著者
竹本 哲行
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.223-226, 2008-04-15

おどり仕立てポットハボタンの仕立て枝術の開発を目的として,ハボタンのポット栽培における摘心時期,摘心強度,摘心時の摘葉枚数,切除する葉の部位の違いおよび品種が草姿に及ぼす影響について検討した.'初夢'を供試し,7月上旬に播種した場合,強摘心することで,分枝位置が低く,鉢上げ4週間目に摘心することで,側枝長が短くなり,コンパクトな草姿となった.さらに,摘心時に葉身と葉柄を含む全葉を摘心後の上位葉位から3枚摘葉することで,側枝数が3本程度となることが明らかとなった.摘葉により側枝数の増加が認められた品種は'駿河の初日','冬紅','初紅'および'初夢'の4品種であった.
著者
大川 勝徳 北嶋 純也 西野 圭 大川 野理子
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.184-188, 1999-01-15
被引用文献数
2 1

本実験はクロユリ(Fritillaria camtschatcensis Ker-Gawl.)の小球状りん片由来の子球を25℃, 1, 500lxで8週間培養した.そしてNAA, カイネチンおよび24-Epibrassinolide(EB)による子球の肥大と子球からの発根および出葉に対する効果を検討した.各植物ホルモン実験の結果, 培養8週間後の子球の肥大と発根にはEB0.01ppmが, また子球からの出葉にはカイネチン0.1ppmが効果的であった.組み合わせた植物ホルモン実験の結果, 培養8週間後の子球の生育にはNAA 1.0ppm, カイネチン0.1ppmおよびEB0.01ppmの3者の組み合わせが最も効果的であった.
著者
細田 浩 大見 和枝 坂上 和之 田中 健治
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.451-456, 2003-09-15
被引用文献数
1 10

タマネギオイルがカットレタスの褐変に及ぼす作用を調べ,褐変抑制作用を示す成分を検索した.タマネギオイルが褐変抑制作用を示すためにはオイルとカットレタスが接触する必要はなく,掲変抑制成分は揮発性成分であると判断した.GC-MS分析により,タマネギオイルの主成分はdipropyl trisulfide, dipropyl disulfide, methyl propyl trisulfide等であることが明らかとなった.HPLCでタマネギオイルを分画し,各画分の褐変抑制作用を調べた結果,活性はかなり分散していたが,dipropyl trisulfide画分は最も褐変抑制作用が強く,以下methyl propyl trisulfide画分, dipropyl disulfide画分, propyl propenyl disulfide画分の順であった.比較した成分の中では, dimethyl trisulfideの比活性が最も強かったが,この成分はタマネギオイル中の存在量が少なく,タマネギオイルの褐変抑制作用は上記主成分によるところが大きいと判断された.また,trisulfideがdisulfideより褐変抑副作用が強いと考えられた.
著者
楊 暁伶 北島 宣 長谷川 耕二郎
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.538-543, 2002-07-15
被引用文献数
2 8

'土佐文旦'×'水晶文旦'の交雑実生二倍体, 三倍体および四倍体個体群について, CMA染色による染色体構成を明らかにし, 染色体対合様式や二倍体間の交雑で三倍体や四倍体が出現する機構を検討した.1. 交雑実生二倍体38個体ではCMA染色により13種類の異なる染色体構成が認められ, 交雑実生個体は極めて多様な染色体構成を示すことが明らかとなった.2. 交雑実生二倍体の染色体構成において, A型染色体は1∿3本, B型染色体は0∿1本, C型染色体は3∿5本, D型染色体は2∿4本, E型染色体は8∿10本の範囲で出現した.また, B型染色体をもつ個体ではA型染色体が1∿2本の範囲で出現した.これらのことから, '土佐文旦'染色体の対合様式は, AB+CC+CC+CD+DE+EE+EE+EE+EEまたはAB+CC+CC+DD+CE+EE+EE+EE+EEと推定された.3. 交雑実生三倍体では6個体で3種類の異なる染色体構成が出現した.これらの染色体構成は, 減数第I分裂または第II分裂の非還元による非還元雌性配偶子に起因しているか, 減数第II分裂の非還元による非還元雄性配偶子に起因している可能性が示唆された.4. 交雑実生四倍体では3個体で2種類の異なる染色体構成が出現した.これらはB型染色体を2本もち, いずれの染色体型も偶数存在することから, 雌性配偶子, 雄性配偶子ともに減数第II分裂の非還元に起因すると考えられた.これらのことから, '土佐文旦'×'水晶文旦'の二倍体間の交雑で三倍体が出現するのは, 非還元雌性配偶子に起因する場合と非還元雄性配偶子に起因する場合のどちらも存在すると考えられた.
著者
Kanayama Yoshinori
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.1203-1208, 1998-11-15
被引用文献数
1 4

