著者
近藤 存志
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.D10, 2004

18世紀のイングランドにおけるピクチュアレスクの流行は、クロード・ロランやサルヴァトール・ローザ等の風景絵画に影響を受けると同時に、ウィリアム・ギルピンの活動に代表されるように、イングランド特有の自然や風景、気候などに対する関心を高める契機となった。ピクチュアレスクの流行はイングランド人によるイングランドの再評価を啓発したが、この点で「イングランド性の美的表現」を必要なこととして主張していたオーガスタス・ウェルビー・ノースモア・ピュージンの芸術意識と共通する側面を有していた。実際のところ、ピュージンは19世紀のイングランドにゴシック・リヴァイヴァルの確立を推し進める一方で、前世紀中に異教的芸術の影響下に萌芽的に出現しながら「純粋にイングランド的な美的趣向」として確立されたピクチュアレスクについて言説を残している。その内容からは、ピュージンが正当なピクチュアレスク建築の在り方をゴシック建築の機能主義的デザイン姿勢の派生的な帰結として位置付けていたことが読み取れる。こうしたピュージンのピクチュアレスク理解は、「機能主義的ピクチュアレスク観」と表現し得るものである。
著者
安武 伸朗
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

デザインシンキングにおいてグラフィックレコーディング(以下GR)を用いた振り返りやファシリテーションの活用が進んでいる。しかしGRの記録を活用する方法は定まっているとは言えず、記録の目的の明確化や効果の検証、記録品質の評価がなされていない状況といえる。一方、大学教育でアクティブラーニング(能動的学習)の実践が期待されている。本稿ではGRの複数の事例を比較して、表現手法と効果の関係について考察し、出来事をグラフィカルに構造化するプロセスに潜む、アクティブラーニングとしての効果について言及する。
著者
宮内 哲
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.84, pp.69-76, 1991

本稿は,古来,諸民族が作ってきた多様な櫃(チェスト)のデザインの社会的側面を検討したものである。1櫃と財貨との結び付きは強く,櫃が金庫や基金を意味したり,お金を管理する空間や人の職能を指したり,さらには自由人という身分の象徴とされたことなどを指摘した。2婚礼の際,財産の分与として櫃を持参する習俗は多くの国でみられる。それらの櫃には,家族の豊かさや身分を反映するといった社会的機能の発現が強く認められる。結果,櫃のデザインを豪華簡素という階層的なものとしている。そして,櫃の数や豪華さが婚礼行列や儀式とともに重視された。3一般的には櫃は衰退した。とはいえ,相撲界や神社の祭祀では使用されつづけている。それは,櫃を担って運ぶパレードの社会的機能が,失われていないからだと考えられる。以上のように,櫃は社会的機能の大きな用具であり,実用的機能とのバランスの上に存立していることを指摘した。
著者
大森 正夫
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.85, 2003

京都の東山慈照寺(通称・銀閣寺)には、建造物のみならず庭園内に向月台や銀沙灘など月に由来するものが数多く、その回遊式庭園における誘導性の因子として「観月」が重要であったことが偲ばれる。また、現在の庭園は樹木が茂り、十分な観月環境にはなっていない。そこで、東山殿として創建された室町時代の庭園池と銀閣が観月施設として如何に機能していたのかを検討するために、その当時(1489年)の月の軌道をサイバースペース上に再現し、視点移動に伴うヴィスタを再現した。観月空間のCGシミュレーションによって建物の配置、庭園池の位置づけなどを明らかにすることができた。さらに、園池で催された観月の宴日として想定される十五夜(中秋の名月)と十三夜(後の名月)での軌道の相異は、観月の場所と銀閣の配置にも大きな影響を与えていることが推察できた。
著者
やまおか としき ふじかわ まゆこ
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.D08, 2007

直接観察を行う際,ある規準を決め,ある現象に対しその規準との差分が大きいとき,特徴のある行動と把握している.一方,グラウンデッドセオリーはデータに基づいて(grounded)分析を進め,データから概念を抽出し,概念同士の関係づけによって理論を生成しようとする研究方法である.本研究は観察方法の範囲を広げるべく,このグラウンデッドセオリーのコーディング,プロパティ及びディメンションに注目して,観察とデータ処理をする方法を検討した.事例として,和歌山市役所のエレベータの乗車行動を観察し,プロパティとディメンションを使い観察データを分解し切片化した.切片化したデータは,アソシエーションルールを使いて,データ間の関係を解明した.結論として,プロパティとディメンションという視点から人のしぐさや行動を定量的に分析することができた.
著者
宮崎 紀郎 玉垣 庸一 土谷 克志
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究
巻号頁・発行日
vol.1988, no.65, pp.21-28, 1988
被引用文献数
1

