレームワークについても述べる.100 類食事画像データを利用して構築した食事画像判定エンジンと,Amazon Mechanical Turk を利用したクラウドソーシングを用いて,キーワードを与えるのみで,自動的に新しい食事カテゴリのバウンディングBOX付きの画像データセットを構築する.実験では,手動で作成した既存の食事画像データセットのサブセットとの認識精度の比較を行う.
著者
山川 恵子 伊藤 憲治 湯本 真人 宇野 彰 狩野 章太郎 加我 君孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.658, pp.19-24, 2004-02-12
参考文献数
9

縦書き・横書きの表記形式の単語、シンボル、ラインを中心視野に提示し、視覚誘発脳磁場の比較を行った。全頭および左右側頭部の被験者全員分のRMS (Root Mean Square) を算出し、およそ5ms毎に縦・横×刺激の種類(2×3)の分散分析を行い、条件ごとの反応に有意差がみられるかを検討した。単語の処理においてのみ出現する反応として、(1)180-200ms、(2)250msあたり、(3)370msあたりをピークとする三つの成分(N180、RP、P300)が共通して確認された。どの成分においても単語刺激では縦書きの反応が横書きよりも一貫して強く、縦書き文字の処理は横書きに比べ何かしらの高度あるいは困難な過程が含まれることが示唆された。縦書き・横書き文字の脳内の認知処理における本質的な違いが示唆され、これまでの研究で議論されてきたような読みにおける縦書きの効率の悪さは、サッケードや眼球運動によってのみ起因するものではない可能性が示された。
著者
寺本 渉 松浦 雄斗 浅井 暢子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.112, pp.1-5, 2012-06-23

本研究では,社会的サイモン効果を指標として,バーチャル・リアリティ(VR)空間に提示される他者を身近に感じる程度を計測した。被験者は,別室にいる実験協力者とともに,ヘッドマウントディスプレイを通じて共通のVR空間を観察した。被験者の課題は,決められた色の球が画面の左手前または右奥に呈示された瞬間にできるだけ速く,反応キーを押すことであった。この課題中には画面右奥に他者(実験協力者)の頭部位置が反映されたアバターを表示した。実験では課題前にVR空間内で他者とコミュニケーションを取らせる条件と,コミュニケーションをさせない条件を設けた。その結果,他者の存在が十分に認識できたと考えられる,前者の条件でのみ,社会的サイモン効果が生じた。これは,VR空間内においてコミュニケーションを行うことを通じて,他者があたかも隣にいるように感じられていたことを示す。
著者
大崎 勝彦 Moore Charles
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム
巻号頁・発行日
vol.94, no.14, pp.35-42, 1994-04-21

コンピューターの発達の流れに於けるRISCプロセッサーの位置付けを行い、その中で、コンパイラー効率の向上に寄与する命令体系の確立が重要であるとの認識の下に、当社開発のRISC技術である"PowerPCテクノロジー"の解説を行い、重要な設計要件を考察している。また、VLSI化に当たっての今後の問題点を指摘する。そして、その応用として二つの流れ、即ち、"汎用化"と"固有化"がどのように図られていくかを述べる。最後に、MPUと文化的背景についても述べる。
著者
野中 亮助 佐藤 誠 小池 康晴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.1008-1019, 2004-04-01
参考文献数
17
被引用文献数
3

本論文では,Speed-Accuracy Trade-offの問題に関して,水平面内における2点間到達運動において,運動距離,運動精度を変化させ,そのときの運動軌道及び,筋の活性度を示す終電信号を計測した.また,比較実験として運動精度を要求しない課題を行った.その結果,Fitts's lawに準じた2点間到達運動において,運動の筋端点近傍で運動トルク生成のためには不必要な筋の活性が行われていることを示した.また,その筋の活性度は,要求された運動精度が高くなり,運動速度が遅くなっても,小さくはならないこと,更に,精度を要求されない同じ運動速度の運動に対して,精度を要求された精度の高い運動においては,その筋の活性度が大きくなることを示した.この結果は人がFitts's lawに準じた2点間到達運動を行っている際,腕の粘性や剛性といったインピーダンスを積極的に調節することによって,試行ごとに生ずる誤差を小さくするというメカニズムが存在していることを示す.
著者
水谷 浩明 結縁 祥治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.481, pp.43-48, 2012-03-06

