著者
平岡 眞寛 佐治 英郎 富樫 かおり 溝脇 尚志 松尾 幸憲 吉村 通央 中村 光宏 小久保 雅樹 澤田 晃 門前 一 板坂 聡
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

放射線治療の成績向上には、生物学的画像情報の治療計画への統合と腫瘍や正常臓器の動きへの対応が必要と考えられた。我々は、放射線治療計画における生物・機能画像情報の有用性の評価、腫瘍動体評価と生物・機能画像の4次元化法の確立、および動体追尾SIB-IMRT治療の実現に向けた基盤技術開発の3つの要素に分けて研究を行った。それぞれF-MISO-PETによる低酸素イメージングにおける最適な撮像タイミング、呼吸同期FDG-PETの有用性、4次元線量計算モジュールの開発などの研究成果を挙げた。今後これらの研究成果が放射線治療の高度化と成績向上につながるものと期待される。
著者
満久 崇麿
出版者
京都大学
雑誌
木材研究・資料 (ISSN:02857049)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.1-5, 1996-12-20
著者
牧野 俊郎
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2007

本研究は,熱工学の立場から人間の生活環境と地球の自然環境のほどよい共生を図ることをめざす萌芽的な研究である.人間の生活環境の改善はわれわれの当然の希望であり,とりわけ日本の蒸し暑い夏を快適に過ごすための努力はあってよい.ところが,その生活環境の快適さを実現するために空気調和機器(エアコン)をもってすれば,その使用電力分が地球大気に熱として放出され,さらにその電力生産にともなう熱が大気に放出されて,地球の温暖化を促進する.すなわち,エアコンに頼って快適さを追求しつづける限り,生活環境と地球環境との共生は難しい.本研究の要点は,(1)壁によるふく射冷却と(2)水蒸気を呼吸する壁である.電力よりは自然の自律制御機能に依存して人間の快適さを追及することである.本研究では,夏に涼しく冬に暖かい生活・暮らしの実現に貢献できる技術の開発のために,ふく射伝熱と水蒸気を呼吸する高熱伝導性の多孔質体に注目する.自律的な生活環境制御機能をもつ生活空間の壁をバイオマスの暖かさをもって実現することをめざす.このような人間生活と自然現象を見つめる熱工学研究の萌芽が育つことの社会的意義は大きいと考える.平成20年度は,まず,室温の表面の全半球放射率測定器の開発を行った.その結果,(壁システムを構成する)第一壁や人体・衣服の全半球放射率を正確かつ簡便に測定できるようになった.次いで,一定の温湿度に調整し準断熱・断物質の環境実験槽の密閉空間にその温湿度の壁システムを設置して,初期の定常状態を実現し,壁システムの水冷銅管に一定の温度の水を流して壁システムを始動し,次の定常状態に至るまでの非定常過程で,環境実験槽内の湿り空気の温度・湿度の変化・第一壁の表面温度・含水量の変化を測定した.その結果,本研究の要点の上記の(1)と(2)が構想どおり実現できることを実験的に示した.
著者
古松 崇志
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2008-01-23

新制・論文博士
著者
富永 茂樹
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2002-03-25

新制・論文博士 乙第10885号 論文博第435号
著者
小林 功
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
1997-03-24

本文データは平成22年度国立国会図書館の学位論文(博士)のデジタル化実施により作成された画像ファイルを基にpdf変換したものである
著者
久保田 正和 木下 彩栄 保利 美也子
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

在宅認知症患者とその家族を対象に、患者の認知症悪化予防と家族の介護負担軽減を目的に研究を行った。介入群には、スカイプ(テレビ電話)を通して主に看護師が相談に応じた。認知機能検査の結果は、介入群の得点に改善傾向が見られた。ADL機能評価は変化がみられず、記憶が少し改善されたとしても、それが身体の活動性に影響を与えるまでには至らなかったといえる。介護者の自記式アンケートでは「性格が明るくなった」「活動的になった」など患者同様に介入を良い印象として捉えていたようである。
著者
塩原 佳典
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本研究の課題は、近世近代移行期における「教育」の営みを、その社会的文脈である地域社会に位置づけて構造的に把握することである。この課題に応えるため本研究では、信濃国松本藩筑摩・安曇郡を対象地域とし、当該地域で指導的な立場にあった人びと(地域名望家層)の具体的な動向を追うことで、19世紀後半における地域社会の歴史的変遷を描き出す。以上の問題意識のもと23年度は、研究成果の公表と新たな史料収集・解読とを平行して行った。まず、近代学校の設立を地方レベルで担った人びとについて、幕末期における身分に多様性がみられることを指摘し、その意味を検討した。従来は、「地域指導者層」と一括りにされがちであった地域の学事担当者が、近世段階では大庄屋やその分家、また庄屋など身分的出自とそれにもとづく文化・政治・経済的力量を異にする存在であったことを解明した。そのうえで、「御一新」に伴い地域社会の支配体制や身分秩序が流動化するなか、新たに成立した明治政府の近代化政策を具体化させることは、その担い手にとっては自身の地位や名望の保持という意味を持っていたことを指摘した。第二に、明治初年代の筑摩県下で盛んに催された博覧会の歴史的意義を検討した。博覧会を取り上げることで、明治政府の近代化政策をそのまま模倣するだけでなく、地域の文脈に合わせてその意味を読み換える地域名望家たちの姿を描出することが狙いである。筑摩県下博覧会における展示の中心は、海外の文物や新機械というよりも、県下各地の「古器物」や村芝居であった。こうした特徴について従来は、「骨董博覧会」と位置づけられ、単に充分に「開化」されていない地方特有の特徴であるとされてきた。これに対し本研究では、明治初年の地方博覧会が、地域民衆の心をつかみつつ地域の「開化」を効果的に推進し、明治の「新時代」に対応した形で地域社会を運営していくひとつの手段であったことを指摘した。
著者
野田 公夫 足立 泰紀 足立 芳宏 伊藤 淳史 大田 伊久雄 岡田 知弘 坂根 嘉弘 白木沢 旭児
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

