著者
吉田 美穗子 伊藤 泰子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.5_11-5_16, 2013-01-31 (Released:2013-03-14)
参考文献数
13

自然界では量的な大きさに左右されない、ある図形の部分と全体が相似であるという自己相似性が多く存在している。また、造形的なリズムの中での意外性の混在はわれわれに心地よい環境をもたらし、デザインを豊かなものにする。フラクタルはこの両面の性質をもっている。われわれにとってフラクタル幾何学図形を組み込むことは、自然界に存在する形のシステムを内包する新しい建築・インテリア形体を造ろうとする試みであると考える。フラクタル図形のもつ自己相似性のプログラムをCADに転用して空間構成を行った。大きさを持たないフラクタルに尺度を与えることで空間は幾何学図形の「美」を感じさせる、より自然形体に近いものとなった。フラクタルは居心地の良い空間を生成することのできる有効な手段であるとの確信を得た。
著者
両角 清隆 渡辺 誠 森川 博
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.29-36, 1996
参考文献数
7
被引用文献数
1

ユーザーの行動を分析・モデル化し,それを基にしてインタフェースデザインを行うことより,わかりやすいインタフェースデザインを達成することが目指されている。しかし,実際のユーザーの経験は多様であり,モデル化は容易ではない。そこで,これまでの研究で行動の類似性が認められた緊急時の操作を題材として,インタフェースデザインを考えた。緊急時の行動の特徴であるa)すぐ操作できる方法を選択する,b)一般的な知識を使って操作する,c)順方向操作との関係性(対称性)を想定して操作する,を考慮してシミュレーションモデルを作成した。その結果,ユーザーの緊急時操作の行動特性に対応したユーザーインタフェースデザインの指針として次の項目を得た。1)行動の特性に合った複数の操作経路を設定する,2)操作の対象を視覚的に表現する,特に緊急時の操作に対応する操作子は表面に設定する,3)情報の処理で認知的に高負荷をかけるダブルファンクション等は避ける
著者
藤原 惠洋
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.90, pp.57-64, 1992-03-30 (Released:2017-07-25)

伝統的細部である唐破風曲線は,明治以降の伝統的建築の評価過程で編年的指標を与えられる一方,和風建築の重要な意匠要素として応用された。本研究では,まず明治以降の建築様式史研究を基に,時代が古代平安期まで遡れば唐破風曲線は緩勾配で美しく,中世期以降の曲線は勾配を強くしながら桃山・江戸に至ると急勾配になり見苦しくなる,という形からの編年的評価が行われた点を明らかにした。次に,明治中期以降の和風建築の設計に様式設定が加わる経緯を示し,唐破風曲線の創造的構成が様式設定の時代目標を近世期から中世期・古代期へと順次遡らせた変遷過程を見出し,実際の遺構例を通し明治30年代から大正初期へかけた近世桃山様式,明治40年代以降の中世鎌倉様式,大正以降の古代平安様式へ移行した経緯とその内容を明らかにした。また,編年的評価を基にした応用は建築家の様式設定的設計に多く見られ,一方,工匠的系譜には技術的視点を有した独自の評価と応用があった点も究明した。
著者
川西 翔樹 加藤 健郎 松岡 由幸
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.38-38, 2011

デザイン対象の機能は,デザイン対象とその周辺環境である場の関係に依存するといわれている.デザインという創造的行為における法則性の解明と,デザイン行為に関する知識の体系化を目指すデザイン科学を構築するためには,デザインにおける場について,デザイン場としての学術的な概念を確立する必要がある.場の概念は,デザインだけではなく様々な学術領域で用いられている.デザイン場構築の際に,これらの場の概念が参考になると考えられる.本研究では,デザイン場の構築を目指し,デザイン行為を包括的に論じることができる多空間デザインモデルを用いて,他の学問領域(物理学,生物学,ゲシュタルト心理学,社会心理学,生命関係学,組織論)における場の概念について,学問領域間の比較を行った.その結果,4つの場の類型を得た.
著者
望月 史郎
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.69-78, 1995
参考文献数
9

本稿は,1953年から1990年までの新聞広告を主たる資料として,戦後日本における電気掃除機変遷の大要を解析したものである。広告量,吸塵性能,価格,ネーミング,ヘッドラインなどの項目ごとに変遷過程をたどり,普及率,保有数量,国内出荷台数などの統計資料と関連づけて考察を加えた結果,電気掃除機の変遷過程の4区分と,変遷解析の視座を下記の通りに明らかにした。(1)第1期はホウキから電気掃除機への転換を呼びかけつつ製品の改良を試みる,市場開拓期と位置づけられる。(2)第2期は,多様な改良を重ねて,企業間の競争を本格化させながら,普及を急速に進める普及・急成長期である。(3)第3期は,成長過程の軌道を修正しつつ,生活提案型計画を模索する安定成長期と見なせる。(4)第4期は,生活提案型計画を充実させ,脱成熟化を図る付加価値期である。(5)変遷解析の視座は,基本機能,操作性,付加機能,影響削減,造形の5側面に分類できる。
著者
望月 史郎
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.23-32, 1999
参考文献数
23
被引用文献数
1

