著者
荻原 廣
出版者
佛教大学
雑誌
京都語文 (ISSN:13424254)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-30, 2014-11-29

個人の語彙量(理解語彙、使用語彙)がどのくらいあるのかについての調査は、現在に至るまで決して多く行われてきたとは言えず、中でも使用語彙についての調査は、幼児対象の調査を除くと、ほとんど行われていない。そこで本稿では、過去の理解語彙、使用語彙の調査がどのように行われ、そこにどういった問題点があるのかを明らかにし、そのうえで、個人の理解語彙、使用語彙を調査するにはどうすればいいかについて述べ、最後に、現在、筆者が行っている理解語彙、使用語彙の調査について触れる。
著者
坂本 卓也
出版者
佛教大学
雑誌
鷹陵史学 (ISSN:0386331X)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.83-114, 2013-09-28
著者
原田 敬一 大谷 正
出版者
佛教大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

本年度は、防衛庁戦史部図書館・岡山県立図書館・福島県歴史資料館・富山県立図書館・富山公文書館所蔵の、公文書・編纂物・記録・新聞を調査・検索・複写・収集に努めた。その結果、第一に日清戦争での軍夫の動員数などが『明治廿七八年戦役統計』(防衛庁戦史図書館所蔵)で判明した。この史料によると、軍夫は兵站部だけでなく、師団に直接参加している。ただこれでも軍夫の被害数は不明で、収集した史料のうち兵庫県の『戦役記念金蘭簿・飾磨群』などは軍夫記述自体がない。ただ『福島県従軍者名誉簿』(福島県歴史資料館所蔵)は、軍夫の性行・送金などのほか氏名・略歴なども記録しており、他の地域にも同様の記録が存在する可能性を発見した。第二に、軍夫の募集・集合に県庁・群役所など地方庁の役人が積極的に関わったことが明らかになった。師団司令部の軍夫必要数の提起に従って、地方庁の役人が直ちに町村へ派遣され、雇用条件等について説明し、予定数の募集に従事した。応募した軍夫候補者は、軍医によって診断され、採否が決定される。みごと軍夫となったものは、大倉組などの民間雇用組織に所属して、戦地へ向かった。賃金は、師団司令部から民間雇用組織に支払われるという間接的雇用形態に終始した。そのため、戦後になって賃金・負傷などの手当をめぐり、いわゆる軍夫問題と言われるものが起きることになった。福島県では、全体の引率者として県の役人が休職して参加しており、戦後直ちに復職しているから、行政の一機能として参加したと思われる。軍夫は、民間人と行政官庁、軍隊が錯綜した複雑な問題であることが、今回の幾つかの地方に限定した調査でも明らかになった。これが普遍的な問題であることを証明するには、いっそう広い地域での調査が必要である。第三に、軍夫の戦場での実施がやや明らかになった。戦地派遣前には非武装が軍から指示されていたにも関わらず、多くの軍夫は武装しており、兵站を狙った攻撃によって戦闘にも加わり死傷者も出た。それだけでなく、第一線にいた軍夫は、軍夫の身分のまま、軍隊から砲兵隊や衛生隊などに再組織され、戦闘に加わった。これは、国際法を無視した重要な問題であった。これが戦史に記録されていないから、なぜ不問に付されたのかも今後の追求課題である。
著者
田中 みどり
出版者
佛教大学
雑誌
京都語文 (ISSN:13424254)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.223-251, 2011-11-26

