著者
永見 豊 新井 大介
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.59, 2012

近年、街区公園は少子高齢化や世代交代など利用者の変化に対応できておらず、利用者が減少している。そのような中、利用者のニーズに合わせてリニューアルを実施する公園が増えているが、地域住民の意見の取り入れ方や調整方法が課題となっている。 現在、八王子市清川町ではまちづくり準備会が結成され、清川町一号公園のリニューアル計画が検討されており、筆者は、景観アドバイザーとしてこの計画に参加した。本研究では、住民参加型公園リニューアル計画の検討経緯と住民の要望や意見の集約のポイントを紹介する。<br> リニューアル案に対して、意見をだしやすくするために、アルタイムで視点を移動し、空間を確認できるリアルタイムシュミレーションを用いることにした。利用者の視点で見らことができることで空間をイメージしやすくなり、活発な意見がでるようになった。意見の集約のポイントは、完成イメージを共有し、意見を受けるときは、「どんな空間にしたい」のか、具体的な意見を抽象化して把握することが大切である。<br> 今後の課題としては、シミュレーション作成の費用の確保とデザイナーがファシリテーターとして会議に参加するしくみづくりが挙げられる。
著者
鉄矢 悦朗
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.P05-P05, 2007

本実践は、木材業/西下健治氏の特別講義1が教育系大学の学生たちの好奇心と行動力を刺激し、その学生たちが主体的にツリーハウスプロジェクトを立ち上げ敷地選定を行い、デザイン構想を立て、幼稚園に企画を売り込む。そして、実際に制作し、さらに幼稚園教諭の積極的な関わりを得て、園児への読み聞かせを実現させるまでの、総合的な取り組みを通じて「モノに対する実感」の獲得を目指したデザイン自主活動の良例である。
著者
宮崎 紀郎 湊 幸衛 玉垣 庸一
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究
巻号頁・発行日
vol.1986, no.57, pp.39-44, 1986

週刊誌中吊り広告を提案するにあたって,その制作の手がかりを得るために,週刊誌中吊り広告とその本誌を対象サンプルとして,イメージ調査を行った。調査データを因子分析した結果,サンプルに対する被験者のイメージ評価は4因子で構成されていることが判明した。この第1因子の「好感度」と第2〜4因子の「躍動感」「大衆性」「重厚感」を軸に,それぞれのサンプルの確率集中楕円を描いたところ,各サンプルのイメージ像が浮かびあがってきた。これらの調査結果を生かした,ひとつの提案として,週刊誌中吊り広告のデザインを試みた。今回の調査結果は,中吊り広告ばかりではなく,文字を主とした広告のデザインにあたっての有用な参考資料になると考える。
著者
HU Hui-Jiun YEN Jen
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.99-108, 2011
参考文献数
47

Internet is a media for information exchange and experience transmission. The purpose of a website is to conduct the most efficient communication with the biggest group. For most of people nowadays, Internet is a livelihood necessity instead of a professional noun. As Internet users own more domination and options, they would disregard the information irrelevant to the products or information with which they are uninterested in. On the contrary, they could make free propaganda without any profits for the information or products at which they are interested in. In order to design an excellent system image, the designer should make the user's model compatible with the underlying conceptual model, the design model. In this study, we demonstrate a methodology for extracting and analyzing mental models by mixed method:IQA approach is based on the desire to combine the complementary strengths of qualitative and quantitative research. After comparing different mental models of web design team and Internet user, we can conclude that the web design team is analysis-orientated and self actualization-orientated; conversely Internet user is speed & efficiency-orientated and opposing negative images of web advertisement.
著者
福地 悠人 山崎 和彦
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