本稿は, 新聞広告を主たる資料として, 電気掃除機の基本機能である吸塵性能の, 変遷過程および開発・改善の方法について解析したものである。その結果明らかになったことは, 下記の通りである。1)1950年代の市場開拓前半期を経て, 60年代初頭から吸塵性能について種々の改善が試行され始めた。それが本格的に実施されたのは, 60年代半ば以降の普及・急成長期である。石油危機を契機に効率重視へと方向転換した後, 吸引力増強競争が再び始まる。その変遷は, 第1報で述べた時期区分に, ほほ対応している。2)吸塵性能は単に吸引力の増強に基づくだけでなく, 機能低下防止策によっても, もたらされている。そのように, 基本機能の改善方法に限定しても, 多種多様な手段がある。それはすべて特定部位改善の着眼点となる。さらにそれを異なる角度から抽象化し, (1)〈絶対値向上型〉〈相対値向上型〉(2)〈一石二鳥型〉〈連動型〉〈矛盾解消型〉(3)〈原因療法型〉〈対症療法型〉(4)〈付加型〉〈組み合わせ型〉(5)〈再生型〉という, 5類型の概念に整理した。
著者
アデラブ オルワフェミ サミュエル 山中 敏正
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

本研究ではプロダクトの美的価値の持続性を増加させ、子どもの想像力を刺激するノミナルデザインに基づいた概念について考察した。子どものための家具デザ イン制作活動を事例研究とし、以下のようなプロセスを開発する。①所有感を引き出すデザインアイデンティティーである子どもの名前から、デザインコンセプ トを探求すること②「絵を描く」などの創造環境を提供し創造的行動を引き出すようなデザインサンプルを開発すること③以上のデザインプロセスを評価すること.<br>
著者
田中 俊 小野 健太 小原 康裕 八馬 智 蘆澤 雄亮 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.168-168, 2011

昨今、日本において、男性化粧品業界で清涼感がひとつのキーワードとして、重用しされている。例えば、CMにおいて男性用化粧水はよく清涼感を強く押し出して宣伝されている。また、現在販売されている男性用化粧水を見てみると、ほとんどの男性用化粧水にメントールが配合されており、使ったときに清涼感を感じさせる使い心地になっている。 そこで、現状の「清涼感」を売りにした男性用化粧水を調査してみたところ、近年の男性化粧品の充実化により、多種の男性用化粧水が販売されているが、それらは、ブルーを基調にしたカラーやグラフィックに「清涼感」のアピールを頼っており、造形も似通っているため、似たような印象をうけてしまう事がわかった。そのためそれぞれの製品の特徴を打ち出していく為にはブルーを基調にしたカラーやグラフィックだけではない「清涼感」を表現する事で差別化を行う事が必要になってくると思われる。本研究において、ブルーを基調としたカラーやグラフィックではなく、造形により「清涼感」をアピールできる化粧水ボトルを提案することを目的とする。
著者
久保 光徳 寺内 文雄 青木 弘行 古沢 克仁
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.31-36, 2008-09-30 (Released:2017-07-19)
参考文献数
8

軟質ポリウレタンフォーム製のシートクッションを持つ自動車用シートに着座するヒトの基本的な振動挙動を,有限要素法に従ってモデル化された3次元のデジタルヒューマンにより再現した。本研究では,自動車用シートに着座するヒトの振動特性と乗り心地との関係を明らかにするために,実シートに対する乗り心地評価実験と,その実験条件を再現したデジタルヒューマンーシートモデル振動系のシミュレーションを実施し,両者の比較・検討を行った。結果として,実シート実験において,2,4Hzでは上下方向の振動を支配するシートの材料物性値が乗り心地に強く影響を与えるのに対し,6,8Hzでは前後方向の振動を支配する材料物性値が乗り心地に影響を与えることが示唆された。この関係は、デジタルヒューマンを用いた振動シミュレーションにより,6,8Hzでの上下方向加振に対する前後方向振動の連成振動によるものであることが明らかとなった。
著者
石 王美 嘉数 彰彦
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

