著者
浅野 純一郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.178-188, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
15

本研究は、集落地域整備法制定から30年が過ぎ、依然活用が低調に留まる現状を踏まえ、調整区域の開発管理の観点から集落地区計画を捉え、集落地区計画導入地区の現在の状況や他の緩和手法との関係性から調整区域の開発許可制度運用に与えた影響を明らかにすることを目的とする。適用した当該自治体では、圃場整備等営農環境が改善されたことを根拠に概ね当初の目標は達成したと評価しているものの、既存集落の環境改善や新規住宅供給等を個別に見ると、集落地区施設の整備は低調であり、地方都市を中心に宅地整備地区の充足がなされない地区も見られる。集落地区計画の後、市街化調整区域の開発許可制度緩和手法が充実する中で、集落法適用事例においても後続の制度の活用の仕方に格差があることを示した。以上の分析を踏まえ、調整区域の土地利用管理のあり方や集落法適用の今後のあり方を考察した。
著者
原田 陽子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.122-130, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1

本研究を通して主に以下の点が明らかになった。1)X団地では、未利用地が74%であり、その内の約76%が雑草や樹木が繁茂している。2)居住者の多くは雑草等が生い茂った空き地が多いことや車がないと移動しにくいことに困っている。3)不在地主の多くは高齢者で県外の人も多く、所有地への訪問頻度の少ない人も多い。不在地主の土地入手の動機では、資産として購入などが多く、今すぐにでも売却したいと思っているが売れないため所有地を持ち続けている人が多い。4)X市は土地の寄付を受け入れてきたが、維持管理費がかかるため事実上X団地の土地は対象外となり、集約化も頓挫した。5)雑草等管理事業に対して、不在地主に一定のニーズがあることが明らかになったが、一方で無関心な不在地主や連絡先の分からない不在地主も多い。
著者
中川 真紀子 嘉名 光市 蕭 閎偉 Supagtra Suthasupa
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.105-112, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
14

グローバルツーリズムの時代において、観光地化は、経済の発展や雇用機会を創出する一方、外部資本の流入や雑多な事業の介入を招きかねない。そこで、既存の生業や地域空間を保全活用することは持続可能な観光開発にとって重要であると考える。タイ・バンコクは近年の観光地化が著しく、特に、Rattanakosin島は、政府による歴史的建造物の保全や観光開発が行われ、バンコクの主要な観光地として位置づけられている。本研究は、Rattanakosin島の歴史ある2つのコミュニティに着目し、地価や土地利用などの空間的側面と、住民や政府、コミュニティ組織、事業者といった地域関係者の意識と関係性から観光地化の実態を解明した。
著者
松中 亮治 大庭 哲治 井手 秀
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.63-72, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
20

近年、日本の地方都市では公共交通の利便性低下や中心市街地の空洞化といった問題に直面している。そのような状況下で、「コンパクト+ネットワーク」は都市を持続可能なものとする方策のひとつとして注目されている。本研究では、日本の36地方都市を対象として現地調査により賑わいを定量化し、その要因について人口規模別に分析した。その結果、人口規模によらず賑わいは自動車密度とほとんど相関がみられないこと、自動車到達圏人口は賑わいにほとんど影響をしないのに対し公共交通到達圏人口は強く影響することを明らかにした。
著者
山内 自希 阪本 一郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.975-980, 2013-10-25 (Released:2013-10-25)
参考文献数
9
被引用文献数
5 2

2011年3月11日の東日本大震災で被災した自治会へのアンケート調査を用いて分析し、実際に活動した実績を基に、(1)自治会が実際の災害時に有効に機能したかの実証 (2)日常の活動が災害時に実際に機能したかの実証 (3)さらに日常活動による交流が災害時に有効に機能したかの実証 を行った。さらに日常活動を通じて「人を知る」を深めることが、災害時の自治会活動を円滑にしたことを明らかにした。
著者
雨宮 護 齊藤 知範 島田 貴仁 原田 豊
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.7, 2008

