著者
臼崎 翔太郎
出版者
宮崎大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2023-04-01

研究期間は、透過物体越しに撮影した際の反射(以降、透過的反射とする)も含むSNS投稿画像内の人間映り込み箇所の検出を目的とし、提案手法(反射成分を分離するモデル+人間の検出モデル)と、既存手法(人間の検出モデル単体)を比較し、提案手法が「通常の映り込み」と「透過的反射の映り込み」の両方を精度よく検出できるか検証する。2枚の画像を重ねた疑似透過的反射画像や、カメラで撮影して作成した実際の透過的反射画像で「透過的反射による映り込み」の検出精度を、反射成分の無い画像で「通常の映り込み」の検出精度を確認し、両者において高い水準で人間を検出できるかを確かめる。
著者
藤原 宏志 宇田津 徹朗 大平 明夫 柳沢 一男
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

土器胎土に含まれるプラント・オパールを検出する方法は、当該土器が製作される以前、土器製作地に検出プラント・オパールの給源植物が存在したことを立証する有効な方法である。本研究では、土壌および土器胎土に含まれるプラント・オパールを検出し、イネ(0ryza satival L)をはじめ、イネ科作物の栽培起源の追究を試みた。以下に、その大要を述べる。*縄文時代早期--鹿児島:上野原遺跡におけるテフラ(BP9000)直下の土壌試料からイヌビエ(Echinocloa属)のプラント・オパールを検出した。イヌビエと栽培ビエは極めて近縁であり、両者とも食用になる。当該遺跡では集落跡が確認されており、ヒエの粗放栽培が始まっていた可能性も充分考えられる。*縄文時代前期--青森:三内丸山遺跡出土の土器胎土分析の桔果、イヌビエのプラント・オパールが大量に検出された。遺跡が大規模集落であることを考えると、ヒエ栽培の可能性も視野に入れる必要があろう。*縄文時代後期--岡山:岡山大学構内遺跡出土の土器および岡山:南溝手遺跡出土の土器胎土分析の結果、イヌビエのプラント・オパールが検出された。これらの土器は約3500年前に製作されたものであり、同時代すでに西日本で稲作が行われていたことを証すものであろう。また、長崎:稗日原遺跡では、縄文時代後期に堆積したと考えられる火山灰(六ツ木火砕流:約3600年前)の直下からイネのプラント・オパールが検出された。これらのイネは、その随伴植物および遺跡の立地から畑作で栽培されたものとみるのが妥当と思われる。
著者
宇田津 徹朗 中村 敏夫 田崎 博之 外山 秀一
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

生産遺構土壌から安定的に検出されるイネを中心とした1年生イネ科植物に由来するプラント・オパールに含まれる炭素を利用して、生産遺構の年代決定を行う手法の構築に取り組んだ。その結果、年代の測定精度には検討の余地があるが、国内の生産遺構土壌については、土壌採取からプラント・オパール抽出、夾雑炭素除去、プラント・オパール中の炭素抽出、年代測定(AMS)までの各工程について、実用性や普及性を備えた条件や方法を決定でき、生産遺構の年代を測定する一連の手法を構築することができた。
著者
藤原 宏志 宇田津 徹朗
出版者
宮崎大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

土器胎土に含まれるプラント・オパールは当該土器が製作される際用いられたた材料土に含まれていたものと考えられる。イネは外来植物であり、もともと日本には存在しない植物である。したがって、イネのプラント・オパールが土器胎土から検出されれば、少なくとも、その土器が製作される以前にイネが導入されていた証拠になる。本研究では、日本、朝鮮半島および中国における先史時代の土器胎土に含まれるイネのプラント・オパールを検出することにより、それぞれの地域における稲作開始期を明らかにしようとするものである。日本:縄文時代岡山:津島遺跡および南溝手遺跡(縄文時代後期:B,C1500)から発掘された同時代の土器胎土からイネが検出された。少なくとも、この時代には日本へイネが伝えられていたと考えられる。朝鮮半島:新石器時代釜山:農所里遺跡(新石器時代後期:B,C1500)で発掘された土器胎土からイネが検出された。朝鮮半島でも日本列島とはぼ同時期にイネが伝えられていた事実は興味深い。中国:新石器時代蘇州:草鞋山遺跡で発掘された馬家浜時代中期(B,C4400)の土器胎土および紅焼土からイネが検出された。長江デルタでは、この時代すでにイネがあったことがわかる。ただし、この時代は地球温暖期にあたり、この地域に野性イネが存在(少なくとも、現在は存在しないが)していた可能性をも考慮しておく必要があろう。
著者
岩本 俊孝 ツルハ アデフリス テフェリ ゲメチュ 星野 次郎 庄武 孝義 森 明雄 河合 雅雄 TURGA Adefris ラフェリ ゲメチュ
出版者
宮崎大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1992

