著者
岩本 健太郎 田中 聡久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.226, pp.77-82, 2009-10-08

撮像装置によって得た画像から,画像認識を用いて煙草の煙を検出する手法のための特徴量に関して検討する.本稿では,時系列画像のある予測対象画素を,周辺画素と予測係数との線形荷重和によってモデリングすることを提案する.このモデリングのための予測係数の更新において,予測係数のふるまいや2乗誤差のふるまいに,煙とその他の物体の間で違いがあることを示す.本稿では,この予測係数のふるまいや2乗平均誤差のふるまいを定量的に観測し,煙検出のための特徴量として用いることを提案する.また認識実験では,提案した複数の特徴量の中で最も認識率の高くなる組み合わせについて検討する.さらに,もっとも認識率の高くなる予測係数の更新パラメータについて検討する.
著者
阪田 史郎 青木 秀憲 間瀬 憲一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.89, no.6, pp.811-823, 2006-06-01
参考文献数
56
被引用文献数
54

インターネットや携帯電話網などの従来のネットワークにはない無線マルチホップの新しい形態で通信を行うアドホックネットワークは,ユビキタスシステムにおける重要なネットワークとして,特に1990年代末以降活発な研究がなされてきた.2003〜2004年にはユニキャストルーチングについて,IETF(Internet Engineering Task Force)のMANET(Mobile Ad hoc NETwork) WGにおいて三つのプロトコルがExperimental RFCになり,現在Standard TrackのRFCに向けた作業が進展している.また,大規模なテストベッドの構築が進展し,実用化への期待が高まっている.本論文では,アドホックネットワークについて,これまでの研究,標準化の動向を述べた後,MAC層でのアドホック(無線マルチホップ)ネットワークの実現技術として,2004年5月に検討が開始されたIEEE802.11sにおける無線LANメッシュネットワークに関する標準化状況,研究内容,アドホックネットワークの今後の進展を展望する.
著者
清水 孝治 戸田 瑛人 木下 宏揚 森住 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.331, pp.7-12, 2008-11-28

本論文では,地域SNS上で電子地域通貨を使うことを想定したうえで,既存方式に加えて新たに人間関係ダイアグラムを用いた評価指標を導入する。既存方式の尺度だけではユーザがどれだけ信頼できるかを計るに不十分だったが、この評価を導入することで,周りからの評価値を、より信頼性のあるものとして提示できるようになった。
著者
櫻庭 京子 峯松 信明 広瀬 啓吉 坂野 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.630, pp.25-29, 2005-01-20

男性から女性へ性別の移行を希望する性同一性障害者(Male to Female transgender/transsexual=MtF)に対する音声治療・訓練を筆頭著者が中心となって行なっている。今回, 本訓練の客観的及び主観的有効性を検証するために, 訓練前後の音声に対する第三者による評価実験を行なうと共に, 訓練効果に対する患者本人の満足度について調査した。さらに話声位のF0(基本周波数)の変化を調べた。その結果, 第三者の聴取実験において訓練前は全ての聴者から男性と判定されていた患者が, 二ヶ月の訓練後では, 聴者の約九割に女性と判定されるに至った。患者自身も凡そ声の変化の様子に満足しているとの結果が得られている。F0は成人男性の平均値から成人女性の平均値に移行した。
著者
武田 昌一 長谷川 優 津久井 勤 桐生 昭吾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.404, pp.141-146, 2015-01-15

競技かるた選手の間で「熟達した競技かるた選手は決まり字の前に来る音素の微妙な違いによって,次に何の字が来るか予測できる」と言われている.このことを,聴取実験と音響分析を組み合わせて,選手が出札を認識する時刻を精密に計測する手法を考案し用いることにより実証した.また,この認識結果を用いて,決まり字直前で出札を認識した音素部の音響的特徴を「た」で始まる首を例として,サウンドスペクトログラムとフォルマント周波数の分析により調べた.その結果,後続音素(子音や続く母音)のフォルマント周波数の特徴に従って,第2フォルマント周波数の時間に対する上昇,下降,不変,高域周波数の増大などの特徴の違いが見られることがわかった.
著者
揖斐 拓人 中川 匡弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.223, pp.119-124, 2013-09-24

咀嚼という行為には脳を活性化する働きがあるとされている.本研究では,ガムを咀嚼することがヒトの集中力にどのような効果があるのかについて実験,検討を行った.実験タスクとして,集中力が関係するであろう4つのタスクを行った.『集中』の評価には,脳波のフラクタル性を用いた感性解析を用い,また,独立成分分析によって測定した脳波に含まれる咀嚼による筋電の除去を試みた.結果として,咀嚼していない状態を基準とした場合,ガム咀嚼時には『集中』が約38%程度上昇することが示された.
著者
山内 寛行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.1, pp.29-34, 2005-04-07

