著者
三角 幸夫
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.615-635, 1999-04-25
参考文献数
28
被引用文献数
10

1988年から93年のレーダーエコー合成図を解析して日本列島付近の降水の日変化を調べた。この解析は、18のデジタル化レーダーを合成した陸海両方を含む広い領域上で、降水雲の水平規模及び最大降水強度によって、準水平循環によると考えられる大規模降水雲及び対流によると考えられる積雲規模降水雲に分類して日変化を調べた点に特徴がある。小規模で降水強度の強い雲で定義される積雲規模降水雲は、一部の岬を除く日本の4大島の全域・朝鮮半島南部及び沖縄本島で、午後に卓越的な降水最大を持つ。これは疑いなく日射の境界層加熱による。主に大規模降水雲で占められるその他の降水雲はほぼ合成図全域で朝に最大値を持つ日周期を示す。この変動は海陸循環には関係しない。日本上空の西風はこれらの日変化に以下のように影響を与える。東北日本上空の西風は積雲規模降水雲の活動を領域東側で最大にし、さらにそれらの雲を東側近海に運び降水極大を引き起こす。琉球列島周辺では、西風に運ばれる大規模降水雲が5月から7月の間しばしば午後に北東から通過するために、降水量の極大が午後に現れる。
著者
遠峰 菊郎 黒崎 一成 山崎 充 小野塚 裕也 黒木 祐樹 菅原 広史
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.437-445, 2003-06-30

熱気球は比較的に安価で,通常用いられる気象用気球よりも積載能力が大きく,ガス飛行船と比較して,管理が容易である.この熱気球を観測用プラットホームとして使用し,大気境界層中の気温を観測することを試みた.今回の実験では,熱気球より温度センサーを懸垂して気温を測定する場合,直径17mの熱気球から40m以上離して気温を測定すれば,熱気球水平飛行時及び下降時には±0.2℃より高い精度で気温を測定できることが示された.ただし熱気球が鉛直運動をする際に生じる,温度センサーの応答の遅れによる測定誤差を0.05℃より小さくするためには,応答時間が1秒以下の温度センサーを用いることが望ましい.
著者
近藤 純正 本谷 研 松島 大
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.821-831, 1995-12-31
被引用文献数
10 15

面積13km^2の宮城県秋山沢川流域について,「新バケツモデル」を用いて土壌水分量,流出量,積雪水当量の季節変化を計算し,さらに河川の熱収支式の解から河川水温を求めた.この研究では,山地の気象は平地のアメダスデータに基づいて,標高の関数として推定した.各標高の積雪量は雨雪判別式で計算し,融雪量は各標高の気温の関数とした.計算結果は河川の日々の最高水温の観測値がよく再現でき,また積雪水当量の標高分布の調査結果ともよく対応する.春期の山地における積雪水当量は500mm程度もあり,融雪期以後の地下水タンクの貯留水量の増加と,夏の流出量に大きな影響をもつ.1994年夏の渇水は,春の積雪水当量が他の年に比べて小さかったことも一因であると思われる.
著者
森 一正 石垣 修二 前平 岳男 大矢 正克 竹内 仁
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.459-482, 1999-04-25
参考文献数
37
被引用文献数
1