本研究の主たる目的は、エチオピア南部高原に生息するゲラダヒヒ、マントヒヒ、アヌビスヒヒ3種の生態的地位の重なり、社会構造、遺伝的距離を明らかにすることにより、3種の種分化過程を分析・復元することであった。さらに、アヌビスヒヒとマントヒヒとの間で生じている雑種個体群の分布域の広がり、雑種化を可能とした社会的機構、雑種ヒヒの遺伝的組成等を研究することにより、霊長類の種の競合及び新種形成のメカニズムに迫ろうとした。まず、アヌビスヒヒとマントヒヒの雑種形成過程についてであるが、南部高原のアルシ、バレ州においてこれまで分布上問題のあった2カ所について、より広範で詳細な分布調査を行った。森(1991)が雑種の存在を指摘していたアルシ州のセル高原地方では、近くにアヌビスヒヒの個体群は発見されていなかった。そのため、オスのアヌビスヒヒの長距離分散、あるいは低地乾燥地帯に生息するアヌビスヒヒ群の存在が予見されていた。しかし、今回の踏査でもアヌビスの個体群の存在は確認されず、逆に低地河床付近に生息するマントヒヒがアヌビスヒヒに似て体毛及び皮膚が暗色化する変異を持つことが発見された。そのため、この高地で先に雑種と認定された個体群は雑種ではなく、低地から遊動してきたマントヒヒの可能性が高くなった。これにより、マントヒヒ群の移動性の高さと形態的変異の大きさが改めて認識されるとともに、アヌビスヒヒの低地乾燥地帯での分布の可能性が否定された。他の1カ所の分布調査地はバレ州のセバジャ付近であり、前の調査で典型的な両種間の雑種が発見されていた地点よりアヌビス側に位置する。この地より東のマントヒヒ側では、東に行くほどアヌビス的特徴が急速に減少していたが、アヌビス側ではアヌビス、マント、雑種ヒヒ3個体群がモザイク状に入り組んで混在していることが明らかになった。すなわち、両種の雑種域の形成はマントヒヒの移動力の高さと、侵略性によるものである可能性が高いと結論できた。なお、初年度、政情不安のためこの地に入ることができなかったため、雑種ヒヒの捕獲作業が予定通り進まず、血液採取による遺伝学的分析は、行えなかった。しかし、平成5年度には、次期研究のための捕獲可能個体群の探索と、人付けの作業が行われた。アルシ州では、ゲラダヒヒとマントヒヒが同所的に生活している。両種の共存を可能にしているメカニズムを生態学的に把握するため、群れ構成、土地利用、食性分析、活動リズム、両種の出会い時の相互干渉などを観察した。その結果、両種はとまり場として同じ崖を共用しているだけで、食性、土地利用の仕方において全く異なった生態的特徴を持っており、その違いが共存を可能にしていると結論された。両者は出会うと比較的容易に融合するが、群れとしてはゲラダヒヒの方が劣位である。出会いの頻度が高いことを考えれば、両種の雑種化の可能性もある。遺伝学的分析が今後の重要な研究課題となる。平成4年度、南部高原での調査が政情不安のため実現できなかったので、北部高原のショワ州のゴシメダとゴンダール州のセミエン国立公園で、ゲラダヒヒの社会・生態学的研究を行った。その研究結果を、平成5年度に行った南部高原のアルシ州でのゲラダヒヒの資料と比較した。アルシ州のゲラダヒヒは、これまで知られている内では最も乾燥した厳しい環境下に生息しており、従来の常識を破る適応力を示していた。すなわち、食性において高い果実食の割合を示し、移動に長時間を費やしていた。また、社会行動でも、単オス群間の親和性が低く、遠距離を伝えるために音声が発達している等特殊な面が見られ、この土地のゲラダヒヒ個体群の、北部個体群からの遺伝的独自性(亜種の可能性)を十分予測させる観察結果を得ることができた。また、この南部高原で標高約1600mという極めて低標高の乾燥地帯に生息する群れを発見することができ、ゲラダヒヒの適応放散過程を知る上での貴重な生態資料を得た。また、今回の調査では、ゲラダヒヒの捕獲は不可能であったが、これまで北部高原で収集していた血液サンプルを分析し、ゲラダヒヒの個体群の起源は分布北限(セミエン国立公園)あたりにあるのではないかということ推測させる結果を得た。このデータは南部で今後得られる血液サンプルと比較のため利用される。以上、予知不可能な政情不安による調査地の限定という障害はあったが、エチオピア高原におけるヒヒ類の適応放散及び雑種化の過程では、マントヒヒの分散力・適応力の高さと、それを可能にする崖環境、すなわち峡谷系の発達が重要な鍵であったことが本研究で明らかになった。
著者
御手洗 正文
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、農薬による線虫防除法の代替技術として、植物エッセンスによる線虫防除技術を確立することである。24年度は、ニッケイ、トウガラシ類(ジョロキア、黄金等)、25・26年度は木本類であるシキミ、アセビのエッセンスを水蒸気蒸留法、バーコレーション法、圧搾法、煮出し法,エタノール溶媒抽出法を用いて抽出した。また、試作した植物酢液抽出装置によりショウガ酢液、トウガラシ酢液、シキミ酢液、アセビ酢液の殺線虫効果を調査した。その結果、①ニッケイ、②トウガラシ、③ショウガ、④シキミ、⑤アセビのエッセンスには、強い殺線虫効果があることが明らかになった。
著者
原田 栄津子
出版者
宮崎大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2019-08-30