歌を歌うという行為は人々にとって身近なものである。また歌う目的も、ストレスを発散するため、歌を上達させるため、単純に歌を歌うことを楽しむため、といったように人それぞれで様々な種類がある。そこで人が歌を歌う目的を明確にし、その目的にあったサービスを提供することによりユーザーにとってより満足できる歌唱体験を提供できるのではないかと考え対象ユーザーが歌を歌うことが楽しくなるデザインを提案することを目的とした。私はカラオケで使用する歌うことを楽しむためのデバイス「LIVE BAND」を制作した。歌を歌う際にユーザーが着用する。 歌に合わせてアクションをすることによってカラオケルームの壁面に投影されている映像にエフェクトがかかるようになっている。アクションをした際に発生するエフェクトはアクションの回数が増えると3段階に変化する。また壁面に投影される動画も歌詞の切れ目でアクションの回数が一定数を超えていると映像が変化していくため現在どれくらい盛り上がっているのかが視覚的に分かりやすくなっている。歌唱者は自分の歌に合わせて周りの人がアクションをしてくれていると感じることができる。<br>
著者
立原 さおり 鈴木 直人 佐藤 公信
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.P06-P06, 2010

いすみ市には豊かな自然環境や温かい地域性があり、子育てに良い環境が揃っている。それに加え、いすみ市は海の幸、山の幸にも非常に恵まれた地域であり、生産の場と食の場が近い地域である。このような特徴(魅力)を活かして行くことで、食の面からも子育て環境の充実が考えられる。このような背景から「いすみ市の親子が食に興味を持つ」「親と子と農家の交流が深まる」「食品販売店の活性化」を目的とし、特に「いすみ市の親子がいすみ市でとれる農産物を知る」「農産物と親しむ」「親子が生産者の存在、思いを知る」「親子の感想を生産者に伝える」「いすみ市の住民へいすみ市の農産物に対する関心を高める」ことを目指し、提案および実施、評価を行なった。 本提案は親と子が農家の交流とその中での学びが生まれるという点で地域の活性化に寄与する提案といえ、また、子どもの食に関する学びや様々な体験をさせる機会を求めるニーズに合った提案となった。
著者
柿沼 佐代子 岡崎 章 内藤 茂幸
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.D02-D02, 2009

患児は,入院という環境下では常に不安感と孤独感を抱えている.心を許した看護師の存在は大きく,処置室に付き添う看護師を選択する患児もいる.しかし,その看護師が非番でいなかった場合は不安感は増長してしまう.このとき,患児の不安感を軽減し処置や手術に対する気持ちを紛らわすことができるツールを開発した.<BR>本ツールは,患児が操作し看護師の写真や動画をコンピュータの画面上で再生できる機能を備えている.初期画面には,35人分の看護師の顔写真をアイコンで配置・表示した.患児は看護師のアイコンをクリックし,各コンテンツを楽しむことができる.本ツールには,看護師から処置や手術の前後に患児の心のケアを行うメッセージ動画や,画面上の看護師と遊ぶ写真を再生するコンテンツを備えている.<BR>本ツールを実験した結果,患児の気を紛らわすツールとしては大いに効果が見られた.初期画面に看護師全員のアイコンを表示することで,患児の興味が特定の看護師に固執せず,多くの看護師から励まされていることを認識させ安心感を与えることができた.また,患児に興味を持たれることで,看護師に患児との関係を見直す機会を与えることができると考える.
著者
増成 和敏
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.99-108, 2011
参考文献数
12
被引用文献数
1

本論は,インターナショナル工業デザイン株式会社(IID)の設立経緯について,主として文献史料とヒアリング調査より,以下の内容を明らかにした。1)IIDは,松下幸之助の主導により氏のデザインに対する考えを実現するために設立された社外デザイン事務所である。2)竹岡リョウ一は,松下幸之助の指示によりIIDの設立準備をし,初代社長として経営を任された。3)初代副社長Y・アラン島崎を見出したのは中川電機社長中川懐春であり,アラン島崎の日本進出の意志を松下幸之助へ伝えたことが,IID設立に繋がった。4)IIDのデザイン活動は,松下電器の経営幹部からも期待されていた。IIDは家電製品の典型を創出し,製品評価を高め、販売に貢献した。
著者
小関 利紀也
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.47-56, 1994
被引用文献数
1

