著者
小泉 丈晴 剣持 伊佐男 町田 安雄
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.275-278, 2003-12-15

アスパラガス'グリーンタワー'の1年生株を用いた養成時の生育と促成栽培における若茎の収穫量および品質の雌雄間差を検討した.1.アスパラガスの養成株における雌雄間の形態的な差異として,雌株は雄株に比べて草丈および第1側枝の位置が高い傾向がみられた.雌の1年生株は,果実の着生が少なく,雌雄間での発生茎数の差がなく,雌株は雄株に比べて茎経が太く生育が旺盛であった.2.1年生株の促成栽培では,若茎発生数には雌雄間差はなく,雌株は1本重が重いL規格の発生数が多く,若茎重の合計で雄株より優った.3.雌株が雄株に比べ若茎頭部のしまりが良く,りん片葉のアントシアニン発生が少なかった.4.以上のことから,1年生株を用いた促成栽培では,雌株を判別して用いた方が有利であると判断された.
著者
福地,信彦
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, 2004-09-15

The effects of fruit thinning, defoliation, and training methods, using lateral shoots for increasing leaf areas, on fruit soluble solids content and yields of tomatoes were investigated. Restricted fruit load per fruit truss by fruit thinning did not result in increment of total yields, marketable yields or fruit soluble solids content. Defoliation and training methods for increasing leaf areas did not influence total yields or marketable yields. Fruit soluble solids content was lowered by defoliation and increased with increasing leaf areas by leaving the lateral shoot just below the fruit truss.
著者
村山,徹
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, 2007-04-15

コシアブラ若芽の抗酸化活性をβ-カロテン退色法とDPPHラジカル消去活性で評価したところ,高い活性を示した.主たる抗酸化成分は,クロロゲン酸と同定された.グロースチャンバー試験で,その成分含量に影響する要因を検討したところ,光が強く,穂木が良いと含量が高まることが示された.その結果に基づいて,好適な促成栽培技術を確立するため,ガラス室内で栽培条件が収量と抗酸化成分含量に及ぼす影響を検討した.促成栽培では, 10〜15℃の木に30〜40cmの穂木を挿すことによって,クロロゲン酸含量の多い若芽を収穫できた.
著者
小野崎 隆 池田 広 山口 隆 姫野 正己 天野 正之 柴田 道夫
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.13-16, 2002-04-01
被引用文献数
2 14

Burkholderia caryophylliにより発生するカーネーション萎凋細菌病は, 日本でのカーネーション栽培上最も重要で問題となっている病害である.カーネーション品種'スーパーゴールド'×強抵抗性野生種D. capitatusの種間雑種系統の中から, 強度の萎凋細菌病抵抗性を有する系統91B04-2を選抜し, 中間母本'カーネーション農1号'として品種登録した.'農1号'は定植から約3か月で開花する極早生性を示し, 調査期間中の全収量は11.5本/株と対照として供試したカーネーション3品種をいずれも上回る多収性を示した.フローサイトメトリーによる相対的な核DNA量の測定により, '農1号'は'スーパーゴールド'とD. capitatusの雑種であることが確認され, 二倍体と推定された.本系統は, 抵抗性育種素材として, カーネーションおよびダイアンサスの実用品種の育成に利用できる.
著者
松本 和浩 李 忠けん 千種 ひつ
出版者
園芸学会
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.293-297, 2008 (Released:2011-01-27)

韓国産イチゴ品種‘Mae-hyang’、‘Seol-hyang’および‘Keum-hyang’と‘章姫’を4℃または20℃で4日間貯蔵し、果肉硬度、可溶性固形物濃度、滴定酸度、アントシアニン濃度および糖組成の品種間差異を調査した。各品種の糖組成をみると‘Mae-hyang’および‘Keum-hyang’はスクロースが、‘Seol-hyang’および‘章姫’はフルクトースとグルコースが主体であった。また糖蓄積型ごとに各貯蔵温度における糖組成の変化が異なることが明らかになった。低温貯蔵によりいずれの品種も果肉硬度が上昇したが、特に‘Mae-hyang’において顕著であった。また、‘Mae-hyang’は貯蔵温度にかかわらず酸含量および糖酸比の変化が少なく、20℃貯蔵区における総可溶性糖含量の低下も他品種比べ少なく、安定した貯蔵品質を示した。一方、‘Seol-hyang’は他品種に比べ20℃貯蔵区において酸含量の上昇と糖酸比の低下が起こりやすかった。また、‘Keum-hyang’はいずれの貯蔵区でもアントシアニン濃度が高く、4℃貯蔵区でも糖含量の低下がみられた。これらの結果より、‘Mae-hyang’が他の韓国産新品種に比べ貯蔵中の硬度と品質を保ちやすい長期貯蔵に適した品種であると認められた。
著者
伊藤 弘顕 西川 久仁子 粟野 達也 細川 宗孝 矢澤 進
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.19-23, 2010