亜熱帯地方の広い範囲で自生し濃厚な旨味をもつ高級食材である亜熱帯性食用担子菌オオシロアリタケ属菌は人工栽培化が強く望まれている食用きのこの一つである。このきのこは、キノコシロアリと共に生活環を維持している共生菌であり、さらにきのこ中の生理活性化合物も注目されている薬食用きのこでもある。この独自に進化した生態系を持ち、且つ創薬の可能性も兼ね備えたオオシロアリタケ属菌研究の最初のステップとして、国内外に散在するオオシロアリタケを採取し、その子実体や菌薗を多角的分析する。得られた成果により世界初の人工栽培化を目指し、最終的にきのこと昆虫の絶対的相利共生の謎に迫る。
著者
宇田津 徹朗 木下 尚子 藤原 宏志
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

1.琉球列島における稲作の始まりと伝播ルートの存否について琉球列島に所在する34の遺跡について調査分析を実施し、琉球列島におけるグスク時代と貝塚時代後期における稲作の存在について検討を行った。その結果、グスク時代の遺跡については、稲作の存在を分析的に確認することができたが、貝塚時代後期については、稲作の存在を示すデータは得られなかった。特に、グスク時代には琉球列島全域で稲作が営まれていたことを示すデータが得られている。また、プラント・オパール形状解析の結果、栽培されていたイネはジャポニカであることも明らかとなっている。以上の結果から、貝塚時代における稲作および南方ルート成立の可能性は低く、列島に稲作が定着したのは、グスク時代であると考えられる。なお、この結果は、現在までの考古学的な調査所見とも矛盾のないものとなっている。2.北部九州における縄文後期、晩期における稲作の存在とその広がりについて南方ルートを除く2つの伝播ルートの可能性を検討するために、これらの共通の窓口である北部九州における縄文後晩期の稲作の存在とひろがりについて調査を行った。具体的には、北部九州に所在する13の遺跡の土器や土壌についてプラント・オパール分析を実施し、検討を行った。その結果、7つの遺跡で、縄文後期あるいは晩期の試料からイネプラント・オパールが検出され、北部九州における縄文後晩期の稲作の存在とその広がりについて確認をすることができた。今回の結果は、北部九州を窓口とする伝播ルートの可能性を支持するものであり、今後、さらに調査事例を増すことにより、検証を進める必要がある。
著者
幡手 英雄
出版者
宮崎大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 地域事業 地域イノベーション創出総合支援事業 シーズ発掘試験
巻号頁・発行日
2006

化成分の開発が期待されている。このような状況で申請者らは、現在まで利用されずに廃棄されてきたウニ殻(外皮と棘)の利用技術開発を目指し、ウニ殻に含まれる色素の強い過酸化脂質阻害力を明らかにした。このウニ殻色素は、我々が日常摂取しているウニ生殖巣にも普遍的に存在するエキノクロームAなどのポリフェノール類で、高い安全性が保証され、現在の消費者ニーズにも合致する優れた抗酸化成分と考えられる。しかしながら、ウニ殻色素の抗酸化機能に関して申請者らの研究以外には知られておらず、いぜんとして未解明の部分がある。そこで本課
著者
林 則行
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

