著者
平田 成
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.64, 2003

月のクレーターTychoおよびKingについて,そのimpact meltの分布を画像から解析し,クレーター形成のメカニズムについて考察する
著者
荒井 朋子
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.15, 2006

本研究では、39億年前以前の月の玄武岩マグマ活動の謎に迫るため、アポロ14号角レキ岩中に見つかった最古(約42.3億年前)について詳細な鉱物研究を行った。その結果、14305玄武岩の分化傾向は地球の玄武岩マグマのカルク・アルカリトレンドに相当する。一方、若い海の玄武岩はソレアイトトレンドに相当する。これは、約42.3億年前のアポロ14号地点でのマグマ活動は、揮発性元素濃度が高い条件下で起こったこと及び39億年前前後のマグマ活動の物理的・化学的条件が異なることを示唆する。
著者
大竹 真紀子 荒井 朋子 武田 弘 唐牛 譲 佐伯 和人 諸田 智克 小林 進悟 大槻 真嗣 國井 康晴
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.217-223, 2012
参考文献数
16

従来,月の地殻組成は月採取帰還試料や月隕石の分析値を基に推定されてきたが,最近になって,月周回衛星"かぐや"データを用いた研究などにより,既存の月採取帰還試料とは異なる組成の,より早い分化段階で形成した始原的な地殻物質が,月裏側に存在する事が指摘されている.これら未採取の月裏側地殻物質を入手し,詳細な化学組成等の情報を得る事は,月高地地殻の組成,月マグマオーシャンの固化過程や熱履歴を知ることに加え,月・地球系の形成過程を考える上でも重要な課題である.本提案では,来る10年の惑星探査計画として,月裏側の高地地域から未採取地殻物質の採取帰還を行い,詳細な組成分析,同位体分析,組織分析,既存のリモートセンシングデータと比較するための分光測定,風化度測定など,さまざまな分析を行うことにより,これら科学目標達成を目指すミッションを提案する.
著者
佐々木 晶 加藤 学 SELENE-B サイエンスチーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.47, 2003

月の起源・進化の解明の上で、月を構成する物質の起源の解明のために、月面での直接探査が不可欠である。理学と工学の研究者が協力して、月面での無人ローバ直接探査の検討を行ってきた。月の起源・進化の研究において、地殻形成・火成活動の初期と最終段階はまだ未解明である。そのため、クレータ中央丘の物質を直接観測することで、月の地下物質の組成を同定し、マグマオーシャンからの成層構造形成モデルに制約を与える探査、海の玄武岩火成活動の後期に進行した火山体形成を調べることで、マグマ進化の最終段階の情報得る探査が重要である。SELENE‐B 計画へのローバ搭載を目指して、シナリオ検討、科学機器開発を行っている。月の起源・進化の解明を目指して、SELENE 計画がはじまり、極軌道衛星による月全体のリモートセンシング探査が行われる。しかし、月を構成する物質がどのように形成されたのかを知るためには、月面での直接探査が不可欠である。我々は1年半前より、理学と工学の研究者が協力して、ローバを使った月面での無人直接探査の検討を行ってきた。これまでにクレータ中央丘探査による初期地殻・マントル物質の探査が重要であるという結論に達した。月の起源・進化の研究において、地殻形成・火成活動の初期と最終段階はまだ未解明である。クレータ中央丘の物質を直接観測することで、月の地下物質の組成を同定し、マグマオーシャンからの成層構造形成モデルに制約を与えることができる。月面探査で着陸船(ランダ)だけによる探査を行う場合は、表面試料の直接観察対象はアームなどを使用したとしても、周囲数 m が限界である。ローバを利用すると、広範囲の目標に対し、物質科学的特徴を知るための 1次分析、サンプルの採取が可能である。ランダのみの探査や有人探査が困難な地域(影、急傾斜地、崩壊地)の探査が可能になる。詳細分析が必要な場合は、ランダに戻り高感度・精度の分析機器を使用したり、さらにサンプルリターンを行えばよい。特にローバ・ランダの直接交信による高いデータ輸送量を保つためには、ローバの移動距離が数 100m 程度に制限されるため、ローバ・ランダの協調ミッションが現実として重要になる。いずれにせよ、月・惑星探査の将来ビジョンではサンプルリターンは重要な目標となる。その基礎技術としてローバは不可欠である。
著者
伊藤 孝士 マルホトラ レニュー
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集 日本惑星科学会2007年秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
pp.111, 2007 (Released:2008-04-28)