本研究は,新聞紙面におけるレイアウト要素について,その与えるイメージはどのようなものか調査検討したものである。レイアウト要素としては,本文文字組み,写真,罫線を取りあげた。朝日新聞をベースとして,レイアウト要素を変えた新聞紙面8種類を作成し,調査した結果,つぎのことが判明した。1.既存の文字組みによる紙面は,比較的信頼感が高い。われわれがこれまでの研究で最適とした朝日新聞社・新N字108%拡大文字による文字組みを採用した紙面は,可読性が高く,派手であたたかく,新しい印象を与える。2.写真は,大きいほど派手であたたかく,親しめる印象を与える。3.罫線は信頼感に関係しており,罫線が存在することで力強くひきしまった印象を与える。上記の結果から,拡大文字による文字組みで,写真が大きく,罫線のある紙面レイアウトにより,より読みやすく,力強く,あたたかい,信頼できるイメージを与える紙面が実現できることが判明した。
著者
野宮 謙吾 西田 麻希子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.61, 2014

和文書体の制作は、文字数の多さからかなりの労力が必要となる。そのため、時間及び経費の問題により中小規模の組織・団体におけるVI指定書体を策定するにあたり、新規制作が困難な現状がある。また、近年コンピュータの利用により制作の労力は軽減されてきているはいえ、そのプロセスは複雑であり品質の高いものをデザインしようとした場合、少人数かつ短時間での制作には限界がある。そこで本学VI指定書体を新規制作することを最終目的とし、和文書体における効率的な制作手法を探る。予備実験段階では、異なるタイプのオリジナル書体を2種設定し、分担制作した場合に形状の統一が図れるかどうか検証した。その結果、漢字部分については実験制作の手法及びプロセスにより、設定した造形ルールにほぼ近い形状の字形を制作できることが確認できた。しかし、実施した実験手法では細部の微妙な形状の再現が困難であり、完成形に至るためには数回のチェックと修正作業を要した。効率的に書体制作を行うためには、素材内容やガイダンス内容を見直し、書体の造形ルールをさらに正確に伝達、共有する必要がある。本研究ではこれらについて検討し、実験制作により検証を行った。
著者
野宮 謙吾 渡辺 静香
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.11-18, 2004
参考文献数
15

本研究は、和文書体を見ることにより想起される視覚イメージと、読むことにより想起される音声イメージの関係について明らかにすることを目的としている。本調査では、語感の音声イメージ及び和文カタカナ書体の視覚イメー-ジそれぞれについてアンケートを行い、共通に選択されたイメージ(形容詞)を抽出した。さらに、和文カタカナ書体の特徴的なエレメントのみによる視覚イメージ調査を行い、特定のイメージを想起させる要素の絞り込みを試みた。分析の結果、和文カタカナ書体の視覚イメージと語感からの音声イメージの間には、共通のイメージ(形容詞)が存在することが確認できた。細いウェイトの書体についても、特定の音声とイメージの一致傾向がみられることから、本文組みの文字においても、書体の違いによって意図的に音声イメージを感じさせることができる可能性もあると考察した。
著者
篠崎 正樹 吉田 紗栄子 沼田 恭子 佐藤 公信 清水 忠男
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.2-5, 2005

本製品は、特別養護老人ホームにおける洗面台の使用状況と、そこに入居している高齢者の身体的・心理的特徴、生活環境の調査によって、特別養護老人ホームにおける望ましい「洗面台」のあり方を探り、ユニット・ケア方式を取り入れた愛知県半田市の特別養護老人ホーム「第二瑞光の里」内に設置する洗面台を設計した。それらの成果に基づき、一般の施設でも利用可能な非対称型洗面台の製品化を行った。
著者
山内 貴博
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