商用周波数領域において人体内部抵抗および体内電流密度分布の検討を行った。BMIが16.1~41.4 kg/m2の被験者26名に対して550 ~800Ωの人体内部抵抗値が得られた。これらの実測値は過去の同様な実測結果ともよく一致したが,詳細人体モデルを用いた数値解析値と比較すると1/3~1/2倍程度とかなり小さい。しかし,人体内部抵抗とBMIとの関係や電流経路に沿った相対的な人体内部抵抗の分布特性は数値解析値とよく一致した。また,BMI値が増加すると、人体内部抵抗値は減少すること,心臓周辺では、導電率の高い、肺や心臓などに電流が集中し、その電流の方向は感電経路に依存することが分かった。
著者
中堀 博司
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

4年目の2019年度には、研究代表者の中堀が、低地地方の主要都市リルにおいて追加の調査を実施した。リルは、ブルゴーニュ公国の形成から崩壊までほぼ1世紀を通じて北の拠点で(南の拠点はディジョン)、同市にかかわる調査は以下の通りである。①ブルゴーニュ公滞在時の宮廷・都市イベントに関する新たな文献資料調査、②宮廷・都市イベントを記述する年代記の分析(特に重要なのはJ.デュ・クレール『覚書』)、③都市リルの宮廷関連施設についての地誌的検討である。①~③は相互に関連するが、特に③都市地誌の検討が重要である。1450年代以後、第3代ブルゴーニュ公(フランドル伯)フィリップ・ル・ボンは、新たにリウール宮(Palais Rihour)の建設を開始した(その一部遺構のみ現存)。その結果、1460年代から、フランドル伯がそれまで居所としてきたド・ラ・サル館(Hotel de la Salle)は、都市リルに譲渡されたのち16世紀には廃棄された。ところで、このド・ラ・サル館においてこそ第1回金羊毛騎士団総会や名高い雉の誓いの宴、また宮廷貴族の結婚式ほか数々の祝祭イベントが繰り広げられたが、実はその所在地すら謎めいたままである。この点を明らかにするための資料調査・収集を、リル大学附属図書館、ノール県文書館、リル市立文書館および図書館で重点的に実施することができた。その他、研究協力者の畑は、前年度までに収集した史資料の分析に基づき、ホラント・ゼラント都市に関する報告を行った。
著者
杉本 安寛 LIN Dongzhi
出版者
宮崎大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、薬用植物から化学除草剤や殺菌剤の代替となる天然化合物を見出し、将来安全性の高い天然化合物による生物的除草剤・殺菌剤開発に関する基礎知見を得、省農薬農業技術確立に資することにある。これまでには以下の結果を得た。1.九州暖地に生育する多数の薬用植物を供試し、それらの植物体抽出液がレタスならびに水田雑草(ヒメタイムビエやコナギなど)の生育に及ぼす影響を検討したところ、強い抑制効果のあるリュウノヒゲ(Ophiopogon japonicusK)やドクダミ(Houttynia cordataT.)やビワ(Eriobotrya japonica)やカンナ(Canna generali)の4種薬用植物を見出した。2.リュウノヒゲに含まれる天然抑制物質の同定を行った結果、ρ-ヒドロキシ安息香酸、バニリン酸、シリンガ酸、シリングアルデヒド、シナピン酸およびサリチル酸の6種フェノール性物質が存在することが分かった。そのなかで、最も含量高い成分はサリチル酸であった。3.ドクダミに含まれる天然抑制化学物質の同定を試み、メチ-n-ノニルケトン、ラウリンアルデヒド、カプリンアルデヒドならびにクエルシトリンのような化合物の存在することが推測できた。そのなかで、最も抑制効果のある成分はメチ-n-ノニルケトンならびにカプリンアルデヒドであることが判明した。4.リュウノヒゲ(Ophiopogon japonicusK)やドクダミ(Houttynia cordataT.)やビワ(Eriobotrya japonica)やカンナ(Canna generali)の乾燥粉末を用いて実際の農業現場において、水田雑草がかなり抑制され、水稲の生育と収量に対する抑制作用はあまり見られなかった。
著者
黒田 嘉紀
出版者
宮崎大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