乾膜質な花葉をもつ7種の植物種を用いて,細胞壁の形態を電子顕微鏡および偏光顕微鏡を用いて観察した.通常,花葉は一次細胞壁だけの柔細胞で構成される.しかし,少なくとも7種の植物種における乾膜質な花葉では,共通して組織すべての細胞がセルロース配向のある二次細胞壁を発達させていることが明らかとなった.また,二次細胞壁の肥厚形態は植物種によって様々であった.すなわちヘリクリサムなどキク科の植物は管状要素あるいは転送細胞のように網目状あるいは縞状に,センニチコウなどヒユ科の植物は繊維のように層状に,イソマツ科の植物であるスターチスは種皮の厚壁異型細胞のようにひだ状に,細胞壁を発達させていた.<br>
著者
山根 健治 猪爪 亜希 和田 義春 林 万喜子 清水 明
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.115-121, 2008-01-15
参考文献数
17
被引用文献数
5

鉢花カーネーションの流通・消費段階での収穫後品質向上のために低照度下での生理および品質の変化について調査した.個葉の光補償点は'マイフェアレディ'ではPPFD 10.3 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>,'スカーレット'12.9 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>と算出された.Fv/Fm,&Phi;PSIIおよび葉のクロロフィル含量は120 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>では維持されたが,10 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>(16時間日長)においては著しく低下した.10 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>において花弁の糖含量とアントシアニン含量の低下が認められた.10 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>では120 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>の鉢と比較して開花数が減少し,鉢花の日持ちも短かった.これらのことから,光補償点前後の弱光下ではクロロフィルの分解と葉の黄化が進行し,光合成量が著しく低下して糖含量が低下した結果,個々の小花と鉢花全体の日持ちが短縮されたものと推察された.10 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>条件下の'スカーレット'では30 ppm 5-アミノレブリン酸(ALA)処理により葉の&phi;PSII値およびクロロフィル含量の低下と黄化が緩和され,開花数,小花および鉢花の日持ちが改善される傾向にあった.PPFD 5 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>(24時間日長)条件下の'マイフェアレディ'では30 ppmおよび150 ppm ALA単独処理で鉢花の日持ちが有意に延長された.PPFD 15 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>(12時間日長)条件下の'マイフェアレディ'において,30 ppm ALA処理はクロロフィル含量の低下を緩和したが,光合成速度や光補償点には影響しなかった.<br>
著者
楊 学虎 冨永 茂人 平井 孝宜 久保 達也 山本 雅史
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.227-234, 2009-04-15
参考文献数
18

タンカン果実の連年安定生産技術改善のための基礎的知見を得るために、'垂水1号'を供試して、果実発育、着色、果汁成分、砂じょうの発育および呼吸活性の時期別変化を調査した。果実は7〜12月にかけて旺盛に肥大し、それには7〜11月にかけての砂じょう重の増加が大きく寄与していた。12月以降、果実肥大は低下した。じょうのう当たりの砂じょう数は7月には収穫時とほぼ同数であった。砂じょう長は8〜2月まで緩やかに増加した。砂じょうの呼吸活性は7〜11月にかけて急速に減少し、11月以降はほぼ一定であった。果皮の着色は10月から始まったが、果肉の着色より遅れた。糖度(Brix)は10月から増加し、それは主要糖であるスクロースの増加によるものであった。グルコースとフルクトースの含量は低かったが、収穫直前にわずかに増加した。滴定酸含量は8月に最高値を示した後、12月まで急激に減少した。12月以降は1%前後で推移した。滴定酸含量は果汁中で90%以上を占めるクエン酸の変化と一致した。クエン酸以外にリンゴ酸が検出されたが、リンゴ酸含量は終始低かった。
著者
松本 和浩 加藤 正浩 竹村 圭弘 田辺 賢二 田村 文男
出版者
園芸学会
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.339-344, 2010 (Released:2011-05-27)

