著者
千原 一泰
出版者
福井大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

小胞体ストレスはアルツハイマー病をはじめとする種々の神経変性疾患の病因のひとつに挙げられている。グリア細胞に特異的に発現する小胞体ストレスセンサーOASIS のノックアウトマウスでは野生型マウスに比べ、カイニン酸投与による神経細胞死が顕著に亢進する。本研究においてOASISによる神経細胞保護作用を解析した結果、OASISがアストロサイトにおける脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現と分泌に重要な役割を担っている事を示唆するデータが得られた。
著者
老木 成稔
出版者
福井大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

膜蛋白質は膜平面上で制限された拡散運動を行い、同種蛋白質間で集合・離散を行うものがある。しかし膜蛋白質の中でもイオンチャネルは、細胞膜上でごく少数のチャネルで細胞機能を担うものもあり、自己組織化によってチャネル機能の発現にどのような関連があるのか十分に検討されてこなかった。私達は原子間力顕微鏡(AFM)によってチャネル蛋白質の新しい動的秩序構造を発見した。チャネルはゲート開閉構造変化に連動して膜状で可逆的な自己組織化を行うのである。一方、チャネルと膜脂質の相互作用がチャネル蛋白質の新しい構造モチーフ(センサーへリックス)を介して行われており、しかもセンサーへリックスがゲート構造変化を制御することも発見した。この2つの発見から導かれることは、チャネル機能発現においてチャネル蛋白質の構造変化が膜脂質との相互作用を変化させ、チャネルの膜内での孤立状態と自己組織化状態の遷移を引き起こしている、というシナリオである。生体膜と異なり、脂質2重膜に精製したチャネルを再構成するにはチャネルの向きを揃えることが不可欠であるが、これまでに方法が確立していなかった。この方法の確立のために多くの実験を行った。またチャネル集合離散状態によってチャネル機能の差を捉えるためには原子間力顕微鏡で捉えられる事象でなければならず、様々な方法を試みてきた。その中で隣り合うチャネル機能に差があるという結果を得つつある。チャネルが膜とどう相互作用するかという点を明らかにする上で膜リン脂質の組成はきわめて重要である。私達は様々なリン脂質を使ってリポソームを形成し、膜上での集合離散状態を蛍光色素で測定した。その結果、リン脂質の組成だけではなく、膜の相分離・厚さなど膜の物理的特性によって集合離散状態が大きく変化することを明らかにした。これらの実験と並行して、複数の共同研究を開始し、新しい結果を得た。
著者
堀 照夫 久田 研次
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

軽量で、高強度の導電性繊維およびプラスチックの製造を目的に、超臨界二酸化炭素流体の特徴を生かし、無電解めっきの核となる触媒の付与を検討した。超臨界二酸化炭素に比較的良く溶解する有機金属錯体の中から適切なものを数種選び、最初にこれらの錯体の単独での溶解性、2種類を混合した時の溶解性と相互作用について調べた。繊維・高分子としては高強度・高弾性で耐熱性の高いものを対象とした。アラミド繊維およびこのフィルムはジヘキサフロロアセチルアセテネートパラジウムなどを用い、錯体を注入した後、高温で乾熱処理することで高いめっき密着性が達成できた。液晶高分子であるLCPやエポキシについては密着性の向上に工夫を要した。解決法の一つは構造の類似な2種の錯体を混合使用する方法で、これにより超臨界流体に対する溶解性が向上し、めっき触媒であるパラジウムを強固に高分子表面に固定できた。その他に高分子表面を電子線加工する方法、プラズマ処理する方法、レーザー照射する方法等も効果があることを明らかにした。
著者
青木 芳隆 横山 修 日下 幸則 松田 陽介 土山 克樹 松本 智恵子
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

福井県住民健康診査受診者のうち、65歳以下のMetSではない5,234人を対象に、夜間頻尿とメタボリック症候群(MetS)の発症について縦断的調査を行った。平均年齢は55.6歳で、4年間でMetSは4%に新規発症していた。年齢および性別補正後、MetS発症の危険度は、夜間頻尿を有すると有意に高くなることがわかった。その危険度は、2.3倍(ときどき夜間頻尿あり)から2.9倍(いつも夜間頻尿あり)であった(それぞれp<0.05)。この結果から、夜間頻尿は将来のMetS発症の予測因子になりうると考えられた。
著者
前田 秀之
出版者
福井大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