街の雰囲気のちがいとは何かという探求から始めた本研究は、秋田の街を調査対象地域に設定して「都市を緑地化する可能性を探る」ことが主な目的である。まず始めに街の風景に関する調査を行った。記録にはFacebookを利用した。調査方法は、街路空間の中を主に自転車を利用して移動しながら「印象に残る風景」をカメラ撮影する方法(現地調査)と、移動経路を地図上に色線で明記する方法(机上調査)を行った。調査から、特に秋田駅周辺市街地に関して「メヌキとミドリ」と題した仮説を設定することが出来た。この仮説は、人々で賑わう景観に配慮した屋外空間の創出を目的としたまちづくりの提案である。景観デザインスタディーとして「メヌキとミドリ」のシステムを秋田駅西口の駅前空間に展開した場合の提案例を提示した。その中における現在は屋外駐車場の敷地を対象にして、その場所が広場に変わった場合を条件にした設計演習を行った。まとめとして設計例を立案した。<br>
著者
立部 紀夫
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.D07, 2004

筆屋の看板が初めて絵画資料に描かれるのは、1487年(文明19)に成った「星光寺縁起絵巻」であり、筆売りの家に小さな看板が描写されている。続いて、室町時代後期に制作された町田本・高橋本の二つの「洛中洛外図」には筆屋の看板が同じ形態で複数描かれていることを知る。当時の看板は町屋正面の格子窓の中央上部の位置に掲出されており、絵馬形の板の中央に、筆を単体で縦に大きく描いた簡潔な意匠であった。色彩は白・赤・黒が使われていた。
著者
立部 紀夫
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.190-191, 1999

Shinto shrines and Buddhist temples in Japan displayed a wooden frame on the upper portion of their buildings known as "hengaku (framed picture)". The workers who produced these frames were skilled wood carving or engraving artisans known variously as "ongakushi", "gakuhorishi"or by other names. As commerce flourished after the beginning of the Edo period in 1603,merchants began to display large signs and it was the ongakushi who produced the signs for them. In this study, I clarify the vigorous activities of these ongakushi as sign-making artisans in pre-modern Japan.
著者
安達 満 長沢 伸也
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

ナチュラルコスメブランドは消費者の自然派志向や環境やエコに対する意識の高まりを背景に、製品機能(プロダクトデザイン)の拡張、新たな販売チャネル(環境デザイン)を変化させ成長を維持している。この点において、ナチュラルコスメブランドはナチュラルコスメと言う化粧品を消費する消費スタイルを提供しているのではなく、ナチュラルコスメ(もの)を消費することで消費者がどのように感じるのか、化学原料ではない良質な植物成分でどのようにして幸せになれるのかまで考えデザインされている。しかしながら、全てのナチュラルコスメブランドが成功しているわけではない。高品質オーガニック・ナチュラルコスメにもかかわらず、製品価値やブランドが広く認知されず苦戦しているナチュラルコスメブランドも多く存在している。非オーガニックブランドのL&rsquo;OCCITANEは他のコスメブランドがマネすることの出来ない製品と価格を超えた価値デザインを創造し、独自の環境デザインを提供し、ブランドデザインを確立させ成功している。
著者
菊地 貴 八田 一利 長尾 徹
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.157, 2008

昨今の工業技術の発展によりカーナビゲーションシステム(以下カーナビ)は進化を続け、多くのドライバーに普及している。その一方でカーナビの扱う情報は増加し、それに伴い操作方法や表示も複雑さを増しており、その複雑さが安全性や使いやすさの低下を助長しているようにも思われる。カーナビの画面表示部分のほとんどを占める地図には多くの情報を含まれており、その情報を一目で(特に運転とカーナビ情報閲覧のダブルタスク下においては)判断する事は容易ではないが、その情報のなかにはドライバーにとって必要性の低い情報も少なくはない。しかし、ナビゲーションという事に焦点を絞った場合には、ドライバーにとって必要性の高い情報を地図情報から吸い上げて提示することで使いやすさや安全性は向上するのではないだろうか。本研究では地図を表示せずに行うカーナビゲーションの方法の一つとして「曲がるべき交差点の情報のみをアイコン示し、そのアイコンを紙芝居式に次々とドライバーへ提示する」というナビゲーション方法を提案した。
著者
天貝 義教
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.25-32, 1993
被引用文献数
2

