著者
若曽根 健治
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
vol.119, pp.404-338, 2010-03-20

本稿は、1350年代から1380年代というラント平和裁判の初期および中期時代において、同裁判が都市に関わってみせたさまざまな側面を、召喚状・判決状や判決執行認許書、保護状・請願状また書簡といった関係諸文書を通してみてみる。ラント平和やラント平和裁判といった「歴史上の特定なシテュエーション」(平野謙)の中で、都市と市民とがいかなる関わりかたをし、どのような側面をみせてくれているのかを素描しようとするのが、趣旨である。これを通して、フェーデの勢いが相変わらず猖獗を極める時代にあって、かつラント平和誓約が頻りに交わされる時代において、ラント平和裁判所と訴訟当事者とは、どう<平和形成>に向き合っていたのか-当事者らによる向き合いかたを考えたい。
著者
木下 尚子
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

1.沖縄諸島における北部九州型ゴホウラ腕輪を、10遺跡(具志原貝塚、伊礼原遺跡、アンチの上貝塚、嘉門貝塚A、嘉門貝塚B,塩屋貝塚、阿良貝塚、熱田第二貝塚、阿波連浦貝輪、広田遺跡)において悉皆的に調査し、弥生時代のゴホウラ腕輪の形成に、南島人と西北九州沿岸部の弥生人が深く関与していることを確認した(「貝輪粗加工品の流通-弥生時代貝交易再論-」『南島考古』第36号、2017)。古墳時代の貝交易について、大きく二つの交易系列のあることを指摘した(「繁根木型貝釧考」『考古学雑誌』第98巻第4号、2014。実際の刊行は2016年)。2.沖縄諸島における交易用貝殻の採集の実態を、貝殻集積の確認を行うことによって明らかにし、新たな集成データ[1505個(33遺跡138基)]を作成した。このデータは公表を予定している。3.沖縄諸島におけるゴホウラ粗加工品の加工方法を復元し、製品との対応を明らかにした。公表を予定している。4.種子島広田人による貝製品素材調達の実態の一部を、奄美大島小湊フワガネク遺跡の調査により明らかにした(「小湊フワガネク遺跡と広田遺跡―奄美大島の鉄器導入期の考察―」『奄美考古』第9号、2017)。5.古代におけるヤコウガイ交易の実態について、消費地側の新資料を収集した。6.貝交易大成洞91号墳において古墳時代前期併行期のゴホウラ装馬具、イモガイ装馬具を確認し、調査を実施した。その結果について論文を執筆中である。
著者
松岡 浩史 マツオカ ヒロシ Matsuoka Hiroshi
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
vol.108, pp.57-70, 2017-03-17

Sexual allusions and puns rampant in the text of Macbeth cannot be pretermitted just as the dramatist's word games considering their quality and quantity. The plot of the play furnishes the portrait of a man whose end is only to satisfy his political/sexual desires, lying outside the circle of generation. With the reference to the sources of social history, anatomy and demonology, this paper reveals the double-structure of the play, where political ambitions are always replaced by sexual metaphors. As Macbeth's political sterility parallels his sexual dysfunction, the king's political body, which was supposed to be invisible, is relentlessly visualized by the embarrassed body of the protagonist.
著者
木下 尚子
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.1-22, 2007-03-05

ヤコウガイ大量出土遺跡の代表的な4遺跡を対象に、出土したヤコウガイ三千余個を悉皆的に計測して当時の人々の採取状況を復元し、ヤコウガイ大量出土遺跡の成り立ちを検討したもの
著者
木田 建次 キダ ケンジ Kida Kenji
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学工学部附属ものづくり創造融合工学教育センター年次報告書
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.66-67, 2006-06-14

世界6大蒸留酒の一つ白酒から排出される発酵廃糟から燃料用アルコール製造技術を開発し、運輸部門からの炭酸ガス発生量を削減することを研究交流の目的とした。
著者
酒井 孝寛 坂田 治 伊豫 泉
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学政策研究 (ISSN:2185985X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.115-126, 2013-03-29

水産業や加工業、旅館等の観光業や飲食業など、天草地域は里海の恩恵を受けて発展してきた。しかしながら、温暖化による海の環境の変化や水産資源の減少、漁業者の高齢化や後継者問題など、現在の天草の里海は様々な問題を抱えている。本提案は、天草地域における里海の保存と継承に向けたコンソーシアムの設立と、シールを活用した保存活動資金の確保に関する提案である。Amakusa area has developed with the benefits of Sato-umi, such as tourist business and catering trade that are fisheries, processing industry, hotel and etc. However, now Sato-umi of Amakusa has various problems, such as change of marine environment by global warming, reduction of marine resouces, a fishery worker's aging and the lack of successors etc. This suggestion related to the securing of the preservation activity fund which utilized the establishment of the consortium and the stickers, for the preservation and the succession of Sato-umi in Amakusa area.
著者
上村 直己 Kamimura Naoki カミムラ ナオキ
出版者
熊本大学
雑誌
ラフカディオ・ハーンとその時代
巻号頁・発行日
pp.65-99, 2006-03-10

本稿は、五高の初期、つまり第五高等中学校と称していた時期のドイツ語教育の実態を明らかにしようと試みたものだが、併せてその前に、まだ十分に明らかにされていない明治前期の熊本におけるドイツ語やドイツ語教育をめぐる状況についても整理して記述しておきたい。
著者
塚本 泰造
出版者
熊本大学
雑誌
国語国文学研究 (ISSN:03898601)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1-49, 1988-09-10

