著者
岡崎 桂一
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

倍数性および種間交雑育種法は園芸作物の育種として極めて重要である。そこで,本研究では,染色体倍加の新技術として,笑気ガス処理による花粉の染色体を倍加する方法や種間雑種の不稔性を回復する技術を開発した。また,ゲノムや染色体の同定を行うため,rDNAを用いたFISH解析やGISH解析により,雑種のゲノム構成を明らかにする技術を開発した。これらの技術は,ユリおよびチューリップの染色体同定に有効であるとともに,不稔性種間交雑種の稔性を回復させ交配母本とし利用できることを示した画期的な育種法を提示するものである。
著者
小林 昌二
出版者
新潟大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

5月期に口頭発表をした原稿について7月期に補足・補強して「日本古代の集落形態を村落(共同体)」として発表した(『歴史学研究』、626号、1991年11月)。この要旨について簡単にふれ、以後の研究について記す。一.弥生後期の環濠集落の解体により、古墳時代の豪族居館跡と集落跡とに分化・分裂していく様子を跡づけようとした。豪族居館も6世紀半ばを境に度質し、環濠土塁などの防御施設をもたないものとなっていく実態を,これまでの発堀調査例から指摘した。二.古代史の文献からも7世紀初頭の小墾田宮に環濠土塁は知られず,最近の調査例からも確認されない。その点からも豪族居館跡の変質も類推された。その背景に,志紀県主が屋根に堅魚木を掲げて雄略大王に処断された古事記記事のように,大王様による規制・王法の存在を想定した。三.大王権・主法の関連するこの時期の問題としてミヤケの,とくに後期ミヤケの事例として播磨風土記の扱う揖保郡の開発問題と,上毛野の緑野・佐野屯倉の検討を行った。(そのためのフィ-ルドワ-クと更なる資料蒐集の必要から調査を以後において行った。)四.古代集落をいくつか集めた「村」(共同体)の史的前提の基本をミヤケにおいて理解することは,豪族居館の環濠形態の規制をした大王権・王法を媒介にして可態であると思われ,従って,日本古代の「村」ムラには同称に環濠や村門などがないという特質に結びつく。ミヤケと集落,豪族居館と集落など具体的に実証しなければならない課題を残しつつ,一応巨視的な見通しを確立できたように考えている。以後,こうした実証的課題のために資料蒐集とその分析・検討・フィ-ルドワ-クを重ねているので、成果がまとまり次第発表する予定である。

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著者
岡村 浩
出版者
新潟大学
雑誌
新潟大学教育人間科学部紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:13442953)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.170-154, 2006-10
著者
豊田 光世
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、自然環境の保全や資源管理をめぐる倫理的課題を分析し、ボトムアップの保全・再生事業を支える理念と実践プロセスを考察した。地域環境のガバナンスを考えていくうえで、風景や環境の価値認識の差異、土地所有から生じる権利や義務の問題、資源管理を支援・規制するための社会制度、地域のソーシャルキャピタル、人びとの価値観や思いなどといった視点から課題を整理していく必要がある。本研究では、新潟県佐渡市で進めた地域環境整備に向けた対話と協働の実践を通して、これらの課題について分析し、ガバナンスの推進において「多層的コモンズの包括的認識」と「プロセスと成果のオーナーシップの獲得」が重要であることを示した。
著者
李 建仁
出版者
新潟大学
雑誌
現代社会文化研究 (ISSN:13458485)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.127-144, 2002-11

本稿対中国刑事訴訟的審判前程序進行了概観分析。因偵査階段主要由公安機関負責,起訴審査階段由検察機関負責。加上公・検機関在審判前程序中不受司法審査制約,故審判前程序存在着以下問題 : (1)因公安機関与検察機関在行使強制措施与専門性調査活動的権限時不受司法審査制約,故濫用職権的問題難于解決。(2)在起訴審査程序上,因該程序缺少訴訟特征,且検察機関自身有着偵査機関特性,故検察機関難于持中立的立場進行客観審査。(3)因保障犯罪嫌疑人権利的程序極少,加上犯罪嫌疑人承担着「如実回答」的法律義務,故犯罪嫌疑人的人権得不到充分保障。(4)因拘留,逮捕,起訴審査及補充偵査的期限合計可達到1年2個月以上,加上還可以利用取保候審・監視居住等強制措施控制犯罪嫌疑人,故従国際人権法的角度来看,犯罪嫌疑人受羈押,受控制的期限過長。
著者
神原 信幸
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

本研究により、アメリカの事例研究から、高大連携と学習の生産性の論点がリンクしていることが明確になり、教育接続の問題と、高等教育計画の効率化、社会発展アプローチ別の視点を包含した政策の理論化を果たした。日本でも、緊縮財政下の高等教育は、効率化と、教育機会の均等性の確保、大学教育の質の向上を追及することが必要であるが、そのための政策や実践の形成や、評価、改善のサイクルに資する基礎付けが可能になった。
著者
齋藤 君枝 青木 萩子 藤原 直士 後藤 雅博 渡辺 洋子 岩佐 有華
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

応急仮設住宅生活経験のある高齢被災者の身体機能とストレスを定量的に中長期間評価し,応急仮設住宅入居からコミュニティにおける再建後5年までの生活現象を民族看護学的手法により検討した.再建に伴い女性の身体変化が見られ,被災後の経過と季節の影響を受けると考えられた.再建後ストレスの長期的な変化は認められなかった.被災高齢者の生活適応には,地域の文化や行動様式の維持が重要であり,応急仮設住宅生活から長期的な体力保持と健康管理,自立支援,文化ケアが求められる.
著者
鯰越 溢弘
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、平成21年5月21日以降に我が国において実施されることとなった裁判員裁判における立証活動の理論的・実証的な研究を目的とするものであるが、その研究の成果は、研究論文の発表、講演会の講師としての講演、実際の裁判員裁判の弁護活動の中で示された。
著者
中川 諭
出版者
新潟大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1998