遺伝子組換えマウスの維持方法として卵巣移植法がとられることがある。しかし、マウスが突発的な事故により死亡し、レシピエントマウスを購入しなければならない場合には対処できない。緩慢凍結により保存する方法が取られることもあるが、プログラムフリーザーを必要とするので容易に行えるものではない。これらに対処する方法として、また卵巣の低温輸送の実用化を考え、今回はマウス卵巣の短期間の保存を検討することにした。蛍光励起ライトで可視化できるC57BL/6-Tg(CAG-EGFP、以下GFPマウス)5週齢から卵巣を採取した。レシピエントマウスには8週齢のC57BL/6を用い、1個の卵巣を2つに分けて1匹に移植し、回復後にC57BL/6雄マウスと交配し産仔を得た。確認は産仔が、GFP発光するものはドナーマウスであるGFPマウスの卵巣由来と判断した。低温保存の検討は2段階で行い、実験(1)は、生理食塩水、胚の培養に用いるKSOM液、胚の凍結保存剤であるDAP213液、ミネラルオイルを選択して行った。選択した液を1cc入れたチューブの中に、1匹のGFPマウスの卵巣を入れ4℃で12時間保存した。保存後は、室温の生理食塩水で洗浄した後に移植した。この結果により保存液を決定した。実験(2)は、保存液としたものに実験(1)と同様に卵巣を入れ、4QCで24時間、48時間、72時間保存後に移植し保存期間を検討した。なお、対照として保存時間0時間の卵巣を移植した。実験(1)で使用した4種類の保存液では、卵巣を生理食塩水に入れ4℃で12時間保存したものと、コントロールでのドナーマウス由来のGFP仔マウス出生率が34.2%と35.6%と差が少なかったことと出産したレシピエントマウスの数でも、それぞれ6匹と7匹と差が無いことより、生理食塩水を保存液として使用できることが確認できた。実験(2)より24時間保存での出生率は24.4%、48時間のものでは19.8%との結果が得られたこと、72時間保存したものでは出産が確認できていないかったことより、卵巣の4℃での保存は48時間以内と考える。
著者
美谷島 杏子
出版者
福井大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究ではApc; Id2遺伝子変異マウス(Apc; Id2マウス)を用いて、Id2の腸管腫瘍形成における機能を遺伝学的に解析した。Id2欠損による腫瘍上皮細胞の増殖能とアポトーシスへの影響は認められず、腫瘍の大きさへの影響も僅かであったが、回腸の腫瘍の数が80%減少するという著しい変化が観察された。このことからId2は回腸腫瘍形成のinitiationに重要であることが示唆された。DNAマイクロアレイの解析から、Apc:Id2マウスの腸陰窩ではApc欠損型腸腫瘍形成に必須なc-Mycタンパク質の阻害因子や腫瘍形成抑制因子の発現が変動しておりこれらが腫瘍形成抑制に関与していることが示唆された。
著者
高田 洋子 高田 滋 高田 滋
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

わが国では介護保険制度導入後,在宅ケアを中軸とした地域福祉システムの再構築が始まっている。地域福祉の主体である自治体,市民,福祉・介護及び保健・医療専門職の連携が求められている。この点で先行する幾つかの自治体および福祉団体の事例を調査検討して,その優れた有用性と課題を把握し,今後の研究の課題を明らかにした。
著者
坂田 登
出版者
福井大学
雑誌
福井大学教育地域科学部紀要 (ISSN:2185369X)
巻号頁・発行日
no.1, pp.59-64, 2011-01

福井大学教育地域科学部紀要(人文科学 哲学編) , 1, 2010
著者
長谷川 武光 細田 陽介 杉浦 洋
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

現在の計算機上での数値計算は倍精度(10進約16桁)で行われる。工学や自然科学の分野で高精度計算の要求が高くなっている。そこで本研究では8倍精度(10進約72桁)で数値計算を簡便に行えるオンラインシステムの構築を目指した。本システムはWeb上での8倍精度計算のための高精度電卓のような機能を提供する。さらに、専門家向けには通常の倍精度計算でのC言語プログラムを受け付けて8倍精度計算結果を提示する。
著者
上野 栄一
出版者
福井大学
雑誌
福井大学医学部研究雑誌 (ISSN:13488562)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-18, 2008-12