本発表では近地球天体とりわけ近地球小惑星と惑星・月との衝突確率に関する制限多体数値実験の結果を報告する。近地球小惑星の大半はメインベルトの内側からやって来ると思われており、その具体的な機構は小惑星が強い共鳴帯に注入されることによる地球型惑星軌道へ輸送とされている。そうした天体が月や地球型惑星と衝突する場合の確率、および衝突速度・角度の分布を計算し、サイズ頻度分布の情報を経由して最終的にはクレーター記録との照合を計画している。
著者
荒川 政彦 和田 浩二 はやぶさ2 SCI/DCAM3 チーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.152-158, 2013

はやぶさ2には小型の衝突装置(SCI)が搭載されており,これは秒速2kmで小惑星表面に衝突してクレーターを形成する.このクレーターは小惑星内部を覗くための小窓であり,リモートセンシング観測やサンプル回収から,小惑星表面の宇宙風化や浅内部構造に関する知見を得る.一方, SCIが衝突する様子は分離カメラ(DCAM3)により撮影され,イジェクタカーテンの拡大する様子や小惑星周囲を飛び交うダストを観察する. SCIによる小惑星への衝突は宇宙衝突実験ともいえる.我々はこの世界で最初の小惑星における宇宙衝突実験の機会を利用して,微小重力下における「本物の小惑星物質」のクレーター形成過程を明らかにする.
著者
加藤 學 岡田 達明 白井 慶 山本 幸生 荒井 武彦 小川 和律 細野 梢 瀧川 覚博 セレーネXRS チーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.34-34, 2004

「セレーネ」は、高度約100kmの月極周回軌道から月面全域の探査を行う日本初の総合月ミッションである。蛍光X線分光計(XRS)は両極域を除く月面全域の主要元素組成(Mg, Al, Si, Feなど)を空間分解能約20kmで定量的に決定する。XRS観測及び他の観測機器による元素・鉱物・地形・地質構造などの観測データを相互に利用することによって、月の初期進化過程を探るのが主な科学目標である。本報告では、XRSで導入した新規技術、仕様や機能、機上データ処理方法、地上解析方法について概説する。さらに、地上試験データの特性や性能評価、今後の試験計画、打上後の観測計画について述べる。
著者
柴田 裕実 武智 誠次 大西 俊之 藤原 顕 矢野 創 グリュン エバハルト スラマ ラルフ 野上 謙一 宮地 孝 蔵座 元英 大橋 英雄 藤井 雅之 佐々木 晶 岩井 岳夫 南 繁行
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.83, 2006

現在、BepiColombo国際日欧水星探査計画が進められており、2013年に水星へ向けて打ち上げられる。惑星空間及び水星周辺のダスト計測を行うために、MMO探査機にピエゾ圧電素子を用いたダスト検出器を搭載する予定で開発を行っている。計測対象として、速度 2~60 km/s, 粒子質量 1 fg ~ 1 ngのダストを想定している。検出器はダストの計数のみでなく、ダストの飛来方向、質量、速度を計測する。加速器を用いた超高速ダスト模擬衝突実験を東大とMPI-K(ドイツ)で行い、衝突の出力波形の解析から運動量や速度を求める方式を模索している。
著者
諸田 智克 はやぶさ2ONCチーム 杉田 精司 澤田 弘崇 本田 理恵 亀田 真吾 山田 学 本田 親寿 鈴木 秀彦 安藤 滉祐
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.48-53, 2015

はやぶさ2に搭載された光学航法カメラ(ONC:Optical Navigation Camera)はその名の通り探査機のナビゲーションの役目を担うカメラであるが,科学観測においても中心的な役割を果たす.本稿では特に小惑星の力学進化過程の復元に向けた,ONC地形観測の戦略について紹介する.
著者
山下 直之
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.326-331, 2015

NASAのDawnミッションは,惑星誕生の鍵を探るべく小惑星ベスタと準惑星ケレスを周回して元素,鉱物の分布調査や地質学的,地球物理学的観測を行っている.Dawn衛星に搭載されたガンマ線及び中性子検出器(GRaND)はベスタ赤道域において,炭素質コンドライト起源と考えられる水素が濃集する領域を発見した.南極域ではダイオジェナイト的な下部地殻が露出していることが確認された.またベスタの平均元素組成から,HED限石のベスタ起源説を強く支持する結果が得られた.
著者
石原 吉明 渡邊 誠一郎 田中 智 山口 智宏 三浦 昭 山本 幸生 平田 成 諸田 智克 坂谷 尚哉 北里 宏平 松本 晃治 薮田 ひかる はやぶさ2LSS データ解析検討チーム はやぶさ2LSS データ作成チーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.139-143, 2017