わが国における「子どもの防犯」は,その必要性が主張される一方で,取り組みの基盤となる実証的な知見に乏しい状況にある.そこで本研究では,兵庫県神戸市の5つの小学校を事例に,小学生の日常行動と犯罪被害の実態を把握し,さらに既存の子どもの防犯を目的とした施策の評価を試みた.2396名の児童と1875名の保護者を対象とした調査の結果,以下の3点が明らかとなった.a)児童の放課後の単独歩行行動は,児童の歩行行動全体の約四分の一を占め,時間的には下校後の外出先への行き帰りに,空間的には通学路など少数の領域に集中する傾向がある.b)児童の単独歩行の集中する時間・空間に,犯罪被害も集中する傾向がある.c)既存の防犯対策は,児童の単独歩行が集中する領域を有効にカバーできていない可能性がある.以上の結果は,既存の子どもの防犯を目的としたまちづくりに,子どもの行動特性を反映させることの必要性を示唆するものと考えられた.今後は,例えば,子どもの単独歩行の集中する領域で,具体的な場所の改善を図るなど,場所だけに特化しない取り組みが必要と考えられた.
著者
鎌田 佑太郎 松中 亮治 大庭 哲治
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.43-53, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
31
被引用文献数
1

本研究は外出先別に加齢に伴う訪問頻度の変化を定量的に把握したうえで,訪問頻度の変化が1日平均歩数に及ぼす影響を明らかにすることを目的に,2016年と2018年の2時点の1日平均歩数と都市公園や商業地区といった外出先別の訪問頻度の変化を把握し,これら訪問頻度の経年的な変化が1日平均歩数に及ぼす影響を分析した.その結果,徒歩のみの外出中における中心市街地,運動施設・都市公園,商業地区への訪問の頻度の増減,自転車および公共交通による外出中における中心市街地への訪問の頻度の増減が1日平均歩数の増減に影響を及ぼすことを明らかにした.
著者
羽野 暁 樋口 明彦 榎本 碧 原田 大史 佐々木 裕大
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.32-42, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
21

屋外空間における視覚障害者の歩行支援として、筆者らは白杖の打音を用いた音による誘導に着眼し、一般的な舗装材と音響特性が異なる木材を舗装に用いた「木製バリアフリー歩道」を考案した。本研究は、この開発研究における最終フェーズとして、実用化標準断面に基づき屋外に実装した試験歩道において42名の視覚障害者を対象に歩行実験を実施し、行動観察により歩行支援機能を検証したものである。アスファルト舗装部とスギ板舗装部の二種類の舗装区間にて実験した結果、アスファルト舗装部を開始点とした歩行実験において27名の被験者が歩車道境界に近づき7名の被験者が車道に飛び出した。一方、スギ板舗装部を開始点とした歩行実験においては26名が歩車道境界に近づいたが、車道への飛び出しを全員が回避した。さらに、歩車道境界を白杖のみで認識し足踏を必要としない被験者が、アスファルト舗装部と比較してスギ板舗装部においてより多く確認できた。これらより、スギ板舗装がアスファルト舗装と比較して視覚障害者の車道飛び出し防止に有効であることが分かった。
著者
松村 優 真鍋 陸太郎 村山 顕人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.24-31, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
9

外出は高齢者が自立して生活していく上で重要な要素である。本研究では徒歩による外出に関わる街路や施設配置などの市街地環境に着目し、外出の阻害要因および促進要因を明らかにすることを目的とした。高齢化が進む郊外計画住宅地である小金原地域において市街地環境の客観的調査・アンケート調査・ヒアリング調査を行ったところ、主に「坂道・公共交通不便という阻害要因があること」、「いつでも立ち寄れる行き先という促進要因が無いこと」が外出を妨げていることが明らかになった。よって、外出しやすい環境の実現には、坂道でも歩けるような休憩場所の整備・コミュニティバスの導入・行き先となる集い場の整備の優先度が高い。また、身体状況に不安がある高齢者は阻害要因を、健常高齢者は促進要因を重視するという傾向が見られた。身体状況により意向が異なることを考慮し、阻害要因の解消・促進要因の創出の両面からアプローチすることが望ましい。
著者
萩行 さとみ 大澤 義明
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-13, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
23

