著者
赤池 孝章 加藤 篤 前田 浩 宮本 洋一 豊田 哲也 永井 美之
出版者
熊本大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1998

ウイルス感染病態において誘導型NO合成酵素(inducible NO synthase,iNOS)から過剰に産生されるNOは、共存する分子状酸素(O_2)や酸素ラジカル(活性酸素)などと反応し、パーオキシナイトライト(ONOO^-)などの反応性窒素酸化物の生成を介して、宿主に酸化ストレスをもたらす。一方で、感染炎症における酸化ストレスは、生体内で増殖するウイルスそのものにも加えられることが予想される。RNAウイルスは、一回の複製でヌクレチド残基あたり10^<-5>〜10^<-3>という頻度で変異し、極めて高度な遺伝的多様性を有しており、様々な環境中のストレスにより淘汰されながら分子進化を繰り返している。この様なウイルスの多様性は、これまで主にRNA複製の不正確さにより説明されてきたが、その分子メカニズムは今だに不明である。そこで今回、NOよりもたらされる酸化ストレスのウイルスの分子進化への関わりについて検討した。このため、変異のマーカー遺伝子としてgreen fluorescent protein(GFP)を組み込んだセンダイウイルス(GFP-SeV)を用いてNOやパーオキシナイトライトによるウイルス遺伝子変異促進作用について解析した。その結果、in vitroの系において、パーオキシナイトライトはウイルスに対して非常に強い変異原性を示した。さらにiNOS欠損マウスおよび野生マウスのGFP-SeV感染系において、野生マウスではiNOS欠損マウスの7倍程度高いウイルス遺伝子変異率が認められた。これらの知見は、ウイルス感染・炎症反応にともない過剰に産生されるNOやパーオキシナイトライトが、ウイルスの変異速度を高め、その分子進化に関与していることを示唆している。
著者
嵯峨 智
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は,情報化された仮想物体への直感的な双方向触覚インタラクションを実現する触覚提示手法の確立である.静電気力ディスプレイでは,触覚の知覚強度の評価実験を行うことで入力波形と知覚刺激との関連性や,オノマトペの関係を調査した.また,剪断力触覚ディスプレイでは,振動方向の独立制御により,再現性の高い触覚提示を実現した.また,空間中での熱放射による錯触覚提示システムとして,レーザ光源を用いたシステムなどを作成した.これにより多自由度かつ拘束なし,高速な応答性をもつ力覚ディスプレイのプロトタイプを完成させた.このように,多自由度双方向触覚提示手法の系統的な理論を構築した.
著者
稲葉 継陽 Tsuguharu Inaba
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.1-29, 2001-02-20
著者
後藤 匡敬
出版者
熊本大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、これまでの科研費採択の研究を基盤とし、児童生徒の実態に合わせてカスタマイズが可能なプレゼンテーション教材の効率的な開発及び普及を目的とした研究である。特に、一人一人の教育的ニーズの異なる知的障害教育の児童生徒向けの教材を中心に、SNSやクラウド型のコミュニケーションツールを活用して、全国の教材作成者とつながり、効率的な情報共有の基、教材を開発する。物理的距離に依らない協働チームで作った教材は、これまでに開発した「Teach U~特別支援教育のためのプレゼン教材サイト~(https://musashi.educ.kumamoto-u.ac.jp/)」を中心に、Web公開する。
著者
添島 義和
出版者
熊本大学
巻号頁・発行日
1974

博士論文
著者
上野 崇寿 Ueno Takahisa
出版者
熊本大学
巻号頁・発行日
2009-03-25

本研究の目的はパルスパワー産業応用のために必要な信頼性の向上と長寿命かつコンパクトなパルスパワー発生装置を開発することである。そこで本研究では、半導体スイッチの1つである接合型トランジスタ(Bipolar Junction Transistor:BJT)を用い、素子のパルスパワー発生装置への応用化、並びに全固体素子化された小型磁気圧縮パルスパワー発生装置の開発を行った。
著者
長谷川 栄子 Hasegawa Eiko
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学社会文化研究 (ISSN:1348530X)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.297-311, 2005-03-31

本稿は、元田永孚の初発の巡幸への関わりという側面から、明治5年巡幸を考察する。
著者
干川 隆 Takashi Hoshikawa
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育学部紀要. 人文科学
巻号頁・発行日
vol.57, pp.213-218, 2008-12-19