<p>「はやぶさ2」は,C 型小惑星リュウグウ(Ryugu)にランデブーし,母船からのリモートセンシング観測及び小型着陸機によるその場観測を行うとともに,最大3 回の表面物質サンプリングを行うこととなっている.サンプリング地点には,リュウグウそのものや母天体,さらには太陽系形成時の惑星集積過程と物質進化について,最大の情報を得られる場所を選定する必要があるが,選定のために必要となる情報はランデブー後取得されるリモートセンシング観測の結果を待たねばならない.そのため,限られた時間の中で小惑星の特徴を把握し,安全性と科学価値の評価(Landing Site Selection, LSS)を行う手順を確立しておくことは必須である.本稿では,はやぶさ2 プロジェクトが来年に迫ったLSS 本番に向けて実施したLSS 訓練について概説する.</p>
著者
中村 智樹 イ ジョンイク パク チャンクン 長尾 敬介
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.13-18, 2016

探査機による小惑星からのサンプルリターンと並行して,南極大陸からの小惑星や彗星由来の物質の回収も続けられている.本稿では南極において,どのように隕石や宇宙塵が回収されているかについて簡潔に紹介する.
著者
北里 宏平 はやぶさ2 NIRS3チーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.288-292, 2014

はやぶさ2に搭載する近赤外分光計(NIRS3)は,水酸基や水分子の赤外吸収が見られる3μm帯の反射スペクトルを測るリモートセンシング機器である.我々はNIRS3を使って,近地球C型小惑星1999JU_3の近接観測を行い,その表面の含水鉱物分布の特徴を明らかにする.近年,C型小惑星の内部に氷の存在を示唆する観測結果が報告されており,地球の海洋形成におけるC型小惑星の寄与が従来の想定よりも大きくなる可能性が出てきた.内部氷の存在を検証するには水質変成が起きたときの水の挙動を理解することが必要であり,NIRS3では衝突装置が作り出す人工クレーターの観測から加熱脱水や宇宙風化による二次的な変成の影響を識別し,母天体上で起きた水質変成の情報を抽出することをめざす.
著者
平田 成 はやぶさ2 形状モデルチーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.97-104, 2017

<p> 小惑星探査では,探査機の到着後に対象天体の形状を,画像を元に推定する必要がある.本稿では,まず2005年のはやぶさによる小惑星Itokawa観測の際に用いられた小惑星形状の推定の手法について述べる.さらに,来年2018年のはやぶさ2の小惑星Ryuguへの到着に備えた,はやぶさ2形状モデルチームの準備状況についても解説する.はやぶさ2形状モデルチームでは,はやぶさでも用いられた手法と,新規の手法を組み合わせて,確実な形状モデル作成を行う計画である.現在,はやぶさ2プロジェクトで実施されている着陸地点選定運用訓練を通じて,作業手順のバグ出しや,得られる形状モデルの精度評価などを進めている.</p>
著者
鈴木 大介 住 貴宏 MOAコラボレーション
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.40-47, 2015

重力マイクロレンズ法は,氷境界の数倍外側に位置する惑星を検出する事ができ,地球質量程度の惑星にまで感度がある.この手法によって30個以上の惑星が発見され,それらは他の観測手法では検出が難しい惑星である.また,重力マイクロレンズ法でのみ検出可能な浮遊惑星も検出され,それらの数量まで見積もられている.日本,ニュージーランドが主体の国際共同研究グループ,MOAはこれまでの惑星検出に多くの貢献をしてきた.本稿では,重力マイクロレンズ法の原理,MOAの日々の観測について説明する.また,惑星が発見されたときのエピソードを交えて,これまでの重要な発見を紹介する.
著者
秋澤 宏樹 菅原 賢 渡部 潤一
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.100, 2007

SWAN彗星は2006年10月末~11月初旬に6等級程度の予報を2等級上回って明るくなった。姫路市宿泊型児童館『星の子館』の15cm屈折望遠鏡(f.l.1800mm)直焦点に冷却CCDカメラSTL-1001Eを用い、2006年10月31.41-31.47日(UT)に5バンド(B,V,Rc,Ic及びノーフィルター)の彗星追尾撮像で2種類の尾を捉えた。各画像の比較から、通常は青いイオンの尾に赤の成分が含まれておりH<SUB>2</SUB>O<SUP>+</SUP>の尾と思われる。またダストの尾の形状をベッセル・ブレデキン法で計算した結果、ダストは近日点通過頃に放出されたことが解った。
著者
玄田 英典 小久保 英一郎 井田 茂
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.35, 2007

地球型惑星形成の後期には、原始惑星同士の衝突が頻繁に起こるステージが存在する。本研究では、SPH法を用いて様々な衝突条件で原始惑星の衝突を計算し、合体条件などを系統的に調べ定式化した。その結果、過去の研究でわかっていた衝突イベントの約半数が合体しない衝突であることがわかった。合体条件を原始惑星の軌道進化に組込み、非完全合体が地球型惑星の特性(個数・質量・自転など)に与える影響を明らかにする。