著者
竹中 彰治 大島 勇人 寺尾 豊 小田 真隆
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は、これまでの細菌を標的とした殺菌効果に頼ったバイオフィルム(BF)制御から、マトリックスを標的とした抗菌成分に頼らない新しい制御法への戦略の転換の必要性を提言するとともに、BFの剥離・分散効果に主眼を置いた新しいBF制御法を開発することであった。口腔内環境を再現した細菌培養システムと共焦点レーザー顕微鏡を用いた蛍光イメージング法により、殺菌効果に頼ったBF制御の弊害を明らかにした。そして、新しいコンセプトに基づくバイオフィルム制御剤の開発を進めた結果、細菌増殖に影響を与えることなく、BFの分散・剥離効果ならびに付着抑制効果を有する機能性糖脂質を見出した。
著者
高木 裕 石田 美紀 番場 俊 逸見 龍生
出版者
新潟大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

2015年4月25日に、京都国際マンガミュージアム、京都精華大学国際マンガ研究センターとの共催で国際シンポジウム「ANIMEのアイデンティティ:表現・物語・メディア」を開催し、アニメの〈声〉の表現様態と、そこに立ち現れる主体の擬似的な経験の特質について事例報告をもとに、討議と行った。アニメの場合、〈声〉の源となる仮想の身体の生成には、それに呼応する観客・視聴者・聴取者においても〈声〉の経験が不可欠であることを確認した。
著者
永吉 秀司
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

現在、住職不在の文化財に相応する神社仏閣も数多く存在し、将来文化財として大切にされるべきものが風化にさらされ、危惧する状況にある。このような状況は、地方行政の財政と文化財の再現で必要とされる予算の金額に齟齬が生じている現状があり、その改善方法として、流通性のある建築建材を活用しローコストな支持体による壁画の再現方法を提案するものである。尚、事業協力する寺院は、弘長年間(1261~1264年)に創設された弘長寺で、過去の修繕において壁画を撤去し白壁で塗り替えたという経緯がある。そこでその壁面を中心に脱着可能なパネル型素材を活用して来迎芸術壁画を再現し、新たな地域資産創出の役割も担うものとする。
著者
李 鈺
出版者
新潟大学
巻号頁・発行日
2021

新大院博(文)第63号
著者
馬場 洋
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

成熟ラットから後根付き脊髄スライスを作成し、脊髄後角細胞からホールセルパッチクランプ記録を行った。そして、後根の電気刺激で誘発される単シナプス性興奮性シナプス後電流に対するプレガバリンやガバペンチンの作用を検証した。これらの薬物は単シナプス性興奮性シナプス後電流の大きさを減少させなかった。これらの結果から、プレガバリンやガバペンチンは臨床濃度において一次求心性線維終末からのグルタミン酸放出に影響しないことが明らかとなり、これらの薬物の鎮痛作用は従来言われていたような一次求心性線維終末の電位依存性カルシウムチャネルの抑制によるシナプス前抑制ではないことがわかった。
著者
瀧澤 淳 尾山 徳秀 曽根 博仁
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

MALTリンパ腫の発症にIgG4関連疾患(IgG4-RD)が関与している可能性を考え、当科で診断したMALTリンパ腫69例を対象に、IgG4-RD合併の有無について検討した。69例中11例(16%)にIgG4-RDの診断基準を満たす病変が確認された。MALTリンパ腫の部位別では眼窩が41例中10例(24%)にIgG4-RD合併が確認され、他は肺MALTリンパ腫7例中の1例(14%)であった。IgG4-RD合併MALTリンパ腫11例中3例に、経過中部位の異なるMALTリンパ腫や形質細胞腫が続発したことから、IgG4-RDはMALTリンパ腫などB細胞性腫瘍の発症原因となる可能性が考えられた。
著者
安房田 智司
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

海産カジカ科魚類は、科内で交尾種、非交尾種が含まれるだけでなく、子の保護様式も雄保護、雌保護、無保護と、繁殖様式が特に多様化したグループである。繁殖様式の異なるカジカ科魚類18種について、繁殖行動と性的形質(交尾器形態や雌雄の体サイズ差)や精子特性(精子形態や運動性)を調べた。その結果、交尾の有無および保護様式(雄保護、雌保護、無保護)の違いが、性的形質や精子特性と密接に関係しており、繁殖行動に関連して性的形質や精子が進化したことが示された。
著者
塙 晴雄 柏村 健 小澤 拓也
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

心不全の症例は、貧血や鉄欠乏になることが知られている。しかし、その機序はよくわかっていない。一方、最近ヘプシジンという肝臓から分泌されるホルモンが鉄の代謝に対して重要な役割を持つことがわかってきた。心不全になると、肝臓ではうっ血が起こる。我々は心不全で肝うっ血がおこり、このためにヘプシジンの分泌に影響がおよび、鉄欠乏、貧血をきたすのではないかと推測した。そこでラットで肝うっ血をきたすモデルを作成し、ヘプシジンの産生、貧血、鉄欠乏について調べたところ、ヘプシジンの不適切な過剰分泌が生じて、貧血、鉄欠乏に関係することが示され、一部のヒトの貧血をもつ心不全症例でもその機序が示唆された。
著者
渡邉 恵一
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

ヒルベルト空間の原点を中心とする開球は,A.A.Ungarによって定義されたメビウスの和,メビウスのスカラー倍,ポアンカレの距離によって,メビウスジャイロベクトル空間をなし,関数解析学的に空間としてよく分かってきている。メビウスジャイロベクトル空間の間の写像で,ヒルベルト空間の間の有界線形作用素に相当するものの法則を解明することが補助事業期間全体の研究計画の概要である。
著者
他田 真理 池内 健 竹林 浩秀 加藤 隆弘 柿田 明美
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