In general, plants synthesize sucrose for translocation of photosynthate. However, some horticultural crops of Rosaceae family are known to translocate sorbitol. Both types of crops are important in horticultural science. Although sucrose metabolism in source and sink tissue is well-known, regulation of sugar composition has not been investigated yet. Fruit generally contains three major sugars i.e., sucrose, glucose and fructose. As the sweetness of these three sugars is quite different, the manipulation of sugar composition in fruit could be useful for improving fruit quality. Thus genes encoding fructokinase that might be related to the level of fructose in fruit were cloned and analyzed. In contrast to sucrose, there are fewer studies on sorbitol metabolism in source and sink tissue. Therefore cloning and expression analysis of the gene encoding sorbitol-6-phosphate dehydrogenase (S6PDH) that may play a key role in sorbitol biosynthesis are also reported here. Two fructokinase cDNAs, Frk1 and Frk2, were isolated from tomato and identified using transformed yeast with those genes. The response of both genes to sugar and their expression patterns shown by northern and in situ hybridization suggest that Frk1 responds to carbon availability and plays a primary role in fructose metabolism in plant cells while Frk2 is localized specifically in cells that import and store carbohydrate. On the other hand, S6PDH cDNA was cloned from apple seedlings. The levels of S6PDH activity and protein were high in source tissue such as cotyledons and leaves in apple seedlings. Besides the S6PDH transcripts were induced during germination corresponding to sorbitol synthesis. On peach trees, the levels of S6PDH transcripts were also higher in more developed leaves compared with folded young leaves. The results strongly suggest that the S6PDH gene is expressed for biosynthesis of sorbitol in source tissue. Now some groups are executing mapping and overexpression of S6PDH.
著者
三浦 泰昌 関島 和幸 平井 唯優 五十嵐 大造 井上 知昭 植松 斉 久保井 榮 松山 明彦 吉田 誠 鈴木 昭
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.497-504, 2000-07-15
被引用文献数
1 1

スプレーカーネーション'ライト・ピンク・バーバラ'に対する小売店の品質評価と形状, 体内水分および器官別糖含量ならびに花の品質保持期間の関係について調査した.1. 外見から最高級品(H), 中級品(M)および最下級品(L)に分類して, 切り花の長さ50cm, 1本当たりの小花数3輪に調整して, 試験開始時の器官別の含水率を比較したところ, いずれもHが最も高く, Mがこれに次いで高く, Lは顕著に低かった.また, 試験期間中の吸水量もこの順になり, Hの含水率が常時高く維持された.2. HとMでは試験開始後10日間で全て開花したが, 品質保持期間はHが15日と最も長く, Mは約10日と短く, Lでは開花に達することなく枯死した.3. 試験開始時のHとMの花弁のグルコースとフルクトース含量はほぼ11∿13mg/100mgDWであったが, Lでは4∿6mg/100mgDWと低かった.またHではこれら糖含量が5日後まで低下した後, 8mg/100mgDW前後のほぼ一定した値を示したのに対して, Mでは15日後まで直線的に低下した.Lでは10日後まで4∿6mg/100mgDWの低い値を維持した.4. 試験開始時におけるHのがくのスクロース, フルクトースおよびグルコース含量はほぼ4∿6mg/100mgDWで, 15日後までほぼ直線的に低下したが, Mのフルクトース, グルコース含量は試験開始5日後までに急激に低下した.Lではいずれも2∿3mg/100mgDWと低く, 15日後まで緩やかに低下した.5. Hの葉身のスクロース含量は試験中9∿12mg/100mgDW前後を保ち, Mは16mg/100mgDWから12mg/100mgDWと緩やかに低下した.フルクトースとグルコース含量は1mg/100mgDW以下と低く, 試験期間中ほぼこの値を維持した.一方, Lのスクロース含量は2mg/100mgDW前後, フルクトースとグルコースは1mg/100mgDW以下で推移した.6. 茎のスクロース含量はいずれも4∿6mg/100mgDW前後で推移したが, グルコースは試験開始時2mg/100mgDW前後から15日後までほぼ直線的に低下し, フルクトースは全期間を通じて1mg/100mgDW以下の低い値を示した.7. 3階級とも花弁から銀が検出されたことから, 全てSTS等の処理済みと考えられた.以上の結果, STS等処理後のカーネーション切り花の品質保持期間に対して, 切り花購入時の含水率と花弁のフルクトースおよびグルコース含量が大きく影響すると推測された.
著者
濱野 恵 三浦 周行 田部井 豊
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.559-561, 1998-07-15
被引用文献数
3 4

