著者
菊池 哲平 原田 恵梨子 Teppei Kikuchi Eriko Harada
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育学部紀要 人文科学
巻号頁・発行日
vol.58, pp.175-181, 2009-12-04

The purpose of this study was to examine the unique cognitive feature of young children with autism using matching task for visual stimuli was able to match in either color or shape. 11 young children with autism (CA = 4 to 6) and 36 typical development young children (CA = 3 to 6) was participated. The participants was asked for choosing stimulation "same as" sample according to color or shape. The results as follows; l) The typical development children tended to choose in shape, especially younger children. 2) The response time is shorter\with age in typical development. 3) The young children with ausitm tended to choose in color. It is suggest that the young children with autism have preference to color. Therefore, when using a visual cues for children with autism, it is effective to make the color a key point.
著者
藤井 可 Taka Fujii
出版者
熊本大学
雑誌
先端倫理研究
巻号頁・発行日
vol.2, pp.119-142, 2007-03

本稿は、現代の動物倫理議論の源泉であると考えられる、18世紀イギリスに於ける議論を辿っていくことによって「18世紀の議論と現代の議論との共通要素」、「18世紀の議論の中に見出される現代の議論の雛型」、「18世紀の議論から汲むべき、現代に欠けている要素」という三点をつまびらかにすることを目的としている。
著者
森 正人
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
vol.105, pp.151-161, 2014-03-17

本論文は事実と虚構という問題意識にかかわって、古代の説話と作り物語、近代の小説における転生譚をめぐり表現の方法を検討するものである。はじめに現代の事実および虚構の概念に相当する古代・中世の言葉に関して一般的な検討を行い、この問題をめぐる作り物語の批評基準および同時代の説話の表現方法を整理し分析する。そのうえで、浜松中納言物語、この物語を典拠としたと作家が明言している「豊饒の海」における転生の証拠と転生者の記憶の問題を取り上げ、その構想と表現方法を読み解く。浜松中納言物語は当時の説話を踏まえながら、その言説に見られる事実性を強調する方法に倣わず、「まことらしさ」を満たせば十分としている。「豊饒の海」は、浜松中納言物語を典拠としたと三島由紀夫自身明言しつつ、そこからさらに古代日本の転生をめぐる説話や浜松中納言物語のプレテクストである竹取物語をも導き入れて構成されている。そのことによって、小説は「典拠」からずらされ、小説自体をも相対化する。
著者
井福 裕俊 中山 貴文 坂本 将基 齋藤 和也 小澤 雄二 福田 晃平 中村 朱里
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育学部紀要 (ISSN:21881871)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.267-272, 2017-12-19

The purpose of the present study was to classify standing posture of the upper grade elementary school children in the second sexual stage into five types according to Kendall's method, and to clarify factors affecting those postures by using seven muscle strength or flexibility tests. A total of 196 children (104 boys, 92 girls) were analyzed. Only 22% of children were a good posture even if the ideal and military postures were combined, whereas a bad posture, i.e., kyphosis-lordosis, flat-back and sway-back postures, accounted for 78%. The deviation of the body's center of gravity was significantly shorter in the good pasture than in the bad posture. When principal component analysis was applied to the data for seven muscular strength or flexibility tests, military posture had high overall evaluation of muscular strength and flexibility and kyphosis-lordosis posture was lower, whereas ideal posture was mainly held by muscular strength and flexibility of lower body and flat-back posture was mainly held by those of upper body. These findings suggest that it is necessary to improve muscle strength and flexibility in order to improve the bad standing posture of upper grade elementary school children.
著者
前村 久
出版者
熊本大学
巻号頁・発行日
1999-03-11

本研究の目的は、ウイスキーの発酵において極めて重要な位置を占める酒母の状態を的確に把握するとともに、その効率的な培養法と生理活性を低下させない保存法を確立し、さらに、乳酸菌への微生物相の遷移を含めた酵母の発酵中の変化を調べ、安定した発酵の制御法を開発することにある。
著者
磯田 桂史
出版者
熊本大学
巻号頁・発行日
2009-03-25

近代化には工業が大きな役割を果たすこと、その工業の発展には優秀な技術者の存在が不可欠であり優秀な技術者を大量に生み出すには、高等教育が必要であることから、本研究では熊本の明治期における工場建築と工業教育建築に焦点を当て、それらの建物の持つ建築的特徴及びその建設経緯を解明し、熊本県の近代建築の歴史の一端を明らかにすることを目的とする。
著者
生田 まちよ
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