The purpose of this study was to examine the effects of camera angle on feeling empathy with a character in a video. In the movement of special support education, the method to facilitate empathy with others was needed to develop in children with developmental disorder. The video of "Watermelon" was used in this study as a material, because the camera angle of the watermelon's viewpoint was used and intend to feel empathy for the watermelon. Eighty-nine subjects were divided into the Master Type (MT) group and the Edited Tape (ET) group that excluded the camera angle of watermelon's viewpoint.After watching the video, the subjects were asked to respond to the questionnaire about empathy and the recall of the story. The results were as follows; 1) the subjects of the MT group felt more emotional attachment for the watermelon, 2) they responded more negative on adjectives such as frightening, afraid, etc., and 3) they recalled more scenes than that of the ET group. These results indicated that the camera angle of the viewpoint of a character brought about empathy and suggested that the camera angle would be the useful intervention method to facilitate understanding of others, intention of children with developmental disorders.
著者
林 正雄 Masao Hayashi
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育工学センター紀要
巻号頁・発行日
vol.5, pp.57-60, 1988-02-29

According to the increasing interrelations between Japan and the other countries, it has become urgent necessity for the promising youth to acquire the ability to use English as acommunication means. Even in this Educational Faculty, most students expect to have language training for communication as well as lectures of the English literature or the English language. The present writer has introduced into classes the hearing lessons using English programs by shortwave broadcasting, such as Voice of America, or Radio Japan, etc.Through broadcasting, we can get large amount of various information in a short period of time. Students are compelled to concentrate their energies to listening to the English programs.As teaching material, English news has a merit to attract the student's attention easily, because it is closely connected with their general concerns. This paper states the significance of the training method of this hearing lesson and the way how to introduce it to the university students.
著者
片山 きよみ 上村 文子 舛井 雅子 柳田 惠理子
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学留学生センター紀要 (ISSN:1881834X)
巻号頁・発行日
no.12, pp.39-64, 2008

初級教科書の作成を初めて2年半、ようやく「試用版」の完成にこぎつけることができた。新学期からの試用を前に、ここで一度、これまでの作成過程を振り返ってみることによって、今後の課題をさぐりたい。 私達が目指したのは、熊本で学ぶ留学生に「日本語でコミュニケーションするときに必要な文法」を教える教科書作りである。初級レベルの学習者が「話す」のに必要な文法項目は何か、従来の初級教科書の文法項目の見直しから始めた。何を教え、何を教えないか、どのような順序で提示するか、さらに、その文法項目を各課でどう教えるか、内容についての検討を重ねてきた。このような試行錯誤の過程の中で、私達がこだわった点、作成の方針にした点などを整理し、新教科書の概要と特徴を示した。最後に、参考資料として、「試用版」で扱う文法項目一覧および主用教科書との対比表を付けておく。
著者
大澤 博明 Hiroaki Osawa
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
vol.83, pp.289-341, 1995-06-30

壬午事変後の日本政府の朝鮮政策がその永世中立化構想の実現に向けられたものであり、対清協調策と朝鮮独立支援策は朝鮮をめぐる東アジア国際協調枠組構想に基づいて展開されていたことを明らかにしたい。
著者
伊藤 仁一 山下 雄太郎 Jin-ichi Itoh Yutaro Yamashita
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育学部紀要 (ISSN:21881871)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.347-356, 2014-12-12

A circular surface is a one parameter family of round circles in Euclidean space and which is defined in [2]. The circular surface is determined by a space curve of circular center and planes containing circles. First we study the sufficient condition that the special circular surfaces with constant radius whose normal directions of the planes are rotating around the curve, are embeddings. Next we study the condition that circular surface with constant radius are immersions. Moreover, we discussed the relation between the double circular surfaces (i.e. at least two circles through any point) and quadratic surfaces.
著者
林 千寿 Hayashi Chizu
出版者
熊本大学
巻号頁・発行日
2009-09-25

本論は、一般的に関ヶ原合戦と呼称される慶長五年(一六〇〇)の戦いをとりあげ、この戦いが戦後領国体制の創出にいかに関ったのかについて考察しようというものである。
著者
苑田 亜矢 Aya Sonoda
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
vol.127, pp.241-289, 2013-03-21
著者
田口 周平 Shuhei Taguchi
出版者
熊本大学
雑誌
先端倫理研究
巻号頁・発行日
vol.2, pp.141-159, 2007-03

本稿では、そのような脳神経科学により得られた知見のひとつである、前頭前腹内側領域(ventromedial frontal region)に障害をもつ患者(以下、VM障害あるいはVM患者と略記する)の研究が、動機内在主義の有力な反証となりうるかについて考察する。