秋季の窒素施肥量の違いがニホンナシ‘二十世紀’と‘豊水’の耐寒性と脂質含量に及ぼす影響を調査した。‘豊水’は‘二十世紀’に比べ、多肥による影響を受けやすく、施肥後、樹体内窒素の増加が著しく、耐寒性の上昇が抑制され、春季の生長も阻害された。脂質およびPC含量は‘二十世紀’に比べ‘豊水’で少なかった。両品種とも多肥処理により、脂質およびPC含量の増加が抑制され、脂質の不飽和度の上昇も抑制された。このように、窒素多肥による脂質含量や脂質不飽和度の低下が、耐寒性の低下に影響を及ぼしていると考えられた。
著者
松田 賢一 片山(池上) 礼子 東 成美 酒井 賀乃子 中野 眞一 玉村 壮太 早川 隆宏 伊達 彩香 高居 恵愛
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.29-38, 2020
被引用文献数
2

<p>36本の5年生'ルビーロマン'ポット栽培樹を用いて,満開後54日目(ベレゾーン以降の13日目)から収穫(満開後90日)までの間,満開後54~63日(54日区),63~72日(63日区),72~81日(72日区)と81~90日(81日区)の4つの生育ステージに分け,全日光環境制御型温室で9日間の低温処理(昼28°C/夜20°C)を行った.低温処理以外の期間は高温室(昼35°C/夜27°C)で育成した.また,全期間(満開後54~90日)に低温(低温区:昼28°C/夜20°C)と高温(高温区:昼35°C/夜27°C)の両対照区も設けた.低温処理後の果房の着色の変化は,63日区が最も大きく,その次が72日区であった.収穫果粒の着色は,低温区が最も濃く,54日区と高温区が最も薄かった.このことから,'ルビーロマン'では,満開後63日から80日の間は低温に対する感受性が高いことが示唆された.遺伝子発現解析の結果,低温区より高温区の<i>VlMybA1-2</i>,<i>VlMybA1-3</i>の発現レベルが高かった.一方,63日区と72日区の<i>VviF3′H</i>と<i>VviF3′5′H2</i>の発現が低温区と高温区よりも有意に高かった.これらの結果から,成熟後期の温度変化に起因する'ルビーロマン'果粒のアントシアニン蓄積量の増減は,<i>VIMybAs</i>の発現の量的変化によりもたらされたのではなく,別の制御要因が関与する可能性が示唆された.</p>
著者
村上 覚 神谷 健太 鎌田 憲昭 山田 晋也
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.315-320, 2012

ニホンスモモとウメの種間雑種'李梅'の安定生産に向けた知見を得るため,'李梅'の<i>S</i>-haplotypeおよび受粉品種について検討した.'李梅'の<i>S</i>-haplotypeを分析した結果,'李梅'の<i>S</i>-RNase遺伝子はサイモンスモモおよびウメからそれぞれ由来している可能性が高いと考えられた.サイモンスモモはニホンスモモの近縁種で,ニホンスモモと交雑和合性がある.これらのことから,'李梅'はウメだけではなくニホンスモモに対しても,<i>S</i>-haplotypeに関わらず,交雑和合性がある可能性が示唆された.実際にウメ,ニホンスモモ,アンズおよびモモ花粉を用い,'李梅'に人工受粉を行うとウメ,ニホンスモモおよびアンズ花粉では交雑和合性が確認された.特にウメ'宮口小梅',アンズ'平和'は花粉量が多く,花粉稔性が高いうえに,'李梅'と高い交雑和合性を示したので,人工受粉の花粉親として優れていると考えられた.このため,'李梅'においてはこれらの花粉を用いて人工受粉を行うことで,安定的に収量が確保できる可能性が示唆された.<br>
著者
鶴田 燃海 王 成 向井 譲
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.321-325, 2012
被引用文献数
4

