著者
清野 豊 大橋 宣子 河野 達郎
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究ではラットを用いて、βアラニンの脊髄後角における電気生理学的実験を行った。βアラニンが脊髄後角において抑制性シナプス伝達に関与していることを突き止めた。またこの作用には、濃度依存性があることをつきとめた。関与している受容体についても調査を行い、βアラニンはClイオンチャネルを介して作用する点、GABAA受容体には関与せず、グリシン受容体を介している点を明らかにした。
著者
坂井 雅人
出版者
新潟大学
巻号頁・発行日
2012

新大院博(理)甲第359号
著者
三ツ井 敏明 高橋 秀行 花城 勲 黒田 昌治 木下 哲
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究課題では、高温登熟玄米のプロテオームと澱粉グライコーム解析を行い、玄米白濁化は澱粉合成と分解のバランス異常が原因であると結論づけた。また、玄米外観品質に及ぼす強光・高CO2および高温・高CO2の影響を調べたところ、開花から登熟期初期において感受性が高いことが明らかになった。ただし、高CO2条件のみでは顕著な玄米白濁化は起こらないが、高CO2は高温ストレスを助長することが分かった。イネの高温耐性に関して鍵となる酵素としてMn型スーパーオキシドジスムターゼ(MSD1)が同定され、MSD1遺伝子の強発現により高温登熟性が改善され、一方、その発現抑制によって高温感受性が高まることが確認された。
著者
河野 達郎
出版者
新潟大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

アセトアミノフェンは解熱鎮痛薬として臨床で使用されている薬物でありながら、作用機序は明らかでない。近年、代謝物のAM404が脳のTRPV1受容体やCB1受容体に作用することで鎮痛作用を発揮していることが報告された。しかし、脊髄後角での作用は明らかではない。アセトアミノフェンの全身投与はin vivo脊髄標本での末梢からの痛み刺激に対する反応を抑制した。さらに、in vitro脊髄標本でのAM404はC線維終末のTRPV1受容体に作用し、興奮性伝達を抑制した。アセトアミノフェンはAM404へ代謝され、脊髄後角ニューロンのC線維終末のTRPV1受容体に作用し鎮痛効果を示すことが明らかになった。
著者
福原 晴夫
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

1.北日本を中心とした分布調査により、日本海側ではチョウセンコツブムシが淡水にまで生育地を広げているが、太平洋側では別の種(キスイコツブムシ)が淡水域に侵入している可能性が指摘された。2.汽水域(阿賀野川)でのチョウセンコツブムシの生活史の特徴は、年2回の繁殖期があり、夏世代と秋世代の間の繁殖が行われた。3.淡水域(越口の池)では、秋世代の存在が明らかではなく、異なった年次の春世代の間で繁殖が起こり、一年目は雌として2年めは雄として繁殖を行うことが明かとなった。4.性転換にともなうステージの違いをタイプとして明らかにし、生活史の経過を詳細に解明することが出来た。5.チョウセンコツブムシの成熟期におけるサイズの比較を汽水産、淡水産で行ったが、傾向は明らかではなかった。また交尾前ガードの雄と雌にはサイズ同類交配の傾向がある地域もあった。6.チョウセンコツブムシのサイズ同類交配の成立に関する実験では、雄の大型雌の選択、乗っ取り、雌の取り換えなどが関係することが明らかとなった。7.淡水および汽水に生息するチョウセンコツブムシの繁殖形質の比較を行い、淡水では卵の小産化の傾向が明かとなった。8.淡水産と汽水産との遺伝的分化の程度を検討するため、アイソザイム分析を行っているが、変異酵素の探索中で、淡水適応における遺伝的分化が今後の大きな課題となる。
著者
児玉 臨麟 岡本 明 福島 正義 興地 隆史
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は,エナメル亀裂の発生頻度や臨床症状にっいて調査を行った.その結果として:1.亀裂検出率は年齢増加と共に上昇傾向を示し50代以後では100%の被験歯に亀裂が認めた.2.10~30代の被験者では,修復歯は非修復歯と比較して亀裂検出率が高い傾向を示した.3.加齢に伴って亀裂の着色により肉眼で容易に確認可能できる亀裂の割合が増加した.4.冷刺激による誘発痛は,20-60代の被験者において亀裂歯の13-16.7%に認められた.5.噛み合わせ指導、う蝕予防、口腔衛生指導、低稠度樹脂性材料による亀裂の封鎖などは、亀裂の予防対策あるいは早期治療方法として有効である。
著者
森田 龍義 西野 貴子
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