本論文では、デジタル家電向けシステムLSI用の混載メモリを、実例に基づき分類し、それぞれの現状と将来展望を簡単に述べる。その後、システムLSIの構造改革に向けたシステム設計者のメモリハングリーの要求に応えるための現状の取組みとその将来展望をSRAMと混載DRAMに焦点を当てて述べる。
著者
礒川 悌次郎 西村 治彦 松井 伸之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.157, pp.1-6, 2011-07-18

本研究では,位相振幅状態を持つ多値ホップフィールドニューラルネットワークを提案する.このネットワークにおいては,入出力値,内部状態,ならびに結合荷重は可換クォータニオンと呼ばれる数により表現されている.可換クォータニオンは,1つの実数成分,3つの虚数成分を持つ超複素数の一つであり,積演算において可換の関係が成立している.またこの数は2つの複素数を等羃元とした表現を行うことが可能であり,これらの点が通常の四元数とは異なっている.本研究においては,可換クォータニオンの位相振幅表現を用いたネットワークと,等羃元を用いたネットワークの二種類のネットワークおよびエネルギー関数を提案し,それぞれのエネルギーが単調減少する条件を導出することによりネットワークの安定性を示す.
著者
松尾 龍平 北岡 明佳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.279, pp.21-23, 2010-11-06

「股のぞき」が視覚的特性に変容を与えるということは古くから観測されているが,あまり多くの検討はなされていない.本研究では空間知覚に股のぞきの影響をうける要素について探索を行う.注目する変数として形の恒常性と幾何学的錯視の錯視量を取り上げ検討した.実験1では,刺激図形を正立,股のぞきの2条件で図形を通常または反転して提示した.このとき特定角度において股のぞきによる主効果と股のぞきと図形反転の間に相互作用が確認された.実験2ではミュラー・リヤー錯視を正立,股のぞきの条件で提示し錯視量の変化を測定した.その結果,股のぞき条件では正立条件よりも有意に錯視量が増加した.
著者
伊藤 直樹 ヨハン ライフ 徳弘 一路 西口 磯春 高澤 嘉光
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.249, pp.1-6, 2002-07-19
参考文献数
14
被引用文献数
6

個人が所有する多数の楽曲データを自動的にジャンル分類することにより,楽曲データを管理可能なシステムはまだ存在しない.そこで,このようなシステムの開発のために,著者らが開発した楽曲からゆらぎ情報とスペクトル情報を抽出できるプログラムと多変量解析を用いてジャンル分類実験を行い,報告した.そして今回,これまでの成果を自動音楽ジャンル分類システムとしてまとめ,インストルメンタル,クラシック,ポップス,演歌の4ジャンル計443曲に対して正準判別分析を用いたジャンル分類実験を行い,73.8%の分類精度を得た.また,ここで求められた正準判別係数を用いて,分類が未知の楽曲20曲のジャンル分類実験を行い,75.0%の分類精度を得た.
著者
伊藤 則之 安永 守利
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edetion) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.12, pp.2004-2030, 2011-12-01

プロセッサの設計では,高い動作周波数を実現するために様々な設計手法が研究され,そして適用されている.このような高性能実現のためには,アーキテクチャ設計や論理設計だけでなく,半導体上で実現する回路設計や物理設計も重要となる.プロセッサの回路設計や物理設計では,高い動作周波数をできるだけ短い期間で実現するために,マニュアル設計と自動設計が選択的に適用される.この両者を組み合わせて適用するために,すべてが自動設計であるASIC設計とは異なり,設計手法に多様性が生まれる.本論文では,実際のプロセッサ設計に適用された設計手法をサーベイし,高性能化を実現するための回路設計及び物理設計の設計フローとCADシステムをまとめる.また,最後に,今後のプロセッサ設計における設計手法の展望について述べる.
著者
木島 竜吾 渡邊 純哉 近藤 大祐
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.77, pp.7-12, 2008-06-02
被引用文献数
2

A novel notion "retro-transmissive" material as an optical element for head mounted display is introduced and discussed. Using this, so called "false image projector" is proposed. This projector does not need any screen such as the retro-reflective screen that was generally used for head mounted projection system. The fundamental operating principle of the optics is discussed both in macro-view and micro-view. The simple early prototype is developped and the result of experiments indicated the optical system works as proposed operating principle.
著者
高梨 賢一 阿部 良一 山下 幸彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解
巻号頁・発行日
vol.97, no.596, pp.89-96, 1998-03-13
参考文献数
4
被引用文献数
1