地方創生の主たる施策の一つである「地方創生関係交付金」は、今から30年程前に各自治体に1億円ずつ配分された「ふるさと創生事業」以来の大胆な自治体向けの交付金事業であるが、この30年でどのように変わったのだろうか。本研究では、両交付金を対象に歴史的背景の考察、人口規模や面積等によるジニ係数の比較、テキストマイニングによる事業名の比較によりそれぞれ比較考証した。結論として、次の3つが得られた。第1に両交付金は配分方法が異なるにも関わらず、住民1人あたりの交付金額の偏在度の差異は僅差である。第2に地方創生関係交付金の獲得の有無には、「財政力指数」、「周辺自治体の平均獲得件数」が統計的に有意であること示めした。第3に両交付金の事業タイトルをテキストマイニングを用いて分析したところ、事業テーマはハード事業からソフト事業へ移行していることが分かった。さらに対応分析から、ふるさと創生のような国主導の方が、より自由度の増した地方創生より地域性をより反映していることを可視化した。
著者
前田 充紀 近藤 民代
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.125-128, 2021 (Released:2021-07-24)
参考文献数
7

本研究の目的は、定額住み放題サービスを利用した多拠点生活者の居住動態パターンと要求、その生活がもたらす利点にはどのようなものがあるのかを明らかにすることである。多拠点生活をホーム・定額住み放題サービス利用の有無から4 つに分類した。定額住み放題サービスの主要事業者であるADDress の会員を分析対象とし、住居や仕事場、サービスの利用状況から考察した。定額住み放題サービスを利用し生活する目的は自然の豊かな場所で過ごすことに加えて快適な環境でリモートワークをすることである。さらに、拠点や多拠点生活が魅力に感じるかどうかは家守や他のHS 利用者などの人と出会いどのように関わるかが影響する。
著者
錦澤 滋雄 原科 幸彦
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
no.39, pp.1-6, 2004-10-25
参考文献数
14
被引用文献数
4

本研究では、都市マスタープラン策定における計画枠組みづくりへの住民参加方法論としてワークショップに着目し、通常の自由参加によるワークショップだけでなく、相対的に代表性の高い公募の市民委員によるワークショップを活用した東京都日野市を事例として実証的な分析を行った。具体的な論点として、地域割と計画づくりのプロセス設計について取り上げ、その合意形成過程について整理を行い、政治学における二つの規範的な代表観を踏まえて、市民委員の果たすべき役割に着目し、そこでの意義や課題を分析・考察した。その結果、情報収集の役割では、個別地域だけでなく市全体に関する情報を収集し、さらにアウトリーチ活動によりワークショップに参加しなかった住民からの意向も収集したことを確認した。また、地域合意促進の役割では、複数案の作成や市民委員自らの説明を通して合意を形成していったが、唯一の案に絞り込むことができていなかったことを示し、「決め方」についての合意の必要性を指摘した。さらに計画への反映の役割では、地域住民の個別意向だけでなく、市全体の利益にも考慮して計画に反映していること、などを明らかにした。
著者
秋本 福雄
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.48, 2005

土地利用計画は都市計画の延長上にではなく、主として農業、林業における建設的な政策の探求から生まれた。1930年代初頭、農務省農業経済局のルイス・グレイは、大量の限界農地を転用するために、全国的な土地利用計画事業を開始し、農業経済学者らは土地を調査し、目録を作成し、分類し、最適の用途を判定した。その間、都市計画家は都市計画から地域計画、州計画へと領域を拡大したが、土地利用計画という概念は導入しなかった。この論文は、カリフォルニアの郡計画の計画家ヒュー・ポメロイが、1930年代、郡地域制を合理的に制定するために、土地利用計画の概念を導入したことを明らかにしている。その後、1940年代、都市計画では、地域制の改定、都市再開発事業のために土地利用計画を作成するようになった。
著者
大山 雄己 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.643-648, 2012-10-25 (Released:2012-10-25)
参考文献数
8
被引用文献数
3 1