東アジア産タンポポ属の2倍体種の種分化について、日本列島において分化したケースと、日本列島以外の地域において分化した後、移住してきたケースが考えられる。この問題を解く手がかりを得るため、台湾のタカサゴタンポポの5つの自然集団からサンプリングを行い、12酵素14遺伝子座の酵素多型を用いて、日本列島の2倍体分類群との遺伝的距離を測定した。調査した日本産2倍体は、カンサイタンポポ5集団、カントウタンポポ2集団、トウカイタンポポ1集団、シナノタンポポ5集団、オキタンポポ2集団、ユウバリタンポポ1集団である。分子系統樹作成のプログラム(PHYLIP)を用いて系統樹を作成した結果、(1)台湾のタカサゴタンポポ5集団が1つのクレードを作り、最初に分岐すること、(2)次いで、隠岐のオキタンポポが分岐すること、(3)カンサイタンポポとカントウタンポポの各分類群及びユウバリタンポポが1つのクレードを作り、その中ではカンサイタンポポと他の群が分岐することが明らかとなり、日本産2倍体分類群が日本列島内で分化した可能性が高いことを示唆する結果が得られた。2.シロバナタンポポ(5倍体種)は1クローンであり、カンサイタンポポを種子親とし、未知の4倍体種を花粉親とする雑種起源の可能性が高いことがすでに明らかにされている。そこで花粉親の4倍体種を明らかにする目的でアイソザイム分析を行った。調査した種は、西日本に分布する4種:キビシロタンポポ、ケンサキタンポポ、クシバタンポポ、ツクシタンポポ及び、韓国の2種:ケイリンシロタンポポ、コウライタンポポである。花粉親としての条件は、(1)シロバナタンポポによりカンサイタンポポにない対立遺伝子(SKDH-D、MDH-C)を持つこと、(2)シロバナタンポポにない対立遺伝子を持たないことであるが、これらの条件を満たす種は、ケイリンシロタンポポであることが判明した。
著者
中田 光 井上 義一 中垣 和英 田澤 立之
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

エラー!平成18年度に引き続き、19年4月〜20年3月までは、特発性肺胞タンパク症(自己免疫性肺胞タンパク症)の末梢血及び気管支肺胞洗浄液中のマクロファージ、リンパ球のFACS解析を行った。末梢血では、リンパ球中でもT細胞とNK細胞の減少が見られた。サブセットではCD8陽性細胞が減少していた。CD4T細胞のうち、memory, effectorの数は減少していないが、naiveT細胞が減少していた。興味深いことにCD4T細胞の一部はautoMLRで増殖期に入っており、活性化していることが示唆された。CD19陽性B細胞では、B1cell, B2cellの割合は健常者と変わりないが、CD138陽性形質細胞の割合が上昇していた。単球では、CD86陽性細胞の割合は変わらないが、抑制性のシグナルに関与するPDL1の発現が低下していた。この低下は、単球をGM-CSF存在下で培養することで、回復した。以上のことから、本症では、抗GM-CSF自己抗体の存在により、単球マクロファージのPDL1の発現が低下し、抑制性のシグナル伝達障害により、T細胞の活性化やB細胞の成熟促進がおこるのではないかと思われる。一方、患者肺胞洗浄液では、リンパ球の増加が見られ、洗浄液中のMCP-1濃度と相関していた。また、抗GM-CSF自己抗体価とMCP-1濃度に相関が見られた。肺においては、GM-CSFシグナル伝達障害により、MCP-1濃度が上昇し、リンパ球の遊走と流入が起こると思われる。
著者
岡田 正彦 松戸 隆之 三井田 孝 大林 光念 稲野 浩一
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

動脈硬化症の初期変化をもたらす一つのきっかけは、低比重リポ蛋白(LDL)がラジカル種の攻撃で酸化変性を受け、生理的な代謝が行われなくなることにあると考えられている。しかし、具体的にLDLのどのような構造変化が血管内皮に対して異常信号として作用するのかについては、不明のままとなっている。本研究では、以下の成果をあげることができた。1.アポBの糖鎖構造と易酸化性との関係について調べた.その結果native LDLと酸化LDLで糖鎖構造に違いは認められなかったが、ある切断酵素を作用させたときにだけ、易酸化性が有意に上昇するという現象を認めた。この結果から、アポB上のある種の糖鎖が酸化防御に関わっていることが推測された。2.LDLの酸化によって生じるアポBのフラグメント解析を試みた。ところが種々のフラグメントのアミノ酸配列をホモロジー検索したところ、アポB以外のさまざまなたんぱく質が非特異的に結合していることが分かった。3.酸化LDLを血管内皮細胞に作用させ、VCAM-1のmRNAの変化を調べるという実験系の検討に入った。まず内皮細胞にIL-1を、濃度と時間を変えながら作用させ、VCAM-1のmRNAが発現する最適条件を検討した。さらにVCAM-1アンチセンスを用いたハイブリダイゼーションで、当該バンドが安定して確認できる条件を探った。その結果、IL-1および精製した酸化LDLを内皮細胞に作用させると、VCAM-1のmRNAが明らかに増加する事実を確認することができた。4.酸化によってLDLにどのような構造変化が起きるのかを確かめるべく、アポBの立体構造を解析する研究にも着手することができた。その結果、アポBの膜内でαヘリックスの束を作っている領域が5つあることを確認できた。これは、従来の生化学的な分析結果ともよく一致しており、方法の正しさが証明できたものと考えている。
著者
井上 敬一
出版者
新潟大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

機能未知の遺伝子C9orf72のイントロンへのリピートの挿入変異は、進行性神経変性疾患である筋萎縮性側索硬化症ALSと前頭側頭型認知症FTDの最大の原因である。この変異は異常mRNAを発現させ、mRNAが核内で凝集し(RNA foci)細胞毒性を示す。それゆえRNA fociの除去を目的とした治療法が求められるが、オートファジーは細胞質に存在する基質を分解するため、核内の凝集体は分解できない。そこで申請者は、ALS/FTDの治療法の開発を目的として、核内のRNA fociをオートファジーにより分解させる方法の樹立をめざす。