鉱物油の免疫学的影響について、鉱物油を投与したマウスの腹腔細胞、脾臓細胞を使用しT細胞、マクロファージ細胞及びB細胞への影響についてFCMを使用し、細胞表面レセプターについて検討した。T細胞ではCD28、ICOS、CD40L、PD1が増加していた。またマクロファージ及びB細胞についてはCD28、ICOS、CD40LのリガンドであるICOS-L、CD40、PD-L1 PD-L2はいずれも低下していた。これらの結果からT細胞は刺激され、マクロファージ細胞及びB細胞抑制される可能性が示唆された。
著者
望月 仁志 中里 雅光 塩見 一剛 十枝内 厚次 石井 信之
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

慢性砒素中毒は多臓器にまたがる障害を生じ、近年多くの国において健康被害の脅威となっている。宮崎県土呂久地区では、1920年から1962年に高濃度慢性砒素中毒患者が生じた 。住民検診において、多くは温痛覚性末梢神経障害を呈し、重症例では深部感覚障害を併発した。体性感覚誘発電位では重症例において中枢伝導時間の遅延が認められた。低濃度の飲料水砒素汚染が広がっているミャンマー国における住民検診にて、神経学的評価を実施した。50ug/Lを越えた飲料水摂取群では振動覚性末梢神経障害と中枢神経障害を呈した。これらの結果は、初めての知見であり、世界に数千万人と言われる砒素中毒患者の診療に重要な情報となる。
著者
三浦 知之 森 和也
出版者
宮崎大学
雑誌
宮崎大学農学部研究報告 (ISSN:05446066)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.47-63, 2008-01

宮崎港の北に位置する9.6haの一ツ葉入り江に出現する鳥類について、これまで1年間の調査による出現種の結果を報告したが、本報では出現鳥類の季節的消長と摂餌生態を報告するとともに、入り江を繁殖地とするコアジサシの営巣の状況と営巣地保全に関する考察をおこなった。2002年から2007年まで、一ツ葉入り江において22科60種の鳥類の飛来が記録され、環境庁レッドデータブックで絶滅危惧I類CRのクロツラヘラサギ、絶滅危惧II類VUのズグロカモメ、コアジサシ、セイタカシギ、アカアシシギ、ホウロクシギおよび準絶滅危惧NTチュウサギ、ミサゴ、カラシラサギが確認された。同記載種であるコアジサシは、2002年、2004年、2006年および2007年に営巣した。留鳥はチドリ科のシロチドリ、サギ科のコサギ、ダイサギ、アオサギおよびカラス科のハシボソガラス、シギ科のイソシギ、カワセミ科のカワセミ、タカ科のミサゴおよびサギ科のアマサギであった。他に非湿地性鳥類10種も出現した。シロチドリは入り江の砂嘴部で繁殖した。夏鳥としてはカモメ科のコアジサシ、アジサシ、クロハラアジサシ、ハジロクロハラアジサシおよびサギ科のササゴイの5種であった。冬鳥は、ガンカモ科のマガモを含む12種が記録された。旅鳥はシギ科のハマシギを含む18種が記録された。これらの鳥類に関して、糞あるいはペリットを排出直後に採取し、餌生物の分析を行った。特にシギ類は入り江の甲殻類や魚を良く捕食し、入り江で最も生息個体数の多いコメツキガニが糞やペリットに頻出した。コアジサシがほぼ毎年営巣していたが、特に2006年と2007年の観察を元に一ツ葉入り江のコアジサシ繁殖地としての可能性を考察した。営巣の攪乱要因としては、台風や大雨による水位の上昇および人・車・飼育動物の侵入の影響が大きく、人的攪乱をできるだけさけることが肝心であるが、自然災害に対しては営巣地の数を増やすことが唯一の対応策となろう。営巣地に必要な立地条件としては見通しの良い荒れ地であることが重要であり、草地化を防止し、砂利などを敷けば、一ツ葉入り江は数百規模の営巣が可能になると考える。
著者
松井 秀彰
出版者
宮崎大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では超短命の脊椎動物であるアフリカメダカにおいて加齢以外になんら特別な処置なしに、ヒトパーキンソン病に酷似した病変が進んでいくことを見いだしました。すなわちアフリカメダカは加齢依存性に神経変性およびαシヌクレイン陽性の凝集体の進展を示しました。これはまさにヒトパーキンソン病病理に瓜二つと言えます。