1993年8月30日から9月1日まで、(19N, 129E)周辺の北西太平洋上を西進した初期の緩やかな発達期にあった台風Yancy(T9313)が、気象庁観測船啓風丸で観測された。この期間中、Yancyの循環中心は啓風丸の北80kmまで接近した。Ydncy中心部の対流が、船上で得られたレーダー、海上気象、高層気象観測データと最近利用可能になった衛星データを用いて解析された。セルエコー追跡風(CETwinds)が見積もられYancy周辺の下層風データを補うために使用された。初期発達期間中に、雲が1500kmスケールの下層低気圧性循環(LLCC)の南西象限に存在し中心を一にしない構造が、雲システム中心部の円形の厚い上層雲('CDO')の形成を経て同一中心を持つ構造へと遷移した。この同一中心を持つ構造の確立後、Yancyの後期の急激な発達が始まった。Yancy内に様々なメソスケ-ル(100-500km)降水体(MPFs)が次々に組織され時間発展した。このMPFsの形態は台風初期発達過程が4つのサブステージを経て進展するにしたがって変化した。第1サブステージでは大きな(400km)エコーシステム(LES)がLLCCの南西象限に組織され、その上に円形雲システムが出現した。第2サブステージでは、長続きするメソスケールの強い対流域(MICA)がLESの北西端に組織され、それが円形雲システム中の'CDO'のメソスケール降水実体であった。LLCCはMICAの形成後500kmスケールで強化されたようであった。第3サブステージでは、強い低気圧性循環中で、LESと雲システムは500km以上の長さを持つコンマ型スパイラルバンドへと進化した。最終サブステージでは、スパイラルバンドの曲率は増し、より内側のほぼ円形に近いスパイラルバンドが更に強化されたLLCC中に現われた。コンマ型システムの北側頭部はLLCC中心を巻き込みつつあった。MICA周辺に、下層の流れに垂直な線状システムと平行な線状システムが、第1サブステージと第2サブステージに各々形成されていた。LESとMICAは初期発達過程にあるYancyの核構造を構成していた。MICAは、長続きする、エコー頂が高度16kmに達する強い対流にとって3次元的に都合よく組織された構造を持っていた。MICAと500kmスケールのLLCCは互いに強め合っているようであった。MPFsのいくつかの特徴がまとめられ、それらは山岬(1983, 1986)により数値的に再現された、発達中の台風内のメソ対流の特徴とよく対応しているようであった。
著者
草開 浩 小山 芳太 金森 恒雄 瀬古 弘
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.395-412, 2011-05-31

2008年7月28日に近畿地方を南西進した線状降水帯について,観測データの解析と数値予報モデルを用いた再現実験を行い,降水帯の成因と構造を調べた.この降水帯は,兵庫県・京都府・滋賀県の南部(近畿地方中部)で降水セルが列状に並んだ降水域と,兵庫県・京都府・滋賀県の北部(近畿地方北部)から南下した降水帯が合流して形成された.合流時の降水帯の形成機構では,近畿地方北部の降水帯からの冷気外出流が下層の収束を強化し,近畿地方中部の降水系の対流を強めたことが重要であった.また,同日に神戸市灘区の都賀川で発生した大雨は,神戸市西区上空で発生した降水セルが南東進し,急発達したものであった.降水エコーの急発達と下層の冷気外出流の到達が一致していたことから,近畿地方中部で発達した線状降水帯からの冷気外出流が急発達に深く関係していたことがわかった.
著者
立平 良三 保科 正男
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.325-333, 1993-05-31
参考文献数
9
被引用文献数
2

10年間のアメダスの毎時雨量を解析して,30mm/h以上の大雨の発生度数がどのような日変化をするかを調べた.各都府県毎に平均をとった場合の日変化は様々であるが,相関係数を類似の尺度として幾つかのグループに分けることを試みた.その結果,大まかな傾向として,次の三つの特徴的なグループの存在が見いだされた.(1)西日本の南西斜面の大雨早朝から午前にかけて発生度数が高く,また季節的には梅雨末期に当たる7月に多い.地形的には,南西風が海から直接に吹きつける領域であり,亜熱帯高気圧の縁辺を廻ってくる熱帯海洋気団中で発生する大雨の特徴と考えられる.(2)本州中部の大雨夕刻から夜にかけて発生のピークがあり,季節的には盛夏の8月に多い.熱雷的な性格の大雨と考えられる.ただし,南東風による地形性の降雨が卓越する沿岸の都県では,台風が原因と考えられる副次的なピークが9月に現れている.(3)西日本の南東斜面の大雨大雨の発生が一日中ほとんど変わらず,しかも高い発生の状態が続く.これは西日本で南東風が海から吹きつけるような地形の領域で発生する大雨で,台風など熱帯低気圧に伴う大雨と推定される.
著者
花宮 廣務 松浦 健次 岩本 博之
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.531-540, 1998-07-31
参考文献数
12
被引用文献数
3