本年度は、昨年度の基礎的作業をもとにしてさらに研究を進めた。具体的には、昨年度明らかにした元代における「三国物語」の特徴をふまえた上で、特に「関雲長単刀会」と「桃園結義」の場面を取り上げて、深く考察を行った。まず正史『三国志』にも関連する記述が見られる場面として「関雲長単刀会」を取り上げ、『三国志』・『三国志平話』・「関雲長独赴単刀会」雑劇・『三国志演義』をそれぞれ比較した。その結果、『三国志』呉書「魯粛伝」などの記述が基礎となって、そこから『三国志平話』や「単刀会」雑劇に見られるような物語へと発展していったこと、そして『三国志演義』では『三国志平話』や「単刀会」雑劇に見られる「単刀会」の物語を基礎としながらも、そこに再び正史『三国志』の記述を引用していることが分かった。また『三国志演義』が成立するに当たって参照された歴史書は、従来言われてきたように『十七史詳節』などの通俗歴史書ではなく、正史『三国志』そのものであったことも指摘した。次に『三国志演義』などの三国物語の中ではフィクションとされる(すなわち『三国志』の中に直接的な記述がない)場面として、「桃園結義」の場面を取り上げて考察を行った。その結果、『三国志演義』の「桃園結義」の場面は直接『三国志平話』や「劉関張桃園三結義」雑劇をもとにして書かれたものではなく、宋元の頃に人々に知られていた「桃園結義」の伝説を基礎としながらも、作者が独自のオリジナル性を発揮しようとして書かれていることが明らかになった。また時に必要に応じて歴史書も参照していることも指摘できた。これらの成果をふまえて研究論文を執筆した。まもなく公刊される予定である。
著者
門脇 基二 藤村 忍
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

A.オートファジーに対するアミノ酸のシグナリング機構の解析1)アミノ酸シグナルのターゲットとしてのLC3の解析:肝細胞でオートファジー開始段階のマーカータンパク質であるLC3の不活性型(I型、遊離型)から活性型(II型、膜結合型)への変換がアミノ酸の刺激に応じて抑制的に制御することが示され、アミノ酸作用のターゲットがオートファゴソーム上のこの分子であることが証明された。細胞内分画をしたところ、細胞質画分にもII型の存在が認められた。この予想外の結果を追求したところ、Phase Partition法および特異的な酵素Atg4B法によるLC3のlipidationを検討したところ、いずれも否定的な結果となり、この細胞質に存在するLC3-II(LC3-Ils)は通常のもの(LC3-IIm)とは違う新しい型であると結論した。B.食品成分によるオートファジーの調節1)ビタミンCのオートファジー活性化機構アスコルビン酸(AsA)のオートファジー促進作用はアミノ酸の共存下でのみ証明された。その作用機構として、デヒドロアスコルビン酸(酸化型)も同様に効果を示したことから、その還元性は直接関与しない可能性が示された。また、AsA合成不能のODSラット肝細胞を用いて、細胞内AsAをゼロにした状態でも細胞外AsAはオートファジー促進能を維持し、またAsAの細胞内への特異的輸送を阻害してもその促進能は影響しなかったことから、AsAは細胞外から作用している可能性が示された。2)抗酸化剤とオートファジーの関係AsAとともにビタミンEも促進能を示したが、アミノ酸の共存は影響せず、両者の作用は異なることが示された。上記のAsAの結果から、単純に抗酸化性が有効であるとは考えられなくなった。さらに茶成分であるEpigallocatechin gallateにもこの促進能が認められ、広汎な食品成分にオートファジーの制御物質が存在することが強く示唆された。
著者
江畑 冬生
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究課題ではユーラシア大陸の東西に広がるチュルク諸語のうち北東語群に分類される諸言語を研究対象として,形態音韻プロセスや文法形式の生産性・義務性にも着目しながら,共時的な文法構造の記述と相互分岐と相互接触による歴史的変遷の解明を試みた.その中でも主としてサハ語・トゥバ語・ハカス語という3つの未解明言語に焦点をあて,現地調査とコーパス調査の両方を活用しながら,形態音韻規則・文法形式の義務性・形態法上の特徴・ボイス接辞の用法・証拠性関連接辞の用法・膠着性の度合い・格接辞の用法などに関する記述的・対照言語学的研究において新たな成果を得た.
著者
竹中 彰治 吉羽 邦彦 大島 勇人 興地 隆史
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

口腔バイオフィルムは他の生体バイオフィルムと違い、生体の切除を伴わず機械的に除去できるため、ブラッシングを主体とした機械的コントロールを原則としている。洗口液に代表される化学的コントロールは、清掃器具が届かない部位のバイオフィルムを殺菌するために有効な手段であるが、バイオフィルムは厚みの増加とともに、殺菌成分が浸透しにくくなっており短時間で有効な効果が得られにくい。本研究は、口腔健康維持のための簡便かつ効果的な新しいバイオフィルムコントロール法を開発するためにバイオフィルムの特性に注目した多方面アプローチを試みた。その結果、化学的コントロールが具備すべきいくつかの要件を見い出した。