ブルーノ・タウトの建築空間の探求は,何故にグラスハウスをもって突如として断絶したか。また,グラスハウスとジードルンクの思想とは,一般に相対立し,相互に矛盾するものと考えられているが,これらが1914年,同時に並行して実現され得た理由は何か,等々,タウトの造形思想の解明には難しい問題が数多く残されている。こうしたタウトの複雑な造形思想の問題について,ジャポニスムに始まる空間構成の探求と,工房思想を中心とする田園都市運動との両面からの解明を試みる。これらタウトの作品に通ずる二つの傾向を結びつけ,綜合する契機となったのは,タウトがファルケンベルクのジードルンクに見出した,社会的思想と呼ばれる共同体感情の空間感覚のヴィジョンであったが,この社会的思想の形成の経過から,グラスハウス成立の事情と,その造形思想の意味の解明を試みる。
著者
立部 紀夫
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.10-11, 2000

The word "Tenka-Ichi" was popular during the Muromachi period (1392-1573) and meant the "absolute best throughout Japan without peer." Artisans began to appear in Kyoto, Nara, Sakai and other commercial and industrial cities in the Kansai area during the latter half of the 16th century who called themselves by the title "Tenka-lchi " In this thesis, I use text and pictorial material to clarify the activities of artisans who referred to themselves by the title "Tenka-Ichi" and who displayed that word on their own signboards.
著者
石 王美
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

今まで販売されている高齢者向けのデジタルデバイスの傾向は大きく二つで分けられる。情報へのアプローチがやさしくできることと、新しい技術に対し心理的に拒否感なく受け入れられるよう製作されたつまり、技術受容性(Technology acceptance)が高いモノを中心に発展したことがわかった。<br>タッチデバイスは大きく携帯電話とパッドで分類できる。最近販売される高齢者向けの携帯電話はタッチスクリーンを起用した製品が続々増えているが、パッドの場合はまだ高齢者向けの製品を探すことが難しい。しかし今のマーケットの傾向をみるとパッドのユーザーは急速に増加を続けまもなく高齢者向けのパッドも発売されると考えられる。本研究の目的は高齢者向けのタッチデバイス設計の際、考慮する要素を調べ、フレームワーク化し提案することである。高齢者のタッチデバイス使用に当て経験できる過程を分類し各過程から具体的な要素を導出する。
著者
吉岡 聖美
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.1_11-1_18, 2017-07-31 (Released:2017-09-20)
参考文献数
12

簡易な形の目口のパーツによって構成される笑った顔および怒った顔のアイコンを鑑賞・配置・描画する,という異なる創造タスクを実施する際の生理心理評価および表情変化について調査した。その結果,絵を見るのが好き,絵を描いたり落書きを描くことがある,絵や落書きを描くのが好き,と回答した実験協力者は,笑った顔のアイコンを描画することによって自身の表情も同調的に反応して表情が変化し,気分が良くなったと感じている結果が得られた。絵画や描画に対する嗜好や馴染みが生理心理評価および表情変化に影響すると考えることができる。一方,目口のパーツを配置して顔アイコンを作成する中程度の創造タスクの課題では,平均血圧の変動量がプラスに大きく,わくわく度が増し,絵画や描画に対する嗜好や馴染みに関わらず課題に能動的に取り組んだことが示唆される結果が得られた。
著者
臼井 敬太郎
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.60-60, 2011

1950年代後半から1960年代後半にかけて、良好な眺望を誇る日本各地の観光地において床面が旋回する回転展望台が数多く設置された。いずれも、その機能的特徴からシンボリックな形態となり、モダンデザインでまとめられている。山麓から索道あるいは鋼索鉄道で連絡される展望台は、モビリティーの延長線上にある展望装置としてもダイナミックさを演出するモダンなスタイルが適していたといえよう。このような形式の展望台として初の事例である京山八方閣は、運営する岡山電気軌道の設計による回転機構が組み込まれていた。展望室床下には、レールが円形に敷かれ、その上をドーナツ状の展望室床面を支える台車が走行する構造であった。後に開業していく大手鉄道会社運営による回転展望台に先駆けて、地方都市岡山で回転展望台が実現されたのは、路面電車を運行させる軌道敷設技術、限られた経営資源を創意工夫で加工する車両改良技術の集積が最大限生かされたゆえであった。
著者
崔 烘碩 鄭 載旭
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.A06-A06, 2009