近年、都市縮退や健康、環境保護の流れの中で歩行者を中心とした街路空間の再配分の動きが見られるように、歩行者にとって快適な街路空間を整備する必要性が高まっている。本研究ではこのような背景のもと、渋谷を対象として、街路空間が歩行者の経路選択行動に及ぼす影響を分析した。プローブパーソンデータを用いることでミクロな歩行者行動を分析し、街路レベルでの歩行者の行動様式を把握した。また、街路景観や微視的な構成要素を考慮した経路選択モデルの構築によって街路の空間特性と歩行者の経路選択行動との関係性の把握を試みた。その際、従来の研究では考慮されていなかった説明変数同士の多重共線性を考慮し、街路空間指標を集約化し、類型化した街路景観パタンをダミー変数として用いてモデルの推定を行った。その結果、相関のある構成要素同士を除いたモデルと同程度の精度が得られた。また、推定結果からは街路景観や微視的な要素、そして類似景観の連続性が歩行者の経路選択行動に影響を与えていることを確認した。特に歩行者が類似した景観の街路を選択する傾向からは、街路をネットワーク全体から見て戦略的に整備する重要性と、整備への知見を得た。
著者
初田 香成
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.42.3, pp.415-420, 2007-10-25 (Released:2017-02-01)
参考文献数
41

本研究は戦後期における都市不燃化同盟を中心とした都市不燃化運動の理念の変容を探り、その歴史的意義を探るものである。まず運動の主体であった都市不燃化同盟の誕生の過程と背景を明らかにし、その誕生の意義を考察する。続いて特に1950年の前後で、都市不燃化に関する構想が大幅に縮小されたことを明らかにし、その背景としてGHQによるドッジラインの影響を指摘する。そしてそれがもたらしたその後の不燃化運動、再開発への影響を学識者、建設省の官僚、商工会議所、ディベロッパー、損害保険会社と言ったそそれぞれの運動主体の観点から考察する。
著者
中島 直人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.29, 2008

高山英華は「都市計画学のパイオニア」の一人である。しかし、高山の学術的な業績はこれまでに明確な評価を受けてこなかった。そこで、本稿では、高山の主要な学術的貢献とされ、高山自身が「私が戦前から考えておりましたものを体系したもの」と位置づけていた「都市計画の方法について」に着目し、その形成過程、すなわち高山の戦前からの都市計画の学術的探究の軌跡を明らかにすることを目的とした。その結果、高山は当初は住宅地計画の研究、特に標準住宅から近隣住区までの幅の広さで研究を展開し、その後、戦時中の東京改造計画の立案において、人口密度計画、土地利用計画という手法を発展させ、戦後は大都市構成の研究を続行し、「密度」、「配置」、「動き」の3つの構成、分析手段などを提示するに到った。そうした探究の集成が「都市計画の方法について」であり、ここに都市計画学の一つの原点を見出した。
著者
石川 幹子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.331-336, 1994
被引用文献数
5 1

<p>THE PURPOSE OF THIS STUDY IS TO ANALYSE THE HISTORICAL EVOLUTION OF THE PLANNING THOUGHT ON THE GREEN BELT IN LONDON FROM 1900-1938. AT THE BEGINNING OF THE 20TH CENTURY, THE THOUGHT OF THE GREEN GIRDLE WAS DEVELOPED INFLUENCED BY THE AMERICAN PARK SYSTEM. IN 1920'S, THE REGIONAL PLANNING WAS DEVELOPED AS THE METHOD TO SOLVE THE ENLARGEMENT PROBLEM OF BIG CITIES. THE GREEN GIRDLE PROPOSED BY RAYMOND ANWIN REFRECTED THIS REGIONAL PLANNING THEORY, AND THE CHARACTERISTICS OF THE GREEN GIRDLE CHANGED TO SECURE A BREAK IN THE OUTWARD SPORADIC SPREADING OF LONDON.</p>
著者
リア ロサリア ウィカンタリ 鳴海 邦碩
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.325-330, 1999
被引用文献数
2

この研究は、伝統的な木造家屋に対する重要性および現代的なライフスタイルに対する適応性の居住者自らの評価と将来性の改造に関する意向、さらには木造家屋での生活の不便さや将来の保存に関する意向を分析することを通じて、伝統的木造家屋の持続可能性とその方策を論じたものであり、以下の点が明らかになった。(1)多くの住民(平均的には60%以上)が、伝統的木造家屋を、重要であり、適応性があり、好ましいもので、保存に値すると考えている。(2)しかし、基本的に遺産分割の理由によって丸ごとの売却や移築の傾向が増加するとともに、改造が不可避的・継続的に起こる傾向にある。(3)住民の将来の改造に関する姿勢は、木造家屋に住むことを好んでいるかどうかおよび年齢と関連している。以上の結果を踏まえ、伝統的な木造家屋の持続可能性を推進するための方策を示唆した。