古代のアサガホはカホガハナのうちの、朝に咲くことが特徴である花である。このアサガオには、現在の朝顔、桔梗、槿、昼顔、のあさがおなどの説がある。朝顔は十月十一月に咲くこともある。源氏物語のアサガホは、長月に咲いている例もあるが、つる性の植物で、現代と同じ朝顔と考えてよい。桔梗説について。源氏物語にも枕草子にもキキヤウとアサガホとが出てくるので、この時代には別の植物をさしていたことは明らかである。薬草としてのツルニンジンの根あるいは食用としての若芽をトトキと呼ぶが、古代のキキヤウは、そのトトキの一種でヲカトトキと呼ばれていたものであるだろう。槿説について。ムクゲは和漢朗詠集に「槿」の詩と「あさがほ」の歌とが並べられているが、これは命の短い花ということで並べられたもので、「槿」がアサガホであるのではない。萬葉集のアサガホは朝に咲く花であることが明らかであるので、桔梗、槿、昼顔、のあさがお説は否定される。夕まで咲いている例があるが、朝顔は、早朝つぼみを開いて夕刻まで咲き続けることも、ないわけではない。よって、萬葉集のアサガホも、現代の朝顔と同じ牽牛子である。すなわち、牽牛子は、奈良時代に将来されたものである。アサガホの諸説は、古辞書や和漢朗詠集を文証とするものであるが、古辞書には出典を記してないものが多く、その記述をそのまま信じることができないものもある。また、和漢朗詠集は同じ趣の漢詩と和歌とを並べているものであって、必ずしも同じ風物を集めたものでもないので、注意を要する。
著者
井上 未来
出版者
佛教大学
雑誌
佛大社会学 (ISSN:03859592)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.42-47, 2008-03-25
著者
村岡 潔
出版者
佛教大学
雑誌
社会福祉学部論集 (ISSN:13493922)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.137-146, 2013-03-01

本稿は,筆者の造語である「隠謀学」についての最初のイントロダクションです。隠謀学は,この世の日常茶飯事に満ち溢れている数々の隠謀(プロット)を解読するための一種の論理学であり,行動科学であり,文化的解剖学(アナトミー)です。また,性善説で生きている人に対する性悪説の世界観からのツッコミであり,人生において駆け引き上手になるための手引きでもあります。例えば,「金儲けの話」「死ぬまで保障される保険」「骨董屋の店先の掘り出し物」「水子供養のための金の仏像」「健康食品」などのうまい話は,すべて隠謀の可能性を秘めているからです。むろん,隠謀学は,日常生活に隠された罠を見抜くためにこそあれ,逆に隠謀力を増進するためのものでもありません。本文では,事例を踏まえながら,隠謀主義の特徴である「錯覚化」「モデル化」「権威的錯覚化」「偶然化」などの作用について解説し,最後に簡単に脱隠謀化の処方箋を提示しました。
著者
大明 敦
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 (ISSN:18833985)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.215-231, 2011-03-01

宮沢賢治の代表作の一つとされる『銀河鉄道の夜』の主要な登場人物であるカムパネルラについては、夭折した妹・トシや学生時代の親友・保阪嘉内などがモデルとして取り上げられてきた。本稿では、菅原千恵子・蒲生芳郎の両氏らによって提唱された保阪嘉内をモデルとする説への疑問について考察すると同時に、そこから『銀河鉄道の夜』の創作意図を考えてみようとするものである。『銀河鉄道の夜』は菅原氏がいうように「賢治が終生、嘉内に送り続けたラブコール」といった個人的な作品ではなく、ジョバンニのような境遇にある多くの読者に自らのメッセージを伝えるために書かれたものと考えられる。それは、『銀河鉄道の夜』が今なお多くの読者に親しまれている要因の一つなのではなかろうか。
著者
門田 誠一
出版者
佛教大学
雑誌
文学部論集 (ISSN:09189416)
巻号頁・発行日
vol.83, pp.31-48, 1999-03-01

豊臣秀吉が京都の周囲に築いた土塁である御士居については,これまで全体の平面的プランや位置など、いわば巨視的な検討が主体を占めてきた。これに対し,本稿では佛教大学8号館地点における御土居跡の土層断面の観察によって,御土居の立地を復元し,これにともなう土塁の構造要件を検討した。その結果,この地点では 御土居が高位段丘端部に位置すると考えられ,また,その立地から東アジアの城郭用語でいうところの夾築構造の士塁であったことが検証された。また,御土居の他の地点における土塁盛土の調査を勘案すると,版築工法ではなく,土手状の小盛土を利用したものと類推された。このような御土居の立地構造の微視的な分析から,とくに東北部分の御土居は段丘の比高差を活用して実際以上の偉容を示すという点で,すぐれて政治的な意味合いをもつことを指摘した。
著者
永和 良之助
出版者
佛教大学
雑誌
社会福祉学部論集 (ISSN:13493922)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.19-36, 2008-03-01

