著者
大杉 成喜 岩切 昌大 肥後 祥治 オオスギ ナリキ イワキリ ショウダイ ヒゴ ショウジ Osugi Nariki Iwakiri Shodai Higo Shoji
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育学部紀要 人文科学
巻号頁・発行日
vol.61, pp.145-152, 2012-12-12

For evaluating the developing process of special needs education system at high school level in "P" prefecture, an attitude survey was carried out in 2011. Subjects of the survey were as follows, head teachers of each grade, school nurses, special need education coordinators, and head teachers of career guidance in each high school in "P" prefecture. The data was compared with the results of former surveys conducted in 2007 and 2009 at the same field. On the whole, we could not find out drastic changes at each question in all subject groups, expect school nurses. During two years, they were more concerned with making "individualized educational support plan" and "individualized instructional program". This result indicated that importance of the role of school nurse was getting bigger and bigger in the system of special needs education at high school level. Judging from the point of developing process of the system, many data from the survey in high schools were stay lower than data from compulsory education level. This is one we have to discuss about to promote special needs education in high school level.
著者
渡辺 学 久ヶ枝 隆子
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育実践研究
巻号頁・発行日
vol.6, pp.137-148, 1989-02-28

歌唱・器楽・創作といった各領域がそれぞれ系統化されてはじめて音楽科という教科が成り立っているという,他教科のそれにならってする理論立て-リズム・メロディ・ハーモニーという音楽の3要素を,それぞれ低・中・高学年のグレードとし,発達段階をふまえてする系統に見倣すような錯覚も含めて-をすることへの反省として,また,すべての子供に同一の課題を出し,一線にならべて競わせ,優劣を問うような音楽科でなく,それぞれが異る活動をしながら,全体が統一されていく集団的パフォーマンスとしてのミュージカル学習を想定し教材づくりをまとめた.実践を通して,稚拙で荒けずりではあっても,より自由にして自発的な表現そのものをまず認めるべきであるということを知ったことを特記したい.いうなれば,言語・音楽リズム・身体運動・造型性・社会性などのいわゆる保育目標を向上させると同時に,それぞれの領域に分離しない綜合的な表現をということになるのであるが,幼稚園・保育園のみならず,小学校もその延長線上にあることを認識したい.
著者
彭 柯然 ホウ カゼン Peng Keran
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学社会文化研究 (ISSN:1348530X)
巻号頁・発行日
no.15, pp.330-320, 2017

This paper is intended to discuss the features of novel in the Tang dynasty, which were translated by Kawabata Yasunari in 1926. Previous research focused on the translations by Kawabata is rather limited, so will be explored in this paper. Broadly there are three direct approaches: analysis by narration, conversation, and poetry. Finally there will be farther analysis, revealing the background of the translations by Kawabata Yasunari.
著者
溝渕 園子 ミゾブチ ソノコ Mizobuchi Sonoko
出版者
熊本大学
雑誌
Acculturation dans les epoques d'internationalisation / 国際化時代の異文化受容
巻号頁・発行日
pp.107-119, 2007

本稿では、この『コーカサスのとりこ』が、日露戦争期の日本において、どのような作品として翻訳されたのかを検証する。その目的は、従来のトルストイ受容史ですでに明らかにされている平和主義者トルストイ像の系譜とは異なる一面に光をあてることである。 まず、明治期の日本におけるトルストイ受容経路の概要を、先行研究に照らして確認する、そうしたトルストイ受容史をふまえた上で、『コーカサスのとりこ』が初期翻訳においてどのように捉えられていたのかを、媒体となった掲載誌の特徴を通して把握する。次に、初期翻訳を原文と対比させ、相違点を指摘することにより、『コーカサスのとりこ』が明治期の翻訳当初、どのような文脈におかれていたのかを論じる。最後に、これらの考察を通して、戦争との関わりからトルストイ受容史のさらなる一面の可能性を確認したい。
著者
田中 朋弘
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