いわゆる「陳述論争」の帰結の一つは、文法用語としての「陳述」の定着である。現在の構文論において、「陳述」を項目として論ずべき部分は多いであろう。ところで、この論争の過程で、論者が必ずなさねばならない作業があった。それは、山田文法の「陳述」「統覚作用」これら二つの文法用語の関係を見極める事であった。文法用語としての「陳述」が山田博士によって初めて取り入れられたとされる以上、論者自身の「陳述」(あるいはそれ相当の何か別の言葉)のオリジナリティを明確にし、山田文法の批判克服に向かうためにも、右の語義の検討は重要なことであった。そして、論者の「陳述」「統覚作用」の関係の理解は、統一されているとは言えないのである。
著者
田村 実
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育学部紀要. 自然科学 (ISSN:04546148)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.39-45, 1992-09-30
被引用文献数
1
著者
Rosen Alan ローゼン アラン
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学五高記念館館報
巻号頁・発行日
no.3, pp.100-109, 2018-03-15

ラフカディオ・ハーンは新聞記者や作家としてよく知られているが、理科学のさまざまな分野にも深い興味を持っていた。本稿ではハーンが書いた天文学に関する記事を紹介し、天文学の知識をどのように利用して文学的な記事を作ったかを分析する。
著者
山梨 八重子
出版者
熊本大学
雑誌
先端倫理研究 : 熊本大学倫理学研究室紀要 (ISSN:18807879)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.153-173, 2014-03

In this study, I examine the basis for justification of paternalistic acts in education. My assumption is that the theory of paternalism does not include apply to children, but accepts paternalistic intervention for children by adults and teachers. The reason behind this is that children are by nature inexperienced compared to adults. However, in reality it is a common occurrence for teachers to intervene excessively for children in the context of school education. Therefore, based on knowledge of paternalism theories, I attempt to define a standard to prevent excessive intervention by teachers with regard to children. In conclusion, I examine the basis of justification for teachers to intervene on behalf of children.
著者
内藤 幸一郎 城本 啓介
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

本研究では記号力学系理論とp-進数論における非アルキメデス的性質等の共通性を利用した複雑性解析研究を基盤としている。代表者はフィボナッチ記号列から記号力学的に定義されるp-進 extremal number と呼ばれるp-進数と、そのべき乗を振動数として持つ準周期的力学系の再帰的挙動解析を行い、再帰性を表す指標である再帰的次元のGAP値が正の値をとることを示すことにより、軌道の予測不能性が生じる十分条件を導いた。これらの研究結果については学術論文誌J.Nonlinear and Convex Anal.に掲載予定である。p-進解析の暗号理論への応用としては、27年度からShamir型攻撃に耐性のあるp-進ナップザック暗号方式を提案し、さらにより強い安全性をもつcommitment scheme付のp-進ナップザック暗号方式を構成提案している。本年度はこれらの成果について国際学会Numeration 2016 で講演発表を行い、学術論文誌P-Adic Numbers, Ultrametric Anal. Appl. に発表、掲載された。さらに、これらのp-進ナップザック暗号系における通信符号の安全性を高める研究や暗号鍵のコンパクト化を進める研究に取り組み、これらの成果については国際学会NAO-Asia2016で招待講演を行い、同国際会議論文誌に掲載予定であり、さらにWorkshop on NACA 2016、Workshop「数論とエルゴード理論 2017」でそれぞれ講演発表を行っている。分担者は暗号理論に関連する符号理論分野における研究を進め、研究成果は学術論文誌 Des. Codes Cryptography、国際会議論文誌IEEE Trans. Information Theoryに発表、掲載された。さらに多数の研究結果を組み合わせ論関連の国内外の学会で発表した。
著者
浦川 紘子
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学社会文化研究 (ISSN:1348530X)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.183-201, 2005-03-31

本稿では、遺伝子スパイ事件決定を手がかりとして、日米犯罪人引渡し条約3条、逃亡犯罪人引渡法2条6号に規定されるいわゆる「証拠の十分性」要件の意義並びに解釈適用における問題点について、他国の実行と比較しつつ、国際法の立場から考察することを目的とする。
著者
宇佐美 しおり 西阪 和子 田中 美恵子
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

平成18年度は九州管内の私立K精神病院にて、海外のアサーティブ・トリートメントモデル(以後ACT)が日本の精神障害者を対象として実施できるのかどうか、についてのパイロットテストを行った。GAF35以下、入退院を繰り返すか長期入院の患者で本調査に同意の得られた統合失調症患者5名(介入群)にACTを実施し、その評価を病状、日常生活機能、社会的機能、ケア満足度で行い、また介入内容を記録に残し、介入内容の検討を行った。介入は海外のスタンダードにそって実施し、介入にあたってはスタッフ訓練を行った。これらの結果を対照群5名の結果と比較した。その結果、ACTチームのフィディリティスケールが若干低いこと、地域資源をチームメンバーにいれることが困難であったが、海外のスタンダードにそって介入が可能であることがわかってきた。そこで、平成19年度は、ACTチームを固定化して、介入群10名、対照群10名で介入前後の比較を行った。ACT介入群の病状、日常生活機能、社会的機能は入院時、退院時、退院3か月後と改善し、対照群と有意な差がみられていた。また介入内容については地域での生活を念頭にいれた介入が中心的となっていたが、患者のニーズを中心とした支援より、再燃予防を目的とした介入であることが明らかとなった。今後、病状を含めた患者のニーズを中心とした介入の必要性が示唆された。