ソメイヨシノは日本のサクラを代表する園芸品種の一つで,自家不和合を示すことが知られている.本研究は,自家不和合性や花粉親による交雑親和性の違いがどの時期に起こるのかを明らかにすることを目的とし,ソメイヨシノを種子親とした人工交配実験を行い,花粉管伸長および結実の特性を交配処理ごとに調べた.自家花粉管は,授粉から10日経っても花柱の基部に到達しておらず,ソメイヨシノにおいて見られる自家不和合性は,花柱での花粉管伸長抑制による結果であることが確認された.このとき自家授粉処理による果実は,授粉から20日後までにすべて落下した.一方他家花粉管は,授粉後3日にはほとんどが花柱の基部まで達しており,また授粉から10日後における花粉管が花柱基部に到達している花柱の割合には,花粉親による違いは見られなかった.花粉親の違いが見られたのは,授粉からおよそ20日後の,生存果実の割合においてであった.授粉から20日以降,他家授粉による果実はほとんど落下せず,授粉からおよそ50日の6月上旬にほぼすべての果実が黒く成熟した.<br>
著者
鶴田 燃海 王 成 向井 譲
出版者
園芸学会
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.321-325, 2012 (Released:2013-10-08)

ソメイヨシノは日本のサクラを代表する園芸品種の一つで,自家不和合を示すことが知られている。本研究は,自家不和合性や花粉親による交雑親和性の違いがどの時期に起こるのかを明らかにすることを目的とし,ソメイヨシノを種子親とした人工交配実験を行い,花粉管伸長および結実の特性を交配処理ごとに調べた。自家花粉管は,授粉から10日経っても花柱の基部に到達しておらず,ソメイヨシノにおいて見られる自家不和合性は,花柱での花粉管伸長抑制による結果であることが確認された。このとき自家授粉処理による果実は,授粉から20日後までにすべて落下した。一方他家花粉管は,授粉後3日にはほとんどが花柱の基部まで達しており,また授粉から10日後における花粉管が花柱基部に到達している花柱の割合には,花粉親による違いは見られなかった。花粉親の違いが見られたのは,授粉からおよそ20日後の,生存果実の割合においてであった。授粉から20日以降,他家授粉による果実はほとんど落下せず,授粉からおよそ50日の6月上旬にほぼすべての果実が黒く成熟した。
著者
元木 悟 柘植 一希 北條 怜子 甲村 浩之 諫山 俊之 藤尾 拓也 岩崎 泰永
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.269-279, 2019

<p>露地夏秋どりミニトマトのネット誘引無整枝栽培(ソバージュ栽培,以下, ソバージュ)の収量は,主枝1本仕立て栽培(以下,慣行)に比べて,株数が6分の1程度であるにも関わらず,慣行と同等以上の収量が見込める.また,ソバージュは収穫作業以外の作業時間を慣行に比べて有意に短縮できる.そこで本試験では,ソバージュを全国に普及させるため,温暖地の神奈川圃場に加え,ソバージュと同じミニトマトの夏秋どり栽培(ただし,ハウス雨除け夏秋どり栽培)が一般的である岩手および広島圃場おいて,3年間(岩手圃場は2年間),ソバージュと慣行の収量および品質を比較した.また,ソバージュの経済性を検討するため,ミニトマトの夏秋どり栽培の農業経営指標を参考に,各地域におけるソバージュの経済性評価を行った.その結果,露地夏秋どりミニトマトのソバージュにおける収量については,既報と同様,岩手および広島圃場においても単位面積当たりの収量は慣行と同等であり,株当たりの収量は慣行に比べて多かった.ソバージュの品質については,岩手圃場では既報と同様,ソバージュの糖度は慣行と同等か低い傾向であったものの,リコペン含量は栽培法および栽培年の間に一定の傾向が認められなかった.一方,広島圃場では,ソバージュの糖度およびリコペン含量は慣行と同等か高い傾向であった.ソバージュの経済性評価については,広島県の農業経営指標を参考に,本試験で実際に栽培した'ロッソナポリタン'の可販果収量の月別平均値を用い,既報の作業性の結果を参考に試算した結果,ソバージュの利益は10 a当たり86万~110万円,労働時間は333~568時間,1時間当たりの利益は1,933~2,661円であった.</p>
著者
二宮 泰造 島田 武彦 遠藤 朋子 野中 圭介 大村 三男 藤井 浩
出版者
園芸学会
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.127-133, 2015 (Released:2015-09-10)