本年度は、応用倫理学としての専門職倫理と規範倫理学理論との関係を明らかにするために、ビーチャム&チルドレスの『生命医学倫理学原理』の各版(特に第三版から第七版まで)を中心に分析し、論文としてまとめた。田中朋弘「専門職の責任-ビーチャム&チルドレスの倫理学理論を手がかりに」、『先端倫理研究』第10号(熊本大学倫理学研究室紀要)、pp. 25-36、2016年.その結果明らかになったのは、専門職の責任は、直接に抽象的な原理に基づく一般的規範というよりは、一定の仕方で特殊化され、特定化された役割責任とそれに応じた特殊な規範として考えられうるということ、そして、そうした枠組みに関する理論として、ビーチャム&チルドレスの共通道徳-特殊道徳論には一定の説得力と展開可能性があること、である。ビーチャム&チルドレスの議論の主目的は、生命医学の領域における特殊道徳とそれを正当化する共通道徳の四原理を示すことにある。その意味で、その目的は包括的というよりは限定的だが、そのプランの妥当性を示すためには、より包括的な倫理学理論(共通道徳理論の詳細)について言及せざるをえない。それは、この書の中では包括的なレベルで十分に展開されているとは言えないが、一種の統合的倫理学理論となるべきものである。そしてそのように、規範倫理学と応用倫理学の理論を統合的に解釈する可能性を示している理論は、現状ではほとんどないと言ってよいであろう。この点において、彼らの理論は、生命医学倫理学の領域だけに止まらない展開力を有している。とはいえ、共通道徳論を受け入れる場合の多元主義の基礎づけに関する評価、および、特別な役割道徳によらない通常の道徳的判断が彼らの理論の中でどのように位置づけられるのかという課題は残される。以上のことが明らかになった。
著者
前田 浩 宮本 洋一 澤 智裕 赤池 孝章 小川 道雄
出版者
熊本大学
雑誌
特定領域研究(C)
巻号頁・発行日
2000 (Released:2000-04-01)

固型癌のうち、胃癌、肝癌、子宮癌などの原因が細菌やウイルスによることが次第に明らかになってきた。さらに、胆管や胆のう癌、食道癌も何らかの感染症に起因する容疑が濃くなってきた。これらの感染症と発癌に共通の事象として、それが長期にわたる慢性炎症を伴うこと、また活性酸素(スーパーオキサイドやH_2O_2、あるいはHOCl)や一酸化窒素(NO)などのフリーラジカル関連分子種が宿主の炎症反応に伴い、感染局所で過剰に生成していることである。さらに重要なことは、これらのラジカル分子種はDNAを容易に障害することである。そこで本研究では、微生物感染・炎症にともない生成するフリーラジカルと核酸成分との反応を特に遺伝子変異との関係から解析した。また、センダイウイルス肺炎モデルを作製し、in vivoでの遺伝子変異におけるフリーラジカルの役割を検討した。その結果、過酸化脂質がミオグロビン等のヘム鉄存在下に生じる過酸化脂質ラジカルが、2本鎖DNAに対して変異原性のある脱塩基部位の形成をもたらした。また、上記ウイルス感染においては、スーパーオキサイドラジカル(O_2^-)と一酸化窒素(NO)の過剰生成がおこることを明らかにしたが、この両者はすみやかに反応してより反応性の強いパーオキシナイトライト(ONOO^-)となる。ONOO^-とDNAやRNAとの反応では、グアニン残基のニトロ化が効率良くおこり、さらに生じたニトログアノシンがチトクロム還元酵素の作用によりO_2^-を生じることが分かった。このONOO^-がin vivo,in vitroいずれにおいてもウイルス遺伝子に対して強力な遺伝子変異をもたらすことを、NO合成酵素(NOS)ノックアウトマウスやNOS強制発現細胞を用いて明らかにし、上記の知見が正しいことを確認した。

1 0 0 0 IR 音楽と言語

著者
吉永 誠吾
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育実践研究
巻号頁・発行日
vol.14, pp.11-17, 1997-02-28

本稿では、音楽の才能の現れ方と人間が言語能力を習得して行くプロセスを比較しながら考えることによって、音楽教育のあるべき姿を探っていこうと考えている。Music and language have much in common. When we consider how music should be taught at school, it seems to be significant to know the process of language acquisition. Music itself is a language in which we can share our emotions with the people. We can tell them our thoughts with words, but we can't share our emotions with only these. Feelings such as laughter, anger, sorrow and anxiety, we can convey how deeply we feel with the help of facial expressions. Of course, emotion should be expressed correctly. It is true that children study language at school, but they are not taught to express their true feelings. Therefore, music education plays an important role in helping the people to express their own feelings. When we assme that music is a language to express feelings, this will bring out the problem of music education in Japan full relief. Accordingly, in this paper, I suggest how music education should be taught considering the debelopment of musical talent comparing this to the process of language acquisition.
著者
中川 順子
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
vol.107, pp.11-22, 2016-03-17