本稿では,Ruby on Railsアプリケーションのソースコードをモデル規範形式仕様記述言語Alloyによる記述に変換して検証することで,不具合の効率的な検出を支援する手法を提案する.Alloyではスコープを指定することにより,短時間で限られた探索範囲を自動的に解析することが可能である.ソースコードをAlloyによる記述に変換するツールを作成し,Alloyを用いてRuby on Railsアプリケーションの開発を支援する.
著者
櫻庭 京子 丸山 和孝 峯松 信明 広瀬 啓吉 田山 二朗 今泉 敏 山内 俊雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.613, pp.1-5, 2007-03-19
参考文献数
7

著者らは男性から女性へ性別の移行を希望する性同一性障害者(Male-to-Female transgenderd/transsexual=MtF)に対して、声を女性化させるためのtranssexual voice therapy(TVT)を行っている。今回の発表では、MtFの発話音声の分類を試みたので、その分類結果について報告する。今回の分類では、その一試案として発話者MtFの性的指向、男性から女性へ性別を移行したいと考える理由、現在の生活の実態など、音声の音響的な側面のみでなく、発話者の生き様も考慮した。このような分類法は、MtFの生き方の多様性と声の関係を把握するのに有効と考えられ、この研究の本来の目的であるTVTの方法論の確立のためにも必要であると考える。
著者
長尾 真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報通信倫理
巻号頁・発行日
vol.95, no.261, pp.55-65, 1995-09-25

自然科学の発展は目覚しい。それは古典力学から量子論へといった質的転換をとげ、今日では科学技術という1つの概念さえ出来上がった感がある。こういった科学の発展を哲学的、歴史学的に考える学問として科学哲学がある。本稿はこれまでの科学哲学の考え方を批判し、新しい科学哲学的立場を明かにするとともに、科学は価値中立であるが工学はそうでないこと、工学は人間を中心として価値概念を伴った設計という立場から科学技術を駆使するものであって、工学の方が科学技術よりはるかに困難であるが崇高な倫理的課題を伴ったものであることを明かにする。
著者
海老原 一之 楜沢 順 岩澤 昭一郎 大谷 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学
巻号頁・発行日
vol.96, no.507, pp.61-67, 1997-02-03
被引用文献数
2

本報告では,誰もが歌舞伎役者に変身可能な「バーチャル歌舞伎システム」について述べる。本システムは,仮想空間に3次元歌舞伎役者モデルをコンピュータグラフィックにより作成し演技者の全身の動きと表情を実時間で非接触な形式で検出し、歌舞伎役者の動きとして再現するものであり、誰もが歌舞伎役者に変身が可能である。さらに,このシステムは3次元モデルを変更することにより、任意のキャラクタに変身することが可能であり、自分を任意に変身させてコミュニケーションを行えるだけでなく、インターラクティブな映画作成等に使用できる見通しを得た.
著者
黄瀬 浩一 大町 真一郎 内田 誠一 岩村 雅一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.742, pp.85-90, 2005-03-11
参考文献数
49
被引用文献数
16

デジタルカメラの小型化, 高解像度化, 一般化に伴い, これを入力手段として用いた文字認識・文書画像解析への期待が高まりつつある.本稿では, デジタルカメラを用いた文字認識・文書画像解析について現在の代表的な技術を俯瞰するとともに, バーコードなどの関連技術との比較によって, 文字認識, 文書画像解析の立場や将来への課題を浮き彫りにする.また, 将来に向けた試みの一つとして, 著者らが「バーコードリーダ並みに手軽で高精度な文字認識」を目指して行っている研究「複比を用いた文字への情報埋め込み」の一端についても紹介する.
著者
井上 勝文 黄瀬 浩一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.8, pp.1407-1416, 2010-08-01
被引用文献数
1

局所特徴量を表す特徴ベクトルを用いた特定物体認識において,メモリ使用量を削減することは,重要な課題の一つである.メモリ使用量を削減する一般的な手法として, "bag of features" モデルに基づくものがある.この手法では,クラスタリングにより複数の特徴ベクトルをある代表ベクトルにまとめることでメモリ使用量を削減している.しかし,得られる代表ベクトルの識別性が低下するため,高い認識率が得られないという問題がある.この問題を解決する一つの方法は,特徴ベクトルを代表ベクトルに置き換えずにそのまま保持して認識処理に用いることである.この際,異なるメモリ削減の方法が必須となる.本論文では,特徴ベクトルの照合に距離計算ではなく, Bloomier filterを用いることでメモリ使用量を削減する手法を提案する.55個の3次元特定物体を用いた実験より, "bag of features" モデルに基づく手法と比較し,同じ認識率を得るために必要なメモリ使用量を1/3に削減することができた.また,1万個の平面物体を用いた実験でも同様に,メモリ使用量を1/7に削減することができた.
著者
峯松 信明 西村 多寿子 櫻庭 京子 朝川 智 齋藤 大輔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.165, pp.37-42, 2007-07-19
被引用文献数
3