医療的ケア児の療育を第三者に委譲できず、他者の支援や社会資源の活用が少ないことで家族や社会との関係性に悪影響をきたしている母親が少なからず存在する。これは医療的ケア児と母親の関係依存による障害が要因ではないかと考えた。このアディクションの視点に立ち、犯行増加面接や共依存チェックリスト等での調査を行い、医療的ケア児と母親の関係性を解明して、療育を抱え込む母親の解き放ちのためのプログラムを開発することである。最終的には、その母親らしく、その医療的ケア児らしく、その家族らしく生活するための関係性造りに少しでも寄与することである。
著者
萩野 蔵平
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
vol.107, pp.23-35, 2016-03-17

Als Anredepronomina bezeichnet man hier pronominale Anredeformen zweiter Person wie du/ihr oder Sie. Für die Anredepronomina des Deutschen sind einmal eine reiche Variation und zum anderen deren ständiger Wechsel im Laufe der Zeit charakteristisch. Der vorliegende Beitrag soll versuchen, den Gebrauch der deutschen Anredepronomina in der zweiten Hälfte des 19. Jahrhunderts anhand von Georg Büchners Drama „Woyzeck" zu beschreiben. Meine Untersuchung hat erstens erbracht, dass das Inventar der Anredepronomina in diesem Werk aus einem viergliedrigen System von du/ihr, Sie, Ihr, Er/Sie besteht, zweitens dass der Gebrauch insbesondere von zwei zwischenmenschlichen Faktoren wie „Sozialrang" und „Solidarität" gesteuert wird und schließlich dass das Pronomen Er/Sie, das im 17. Jahrhundert noch zur Höflichkeitsform höchsten Grades gedient hatte, im Verlaufe der Zeit, wie aus dieser Untersuchung auch ersichtlich, rasch zu Pejorativa degradiert wurde.
著者
赤池 孝章 野口 陽一郎 前田 浩
出版者
熊本大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

ウイルス感染病態における一酸化窒素(nitric oxide,NO)の役割を解析するため、マウスインフルエンザウイルス肺炎モデル、ラット狂犬病ウイルス/単純ヘルペス脳炎モデルを作製し、各ウイルス感染病巣におけるNOの過剰生成を解析し、NO合成阻害剤であるN^G-monomethyl-L-arginine(L-NMMA)を投与し、生体内のNO合成を制御することで、ウイルス感染病態がどのように修飾されるかを検討した。その結果、マウス、ラットの肺、および脳内において、ウイルス感染に伴い誘導型NO合成酵素(NOS)が強く誘導されることが、誘導型NOSのcDNAプローブを用いたRT-PCR/Sourthern blot法、およびNorthern blot法により明らかとなった。また、ウイルス感染局所におけるNO生成を電子スピン共鳴(electron spin resonance,ESR)法により、110Kにて解析したところ、過剰に産生したNOに由来するNO-ヘモグロビンアダクトの有意な生成が認められ、これは、NOS阻害剤であるL-NMMAを動物に投与することにより著明に抑制された。さらに、L-NMMA投与により、インフルエンザウイルス感染マウスの生存率が有意に改善(100%致死率→50%生存)した。以上の知見より、マウスインフルエンザウイルスをはじめとする各種ウイルス感染の病原性発現機構において、NOが重要な増悪因子として作用していることが明らかとなった。
著者
西山 忠男 池田 剛
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