This paper explores London citizens' attitudes towards immigrant presence, particularly, their legal status in early modern London. First, I will describe an outline of the legal status that immigrants acquired, focusing on denization and a London citizenship for them in the latter half of the sixteenth century. Second, I will investigate the meaning of the 'freedom of the City' and its privileges for immigrants. The evidence shows that although they were crucial to their success in London, only a small percentage of them enjoyed those privileges. The national government could have encouraged the City's authority to grant them legal status. The introduction of such a policy, however, garnered fierce opposition from Londoners, as the citizenship of London was the core value of local identity and Englishness as well as political and economic rights. To conclude, the City government could have continued imposing strict economic and social restrictions on immigrants for their lineage's sake.
著者
田中 朋弘
出版者
熊本大学
雑誌
先端倫理研究 : 熊本大学倫理学研究室紀要 (ISSN:18807879)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.25-38, 2016-03

This paper examines the character of professional responsibility, mainly with reference to the theory of common morality and particular moralities by Beauchamp and Childress. Furthermore, it examines the concepts of generality and particularity in normative ethical theories, the attitude approach and the role morality argument by Bowie, and two usages of reason by Kant. The professional responsibility is considered as a special role morality, which depends on some specialized and specific norms rather than on the general norms from the abstract principles. The theory of common morality and particular moralities has some persuasiveness, and it has the possibilities of being developed as a comprehensive normative ethical theory. However, there remains a question concerning the foundation of moral pluralism, and an issue of how usual moral judgments are located in their theory.
著者
吉永 誠吾 森 恭子 横山 洋子
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育実践研究
巻号頁・発行日
vol.15, pp.101-105, 1998-02-27

筆者らは生演奏によって子供達に音楽の本当の美しさを感じてほしいとの願いから,音楽鑑賞教室を開催してきており,その概要についてはすでに報告した.ところで音楽の効能が科学的にも証明されつつある昨今,筆者らのコンサート活動は各方面から依頼を受けつつあり,その数も少しずつではあるが増えつつある.これはクラシック音楽を多くの人々に好きになってもらいたいと願う筆者らにとって大変喜ばしいことである.その中でも特に印象に残っているものは、長期療養中の子供達のためのコンサートや,障害児とその保護者のために聞いたコンサートである.障害児といえば,通常のコンサートを聴く機会など,一生涯を通じてまずないといっていいであろう.従って,ただ一度のこの機会は,私たち音楽家の役割というものが大変大きなものであるということを強く認識させられたものであった.そこで本稿では既に報告した小,中学校以外の活動の概要について報告し,これからの課題についても考えたい.
著者
渡辺 孝太郎 ワタナベ コウタロウ Watanabe Kohtaro
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学政策研究 (ISSN:2185985X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.109-119, 2015-03-31

本稿において科学技術社会論の先行研究を整理したところ、科学技術政策に関する問題は、社会問題の複雑化により科学と政治の領域が交錯し、多くの利害関係者がいる中で、不確実なデータをもとに「今、現在」意思決定を行わなければならないという特徴を有することが示唆された。このような状況を表す概念として、「トランス・サイエンス」や「ポスト・ノーマルサイエンス」といった概念が提唱されている。また、科学と社会の間に生じるギャップは、科学の不確実性や市民・政策立案者の科学に対する過度の期待や信頼、さらには科学者の専門主義などが複雑に絡み合うことで引き起こされることが示唆された。これらの分析を踏まえ、「パブリック・インボルブメントを図りながら政策を形成、実行するために、自治体の技術職はどのような役割を担うべきか」という問いに答えるべく、今後の研究を進める。This paper tried to organize the previous study on science and technology studies. Then it was suggested the feature that to address policy issues related to science and technology we must make a decision "now" under uncertain situation, in which science and politics are crossed each other by complication of social issues, and in which there are many stakeholders. As a concept to represent this situation, concepts such as "Trans-Science" and "Post-Normal Science" have been proposed. In addition, it was suggested that the resulting gap between science and society is caused by complexly intertwined factors including uncertainty of science, excessive expectation and trust to science from citizens and policy makers, professional principle of scientists. Based on these analysis, I advance future research to answer the question "What role should technical staff of local governments play in order to make and carry out the policy while achieving public involvement?"
著者
田中 尚人
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学政策研究 (ISSN:2185985X)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.25-32, 2016-03-31