ヨーゼフ・アルバースにとって,素描とは,線から成立した視覚的形成を意味し,その主要な関心は,二次元的な手段によって三次元的な効果を呈示することにあった。それゆえ,アルバースの用語法に従うならば,我々は,素描において,線と線との間を我々に読み取らせるような線の観察と分節を学ぶこととなるのである。アルバースは自らの素描観を,バウハウス,ブラック・マウンテン・カレッジ,イェール大学デザイン学部における素描教育を通じて明確にしてゆくが,一方その教育活動と並行して多数の線の構成を試みており,1942年には『図的構築』の連作を完成させ,『構造の星座』の連作は1950年代初期にその制作が始められた。本稿の目的は,アルバースの素描教育の変遷過程を跡づけるとともに,その素描教育の内容とこれら線の構成による連作との関係を考察することにある。
著者
新井 青磁 山崎 和彦
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.5, 2011

現在ではタッチインターフェースは銀行のATMや駅の券売機などのパブリックユースの端末に加えて、ゲーム機、携帯端末などパーソナルユースの端末にも盛んに導入されている。 ユーザーの求める操作インターフェース、及び企業の傾向としてCUI→GUI→PUIのように主流となるインターフェースが移り変わっている。その一方で、これらを開発する段階で使用するプロトタイプ手法には大きな変化が見られないことが、これまでの調査からわかった。移り変わる主流インターフェースに対応して、より効果的なプロトタイプ手法を考案すべきなのではないかと考え、研究に取り組んでいる。提案する手法はラピッドプロトタイプ(ペーパープロトタイプ)・デジタルプロトタイプの段階で、操作状況を多角的な視点(俯瞰・手元・全体)で撮影し、プロトタイプの画面と同一の画面で映像を観察という方法で、被験者を募り評価実験を行った。
著者
上原 勝 青山 智津子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.35-42, 1994
被引用文献数
1

最近では,登山靴やスキー靴の素材としてプラスチックが多く用いられている。プラスチック製の靴は,防水性に富む,軽い,発色に優れる,安い,というように多くの利点を持つ。ところが一方で,このようなプラスチック製の靴が使用中に突然破損した,という報告が見られるようになった。登山中やスキーの滑走中の破損は,深刻な事故につながる可能性もあり非常に危険である。本研究の目的は,これらの破損の原因を探り,破損事故防止のための適正な使用方法を示すことにある。この研究の結果,プラスチック靴の破損のメカニズムが明らかにされた。そしてさらに事故防止への対処と,靴の素材改良への提案を試みた。靴にあらわれた小さな亀裂が,使用中の突然の破損を引き起こす可能性があるため,これらの注意をはらう必要があることなどを主なものとしてあげた。
著者
伊藤 俊樹 長田 純一 藤田 善弘
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.P24, 2007

2006年名古屋万国博覧会のロボットステーションで、NEC製のパーソナルロボット「パペロ」を展示、デモンストレーションを行った。そこで子どもたちはパペロに触れ合い、パペロとコミュニケーションを行った。来場した子供の中には、特に「パペロ」が気に入り、期間中何度もパペロに会いに来た子どもたちがいた。本研究では、そのように何度もパペロとの触れ合いを求めてやってくるリピーターの子どもたちを対象にして、何故彼らがそれほど「パペロ」に惹かれるかを調べることを目的とした。具体的には、リピーターの子どもたちに「パペロのイメージ」というテーマでコラージュを作ってもらい、そのコラージュを中心にしてデプス・インタビューを行った。その結果から、リピーターの子どもたちが、何故「パペロ」にそれだけ惹かれるのかを探ることとした。
著者
簑輪 要佑 寺沢 秀雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.B10, 2004

本研究は人の時間把握方法をモデル化し、時間調整のためのインタフェースを模索するものである。時間調整には様々な要素が含まれるが、今回はその中でも最も単純だと思われる移動という時間調整の実験を行ない、時間調整のモデル化を試みる。インタフェースへの応用の際は、本来は複雑な「調整」という計算行為に対し、目に見えるかたちを与え、問題を扱いやすくするという、J.ラスムッセンのEcological Interface Designの手法を参考にした。実験から、人は時間と距離から基準線を作り出し、それに対して遅れているか進んでいるかを判断していることが分かった。時間の表示方法は2種類あり、タイマーのような絶対時間表示(例:残り10分)という方法と、自分の位置との差を計算した相対時間表示(例:3分遅れ)がある。この相対時間表示を用いることで、時間ぴったりに調整できるようになった。しかし、これだけでは残り時間がわからないという問題が残り、時間調整において不十分であることが分かる。時間調整時の頭の中のモデルを発話してもらう実験の結果から、人は自分の状況を把握しようとしていることが分かった。このことから時間を調整する時は時間調整という状況を複合的に視覚化することが一番有効な方法だということが分かった。