イチゴ'女峰'の果実生育の初期に発現する遺伝子をディファレンシャルディスプレイ法により解析した.開花後0, 2, 4, 7, 10, 13日の果実から抽出したRNAを基に合成したcDNAをPCR反応の鋳型に用いた.異なる遺伝子発現を示唆するPCR産物11本のうちSGR101, SGR701の2本をサブクローニングして塩基配列を決定した.ホモロジー検索の結果, SGR101はリボソームタンパクS6キナーゼのホモローグであるアラビドプシスのcDNAと, SGR701はインゲンマメのヒドロキシプロリンリッチ糖タンパクの遺伝子と高い相同性があった.SGR101およびSGR701はともに痩果の相対生長速度が最も高く果実が生理的に活発な時期に発現しており, それらが果実生育にかかわる機能について考察した.
著者
大久保 敬 Sugiharto Arifin Noor 三保 紀子
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.283-285, 1999-03-15
被引用文献数
1 3

シャロットおよびワケギの日長および温度に対する球根形成反応を調査した.供試したインドネシア産のシャロット2系統およびワケギ2系統ならびに日本産のワケギ2系統はいずれも16時間日長下で球根を形成した.両種は12時間日長下でも球根を形成し, ワケギは8時間日長下においても球根を形成した.球根形成は両種とも20℃∿30℃の範囲内では温度が低いほど促進された.
著者
馬 旭偉 下川 敬之
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.261-269, 1998-03-15
被引用文献数
6 5

本研究では, エチレン処理したバナナ果実(Musa sapientum L.)の果皮より調製した粗酵素液中に, クロロフィルaを分解する酵素が存在することを明らかにした.また, この酵素とその反応について次のことを明らかにした.1) H_2O_2と2, 4-DCPが必要なことからペルオキシダーゼであること, 2) Tiron, Mn^<2+>, hydroquinone, L-ascorbate sodium, n-propyl gallate, salicylhydroxamic acid, KCN, NaN_3で阻害されるため, この酵素反応にO^-_2とラジカルが関与していること, 3) 2, 2'-bipyridyl, Tironにより阻害されることは, この酵素反応にFe^<2+>あるいはFe^<3+>が関与していること, 4) NaN_3に対する阻害程度の違いからクロロフィル分解ペルオキシダーゼはグアヤコールペルオキシダーゼとは別のものであること, 5) pHのピークが5.2, 5.8と6.4にあることから, アイソザイムが存在すること, 6) タンパク質量に対する反応量は直線的であること, 7)基質のKm値は16.5μMであること, 8) H_2O_2のKm値が20.44μMで, この値は既知のペルオキシダーゼに比べ低い値である(高い親和性をもつ)こと, 9) これらの値と性質は, この酵素が生体内で作用している可能性があること.さらに, 反応液の可視部でのスペクトルの変化, 特に, 経時的な波長のシフトとソーレーバンドの消失と差スペクトルの結果から, クロロフィルaは開環したクロロフィル代謝産物(Ex 350nm, Em 465nm)に分解するものと考えられる.
著者
梁 順子 雨木 若慶 樋口 春三
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.1170-1177, 1999-11-15
被引用文献数
1 2