白質の恒常性維持機構のキープレイヤーはミクログリアとアストロサイトである。私たちはミクログリアの分化や機能に必須であるCSF1Rの変異によるAdult-onset leukoencephalopathy with axonal spheroids and pigmented gliaの患者脳に、ミクログリアの異常に加え、アストロサイトの過剰な反応と変性を見出し、ミクログリアの機能不全によるアストロサイトへの制御機構の破綻が白質変性を引き起こすという仮説を得た。本研究では、ミクログリオパチーをモデルとして、ミクログリアによるアストロサイトの制御機構の存在とその白質変性への関与を証明する。
著者
中田 力 西澤 正豊 藤井 幸彦 鈴木 清隆 KWEE Ingrid L. KNIGHT Robert T.
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、本邦唯一のヒト用超高磁場(7.0T)装置を用いた高分解能画像を開発し、特定疾患における組織特性を反映するコントラスト画像法を導入することにより、組織標本に匹敵する臨床生体顕微鏡を開発することを目的とした。様々な技術開発を行い、SusceptibilityWeighted Imaging(SWI)を導入した生体顕微鏡法では、世界に先駆けて、最終園標とされたAlzheimer病の老人斑の画像化にも成功した。
著者
中田 力 西澤 正豊 藤井 幸彦 五十嵐 博中 ヒューバー ビンセント 辻田 実加 鈴木 清隆 柿田 明美
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

本研究は世界の研究者が過去30年間以上失敗し続けてきたリガンド型MRI分子イメージングの開発を行う極めて挑戦的なプロジェクトであった。その宣言通り期間内で不可能と思われていた夢の画像法開発に成功し、研究代表者によりJJ Vicinal Coupling Proton Exchange(JJVCPE)と名付けられた。具体的には、H2O17を用いた水分子と、O17-PiBを用いたアミロイド分子イメージングが施行され、アクアポリン4を介したVirchow-Robin腔の間質流がβ-amyloidのクリアランスに必須でありその機能不全がAlzheimer病の発症機序に強く関連していることを突き止めた。
著者
白石 典之 鈴木 宏節 篠田 雅人 覚張 隆史 三宅 俊彦
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究はモンゴル高原に興亡した歴代遊牧王朝の中で、史料に名を留めても、その実態が不明であった時代(たとえば、鮮卑、柔然、第1突厥、阻卜など)を「空白期」と位置づけ、その時代を実証的かつ学際的に解明することを目的としている。研究組織は考古学を中心とし、文献史学、気候学、遺伝生物学に参画した超域的になっている。令和元(2019)年度は引き続き、モンゴル科学アカデミー考古学研究所と共同で、モンゴル国ヘンティー県ゴルバンドブ遺跡で発掘調査を行った。ここには3基の墳丘が残されているが、そのうち1号墳丘の発掘を行った。1号墳丘では2016年と17年に先行発掘が行われ、6基の「空白期」の墓が見つかっている。今年度は7号墓と8号墓を検出した。7号墓は第1突厥期の火葬墓で、きわめて珍しい発見である。8号墓は初期モンゴル帝国期の幼児墓で、ガラス玉などの副葬品に恵まれていた。試料の一部は日本に将来し、理化学的分析に付した。並行して同じくヘンティー県にて同県博物館とともに、突厥時代の石碑調査も行い、新たな石碑遺跡を発見した。成果は博物館と共同で発表する予定である。金沢大学および淑徳大学にて、メンバーによる研究集会を開催し、研究の現状と問題点を整理した。また、最終成果のまとめ方についても議論した。新型コロナ感染症の影響で、予定していた現地調査1件ができなかったため、研究期間を翌年に延長し、それを補う試料の理化学的分析と論文化の作業を行った。なお、本研究に係る年度内の研究成果としては、研究発表2本、研究ノート1本がある。
著者
波田野 節子
出版者
新潟大学
雑誌
新潟大学言語文化研究 (ISSN:13430467)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.127-143, 2000-12
著者
岡本 圭一郎 黒瀬 雅之 山村 健介 高木 律男
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

心理ストレスは歯科領域での痛みを増大させる。本課題ではストレスが咬筋の痛みを増大させる生体機構を、脳神経系の機能変化と想定し、基礎的に解明した。三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)に着目した。これまでの研究によってVc部は顎顔面部の痛みの応答を制御する部位であることが解明されているからである。繰り返しストレス処置を加えると、咬筋への侵害刺激による Vcの興奮性は有意に増大することが明らかになった。さらに選択的セロトニン再取り込み阻害剤を繰り返し投与するとストレスによるVcの興奮性の増大は低下することがわかった。つまりストレスによるセロトニン機構の変調が咬筋の痛みを増大させることがわかった。
著者
神田 豊隆
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、主に1950年代から70年代を対象として、日本社会党・民社党の役割を軸に、アジアにおける各国社会党のネットワークの歴史を論じることを目的とする。従来、戦後日本外交史の分野においては、革新勢力を対象とする研究は少なかった。国際関係史・冷戦史の分野でも、社会民主主義勢力の国際ネットワークへの関心は希薄であった。とりわけ本研究は、次の問いを考察する。「米ソ双方と一線を画す社会民主主義を奉じて連帯を図ったアジアの社会党ネットワークは、いかなる多国間協力のあり方を模索したのか」。その中で「日本の革新勢力はどのような役割を果たし、いかなるアジア秩序の姿を目指したのか」。