3Dキャラクターアニメーションは実写映画、アニメーション、ゲーム、広告など大多数の映像物に使われている。リアルなキャラクターの動きはモーションキャプチャ(Motion Capture)のような高価の装備を利用し、熟練されたアニメータ達によって作られる。しかし、場合によってはアニメータの個人の感性的基準で作られたキャラクターの動きが観客の普遍的な期待値と違うときもある。これは作られたキャラクタの行動が観客の感性反応に対した客観的な関係式が定められていないからである。そこで本研究は、3Dキャラクタの足つきを対象とし、上記の関係式の抽出と定立のための実験道具として3D Studio MAXscriptを利用した3Dキャラクターアニメーション合成ツールを提案した。このツールをによって足つきと感性反応の間の定量的関係式を求めるための指針を得ることができた。
著者
有馬 佑輝
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.P02-P02, 2010

近年、日本の地域は、少子高齢化、過疎化、或いは平成大合併などにより地域格差が生じている。このような中で、地域のイメージを向上させ、地域再生、活性化に繋げるためのひとつの解決方法として地域ブランドの確立がある。これまでも県産品ブランドとしては、大分の「関サバ、関アジ」、三重の「松坂牛」、新潟の「魚沼産コシヒカリ」などがあり、ブランドとして広く認知されている。これらの多くは"商品ブランド価値"の構築を目的としたものと考えられるが、結果的には同地域のイメージ向上に大きく寄与していると言える。このように近年では地域を活性化させる牽引役として地域の県産品を利用した地域ブランドへの関心が強まっている。県産品のブランドイメージが地域の印象形成に影響を与え、地域の価値や信頼を高めると考えられるからである。しかし、日本の各地域には各々の産品はあるものの必ずしも地域ブランドの資源として効果的に活用されているとは言えない現状がある。 そこで、県産品のイメージを向上させることにより、地域自体のイメージ向上に繋げる展開方法を検討する。また、具体的な題材として千葉県の県産品である落花生を取り上げる。
著者
伊豆 裕一 加藤 健郎 佐藤 浩一郎 松岡 由幸
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.2_55-2_64, 2017-09-30 (Released:2017-12-22)
参考文献数
19

多くのデザイナーはデザイン案の発想にスケッチを活用する.一方,デザインの造形教育において,対象物を観察し表現するデッサンが重視される.両者の目的は異なるものの,透視図法や陰影法など,使用される表現スキルには共通点も見られる. 本研究は,デッサンとスケッチの描画スキルと描画過程を比較することにより,両者の関係について知見を得ることを目的とした.まず,10 名の対象者のデッサンとスケッチを描画スキルにより評価し分類した結果,対象者はデッサンスキル高,スケッチスキル高,およびその他の3つのグループに分けられた.つぎに,各グループのデッサンとスケッチの描画過程を分析し比較した結果,線や陰影と言った要素の描写時間や描画手順にグループによる違いが確認された.以上について分析した結果,デッサンとスケッチの描画には,表現スキルに加えて立体形状の認識方法の違いが影響することが示唆された.
著者
伊藤 弘樹 岡崎 章 内藤 茂幸 吉川 佳孝
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.B15-B15, 2007

患児に対して治療方法やリスクを丁寧に説明するプリパレーションの重要性が注目をあつめている.患児は,治療を「罰」と考えてしまうからである.専用と呼べるツールがほとんどない現状を踏まえ,本研究ではノートPCにて稼動するオリジナルのプリパレーション・ツールを開発し,従来の絵本とPC ツールとの比較を行った.内容による差を出さないためにPCツールと同一キャラクター,同一コンテンツのプリパレーション用絵本を制作し,比較を行った.<BR> 共同研究者である北里大学病院小児病棟3-Aの看護師らの協力を得て,動作解析,理解度等の定量的な分析に基づいたPCツールの効果の実験と検討を行った.<BR> 実験の結果,一定の効果が検証できたので,本ツールを看護師及び看護関係者にのみ,ダウンロードによる無料提供を開始した.<BR> なお,本研究は平成17年度科学研究費補助金基盤研究(B)「サイコロジカル・プリパレーションにおける看護師支援のためのインタフェース・デザイン」の一部である.