カランコエのin vitro開花の実験系の確立を目的として7品種を供試し, 品種間差異および温度, 日長, PPFDおよび換気回数について検討した.さらに, in vitroとin vivo下における花芽の分化および発達過程を比較した.1. in vitroにおいては, 短日下で供試した7品種中5品種が発蕾し, 晩生系の'Sensation', 'Rose Crown'の2品種は発蕾しなかった.発蕾した5品種については発蕾日数には差が見られ, 20℃では早生系の'Singapore', 'Adagio'が早く, 中生系の'王冠', '宝冠', 'Fortyniner'が遅れて発蕾した.また, 開花反応に対する好適培養温度には品種間差が見られ, 20℃では前述の5品種, 25℃では'王冠'1品種のみが発蕾した.2. 'Singapore'を用いてin vitroにおける日長, 温度とPPFDの影響を検討したところ, 20℃, 短日下のみで発蕾した.また, 10, 30μmol・m^<-2>・s^<-1>PPFD下では発蕾がみられず, 40μmol・m^<-2>・s^<-1>PPFDで発蕾した.3. in vitroにおける花成反応は, 換気回数の小さいアルミ栓区では発蕾が見られず, 通気フィルター栓区とシリコン栓区で発蕾が見られた.4. in vitroとin vivoの双方とも花芽分化開始から発蕾までは約35日を要し, 花芽発達の進行速度は同じであった.
著者
奥田 均 野田 勝二 平林 利郎 米本 仁己
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.342-344, 2005-07-15

成熟期の異なる13品種のウンシュウミカン(Citrus unshiu M.)を対象に芽の休眠(paradormancy)の深さを枝挿し法により比較した.ウンシュウミカンの芽の休眠は9月下旬を中心に9月から10月にかけて深かった.そこで, 9月下旬にDTB(萌芽所要日数)を指標にして休眠の深さを比較したところ, 11月中旬までに果実が成熟する早生・極早生種および'久能温州'は21日以内に萌芽することはなかった.それ以降に成熟する品種は21日以内に萌芽し, DTBは成熟期が遅い品種ほど短かった.これらのことによりウンシュウミカンの芽の休眠には品種間差が存在し, それは果実の成熟期と関連することが示唆された.
著者
桝田 正治 古市 朋子 武田 恭明
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.93-98, 1998-01-15
被引用文献数
2 1

トマト固定品種'ファースト'の乾燥種子に総線量100, 200および400Gyのガンマー線(^<60>Co)を照射して突然変異の誘発を試みた.照射時間はいずれも5時間とした.1. 照射種子(M_1)はいずれも発芽するが, 線量が高くなるほど実生の生育が劣り400Gy区では子葉展開後に枯死した.100Gy区では照射種子の約80%, 200Gy区では38%の株でM_2種子が採種できた.M_1株の花粉稔性は照射区で劣り, 100Gy区より200Gy区で顕著であったが, 全不稔の花は存在しなかった.また, 花粉稔性と種子数の間には相関は見られなかった.2. M_2世代において, 100Gy区の188系統では3種類の突然変異が出現した.つまり, 葉幅の狭い系統, 10%以下の可稔花粉系統, オリジナルと同じ雄ずい型の雄性不稔系統である.200Gy区の88系統では9種類の突然変異が出現した.つまり, 葉緑素突然変異としてアルビノ, ビリデイス, キサンタおよび部分欠損の4系統, 10%以下の可稔花粉系統, オリジナルと同じ雄ずい型の雄性不稔系統, 葯が萎縮して褐色となり柱頭が突出する雄性不1稔系統, 葯は正常に発育するが, その葯の先端に柱頭が突出する雄性不稔系統および発芽不能系統であった.以上の結果より, トマト種子から突然変異を誘発する場合のガンマー線の好適照射線量は200Gy付近にあると考えられた.3. 葉緑素部分欠損形質は, ヘテロ自家受粉種子における分離比が正常 : 欠損=3 : 1に適合したことから, 1劣性遺伝子によって支配されているものと推察された.葉緑素欠損葉において生育中に線状や点状に緑色を発現する個体があり, その発現部分が拡大すると個体の生存は可能となった.
著者
橋本 文雄 田中 見佳 前田 寛子 清水 圭一 坂田 祐介
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.428-434, 2000-07-15
被引用文献数
9 36