発達心理学では幼児の言語獲得を「音声模倣」という言葉で表現するが,通常,声(音)を模倣しようとする幼児はいない。一方,九官鳥の「音声模倣」では彼等は声(音)を模倣する。何故,幼児は声(音)を模倣しようとしないのか?音の音色は共鳴特性に支配されるため,音を模倣する場合,親が持つ声道と同様の形状を有する声道が必要となり,結局,親と同じ体格が要求される。よって,物理的に声模倣は不可能である。では,何故,模倣しようと努力しないのか。そもそも,物理的に異なる二つの音ストリーム(例えば,父・母の「おはよう」)を何故「同一である」と感覚するのだろうか?「聞こえた音を音韻(仮名)表象に変換し,音韻列としての同一性を認知する」との仮説も可能であるが,発達心理学はこれを否定する。何故なら,分節音及び音韻意識は「後天的に学習されるもの」だからである。本研究は,上記問いを数学及び物理の問題として捉え,「音色の相対音感」という新概念を提案することで解く。提案する枠組みは,一つの帰結として「孤立音を音韻として同定する能力は音声言語運用の必要条件ではない」という命題を主張するが,欧米圏に数多く存在する発達性ディスレクシアが該当する症状を呈している。
著者
沢田 洋平 江渡 浩一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.208, pp.27-32, 2008-09-09
被引用文献数
1

様々なWebページの構造情報を,不特定多数のユーザの集合知によって収集・利用する手法(SITEINFO方式)を提案する.これにより,多種多様なWeb上の膨大な情報を,外部のアプリケーションから柔軟に利用できるようになる.インターネット上の誰でも編集可能なデータベース(wedata)の構築・運用を行い,SITEINFOを利用するアプリケーション(Auto Pagerize)を開発し,1年7ヶ月で821件の構造情報を収集することができた.本論文では,SITEINFO方式の基本思想,システムの実装,運用によって得られた知見について述べる.
著者
岡崎 辰彦 寺田 努 塚本 昌彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.38, pp.93-98, 2011-05-06
参考文献数
4

現在,着ぐるみは様々なイベントで数多く利用されている.しかし,多くの着ぐるみは体の大きさや形が人間と異なっており,着ぐるみ装着者が自分の姿勢を認識することが難しい.また,着ぐるみ装着者の視界は制限されており,周囲の人々の存在を感知しづらく,人々とスムーズにコミュニケーションを行うことが難しい.そのため,着ぐるみ装着者がそのキャラクタらしく振る舞うためには高度な技術や十分な修練が必要となる.そこで本研究では,着ぐるみ装着者がそのキャラクタらしく振る舞うための支援を行う着ぐるみ装着者支援システムを提案する.評価実験の結果から,提案システムを用いることでスムーズなコミュニケーションが行えることを確認した.
著者
三輪 和久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:21882355)
巻号頁・発行日
vol.97, no.9, pp.782-787, 2014-09-01

現代社会は,あらゆる種類の自動化システムに支えられている.自動化システムに代表されるコンピュータによる作業支援は,作業遂行能力を向上させる一方で,過剰利便性の副作用が起こす課題を意識することも少なくはない.本稿では,過剰利便性の副作用としての課題遂行能力の退化を,人間機械系における過剰支援に伴う「認知的廃用性萎縮」と捉える.「廃用性萎縮」とは,長期にわたる身体動作支援において,特定の身体的機能を使わないことにより,筋肉等の機能が縮退する現象を指す.本稿で議論する過剰利便性の副作用の問題は,これらの萎縮が,身体的機能に限らず,認知的機能においても生じる可能性があることを意味する.本稿では,認知心理学や学習科学,教育心理学の領域で確立されてきた認知負荷理論と達成目標理論という二つの理論に基づき,認知的廃用性萎縮の背後にある人間の認知情報処理の諸特性を明らかにするとともに,その解決へ向かう土台を与える.