三角西港は熊本県宇城市三角町に位置し、『明治の三大築港』の一つに数えられる土木遺産であり、平成27年7月『明治日本の産業革命遺産製鉄・製鋼、造船、石炭産業』の資産として、ユネスコの世界文化遺産に登録された。本年度、筆者らは宇城市立三角小学校の6年生、35名を対象としたWSを3回実施した。本研究では、文化的景観保全に対する理解を基盤としたワークショップを通じて、児童たちが獲得したシビックプライドについて定性的に分析することを目的とする。具体的には、ワークショップは、①三角西港に関する基礎知識の獲得、②三角西港におけるまち歩き、③三角西港のガイドブックづくり、の3回を授業時間中に実施した。The Misumi-Nishi port is located in Misumi town, Uki city, Kumamoto prefecture. This old stone port is one of "Meiji three important port" and was selected as the UNESCO's world heritage "Sites of Japan's Meiji Industrial Revolution: Iron and Steel, Shipbuilding and Coal Mining". In this year, the authors carried out workshops for preservation of cultural landscape and community development with 35 students who are sixth grader of Misumi Elementary School, three times. In this study, it is aimed to analyze qualitatively about the civic pride that children acquired through the workshop which assumed understanding for the cultural landscape maintenance. The theme of workshop are ⅰ) Acquisition of the basic knowledge about the Misumi-Nishi port, ⅱ) Town walk (Machi-aruki) survey in the Misumi-Nishi port and ⅲ) Making a guidebook of the Misumi-Nishi port.
著者
Bauer Tobias
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学社会文化研究 (ISSN:1348530X)
巻号頁・発行日
no.9, pp.39-55, 2011

2009年11月に、ドイツ倫理審議会による赤ちゃんポスト及び匿名出産に関する見解が公にされた。それは、1999年以来ドイツに登場してきた赤ちゃんポスト及び匿名出産という事業のもつ倫理的・法的問題を指摘し、これを厳しく批判し、かつその廃止を要求するものであった。本稿は、ドイツのキリスト教諸教会及び赤ちゃんポスト等を運営するキリスト教系の福祉事業団体が、同見解に対して如何なる立場を採っているかを検証することによって、現下の議論におけるかれらの立場を明らかにしようとするものである。そのためにまず、ドイツ倫理審議会による赤ちゃんポストと匿名出産に対する反対の立場、次いで法的・倫理的問題を内包することを認識しながらも、なおかつこの事業を持続させる必要性を訴えるキリスト教諸教会の代表者による巻末に添えられた少数意見のそれぞれの論拠を考察した後に、赤ちゃんポスト等を運営するキリスト教系の福祉団体の反響を分析する。結論として、本稿は、キリスト教諸教会と同福祉団体には統一した立場は確認できず、赤ちゃんポスト及び匿名出産に対する立場は、実際の運営の経験と統計上のデータに対するそれぞれ異なる解釈がそれぞれ異なる立場をとらせる基となっている実情を明らかにする。
著者
伊﨑 久美 イザキ クミ Izaki Kumi
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学社会文化研究 (ISSN:1348530X)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.318-305, 2017-03-25

ユク河ノナカレハタエスシテ シカモゝトノ水ニアラス ヨトミニウカフウタカタハ カツキエ カツムスヒテ ヒサシクトゝマリタルタメシナシ 世中ニアル人ト栖ト 又カクノコトシ 『方丈記』の有名な冒頭文である。冒頭第一文<ユク河-水>の叙述から、第二文を経て第三文<人と栖>の主題に移る。その後<人ノスマヒ><トコロモ-人モ><カリノヤトリ>の避板法で、この<人と栖>の主題は展開していく。冒頭第二文の、<ユク河>に浮かぶ<ウタカタ>が、何故<キエ-ムスヒテ>なのか、つまり<消滅-生成>の対偶について考察する。