デルフィニウム栽培品種におけるがく片の色(21個体)について検討した.明度(明るさ)と彩度(鮮やかさ)について, CIELAB表色系座標上非常に淡いものから鮮明なものに分布し, 一次回帰式において有意な相関が認められた.また, 色度(aおよびb)について, その相関関係から白色系(ピンク色系), 紫色系(淡紫色系)および青色系(淡青色系)の3群に分類された.主アントシアニン色素の分析により総アントシアニン含量が花色に重要であり, 中でも3種類のアントシアニン(アシル基が結合していないデルフィニジン配糖体, 二基のパラーヒドロキシ安息香酸をアシル基として有するビオルデルフィン並びに四基のパラーヒドロキシ安息香酸をアシル基として有するシアノデルフィン)の含量が3群の花色表現型に直接反映した.これら3種のアントシアニン類は, 色相による3群の花色分類における含有アントシアニンに概ね対応しており, 従って, パラーヒドロキシ安息香酸によるアシル化アントシアニンの蓄積は, デルフィニウム花色の青色化を引き起こす要因であることが明らかとなった.
著者
野崎 香樹 深井 誠一 高村 武二郎
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.197-201, 2005-06-15
被引用文献数
2

ピンク色花系スプレーギクにおける花色と栽培時期との関係を明らかにするために, 各作期に開花した花序の様相と花色を評価し, 舌状花のアントシアニン量を測定することでアントシアニンがピンク色花系スプレーギクの花色に及ぼす影響を検討した.2001〜2002年, 2003年共に高温期の6/30作期で秋ギク型品種の到花日数が増加した.花序径は夏秋ギク, 秋ギクを問わず, 6/30作期で減少し, 舌状花数は増加傾向を示した.色差計により求めた白色花系品種と黄色花系品種におけるL^*a^*b^*の値は, 作期間で差異が生じたものの, 肉眼による観察では作期間で花色の変化はほとんど無かった.一方, 'チャトー'を除くピンク色花系品種では9/24作期でL^*値, b^*値が小さく, a^*値, c^*値が著しく大きくなった.また, 高温期の6/30作期では9/24作期の値と逆の傾向を示し, 肉眼による観察においても作期間で大きく花色が変化した.'チャトー'では他のピンク色花系品種と同様な傾向を示したが, 作期間における各値の差異は小さかった.ピンク色花系品種では赤色花キクの主要花色素であるCy3-6"-MMGおよびCy3-3", 6"-DMGが主要アントシアニンとしてHPLCにより検出された.また, 作期間でアントシアニンの構成に変化は無く, これら2つの主要花色素の増減によってピンク色花の花色を決定することが示された.
著者
野崎 香樹 深井 誠一 高村 武二郎
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.197-201, 2005-06-15
参考文献数
15
被引用文献数
2 8

ピンク色花系スプレーギクにおける花色と栽培時期との関係を明らかにするために, 各作期に開花した花序の様相と花色を評価し, 舌状花のアントシアニン量を測定することでアントシアニンがピンク色花系スプレーギクの花色に及ぼす影響を検討した. 2001~2002年, 2003年共に高温期の6/30作期で秋ギク型品種の到花日数が増加した. 花序径は夏秋ギク, 秋ギクを問わず, 6/30作期で減少し, 舌状花数は増加傾向を示した. 色差計により求めた白色花系品種と黄色花系品種におけるL<sup>*</sup>a<sup>*b</sup>*の値は, 作期間で差異が生じたものの, 肉眼による観察では作期間で花色の変化はほとんど無かった. 一方, &lsquo;チャトー&rsquo;を除くピンク色花系品種では9/24作期でL<sup>*</sup>値, b<sup>*</sup>値が小さく, a<sup>*</sup>値, c<sup>*</sup>値が著しく大きくなった. また, 高温期の6/30作期では9/24作期の値と逆の傾向を示し, 肉眼による観察においても作期間で大きく花色が変化した. &lsquo;チャトー&rsquo;では他のピンク色花系品種と同様な傾向を示したが, 作期間における各値の差異は小さかった. ピンク色花系品種では赤色花キクの主要花色素であるCy3-6&rdquo;-MMGおよびCy3-3&rdquo;, 6&rdquo;-DMGが主要アントシアニンとしてHPLCにより検出された. また, 作期間でアントシアニンの構成に変化は無く, これら2つの主要花色素の増減によってピンク色花の花色を決定することが示された.
著者
卓 小能 塩崎 修志 尾形 凡生 堀内 昭作
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.664-669, 2002-09-15
被引用文献数
1

