著者
合田 美子 山田 政寛 石毛 弓 山本 佐江 田中 洋一
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、自身の成長のために有用なフィードバックを誘起するために必要な要因を明らかにし、体系的にモデル化することを目的としている。研究方法は、データ駆動型アブローチとナレッジ駆動型アプローチを組み合わせる。研究範囲は、学習者とフィードバック提供者の1対1の場面、研究会のような学習者と複数のフィードバック提供者がいる1対多の場面とする。また、フィードバックをもらう場面だけでなく、その前後の要因も含め、動的・静的なフィードバック誘起要因を同定する。本研究では、フィードバックの提供だけでなく、学習者からの働きかけにより、より質の高いフィードバックを誘起する手法を提案する。
著者
山中 進
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学法学部人文社会論集
巻号頁・発行日
no.2, pp.49-62, 2000-07-10
著者
松瀬 憲司
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育学部紀要 (ISSN:21881871)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.65-72, 2016-12-19

In English there are pairs of semantically related words in which the one has gone through both palatalization and assibilation (Palatal Softening), while the other has not: for example, speech vs. speak, Old English giefan vs. give, etc. Among the conditions that trigger both sound changes, the existence of front vowel(s) before or/and after the /k/ or /ɡ/ sound involved and what we call i-Umlaut are very crucial. In addition, the reason why the palatalized and assibilated /ɡ/ in Old English giefan has been replaced by the original /ɡ/ in Present-Day English give cannot be accounted for by a sound change theory, but by a sociolinguistic point of view; give, a word borrowed from Old Norse, has been adopted into the standard variety of English instead of the native word giefan.And we also find tush, which has changed the original /sk/ sound of Proto-Germanic tunþskaz, as a dialectal variant in tandem with tusk, which has not and was taken into the standard English. This fact suggests that it just happened in the history of English that the former is regarded as a vernacular form and the latter a standard one; it just depends upon our selection whether they become a standard variety or not.
著者
高宮 正之 宮本 旬子 綿野 泰行 滝尾 進
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究では、まずゼンマイ属(Osmunda,x=22)について18SrDNA座の詳しい調査を行った。その結果、遺伝子座はシロヤマゼンマイでは1座のみであったものの、ゼンマイとヤシャゼンマイでは複数の座があることが確認された。また、複数座をもつ種ではシグナルに大小が見られた。このことは上記3種は元から二倍体で遺伝子座の重複は無く、ゼンマイとヤシャゼンマイの共通祖先においてrDNA座の一部の転座が起こった、あるいは上記3種の共通祖先で既に遺伝子座の重複が起こっておりシロヤマゼンマイでのみ1対を除いてサイレンシングは終了し、ゼンマイとヤシャゼンマイではサイレンシングの途上であるなど、様々な解釈が可能である。それゆえ系統的に離れた様々な分類群にFISH法を適応するため、染色体数の調査をおこなった。オシダ属(Dryopteris,x=41)では23分類群調査し、12が二倍体、カナワラビ属(Arachniodes,x=41)では44のうち27が二倍体、ノコギリシダ属(Diplazium,x=41)では、54のうち13が二倍体だった。ノコギリシダ属については、rbcLによる比較から二倍体種は様々な系統群に含まれていて、系統的にはばらばらであることが判明した。ノコギリシダ属2種、カナワラビ属1種、オシダ属1種を用いたrDNA座による調査でも複数の座が確認された。ゼンマイ属の結果と合わせると、検討した種では二倍体レベルで共通して複数の座があり二倍体種は、もともと高次の染色体数を持っていた可能性が示唆された。
著者
池田 輝政
出版者
熊本大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) トライアウト トライアウトタイプ(標準)
巻号頁・発行日
2021

日常生活で使用可能な抗ウイルス製品の開発は、新型コロナウイルス感染拡大の抑制に非常に有効である。我々は、次世代の機能性材料である酸化グラフェン(GO)に注目し、GOが新型コロナウイルスに対して強い抑制効果を持つことを明らかにしているが、GOおよびその誘導体を使用した製品が抗ウイルス活性を持つかはわからない。そこで本研究では、GOおよびその誘導体を使用した製品における抗ウイルス効果を、感染性のウイルスを使って評価する系を構築し、それらの抗ウイルス効果を検証する。感染性のウイルスに対して効果を持つ真の抗ウイルス製品の開発は、新型コロナウイルスの感染拡大の抑制に大きく貢献すると考えられる。
著者
松本 泰道
出版者
熊本大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 CREST
巻号頁・発行日
2009