介護保険の実施により高齢者介護事業は激変したが,本稿は,措置の時代から高齢者介護をほぼ一手に担ってきた社会福祉法人経営が,この介護保険の実施によりどのように変化したのかを明らかにする目的の下に著したものである。研究方法としては,公文書公開制度を活用し,社会福祉法人が経営する高齢者介護事業の内部資料を入手・分析する方法を採った。資料分析の結果,高齢者介護事業を営む社会福祉法人の多くが,介護保険実施以降,事業収入を大きく伸ばし,高利益を得,事業拡大していることが明らかとなった。だが,それは,人件費抑制,利用者のサービス経費の抑制によるものであり,これまでの「労働集約型産業」である社会福祉事業の姿を大きく歪めるものである。のみならず,かかる法人経営の高齢者施設(特別養護老人ホーム)では,利用者の生活は一層貧しくなり,介護職員の労働環境も荒廃していることを具体的に論証した。無論,すべての社会福祉法人が営利主義的傾向を強めているわけでも,利用者の生活が貧しくなり,介護労働が荒廃しているわけでもなL、。むしろ,介護保険になり,営利主義的社会福祉法人と非営利社会福祉法人の二極分化は,一層顕著になった。介護保険で「経営の自由」を得た社会福祉法人は,「自由」を得たがゆえに自己の本当の姿を露わにせざるを得なかったからである。本稿では,「経営の自由」を得た社会福祉法人(経営者)がその「自由」をどのように行使したかも論述した。本稿は,介護保険制度それ自体を論じるものではないが,社会福祉法人の経営変化,利用者の生活変化,介護労働の変化を通して,介護保険制度の持つ問題点にも言及している。
著者
大利 恵子
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 (ISSN:18833985)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.53-68, 2014-03-01

九条家領土佐国「幡多郡」は、建長二年(一二五〇)に九条道家が残した惣処分状に唯一郡名で載せられた家領であり、これまで九条家とそこから分かれた一条家の一円領であったとされてきた。しかしながら、この家領の歴史的性格を明らかにするには、遠国土佐のさらに僻遠の地になぜ家領が形成されたのか、またその構造や領有等の基礎的な個々の問題についての議論が必要と考える。本稿は九条道家惣処分状の検討を主に、家領の性格が国衙領であるのか荘園であるのかが客観的に判断できないにも拘わらず、一門の間ではこの家領が鎌倉幕府からの支給地であり、個々の荘園ではなく「郡」として認識され続けたこと、その一方で家領「幡多郡」が郡域としての幡多郡と同一ではないことを確認した。「幡多郡」は幡多・高岡両郡に点在する荘園と国衙領の一部を抱え込んだ曖昧な領域であり、この家領に対する認識も漠然とした、多分に「観念的」なものであった可能性が指摘できよう。
著者
植田 章
出版者
佛教大学
雑誌
社会福祉学部論集 (ISSN:13493922)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-17, 2008-03-01

本稿は,障害者自立支援法による福祉サービスの提供と新たな事業体系への移行が福祉施設・事業所の運営と福祉実践にどのような影響をもたらしているのか,人員,設備および運営に関する基準からその問題点を明らかにした。知的障害者入所更生施設における業務調査では,障害者支援の特徴や固有の専門性として,問題対応型の支援の提供にとどまらず,予防的な視点からも支援が提供されている点,基本的な日常生活支援や外出支援においては,利用者のわずかな変化への気づきを通して,事態を予測した対応が随所でなされている点,生活全体を支援する視点を疎かにしていない点が浮き彫りになった。また,職員の働きかけが,職員聞の連携,集団性の確保と利用者の日常的な関係づくり,利用者の「想いや意欲」に寄り添う姿勢を重視してなされている点も明らかになった。障害者自立支援法の新たな事業移行では,施設入所支援等の「暮らしの場」が位置づけられているが,不十分な職員配置基準や設備基準,低い報酬問題に見るように,その移行は必ずしも容易ではなく,業務調査で浮き彫りにされた福祉実践の専門性を担保するものとはなってはいない。こうした点から,あらためて暮らしの場を支える機能と専門性を検討することの重要性について論じた。
著者
村岡 潔
出版者
佛教大学
雑誌
文学部論集 (ISSN:09189416)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.45-52, 2014-03-01