当年生の野生種のエビヅルと栽培品種の'キャンベル・アーリー'および'巨峰'実生を用いて, 巻きひげの着生と葉の形態的変化の関係を調査した.用いた全てのブドウにおいて, 巻きひげ着生前の葉の葉序は144°の螺旋状を呈し, 巻きひげ着生後は180°の互生であった.Galetの指標による巻きひげ着生前後の葉の形態的差異は, いずれのブドウにおいても認められなかった.巻きひげ着生前の葉縁鋸歯数は発育に伴って増加し, 巻きひげ着生節位の葉の葉縁鋸歯数はエビヅル, 'キャンベル・アーリー'および'巨峰'実生でそれぞれ26.1, 27.5, 28.8であった.巻きひげ着生後の葉縁鋸歯数は, 'キャンベル・アーリー'と'巨峰'では漸増したのに対し, エビヅルの増加は非常に緩慢であった.また, 実生の発育に伴って鋸歯角度が小さくなり, 鋸歯間裂刻が深くなった.葉脈間の裂刻の深さは'キャンベル・アーリー'と'巨峰'では巻きひげの着生前後で差が認められなかったが, エビヅルでは巻きひげの着生後に深くなった.
著者
山崎 篤 田中 和夫 吉田 澪 三浦 周行
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.40-46, 2000-01-15
被引用文献数
4 18

ネギの花芽分化に及ぼす温度条件を明らかにすることを目的として, 中生品種の'金長'と'浅黄九条', 晩生品種の'長悦'を用いて, 昼温と夜温の影響を調べた.昼温を20℃として夜温を3&acd;15℃と変えて20&acd;60日間の低温処理を行った結果, いずれの品種においても花芽分化は7℃で最も促進され, 次いで3℃で促進された.また, 15℃という比較的高い夜温下でも処理期間を60日まで延長すると, '金長'と'浅黄九条'では50%以上の個体で花芽分化したが, '長悦'では10%の個体でしか分化しなかった.夜温を7.0℃として昼温を7.0&acd;26.5℃と変えて20&acd;75日間の低温処理を行った結果, '金長'と'浅黄九条'において, 抽台率は昼温13.5℃と20℃で高く, 昼温7.0℃と26.5℃でわずかに低かった.'長悦'の抽台率はいずれの昼温と処理日数においても'金長'と'浅黄九条'に比べ低かった.それでも, '長悦'の抽台率は昼温7.0℃と13.5℃では75日後に60%以上に達したが, 昼温20.0℃と26.5℃では著しく低く, 特に昼温26.5℃ではほとんど抽台しなかった.したがって, '長悦'では20℃前後で脱春化が起きていると考えられた.以上の結果, ネギの花芽分化最適夜温は, 昼温20℃の場合7℃であること, また'長悦'では20℃前後で脱春化が起こるが, '金長'と'浅黄九条'では26.5℃以下の温度ではほとんど脱春化は起こらないことが明らかとなった.
著者
鄭 澤宇 田村 義保
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.385-390, 2005-12-15
被引用文献数
1 2

本研究ではハナハス花弁先端部の形状を定量的にデータ化し, 品種識別分析を行った. 花弁のデジタル写真から先端部の輪郭線を抽出し, P型フーリエ記述子を計算するためのソフトウェアも開発した. ハナハス花弁先端部分の輪郭線の特徴をP型フーリエ記述子で抽出し, 抽出した記述子に対し, 主成分分析を行い, 必要な主成分得点を用いてSVM及び2次判別手法によって品種識別を行った. 7種類のハナハスに関する認識率は78%に達した. フーリエ記述子の次元数により識別結果への影響も調べた結果, 認識率はフーリエ記述子の次元数によって必ずしも増加しなかった.
著者
徐 忠傳 兵藤 宏 生駒 吉識 矢野 昌充 小川 一紀
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.192-194, 2000-03-15
被引用文献数
6

キウイフルーツ'魁密'(Actinidia chinensis)と'ヘイワード'(Acitinidia deliciosa)では果実の部位によって1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(ACC)合成酵素遺伝子の発現, ACC含量およびACC合成酵素活性に大きい差が認められた.エチレン生成能の低い'ヘイワード'においてはACC合成酵素mRNAのレベルは外果皮で一番高く, 部位の違いが明確であった.一方エチレン生成能の高い'魁密'においては外果皮, 内果皮, 果芯のすべてで高かった.ACC合成酵素mRNAの発現, ACC含量およびACC合成酵素活性は'魁密'の方が'ヘイワード'より高かった.これらの結果より, キウイフルーツのエチレン生成能の品種間差に関与する要因は主にACC合成酵素遺伝子の発現とACC合成酵素の活性であることが示された.