スマートデバイスの補給と共に多様なアプリの開発はユーザーの情報消費の形をより能動的にしている。本研究はこのようなユーザーの能動的な参加現象を地域観光に応用するスマートデバイスアプリを企画・制作することで、地域観光の活性化を目指している。岡山市の後楽園を対象に観光客、地域住民、誰でも簡単に参加でき、続けて使えるアプリを提案することでユーザーと地域団体が協働で観光地を活性化するシステムを企画・提案する。アンケートの結果に基づき、写真を中心にするアプリを提案した。 岡山の後楽園は季節によって多様なお花や植物を見ることができ、訪れる地域住民や観光客に親しまれる公園である。 他の人が取った写真を観ることだけではなく、自分が後楽園で撮った写真をアプリでアップロードできる仕組みはユーザー参加のモチベーションを向上させられると思われる。
著者
永見 豊 滝沢 正仁
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

高速道路に自転車や歩行者が進入する事案が後を絶たない。、2012年に高速道路に立ち入り、保護されたケースは189件あり、立ち入り理由で最も多かったのは「道に迷った」、次いで「認知症」、「故意」であった。「道に迷った」では、高齢者などが高速道路の入口や出口につながる道路を進むうちに、知らないまま高速道路まで立ち入ってしまうことが多いという。首都高速道路では、出口部と入口部に立入禁止看板を設置し立入防止対策に取り組んでいるものの発生件数は横ばいである。 本稿では、誤進入の原因を想定し、それぞれの対策方針を設定し、首都高速道路東京湾アクアライン浮島入口を対象として、誤進入対策のフォトモンタージュを作成して、見え方を確認した。誤進入対策に効果的と考えられる提案は、路面のカラー舗装と「首都高速」の表示であり、さらに壁面や柱にも首都高のイメージカラーを加えた案は「空間の差別化」が図れ効果的と考える。次にイメージハンプを配置した「視覚的な遮蔽」、自転車・歩行者の目に入りやすい設置位置、見落とした場合にも目に付くような連続配置であった。
著者
林 品彰
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.93-102, 2001-05-31 (Released:2017-07-19)
参考文献数
18
被引用文献数
1

本研究は日本人が台湾で開催した視覚伝達デザインに関する大型行事「台湾勧業共進会」「中部台湾共進会」「高雄港勢展覧会」「商業美術展覧会」についての調査から、それらが台湾視覚伝達デザイン史上に果たした意義を考察するものである。研究の結果以下のことがわかった。(1)日本が台湾を統治していた時期、日本は台湾から多くの利益を吸収しようと台湾のインフラ整備及び産業開発を行い、台湾を現代化、資本主義化の方向へ次第に向かわせようとしていたが、本研究で取り上げた各大型行事は、こうした政策逐行の一環として行われた。(2)これらの行事から、日本統治時代の台湾ではすでに視覚伝達デザインが活発に行われていたことがわかる。(3)これら大型行事の計画及びデザインは、日本人主導によるものであったが、計画は細密、周到なものであり、デザイン表現も当時の日本国内のデザインスタイルを反映していた。(4)これらの展覧活動によると、日本は台湾での開発は政治や経済の目的だけではなく、文化的配慮あるいはデザイン発展を向上させる具体的行動もあると認められる。
著者
鈴木 英怜那 須永 剛司
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

本稿では、観光学や観光人類学において重要なテーマとされる「真正性」(本物らしさ:authenticity)をもとに、食品系観光みやげのパッケージに頻出するデザイン的要素を分析した。観光土産の真正性を担保する要素として「非近代性」「ものがたり性」「贈答性」があることを明らかにし、観光土産において頻繁に用いられる視覚的要素との関連性を論じた。観光土産のパッケージについて観光学的視点を用いて検討することで、新たな観点からのパッケージデザインの考察を試みる。
著者
則竹 真和
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

本研究では1960年代日本でのイラストレーションという領域について述べる。宇野亜喜良と横尾忠則という二人のデザイナーが描いた、演劇集団・天井桟敷公演「毛皮のマリー」のポスターを比較することによって、 当時起こったイラストレーションという領域の形成がどのようなものであったか明らかにすることが目的である。研究を通してイラストレーションという領域を捉えるにあたって、絵画的であるか、デザイン・構成的であるかというふたつのコンセプトが考えられることがわかった。本研究で取り上げた 宇野は絵画とイラストレーションを区別しないで表現しているのに対し、横尾は絵画とイラストレーションを完全に異なるものだと認識していることがわかった。
著者
李 勇 佐藤 弘喜
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.51-60, 2011-03-31 (Released:2017-06-24)
参考文献数
7