本稿は、イタリア語における2種類の2人称の使い分けの意味づけに関する文化人類学的試論です。その2種類とは、親称《tu》と敬称《Lei》で、語学テキストや文法書などでは前者の二人称は「君」と、後者の二人称は「あなた」と訳されています。そこには「君-あなた」という敬語が交わされる場が日本の場合と同じだと勘違いさせる危険性があるのです。つまり、私たちは、敬語と言えば、上下関係におかれた人間同士の間で使われる言葉で「尊敬語」と「謙譲語」の関係か、あるいは、普通の、あるいはゾンザイな言い方(「丁寧語」対「タメ語」)の関係かと思い込むであろうからです。このことは、日本語の上下関係を基軸とした垂直系の敬語法に対して、イタリア語の場合(欧米系の言語には多くみられる傾向がありますが)発話者と聞き手の間の文化社会的な距離の遠近に基づくプロクセミクス的な世界としての水平系の関係性という視点から見るべきものです。またそれは、We/They二分法という身内/他人の二分法にも対応しています。敬語法の水平性と垂直性の体系間は、それゆえに通訳不可能性とも解釈できます。しかし、筆者が大学のゼミで行っている垂直性の言語空間から水平性の言語空間にチャレンジするといった小規模な実験からは、日本語空間に慣れた学生も親称システムを模したやり方で、水平系にも変容可能な潜在能力を秘めていることが示唆されました。
著者
貝 英幸
出版者
佛教大学
雑誌
歴史学部論集 (ISSN:21854203)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.35-46, 2014-03-01

室町期に行なわれた近江国百済寺の再建復興活動および勧進活動に際して作成された勧進願文を題材にしながら、願文にみえる創建譚を検討する。特に創建の逸話には、創建譚創出時の同寺を取り巻く社会的な状況が反映していると考えられることから、勧進願文の検討を通じて同寺創建譚創出の事情および背景を探る。
著者
淺井 良亮
出版者
佛教大学
雑誌
鷹陵史学 (ISSN:0386331X)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.161-172, 2010-09-25
著者
黒田 彰
出版者
佛教大学
雑誌
文学部論集 (ISSN:09189416)
巻号頁・発行日
vol.99, pp.29-49, 2015-03-01

祇■寺図経(祇園図経)は、平家物語冒頭部「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり」のもとになった、文献として知られるものである。その本文は、大正新脩大蔵経(卍続蔵経に拠る)等に収められ、底本は版本で、古写本の存在は、未だ知られていない。その意味で、版本の祇寺図経は、非常に重要なものとしなければならないが、不思議なことに、その版本は、これまで紹介されたことがない(かつて故渡辺貞麿氏が上巻のみ影印されている<『仏教文学研究』2期2> )。さて、本学図書館に、二本もの祇寺図経の所蔵されていることは、誠に幸いなこととすべきであろう。この機会に、佛教大学図書館の許可を得て、その内の一本、極楽寺旧蔵本を前号(上巻)、本号( 99号、下巻)の二回に分けて影印、公刊する。書誌などは、前号の緒言を参照されたい。
著者
免田 賢
出版者
佛教大学
雑誌
教育学部論集 (ISSN:09163875)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.147-163, 2012-03-01

宮沢賢治は、日本を代表する詩人・童話作家である。なおかつ科学者、宗教家、そして行動実践者の側面をもっている。本論文では、賢治理解の枠組みを提示し、宮沢賢治についてこれまで報告された心理学研究について概観をおこなった。第二に賢治自身による世界理解の方法論がどのようなものであったか、諸アプローチから心理学的に検討をすることを目的にした。その上で、作品の「心象イメージ」について知覚・発達心理学、認知心理学、心理力動的な観点からの分析を試みた。さらに、賢治が生きていた時代に影響を受けた心理学者であるWilliam Jamesの影響についても考察をおこなった。賢治の作品にみる「心象イメージ」がプリミティブともいえる相貌的知覚によっていること、Jungをはじめとする精神分析の影響を受けていること、さらに賢治が本邦の心理学の発展と歩みをともにしていることが論じられた。最後に、今後の臨床心理学の発展に関連して、賢治研究の意義について展望を述べた。