Qualitative and quantitative research design models present the nurse researcher with complex issues to sort through beforeresearch can be started. Content analysis is a linguistic, systematic and replicable technique for compressing many words andsentences of text into fewer content categories based on explicit rules of coding. Content analysis is a hybrid (mixed ormulti-method) research approach which contains both qualitative and quantitative research.In contrast with qualitative methods such as grounded theory, content analysis allows inferences to be made which can then becorroborated using other methods of data collection. This method employs various state-of-the-art fields such as linguistics,information science and social science. Krippendorff, who is a professor at Pennsylvania University, notes that computer-drivencontent analysis tools such as Wincha ( morphological analysis software ) and KWIC Finder have been motivated by the search fortechniques and skills for making inferences from symbolic data that would be either too costly, no longer possible, or too obtrusive bythe use of other techniques. Therefore, content analysis appears to be promising for nurses to discover and describe the topic focusof individuals (especially patients), interest groups, institutions and societies.This methodology, which arose from the analysis of anthems, enhances research quality across a broad spectrum of professionalfields. In particular, computer utilization offers a realistic coupling of quantitative research with qualitative research in the field ofnursing. In Japan, the development of content analysis is now being conducted by nursing researchers.By introducing computer analysis into conventional and qualitative research methods, word-level analysis becomes a practical tool.Such analysis offers the power to produce objective, quantitative displays enabling the researcher to categorize the content ofinterviews. Furthermore, content analysis makes possible generalizations about critical components of the relationship betweennurses and patients within a reasonable time frame. This paper will present the method of the content analysis, its history, andspecific analytical procedures involved in computer utilization.Experience with content analysis suggests that this method has the potential to contribute greatly to nursing research in the nearfuture.
著者
吉澤 正尹 山本 富士夫 長谷川 健二
出版者
福井大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

「器械運動」は運動教材の中でも、(1)学習者の基本動作に対する経験が極めて少なく、学習すべき動作の感覚がつかめない場合がある、(2)学習の対象となる運動が危険を伴うものであったり、学習者にとって高難度である場合には、実動作の学習の全く取り込めないことなど、学習指導が難しいとされている。それらを克服するために、それぞれ(1)学習すべき運動を指導者が示範したり、熟練者が行ったビデオの視聴によって動作を把握させる、(2)学習者のレベルに合わせて段階的な指導を行うとともに、補助によって十分な安心と安全確保を行うことなどに配慮し、学習指導が進められてきた。本研究では、これら従来の学習指導法に加え、スポーツの力学的・生理学的な研究から得られた理論を背景として、コンピュータを応用した体育における学習指導法の開発という視点から、「鉄棒運動」を中心とした理論学習から実動作体験に至る学習指導プログラムを開発・適用した結果・次のようなことが明らかとなった。1.運動の力学的な側面については、理科における「てこ」教材を発展させ、〈バランスを崩すこと→運動〉を理解させるプログラムが効果的であった。2.学習すべき運動のイメージを身体運動のイメージに結びつける方法として開発した〈コンピュータ画面上の人形をマウス操作〉や〈ラジオコントロールできるロボットをレバ-操作〉によって運動させるようにした疑似体験が、小学生にも積極的に受け入れられた。3.運動の理論的な学習→身体運動のイメージの疑似体験→実動作のドリル学習というステップを踏むことによって、学習者の学習すべき運動に対する認知レベルや技能獲得のための取組みを含めた学習意欲の向上がみとめられた。
著者
平田 隆幸 黒岩 丈介 浅井 竜哉
出版者
福井大学
雑誌
福井大学工学部研究報告 (ISSN:04298373)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.161-167, 2004-09-30

A numerical simulation of Hodgkin-Huxley model was carried out by using a Runge-Kutta method. In the numerical simulation, the functions of Numerical Recipes in C were used for solving the Hodgkin-Huxley equation. The accuracy of numerical solutions was discussed for both simple Runge-Kutta method and adaptive stepsize control Runge-Kutta method. The difference between simulation performed by using float type variables and one by using double type variables was also discussed. A large neural network of Hodgkin-Huxley neurons was carried out. A synchronization in the neural network was observed by changing the weight of synaptic transmission.
著者
鞍谷 文保
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,スポット溶接位置のばらつきの影響を受けにくい振動特性を有する溶接構造を構築するための溶接位置について検討する.最初に,有限要素解析に適したスポット溶接部の有限要素モデルを明らかにし,その特性に影響を及ぼす溶接部鋼板の適切な要素分割指針を示す.次に,溶接位置のばらつきが溶接構造の振動特性に及ぼす影響を明らかにし,それを基に振動特性の変動の小さい溶接構造を構築するための溶接位置指針を示す.
著者
野嶋 慎二 易 洪艶
出版者
福井大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