インドネシア・スラウェシ島南部のビリビリアルカリ層状貫入岩体の産状を調査し,岩体内部に発達する火成層状構造の成因を検討した.その結果以下のことが判明した.(1)岩体内部には貫入面から内部に向かって120mの範囲に渡り,197枚の層が確認された.全ての層の厚さを計測した結果,層の厚さは貫入面近くで薄く,岩体内部に向かって徐々に厚くなるスペース則に従うことがわかった.(2)一枚の層は,有色鉱物(カンラン石・単斜輝石)に富む堅い部分と,無色鉱物(斜長石・アルカリ長石・リューサイト・沸石)に富む柔らかい部分の互層よりなる.堅い部分の全岩組成は柔らかい部分に比してNa2Oに富み,K2Oに乏しい.その他の成分については顕著な差は認められない.(3)貫入面から岩体内部に向かって5m間隔で(堅い部分,柔らかい部分に無関係に)試料を採取し,その全岩化学組成を求めた.その結果,それらの組成の範囲は一枚の層の中の組成範囲とほぼ同じであることが分かった.このことは,マグマが貫入した後,マグマ溜まり内部で対流が起こり,マグマの化学組成が均一化したこと,ならびに化学組成の変化は層状構造の形成に伴って起こったことを示す.(4)堅い部分の長石の化学組成は,Or-Ab-Anの3成分図において,約900℃のソリダスに沿う全組成範囲に幅広く分布するのに対し,柔らかい部分の長石は組成範囲が狭く,アノーソクレースやサニディンは出現しないか,出現頻度が非常に小さい.このことは堅い部分が結晶化する際にメルト中の拡散が十分進行せず,全体的に非平衡な状態であったことを示す.柔らかい部分は非平衡の度合いが小さく,ゆっくり冷却したことを示す.(5)以上の事実から,層状構造は対流によって良く撹拌されているマグマ溜まりの境界部(母岩との接触部)において,熱境界層が形成され,その内部でソーレー効果によって形成されたと考えられる.
著者
平村 英寿 Hiramura Hidetoshi
出版者
熊本大学
巻号頁・発行日
2009-03-25

本研究はまず、青年期の希死念慮について状態的側面と特性的側面、つまり短期間で変動する側面と比較的長期間持続する側面に分けて調査した。① 状態的側面については、ネガティブライフイベンツと認知様式と希死念慮の関係について調査研究を行った。次に、② 特性的側面については人生早期に受けた養育態度および被虐待体験の程度およびパーソナリティと希死念慮の関係に関する調査研究を行った。③ 青年期以降のサンプルについては、ソーシャルサポート、地域活動への参加、心理的リソース、との関連について調査した。最後に ④ 臨床サンプルについて、将来の自殺関連行動を規定する因子についても調査を行った。
著者
藤見 俊夫
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では,洪水ハザードマップの閲覧を妨げる心理的要因について検証した.その結果,災害リスクについて楽観的であること,防災への関心が薄いこと,マップの閲覧が面倒であること,水害のリスクへの不安を回避すること,避難への自己効力感が低いことが,ハザードマップの閲覧を妨げる心理的要因であった.ハザードマップの閲覧を促すナッジ政策として,閲覧の手間を促すナッジは有効であった.被験者に社会規範や水害のリスクを強調するナッジ政策は,いずれもメッセージへの納得度が高い人については効果的であった.メッセージに納得しない人は閲覧を避ける傾向があった.
著者
荻野 蔵平
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
vol.103, pp.85-99, 2012-03-10

Beim hier vorgelegten Beitrag handelt es sich um einen Überblick über die Entwicklung des deutschen Wortschatzes. Unter stärkerem Bezung auf die Wortschatzstruktur des gegenwärtigen Deutsch behandelt er erstens die Arten des Bedeutungswandels, zweitens den Mechanismus des semantischen Wandels und schließlich den des lexikalischen Wandels. Als Zusammenfassung wird im letzten Kapital ein Modell über den Wortschatzwandel vorgestellt, das aus Innovation, Evolution und Variation besteht. Diese Abhandlung soll übrigens auch als Teil einer vom Verfasser geplanten Studie "Einführung in die Prinzipien der historischen Linguistik des Deutschen" dienen.
著者
森 大輔
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
vol.141, pp.348-388, 2017-12-07

前回の森(2017)で取り上げたQCAの分析では、各変数は0か1のみだった。QCAでは各変数は集合を表し、1が集合への帰属、0が非帰属を表す。しかし、0と1の2つのみに分けるのではなく、もっと微妙な差異も表現したい場合があるかもしれない。そのような場合に、通常の集合(クリスプ集合crisp set)を拡張したファジィ集合(fuzzy set)を利用する。今回は、このファジィ集合を用いたQCA(ファジィ集合QCA)の、fs/QCAと、RのQCAパッケージ(およびSetMethodsパッケージ、vennパッケージ)での行い方を主に扱う。
著者
河添 博幸
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学社会文化研究 (ISSN:1348530X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.203-219, 2006-03-31

現代日本のみの問題とは言い難いが、男性主導社会と言われて久しい。このことが現代の社会において負の影響を及ぼしているのではないか、このような論調が一般的になりつつあることは否めないであろう。では、その負の影響とは一体何であるのか、そしてそれはどのような経緯において生じたのか、その起因となるものは何なのか、これらを探求すべく我々は、男性らしさとは何か、女性らしさとは何かという「らしさ」について再考しなければならないと思われる。