厚さ1nm程度の二次平面単結晶無機ナノシートは、その組成に基づく化学的・物理的特性に加えて、量子サイズ効果、特異界面効果、高効率電荷分離効果を有する革新的機能材料です。本研究では、本来ナノシートが持つ静電的自己組織機能を利用し、異種ナノシート、機能性分子、液晶・高分子、DNAからなる未来型高機能ナノ層状体・ナノハイブリッド材料を構築し、新規機能の探索を行います。
著者
大川 千寿
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学政策研究 (ISSN:2185985X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.49-59, 2013-03-29

本稿では、2012年12月に行われた衆院選の熊本県内における得票を分析する。小選挙区では、自民党候補4名が幅広く票を集め、堅調な戦いぶりを見せた。また熊本4区では日本維新の会候補が勝利した。民主党候補や民主党からの離党組は民主党政権への強い批判のもとでいずれも苦しい戦いとなった。一方比例区では、自民党の得票率は3割にとどまる。小選挙区での立候補擁立が比例票の掘り起こしにつながる「連動効果」が一定程度見られ、郡部を含め自民・公明両党の選挙協力の進展も確認できた。しかし、民主党は小選挙区候補擁立の有無を問わず全県的に不振で、大きく後退した。第三極では、維新が比例2位となったが、連動効果には選挙区によって差が見られた。みんなの党は2009年から確実に伸ばしたが、日本未来の党は低迷した。共産党・社民党は全般に振るわなかった。This paper analyzes the votes in the 2012 general election in Kumamoto prefecture. In single-member districts, the LDP (Liberal Democratic Party) candidates widely gained votes in constituencies and won steadily, and 1 JRP (Japan Restoration Party) candidate won the district. In contrast, the DPJ (Democratic Party of Japan) members, and candidates who had left from the DPJ struggled under strong criticism to the DPJ Administration. In proportional representation constituency, the LDP gained only 30% of the votes. But the development of electoral cooperation between the LDP and the New Komeito was found especilayy in the rural districts, and the effect of SMD candidate nomination to the PR vote share, which is known as "the contamination effect", was confirmed to some extent. On the other hand, the DPJ mired in a slum in the whole prefecture. The third force parties showed different results. The JRP won the second place, benefited from the contamination effect, and Your Party grew certainly from the 2009 election. but the Party of the Future was sluggish. Traditional leftist parties like the Japan Communist Party and the Social Democratic Party of Japan were also weak.
著者
大塚 勲
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学社会文化研究 (ISSN:1348530X)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.51-70, 2017-03-25

This paper presents that expansion of government bonds in the late 1970s was caused bya control of the former Prime Minister Kakuei Tanaka. The government budgeted 2 trillionyen for revenue generated by the government bonds in the 1975 fiscal year and 15.3 trillionyen in the 1979 fiscal year. They expanded to 7.65 times in only four years. The budgets wereformulated according to an economic plan developed in 1976. Although the plan controlled thebudget inflation, the government depended on the government bonds because of shortage of taxrevenue. As a result, the government bonds expanded rapidly but the plan was realized. Theeconomic plan was formulated in the Takeo Miki Cabinet, not in the Tanaka Cabinet. However,the plan was in accordance with part of a 10 year economic plan which was examined but notdeveloped by Tanaka cabinet. Mr. Tanaka controlled the budgets in order to realize the planin the Tanaka Cabinet. As a result, government bonds were the inflated in the late 1970s. Thepaper therefore concludes that we should call them Tanaka government bonds policy.
著者
米田 哲也
出版者
熊本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

MRI位相情報は組織が受ける静磁場変化に鋭敏であるため、今回開発した磁化率強調画像化法(PADRE)により、組織の磁気応答を表すことができる画像を作成可能にした。PADRE画像は、従来の位相画像技術である磁化率強調画像化法(SWI)にくらべても様々な種類の組織コントラストを作成することができるだけでなく、自由に強調度を変化させ、診断画像として最適なコントラストを作成者側がコントロールできるなど、様々なメリットを持つ。臨床応用には、すでに脳幹部の微細構造の高コントラストを背景に、パーキンソン病をはじめとする様々な変性疾患の画像診断に応用が始まっている。
著者
橋本 弘司 米田 哲也 國安 明彦
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、新たなMRI技術(位相差強調画像化法:PADRE)を用いて、脳内のamyloid beta沈着によるアルツハイマー型認知症による味覚障害を非侵襲かつ早期に見出す診断法の確立を目的とした。ヒトamyloid beta遺伝子導入トランスジェニックマウスのPADRE像と組織染色像とを比較した結果、鉄、老人斑の量、位置ともに月齢に応じた正の相関がみられた。トレーサー実験の結果、ラット大脳皮質味覚野は従来の味覚野および味覚野に接した背側、尾側からも投射があることが分かった。また、リッキングテスト装置の改良に取り組み、効率的な味覚行動実験プロトコルを検索した。
著者
木下 和朗
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.1-35, 2008-02-29