1930年代日本において、経済的価値を生み出す源として「資源」という言葉がクローズアップされたが、とくに戦争準備の過程に強く規定されたところに大きな特徴があった。農林業は持続性を犠牲にして戦争に総動員されるとともに、工業原料にめぐまれない日本では「あらゆる農産物の軍需資源化」という特異な事態をうんだ。これは、アメリカはもちろん、同じ敗戦国であるドイツとも異なる現象であり、当時の日本経済が巨大寡占企業を生み出しながら就業人口の半ばを農業が占める農業国家であるという奇形的構造をとっていたことの反映であると考えられる。
著者
中村 俊春 根立 研介 森 雅彦 河上 繁樹 安田 篤生 加須屋 誠 森 雅彦 河上 繁樹 安田 篤生 加須屋 誠 平川 佳世 深谷 訓子 皿井 舞 吉田 朋子 剱持 あずさ
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、近代的な展覧会制度が確立する18世紀以前のいわゆる前近代の日本・東洋および西洋で行われた「つかのまの展示」について、作品調査および関連史料の分析に基づき個別事例を精査するとともに、比較研究の視点を交えつつ、各々に関して同時代の宗教観、経済活動、政治的文脈、社会状況等に照らした詳細な考察を行った。その結果、今後、本領域において指標的な役割を果しうる包括的な成果を得た。
著者
池田 あいの
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2010-11-24

新制・課程博士
著者
藤田 正俊 松本 鉄也 宮本 昌一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

運動と同様の効果が得られる加速ベッドによる"受動運動"の慢性安定狭心症患者の運動耐容能,冠血流予備能,血管内皮機能に及ぼす影響を検討した。狭心症患者では,運動耐容能,安静時およびアデノシン負荷での心筋灌流の改善,左室リモデリングの抑制が認められた。冠血流予備能の改善が健常成人のみならず冠動脈疾患患者でも認められた。2 型糖尿病患者では,低下した血管内皮機能が改善し,血管内皮前駆細胞が増加することが判明した。加速ベッド治療は,心血管疾患に対する新しい治療法としての可能性が見出された。
著者
中村 夕衣
出版者
京都大学
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.133-144, 2008-12-01

In this paper, I explore the philosophy of Richard Rorty in terms of its criticism of universities and university education. His idea of a university education is developed especially in relation to what he calls "individuation," and this is based on his view of philosophy in a time of "post-philosophy," i.e., based on a conception of philosophy as edification. In this context, the importance attached to "conversation" can clearly be seen; it is engaging in conversation that helps students become critical. In light of this, Rorty's position has been used to support the idea of citizenship education or multicultural education. While such educational practices typically emphasize the importance of conversation, however, they typically do this without considering what it is to read texts within a university education. Rorty has also discussed the significance of reading texts in his 1996 essay, "The Inspirational Value of Great Works of Literature." Reading this paper in light of his criticism of both the cultural left and analytical philosophy makes it possible to better see the difficulties that confront universities in the post-philosophy period, the period with which Rorty is most concerned. Furthermore, this paper creates a way of addressing the question of what it means to read such texts during this period.
著者
間藤 徹
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

ホウ素はカルシウムとともにペクチン質多糖をラムノガラクツロナン(RG)-II領域で架橋することに機能している。RG-II領域でのペクチン質多糖の架橋はホウ素だけでは完成せずカルシウムによって補強されることが必要である。つまりペクチン質多糖の架橋にはホウ素とカルシウムがともに存在していることが必要であり,それぞれ片方だけでは機能しない。カルシウムはガラクツロン酸残基のウロン酸同士を配位結合で架橋するが,架橋するためにはメチルエステル化されて分泌されてくるウロン酸メチルエステルを加水分解する必要がある。この加水分解を触媒するのがペクチンメチルエステラーゼ(PME)である。本研究ではタバコ培養細胞,ニンジン根,エンドウ胚軸の本酵素活性を性質を検討した。いずれの材料でもほとんどの活性が細胞壁に会合して存在したが1M NaClによって可溶化された。ニンジン根の酵素は塩基性アイソザイムが少なく中性アイソザイムがほとんどであったが,タバコ培養細胞では塩基性アイソザイムが主であった。いずれのPMEも活性発現にCaが必須でKm値は約3mMであった。このCaはNaによって代替することができたがNaのKm値は約50mMと生理的な濃度ではなかった。CaはPMEの生成物であるウロン酸残基を架橋する元素であるとともにPMEの活性発現を通してペクチン質多糖の架橋に機能することが明らかになった。ホウ素はPMEの活性発現には関与していなかった。タバコ培養細胞細胞壁から抽出精製したPME塩基性アイソザイムのN末アミノ酸組成から本酵素のDNAクローニングをすすめている。