1996年5月22日02時過ぎ, 大分県西部の玖珠町・九重町の狭い範囲で突風が吹き, 住家の一部損壊129棟等の被害が6か所で発生した.被災直後の現地調査では, 一部で発散性気流によるとみられる被害形状の他, 一定方向に指向性をもった被害痕跡が認められた.この突風は, テイパリングクラウド域内で発達した積乱雲群が通過する際に発生したもので, 積乱雲群に対応して大きさが約40kmのメソ擾乱が解析された.この突風を, 被害の形状や気象解析の結果, 積乱雲の下で地上付近に破壊的な風の吹き出しを起こす強い下降気流であるダウンバーストと結論づけた.今回のダウンバーストは, これまでほとんど報告例のない深夜・山間部で発生した事例であった.今事例から, テイパリングクラウドを伴うような活発な対流活動を引き起こすメソ擾乱が存在し, 大気中層に乾燥域が存在するような場合, 深夜においてもダウンバーストが発生することが示された.
著者
浅野 和久 安藤 敏幸 石川 斎 岡田 哲也 岡田 まゆみ 小竹 康一 杉江 良基 杉江 予支子 須田 勝治 田口 静 田口 由紀子 永尾 栄子 長谷川 千里 日比 禎紀 日比 きよみ 古橋 徳昭 古山 享嗣 古山 智百合 山口 拓男
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.23-35, 1994-01-31
参考文献数
12
被引用文献数
5

盆地霧("放射霧")の特性を把握するために,岐阜県恵那地方で霧の観測を行った.(1)その結果,恵那地方の典型的な盆地霧は前日晴れて当日朝晴れの場合に見られ,木曽川沿いを中心に盆地底に出現の多いことがわかった.(2)盆地霧の一生は,"発生期"・"変化期"・"発達期"・"消滅期"の4段階に分けられた.(3)観測結果をもとに霧の発生から消滅までのメカニズムをまとめると次のように推論できる.霧は一旦発生すると,霧粒からの放射冷却や周囲との温度差などによって変化・発達し,霧粒の重みで降下して消滅するという過程をたどる.すなわち,霧の一生は霧の自己運動(内的要因)で説明できる.これに外的要因(地形・日射・局地風等)が加わって,拡大時期や消滅時期が決定される.(4)恵那地方の盆地霧は単純な放射霧ではなく,放射冷却の影響が強い混合霧である.
著者
直江 寛明 木下 紀正 池辺 伸一郎
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.671-679, 1993-09-30
被引用文献数
6

阿蘇火山博物館で測定している大気中の二酸化硫黄濃度が30ppbを越えた高濃度事象を対象に, 気象データと衛星画像や桜島噴煙の地上観測などのデータを用いて発生源の推定を行い, 特徴的な事例について気象条件との関連性について解析した.上層が東風系のとき, 阿蘇火山からの直接的な影響がみられ, 数百ppbに達する高濃度が長時間にわたってしばしば観測された.桜島は常時多量の噴煙と火山ガスを放出していて, 上層で南風系が卓越しているとき, 150km離れた測定点で30ppb以上, 時には100ppbを越える高濃度が検出された.二酸化硫黄濃度の日変化で特に高濃度が観測されるのは, 夜間に地表で放射冷却による接地逆転層が形成され阿蘇中岳火口からの火山ガスによる局所的な汚染濃度が極度に高められるとき, 及び九州が移動性高気圧の後面に位置し, 安定した大気中を桜島からの火山ガスが移流して混合層内の汚染濃度が高められたときと考えられる.
著者
瀬上 哲秀
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
気象集誌 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.811-821, 1994-12-25

数値予報モデルの出力結果を直接用いて、客観的に天気翻訳する手法を開発した。この手法はモデルの予想雲量、1時間雨量,そして地上の気温と相対湿度から、7種類の天気、つまり快晴・晴れ・薄曇り・曇り・雨・みぞれ・雪を作り出す。この手法を気象庁のルーチンのメソスケールモデルに適用し、観測された天気を用いて検証した。その精度は6時間の持続予報と同程度であった。このことは、この手法が客観的な天気翻訳として十分の精度を持っていることを示している。さらに、この手法から作られる天気分布図は従来からの出力である海面気圧や500hPa高度などの資料と比べて、メソスケールの擾乱を表現するのに利点がある。また、降水タイプの予想にも良い精度があることが示された。
著者
藤吉 康志 藤田 岳人 武田 喬男 小尻 利治 寶 馨 池田 繁樹
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.391-408, 1996-06-30
参考文献数
20
被引用文献数
4