本研究の目的は、中国華南地域の現地調査に基づき、小型乗用車のスタイリング要素の優先順位を明らかにし、その優先順位に基づき小型乗用車のスタイリング要素の最適組合せを構築することにある。はじめに、市販されている55台の小型乗用車を調査サンプルに選び、スタイリング要素に関する21要素と61水準を抽出した。55台のサンプル車についてスタイリングの順位評価に関する第一段階の現地調査を行った。集計データを数量化I類分析を用い、スタイリング要素の優先順位を把握した。さらに優先要素及び関連する水準を選び出し、コンジョイント分析を用い、プロファイル・カードを得た。それら分析結果に基づき、調査サンプルとしてスケッチを作成した。これらのスケッチについてスタイリング選好に関する第二段階の現地調査を行った。集計データのコンジョイント分析を用いて、小型乗用車スタイリング要素の最適組合せを構築した。得られた最適組合せは中国華南地域の小型乗用車のスタイル開発の基礎として利用可能と思われる。
著者
鷹取 万里子 須永 剛司
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

「mini-cam」とは、旅行やお出かけのシーンで、風景や料理といった撮影対象と一緒に自分の「mini」が写り込んだ写真が撮れるカメラアプリである。「mini」とは、自分の顔写真から生成したアバターのことで、ファッションやメイクなど詳細な設定ができる。「mini」はカメラのファインダの中を自由に動きまわっていて、他にも「性格設定」によって様々な振る舞いをする。「mini-cam」の特徴的な良さは大きく3つある。1つは「mini」が旅の写真に映り込んでくれること。2つめは「mini」の姿や振る舞いが可愛いこと。3つめは旅ごとに「mini」の「かわり映え」を楽しめることである。<br>
著者
関口 彰 嶋 暁人 井上 勝雄 伊藤 弘樹
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.49-58, 2007
参考文献数
12
被引用文献数
4

今日の携帯音響機器のデザイン評価構造を明らかにするために、市販ポータブルMD製品を対象に調査分析を行い、その評価構造を定量的に求めた。具体的には、人間の評価における上位の態度からイメージを経由する認知までの階層構造において、上位の態度から中位のイメージへの関係分析を重回帰分析で行い、態度に強く寄与する3つのイメージを抽出した。中位のイメージから下位の認知部位への関係分析をラフ集合と決定ルール分析法で行った。評価用語(態度とイメージ、認知部位)の抽出には評価グリッド法を用いた。これら得られた態度と各イメージに対して、5段階SD尺度で29種製品サンプルを評価した。このラフ集合の計算過程において、決定クラスの絞込み方法についての新提案も行った。これらの分析により、デザイン評価構造が定量的に求められた。さらに、現場デザイナーによる確認実験とデザイン案の再評価の結果、この評価構造の設計知識としての有効性と改良点についても確認した。
著者
吉岡 聖美
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.5_43-5_48, 2017-01-31 (Released:2017-03-10)
参考文献数
8

本研究では,簡易な形の目口のパーツによって構成される顔アイコンを描画することによる気分の変化を調査する。加えて,描画した目口のパーツの形を分類し,気分の変化に関係する顔アイコンの特徴を調査することを目的とする。笑顔のアイコンを描画することによって,POMS短縮版における「緊張-不安」「抑うつ-落ち込み」「怒り-敵意」「疲労」が低下して気分が改善することが示された。描画した笑顔のアイコンは,目頭と目尻を下げて弧を描く形の目のパーツと,口角を上げて弧を描く形の口のパーツが多くを占めることが示され,心理的効果が期待できる笑顔のアイコンであるスマイルアイコンの特徴を確認した。一方,怒った顔のアイコンを描画することによって,「活気」が低下して,「怒り-敵意」は上昇し,気分が悪化することが示された。また,笑顔のアイコンは口のパーツの形によって表情が表される傾向にあり,怒った顔のアイコンは目のパーツの形によって表情が表される傾向にあることを確認した。
著者
赤松 明 渡辺 薫恵
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

2010年ものつくり大学学長プロジェクト「世界を変えたモノに学ぶ・原寸プロジェクト」により、ル・コルビジェの建築に対する考え方を学ぶことを目的に、「カップ・マルタンの休暇小屋」を実測し復元するプロジェクトが実施され,レプリカを学内に制作した。これらの実測結果と制作を通して休暇小屋内の「洗面棚」を取り上げ、ル・コルビュジエのモデュロールと日本人の人体比例との関係を検討し、モデュロールが日本人の体格を考慮した家具設計に活用できる可能性について考察した。<br>その結果<br>1.休暇小屋の家具はモデュロールに準じて設計されている。<br>2.モデュロールは人体寸法に基づいた尺度である。<br>3.モデュロールを用いて設計された洗面棚は183㎝の人に使いやすいもので、日本人女性のような小さい人には使いづらい。<br>が明らかになり、使いやすい家具を設計するためにモデュロールの基本身長を自分の身長に合わせてことで利用できると考えられる。