本稿では、憲法学の一分野である議会法学の観点から、党首討論制の理念、内容及び機能条件を検討するものである。併せて、①理念、内容及び機能条件という実体論に加えて、②議事手続改革のあり方として、憲法上どのような政治過程を通じて党首討論制の内容及び運用に係るルールが形成されるべきかという手続論に係る考察も試みることにしたい。
著者
吉田 佳代
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学社会文化研究
巻号頁・発行日
vol.12, pp.211-227, 2014-03-25

The origin of midwives dates back to women who helped with childbirth. These women, who had acquired experience and trust in childbirth, gradually evolved into midwives as professionals. Some physicians in the Edo period provided education for women involved in midwifery, and this was the start of midwives as specialists. Following the Meiji Restoration, physicians who had returned from Germany trained midwives. During the Meiji period, there was progress in the establishment of laws and regulations on midwifery. At that time, the laws did not clearly define the work procedures that midwives should conduct, and they demanded legislation based on the bill proposed by them, although it was not legislated. Following World War II, the provisions on the expertise of midwives were included in the Act on Public Health Nurses, Midwives, and Nurses. The Japanese Nursing Association did not understand the expertise of midwives, and attempted to incorporate it into that of nurses several times. However, midwives established their own organization and developed behavioral standards to promote respect for their specialty.
著者
飯開 輝久雄 岩田 建一 上田 敏雄
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学政策研究
巻号頁・発行日
vol.3, pp.81-92, 2012-03-23

本稿は、熊本県内菊池市および合志市におけるいくつかの自治会に対して実施したアンケート調査等を基に現状を整理した結果に基づき、いつでも、どこにでも起こりうる災害に対し、いかにして自分や家族を助けるのか、地域内での災害発生時対応をいかにしておこなっていうのかについて、阪神淡路大震災をきっかけに生まれた『黄金の72時間』をキーワードとし、自助・共助・公助の視点に基づき3つの提案を行うものである。更に、少子高齢化や人口減少といった様々な問題から「住民参加のまちづくり」以前に、自治会や区といったコミュニティそのものの崩壊が懸念されている現状に対し、提案内容から導かれる防災を起点とした新たなコミュニティ構築の可能性も探索する。
著者
若曽根 健治
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

ドイツ中世後期の騎士および市民のフェーデには同時代人の「はげしい情感」(ホイジンガ)の動きがあった。これは「名誉に敏感で傷つき」易いことと、表裏の関係にあった。暴力現象の背後には、名誉に拘泥し、身分に拘る、騎士や市民の繊細さが潜んでいた。他方で、フェーデには他の様々の問題が絡む。フェーデの考察は、中世ヨーロッパに関する1つの総合史的考察とならざるをえない。このことは、フェーデの1つの担い手であった都市ひとつをとってみても、よくわかる。都市を周域と切り離して隔離的に取り上げることは、できないのである。関係的状況の考察をもっと押し進めていかねばならない。日本中世との比較法社会史的考察も、中世ヨーロッパの法的制度の特質を浮き彫りにする。比較史的考察の必要性は今後高まろう。その場合類似だけに注目するのでなく、むしろ相違に目を向ける必要がある。これによって、本当の意味で類似性にも理解がいく。フェーデの現象には、蓄積された富に与かろうとする、騎士の志向が働いていた。この志向は、フェーデによって権利を主張し、暴力を正当化しようとしたところからわかる。他方で、騎士による権利主張の理由や正当化の根拠については、史料からは見えにくい。このことは、騎士の権利主張や権利正当化には、必ずしも十分な理由・根拠がなかったことを思わせる。市民には、富の形成・蓄積について実績があったが、騎士にはこれがない。じつは、このことを、誰よりも騎士自身がよく知っていたのではなかろうか。時代と共に、フェーデによって富の蓄積に関与しようとすることが、もはや意味をなさなくなる。このことに騎士は気づくのではないか。これは、上級権力者--領邦君主--によるフェーデ権の集中化・独占化と表裏の関係にある。時代は、こうして1つの変化を見せるのである。
著者
松永 拓己
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Education, Kumamoto University (ISSN:21881871)
巻号頁・発行日
no.64, pp.213-220, 2015