濃尾平野を対象地域として, 複雑山岳地形の風下での降雪分布を決定する要因について, 2台のドップラーレーダを用いて調べた。レーダは, 観測範囲が関ケ原を含む山間部と濃尾平野をカバーするように配置し, 1992年12月から1993年5月まで観測を行った。降雪が生じた9回のうち, 平野部で降雪が見られ, かつ風速・風向が数時間もの間ほとんど変化していない4例について, 平均的なレーダエコー及び水平風の3次元分布を作成し, 異なった風向・風速によってエコー及び気流分布がどのように変化するかを詳細に調べた。伊吹山地の風下の弱風域の範囲は, 風上の風向が北寄りになるほど風下に広がっていた。一方, 風向が西寄りになるほど関ケ原の出口付近での風向変化が下層及び上層共に顕著であり, かつ, 鈴鹿山脈の風上側と風下側での下層にみられる風速変化, 及び鈴鹿山脈の北側での風向変化が顕著であった。エコー域はわずかな風向変化で大きく異なり, 高度1。5〜2 kmの平均風向にほぼ平行に延びていた。エコー域の幅は, 風向に直角な方向の若狭湾の幅と極めて良く一致していた。山のすぐ風下の強エコー域の存在と, 山から離れた地点にエコー強度のピークを持つ幅の狭いバンド状のエコー域の存在が, 風向によらないエコー分布の共通の特徴であった。山岳風下域に存在する多降雪域の範囲を求める指標として, 伊吹山地上空の風速と落下速度 1 ms^<-1>を用いることは, 良い近似であることが確認された。しかし, 山頂上空には強風域が存在し, 降雪粒子の到達距離をより正確に見積るためには, この山頂上空の強風域の広がりを考慮する必要があることも分かった。複雑山岳地形の風下では, 風上の地形によって風向・風速が場所によって微妙に変化し, その結果上昇流が発生し過冷却雲が形成される。山から離れた地点に存在したバンド状降雪域は, この過冷却雲が山頂から流されてきた氷晶によって「種まき」された結果であることが示唆された。また, このバンド状降雪域は, 山脈風下の弱風 (後流) 域, 及び, 山脈と山脈の間の谷筋の強風 (噴流) 域の何れにも存在していた。
著者
木村 富士男
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.313-320, 1994-06-30
被引用文献数
22

中部地方にあるアメダス局の中から,(1)水平規模の大きな盆地や谷,(2)水平規模の小さい谷,(3)山岳地,の3つのカテゴリーに分類される局を数局ずつ選び,夏期の雲の少ない日における日照率の平均的な日変化を調べた.その結果規模の大きな盆地や谷では,地面の起伏の影響が少ないと思われる地点より午後2時頃までは日照率が高く,その後も日照率が低くならないことが示された.これに対し規模の小さな谷では起伏影響の少ない地点より午前中はやや日照率が高く,午後は逆に低いこと,さらに山岳地では朝のうちを除いて常に日照率が低いことが示された.複雑地形上の局地循環モデルを使った今までの研究により,カラム積算水蒸気量の日変化と地形の水平規模の関係が示されているが,この解析結果はこれと定性的に一致する.また日中の局地循環による谷の中央部における下降流の強さは水平規模の小さな谷ほど強いはずであり,ここで示された日照率の地形規模依存性とは逆になる.
著者
杉 正人 川村 隆一 佐藤 信夫
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.717-736, 1997-06-25
参考文献数
51
被引用文献数
15

気象庁全球モデルを用いて、アンサンブル気候実験を行い、海面水温 (SST) 変動に強制されて起きる大気の長期変動と、季節平均場の予測可能性について調べた。モデルの34年時間積分を3回実行した。3つの時間積分はいずれも1955-1988年の実測のSSTを境界条件としているが、大気の初期状態が異なっている。季節平均場の全変動のうち、SSTの変動で強制されて起きている変動の割合 (分散比) を計算した。この分散比は、SSTが完全に予測された場合の最大予測可能性 (ポテンシャル予測可能性) を示すものと考えられる。気圧場の分散比は一般に熱帯では高い (50-90%) が、中高緯度では低い (30%以下)。このことは、季節平均気圧場の (ポテンシャル) 予測可能性は、熱帯では高いが、中高緯度では低いことを示唆している。一方、季節平均降水量の分散比は、ブラジルの北東部の74%、インドモンスーンの31%というように、熱帯の中でも地域によって大きく異っている。全球平均の陸上の地表気温の分散比は高い (66%) が、ほとんどの陸上の地点での局地的な地表気温の分散比は低く (30%)、海面水温予測にもとづく局地的な陸上の気温の予測可能性が小さいことを示唆している。