- 著者
-
水谷 令子
岡野 節子
西村 亜希子
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
- 雑誌
- 栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.3, pp.129-135, 1997-06-01 (Released:2010-11-26)
- 参考文献数
- 5
調理操作が麺中の水溶性相の食塩含量に与える影響と, 種々の麺料理からの食塩摂取量について実験を行った。結果は次のようである。1) 麺中の食塩量は, ゆで時間が長いものほど短いものより減少した。ひやむぎ, きしめんにおいてはゆで時間による有意差が認められたが, うどんにおいては有意差は認められなかった。2) ゆで上げ後の水洗いは, 食塩濃度を低下させるのに有効であった。洗う回数が増加するに従って, 食塩濃度は低くなったが, 手延べひやむぎを除いて, 1回目の洗いで顕著に低下した。ゆでた麺を5回洗うと, 食塩量は洗う前の, 手延べひやむぎでは20.9%, ひやむぎでは5.6%, うどんでは22.2%, きしめんでは23.5%, 生うどんでは41.0%に減少した。3) ひやむぎ, うどん, きしめんをそれぞれ, つけ麺, かけ麺, 温かけ麺の3つの方法で供した時の正味食塩摂取量は, ひやむぎでは1.81~2.67g, うどんでは1.31~2.28g, きしめんでは1.42~2.52gで, それぞれ調理材料に含まれる食塩の32~47%, 22~39%, 24~42%であった。細い麺 (ひやむぎ) は他の麺より食塩摂取量が多かった。いずれの麺も, つけ麺で食べるほうがかけ麺, 温かけ麺で食べるより正味食塩摂取量は有意に少なかった。温かけ麺はかけ麺より正味食塩摂取量は多かった。4) なべ焼きうどん, みそ煮込みうどん, 伊勢うどんの正味食塩摂取量は, それぞれ2.67g, 2.41g, 1.96gであった。伊勢うどんの食塩摂取量は他のうどんに比べて少なかった。以上の結果は, 栄養指導や栄養調査において, 正確な食塩摂取量を知る上で役立つと考えられる。