熊本県の阿蘇は魅力的な観光地であり、特色ある風物の宝庫である. 全国から多くの観光客が訪れている. 阿蘇内牧地区の活性化に取り組むことを求められ、芸術による取り組み(アートな街つくり)を考え2013年度より実施している. 2014年度においては、更なる取り組みを行う. また、阿蘇一の宮の宿泊施設「かんぽの宿」看板絵の制作を依頼された. この宿泊施設の新たな魅力づくりに絵画制作を行う取り組みである. 以上、2つの絵画制作の取り組みを立案、実践をもとに考察するものである.
著者
若曽根 健治
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

「贖罪と刑罰」の問題は人類史上、社会と文化とに<埋め込まれた>存在である。この点では、他の諸問題と比べて、格段の重みを持っていた。「贖罪と刑罰」は種々の文化要素、宗教、呪術、法、経済、権力、裁判、習俗などと深く結びついていて、容易に分け難い存在であった。始原的には、「贖罪」は宗教、呪術と結びついており、非行によって生じた共同体の穢れを払い、神の(神神の)怒りを解くための、共同体内部的儀式として営まれていた。従って、いわば「内部的」刑罰-「国津罪」の系統に属していた。「贖罪」思想をこうした宗教的違反、軍事的違反、性的タブー違反の系列(穢れの思想)から解放したのは、ヨーロッパ中世初期(8-9世紀)において裁判権力者の、地域における「平和」維持の志向であった。この志向を背景になって、裁判不出頭者や判決不服従者にたいする「アハト」(追放)の刑罰(公的刑罰)が登場してきた。こうして「贖罪」観念はヨーロッパにおいてしだいに個人主義化し、世俗化する。非行者本人が謝罪をおこなったり、非行者の親族友人が放免を請願したりすることを契機に、裁判権力者は非行者を恩赦に付したり、巡礼行を課したりして、刑事司法の中に、新らしい意味の「贖罪」観念を導入していった。中世後期から近世初期の時代(14世紀から17世紀)には、糺問的職権的司法がしだいに広がっていくものの、いまだ当事者主義裁判が影響力を行使していた。糺問的職権的司法が制度的定着を見る以前の、刑事司法のきわめて流動的、混乱的時代に、当事者本人の「贖罪」思想を背後にした、殺人の和解やウァフェーデの誓約がある一定の役割を果たしえたのには、理由があった。
著者
田中 雄次
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢
巻号頁・発行日
vol.96, pp.7-35, 2008-03-07

Das primare Ziel des Nibelungen-Films war nicht Unterhaltung und Abenteuer, sondern "das deutsch Volk ... sollte sich ruhig schauend beschenken lassen, empfangend erleben und damit neu gewinnen, was ihm, dem Volk als Ganzem, angeblich nur blasse Erinnerung war: das Hohelid von bedingungsloser Treue" (Harbou). Die Inszenierung ist auf die "sinnliche Evidenz der Bilder" (Heller) angelegt. Die monumentalen Bauten oder die direkte Einfuhlung von Menschen in die Filmarchitektur sowie die statuarischen Bewegungen und Charaktere der Haupthelden unterstutzen die grundlegednde kunstlerische Aussage des Films. In der Verfilmung Langs geht es darum, vier unterschiedliche Welten miteinander zu kontrastieren : die "uberfeinerte Kultur" am Hof zu Worms, die "gespensterhaft-elfische" des jungen Siegfried, die "bleiche, eisige Luft" in Brunhilds Isenland und die "asiatische" Welt des Hunnenkonigs Etzel. "Es musste mir also darauf ankommen", so Lang in einem der zahlreichen programmatischen Aufsatze vor der Premiere, "in einer Form, die das Heilig-Geistige nicht banalisierte, mit den Nibelungen einen Film zu schaffen, der dem Volke gehoren sollte". "Dem Deutschen Volke zu eigen" lautet auch die Widmung, die dem Film vorausgestellt ist.