1.研究の目的本研究は、中国で急激な都市化により都市周辺部の集落が市街化され大きな社会問題となっている城中村の持続的な開発整備方法を検討するため、城中村と日本の高密な住宅地区との比較を行うことを目的としている。2.研究調査の実施状況(1)187城中村の開発状況と碑林区の15城中村の開発方法のまとめを行った。(2)昨年度調査した雁塔区東三爻村の借家人64世帯を追加調査し全100世帯の借家人の今後の転居志向を分析した。(3)調査時点(2010年1月)で解体された村65村(西安市全187城中)、その内、村民が新居に入居した9村から集団が改造の主体となっている西何家村を取り上げ、50人についてヒアリング調査を行い改造後の居住変化を分析した。(4)日本側の研究対象とする大阪市の空堀地区との比較を行った。3.これまでの研究で明らかになったことと意義(1)西安市187城中村の開発ではスラムクリアランス型大規模改造方法による住環境改善が可能であることが明らかになったが、下記の課題も判明した。(1)借家人は改造後他の城中村に住む志向性が高く、改造後の城中村が農村部から流入した住民や低収入者の受け皿機能を継承できるかということ。(2)城中村改造は村民の戸籍、土地所有権、経済の形態に変化をもたらし、政府が補償する住宅と店舗は改造後の村民の生活を支えられるかという課題、(3)村民の家族の居住形式や居住世帯、コミュニティに大きな変化をもたらしたこと。(2)日本側の調査では、大阪市の空堀地区には近隣意識、空間、近隣活動、コミュニティには相互に密接な関係性があり近隣空間の持続可能性を考えていく上で必要不可欠な要素であることが明らかになった。(3)社会制度は異なるが日中両国の開発から学ぶことは、日本からは多様なコミュニティを支える自律的な住環境形成と保全的な更新を考える開発方法、中国からは政府が主導する中国城中村の改造スピードを生かすことである。以上、急速に変化している中国城中村の居住実態とデータが得られたことは資料的に大きな価値があると考える。
著者
生駒 俊英
出版者
福井大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

我が国では、2007年に「離婚時年金分割制度」が導入され離婚の際に年金を分割する事が可能となった。しかし現在当初予想された程、利用が行われていない。そこで本研究では、我が国が制度導入にあたり参考とした、ドイツにおける「年金権調整制度」が、2009年から新たな制度へ改正された点に焦点を当て、示唆となる点を探ることとした。ドイツの制度を踏まえて、まず我が国の制度を社会保障法上の制度と捉えて、分割割合を一律二分の一にすべきであるとの結論に至った。さらに、本制度により分割は可能になったものの、それより生じる結果に対して制度的な対応が必要不可欠である。
著者
森島 繁 村松 郁延 鈴木 史子 西宗 敦史
出版者
福井大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

本年度は受容体の活性化後に見られる3分子からなるトランスポートソームの形成の分子機構を、Snapinの変異体を用いて明らかにしてきました。私たちは、α_1受容体と結合したSnapinとTRPCチャネルと結合したSnapinが1:1に小胞体膜上で結合することにより、このSnapinを2分子含んだ4量体トランスポートソームが形成されるという仮説をたてました。この仮説は、昨年度の実験で相当確からしさを増してきましたが、本年も以下の実験にて下記の結果を得ました。この結果は現在論文にまとめ、投稿を準備しています(すべての結果を記載することは出来ません)。1. 変異体Snapinを用いたSnapin-Snapin複合体(ダイマー)が形成される。今年度は、Snapinの変異体を用いて、昨年度と同様にSDS-PAGEによるダイマー形成の有無、bimolecular fluorescence complementation analysis (BiFC)法を用いて、Snapin-Snapin複合体ダイマーが形成されるかどうかを明らかにしてきました。Snapin-Snapin複合体に関与するドメインについては、膜内に入っている領域である戸考えられているN末であることが明らかになり、これはSnappingが小胞体膜上で会合するのに大変都合の良い構造であることが明らかになりました。2. α_1受容体との結合に関与するSnapin蛋白のドメインの同定、ならびに、TRPCとの結合に関与するSnapin蛋白のドメインの同定上記と同様の手法を用いて、Snapinと受容体、Snapinとイオンチャネルとの結合に必要なドメインも明らかにしました。また、変異体を作成し、Snapinとこれらのタンパクが結合出来ないと、ROCが起こりにくい事などを、Fura-2を用いたRatiometryなどによって明らかにしました。
著者
藤本 明宏
出版者
福井大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、車両熱および凍結防止剤散布の影響をそれぞれ組み込んだ熱・水分収支による路面雪氷状態モデル(車両熱モデルおよび凍結防止剤モデル)を構築し、実験結果との比較からモデルの妥当性を検証した。車両熱モデルによる計算結果は、乾燥路面温度の実測値、圧雪路面の融解過程における雪氷厚および雪氷密度の実測値とそれぞれ良好に一致した。凍結防止剤モデルの計算結果は、凍結防止剤散布路面の凍結および融解過程における舗装温度および塩分濃度の実験値と概ね一致した。本研究により、車両熱と凍結防止剤を考慮して路面温度および路面雪氷状態を計算することが可能になった。