生産者や育成者権の保護に向けてカンキツの品種識別技術の確立が求められている。信頼度の高い科学的手法であるDNAマーカーによる品種識別技術の開発は,正確なカンキツの品種識別のために必須である。そこで,簡易な方法での品種識別が可能なCAPSマーカーによるカンキツの品種識別技術の確立をめざした。その結果,9種類のCAPSマーカーを33品種・系統に適用した遺伝子型を整理したCAPS遺伝子型データが得られた。このデータは,国内のカンキツの品種識別のための基盤的な情報となる。また,CAPS遺伝子型データから,最少マーカーセットを検出した結果,8種類のCAPSマーカーで33品種・系統のすべてを識別できることが判明した。さらに,遺伝子型データを利用して7種類の育成品種について,親子鑑定を行った。その結果,‘甘平’の花粉親は‘不知火’ではないことが明らかとなった。さらに解析を進めたところ,‘甘平’の花粉親はポンカンであることが強く推察された。
著者
鶴永,陽子
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, 2006-09-15

14年生カキ'西条'を用い,成育中の柿葉におけるアスコルビン酸,イソケルシトリン,アストラガリン,ポリフェノール量含量の推移を検討した.その結果,アスコルビン酸とポリフェノールは6月から7月の含量がもっとも高く,それぞれ3700mg/100gDW, 16100mg/100gDW (アストラガリン相当量)であった.また,イソケルシトリン,アストラガリン含量は5月葉が最も高く,それぞれ480,520mg/100gDWで,その後新梢長の急激な伸長の伴い6月には激減することが明らかとなった.
著者
鶴永 陽子 松本 敏一 倉橋 孝夫 持田 圭介 板村 裕之
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.321-324, 2006-09-15
参考文献数
17
被引用文献数
4 6

14年生カキ&lsquo;西条&rsquo;を用い,成育中の柿葉におけるアスコルビン酸,イソケルシトリン,アストラガリン,ポリフェノール量含量の推移を検討した.その結果,アスコルビン酸とポリフェノールは6月から7月の含量がもっとも高く,それぞれ3700 mg/100 gDW,16100 mg/100 gDW(アストラガリン相当量)であった.また,イソケルシトリン,アストラガリン含量は5月葉が最も高く,それぞれ480, 520 mg/100 gDWで,その後新梢長の急激な伸長の伴い6月には激減することが明らかとなった.<br>
著者
今西 弘子 生尾 昌子 稲本 勝彦 土井 元章 今西 英雄
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.71-74, 2002-04-01
参考文献数
10
被引用文献数
12 8

オフィスにおけるインテリアグリーンがそこに働く人々に与える心理的効果を中心に,インテリアグリーンの効果的な使用法を探る目的で,アンケート調査が行われた.その結果,オフィス内にかなりの量の観葉植物があることが望まれ,それが仕事の上にもよい影響を及ぼすと感じられていること,観葉植物としてアートプランツの使用も容認されること,観葉植物に比べ花はより好感をもって受け入れられることが明らかになった.<br>
著者
水田 洋一 川西 孝秀 矢澤 進
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.165-170, 2003-09-15
参考文献数
7

培地を無くし,遮根できる布(底面遮板材)を用いて底面給液することにより,根域を薄層化することで,セル成型育苗システムを軽量化しだセルシード育苗法を開発した.底面遮根材および根域を保護する資材(根域保護材)が,苗の接着性,生存率,地上部生体重に及ぼす影響をレタス,ハクサイ,トマトで調査した.底面保護材にテトロン200lpiまたはテトロン250lpiを用いると,シートを垂直にぶら下げた程度では苗は全く落下せず,苗を剥がしても根が傷がつかす,適当な苗の接着性があった.底面保護材にテトロン200lpi,根域保護材に80℃で乾燥したピートモス200~400ml/シートの組み合わせで,対照のセルトレイ区よりも地上部生体重が大きくなった.しかし,レタスではセルシートを根域保護材で被覆した場合,生存率が低下した.