画像認識を行いながら行動するロボットや自動車などの実験を実空間で行う場合、安全性やコストなどの問題によって実験内容に大きな制約を受ける。そこで、本論文では画像認識や行動決定のアルゴリズムの検証を仮想空間上で行うための4次元空間シミュレータを提案する。そして、そのために、4次元空間シミュレータに関する原理的な考察を行う。また、仮想空間と実空間との違いを把握するために、ステレオ画像認識実験を、実画像および3次元CGによって制作した仮想画像を使って行う。さらに、4次元空間シミュレータの可能性を探るために、3次元CGで制作した仮想空間上で自動車が自動走行するシミュレータの制作を行う。
著者
濱口 清治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, 1995-09-05

ペンティアムの4進SRT法に基づく除算回路での設計誤りは、ルックアップ・テーブルの内容に書き間違いがあるというものであった。こうした設計誤りを通常のシミュレーションで網羅的に調べることは、膨大な時間を要するため、非現実的である。これに対して、BryantはOBDDによる組合せ回路の等価性判定の手法を用いて、網羅的な検証を試みており、SPARCstation10上で主記憶112MByte、CPU時間10分で検証に成功したと報告している。また、Bryantの手法の場合、等価性判定の比較対象として、ピットレベルの論理式を記述する必要があって、これは必ずしも容易ではないが、Zhaoらは、二分モーメントグラフ(Binary Moment Diagram)と呼ばれる新しいデータ構造を用いて、レジスタに対する加算や不等号などを許した仕様記述を、ビットレベルに変換せず、直接扱う検証手法を考案・実装して、検証に成功している。これらの手法は、算術演算回路の検証技術として現在盛んに研究されている。本チュートリアルでは、その最新の研究動向を報告する予定である。
著者
伊藤 大雄 藤井 愼二 上原 秀幸 横山 光雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.194, pp.17-24, 1999-07-21
参考文献数
17
被引用文献数
4

詰め将棋の盤面をn×nにし、王将以外の駒を0(n)個の用意した、一般化詰め将棋問題の計算複雑さについて論じる。詰め将棋には見た目や詰め方などに面白みを出すため、駒の初期配置に工夫をしたり、正解の詰め手順に美しい趣向が隠されている様な、趣向詰めというものがある。本稿では、飛車と角を使用しない「小駒図式」、初期配置に成り駒が無い「成り駒無し」、王将が初期配置で居た場所に戻って詰む「還元玉」、王将が中央のマスで詰む「都詰め」の4つの趣向を同時に満たすものに限定しても一般化詰め将棋問題がNP困難であることを証明する。
著者
相馬 一友 池田 哲夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学
巻号頁・発行日
vol.97, no.105, pp.1-6, 1997-06-19
参考文献数
4

近年, 1GHz以上の周波数利用が盛んになり, 種々の応用が考えられている. 従来から用いられていた電子レンジはISMバンドである事とその近傍の周波数での応用がそれほど考えられていなかった事により, 基本周波数ならびにマグネトロンの不安定性によるその近傍の周波数, 高調波等の漏洩電磁波の存在にはそれほど厳密な注意が払われていなかった感じがある. しかし, PHSなどの通信システムが導入されるにつれ, 問題点も明らかにされつつある. そこで, 本報告では, 電子レンジとPHSが非常に近くで用いられた場合の影響を, モデムによるデータ伝送で評価しようとするものである. 距離30cm程度で動作させると, 回線が接続されない場合がある事を, 実験的に明らかにした.
著者
松本 悦宜 満永 拓邦 近藤 伸明 力宗 幸男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.375, pp.99-104, 2011-01-13

JavaScriptコードをWebサイトに埋め込むクロスサイトスクリプティング(Cross Site Scripting:XSS)と呼ばれる攻撃手法により,Webサイトが改ざんされ,閲覧者がマルウェアをダウンロードさせられる事件が増加している.また近年では,難読化されたJavaScriptをWebサイト内の入力フォームに送信する事で脆弱性をつく攻撃も発見されている.この論文ではウェブアプリケーションファイヤーウォール(Web Application Firewall:WAF)を構築し,Webサーバへのリクエスト内の難読化されたJavaScriptを自動的に判別する事で,攻撃の検出及び遮断を可能にした.