著者
日暮 眞
出版者
筑波大学
雑誌
筑波大学リハビリテーション研究 (ISSN:09178058)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.77-78, 1998-03-16

今年度になって2回目の公開講演会が、1997年10月25日、筑波大学大塚校舎で中田英雄助教授の司会のもとに開催されました。当日は10月とは思えない程の暑い日でしたが、会場には医療関係者、教育・福祉関係者をはじめ、学生や一般の方々まで様々な分野からの参加者で ...
著者
菊地 芳文
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.71, pp.149-151, 2005-11

今年度の夏休み期間中に実施された高校生対象の施設見学、自然学類体験学習および筑波大学高校生公開講座に関して、案内・解説および講義・実習に携わり、例年になく多くの高校生と接する機会を得た。そこで、それぞれの行事に参加をした高校生の感想と ...
著者
上條 隆志
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004 (Released:2004-04-01)

本研究は三宅島2000年噴火後の森林生態系の種構成、多様性、機能に関する回復メカニズムを明らかにすることを目的とした。本年度については、以下の調査・解析を行った。1.2000年から2004年に設置した島内34箇所の固定調査区(100m^2から625m^2)において、植生調査と毎木調査をい、既存データと共に解析を行った。2.地上部の刈り取り調査を15地点行った。また、オオバヤシャブシについては個体別に刈り取りを行った。得られた試料の乾燥重量を測定し、バイオマス推定を行った。3.固定調査区6か所において土壌調査を行い火山灰ならびに埋没土壌を採取した。4.固定調査区2か所においてリタートラップを設置し、その回収を行った。5.固定調査区2か所においてシードトラップを設置し、その回収を行った。以上の調査解析結果から、噴火後5年間の植生変化パターンを明らかにすることができた。(1)火山ガスの影響が少なく、火山灰の堆積が厚い地域においては、樹木は胴吹きし、草本層ではハチジョウススキなどが増加した。(2)火山ガスの影響が強く、火山灰の堆積が薄い地域においては、樹木はむしろ衰退し、回復は草本層でのみみられ、森林から草源への退行遷移を示した。また、シードトラップの結果から、ハチジョウススキは裸地においても、周辺から多くの種子が供給されていることが分かった。噴火後に裸地化した地点同士で比較すると、火山ガスの影響の少ない地域の地上部バイオマスが噴火後5年で400g/m^2前後にまで回復したのに対して、火山ガスの影響の強い地域の地上部バイオマスは1.8g/m^2から95g/m^2程度であり、2004年から2005年の増加量も少なかった。リターフォールについては、年間のデータを得ることはできなかったが、継続調査することによって純一次生産量を推定する予定である。
著者
中西 僚太郎
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

明治期から昭和初期に作成された、厳島、和歌浦、天橋立、富士山、耶馬溪などの景勝地の鳥瞰図について、その現存状況を調査し、データベースを作成するとともに、作成主体、作成目的などの資料的検討を行った。それをふまえて、同地域の「案内記」や「写真帳」などの関連資料や、近世の絵画資料を参考にして、鳥瞰図に描かれた内容を分析し、表現された景観の特質を明らかにした。
著者
大矢 俊明
出版者
筑波大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996 (Released:1996-04-01)

本奨励研究では,ドイツ語における能格構文(1a,b),中間構文(2),結果構文(3),非人称構文(4)の考察を通じ,ドイツ語では外界をどのように切りとって統語構造にとりいれているのか,具体的には外項ないし内項の選択の根底に潜む認知意味論的原理を明らかにしようと試みた.(1)a.Die Tur offnet sich.ドアが開く b.Das Eis schmilzt.氷がとける(2)Zur Front marschiert es sich noch schwieriger.前線に進軍する方がより困難である(3)Es schneit das Auto zu.雪が降って車が埋まる(4)Das Auto schneit zu.雪が雪に埋まるまず,自発的事態をあらわす(1)であるが,a.では再帰代名詞が用いられているのに,b.では自動詞が用いられている.この相違は事態が外部からのエネルギー(=動作主)がなくても生起可能であるかという点から捉えることができる.すなわち,氷は自然にとけていくことは容易に想定できるが,ドアは放っておいても開くとは考えにくい.すると,ドイツ語では「開ける」という他動詞が基本にあり,「開く」という自発的事態の表現に生起する再帰代名詞は,その主語である動作主の代わりとして具現していると想定できる.また,(2)で用いられている移動様態動詞には方向規定詞が付加されており,このような動詞は(1)と同様に非対格性を有すると指摘されることがある.しかし,一般に非対格動詞からは中間構文を形成することはできず,ドイツ語では移動様態動詞は非能格動詞であると考えられる.この根底には,事態を統御することができる実体は常に外項として,また事態に否応なく巻き込まれてしまう実体は内項として投射されるという規則があると仮定できる.そのため,(3)のような非人称動詞の主語は真の外項としての条件を満たさず,(4)のように非対格動詞に期待される結果構文の形成が可能になると考えられる.
著者
小場瀬 令二 斎尾 直子 吉田 友彦 吉田 友彦
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

筑波研究学園都市はTXの開発により、中心地区は再び活性化したが、開発当初のニュータウンの環境的ストックを食いつぶす超高層大規模マンションが乱立する結果となった。他方駅勢圏から遠い超郊外住宅地においてTX効果はない。今後、持続性を保持していくには、住環境の維持を手がける組織の立ち上げが必要であり、そうでないとすでに衰退の段階に突入しており、現状のままであれば持続性はない
著者
角田 延之
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-12-03)

今年一年間の研究を通して、明らかになったのは以下のことである。まずフランス革命におけるフェデラリスムのディスクール分析を行う上で当然重要となる「フェデラリスム」という語そのものは、研究対象地域であるマルセイユの各革命勢力によっては、ほぼ使用されていない。「フェデラリスム」はマルセイユにとっては他者の言葉であった。次に、先行研究は、いわゆる「フェデラリストの反乱」を起こした諸セクション集会にとっての重要な理念は「人民主権」であるとしているため、諸セクションのみならず、対抗勢力であるクラブについても「人民主権」および「国民主権」の理念についての調査を行ったが、双方の勢力による語使用に顕著な差異を見出すことはできず、反乱を起こした諸セクションのみに「人民主権」の理念を負わせることは正当ではないことが明らかとなった。そこで、両勢力の地域意識を調査するために、「マルセイユ」、「マルセイユ人」、「パリ」、「パリ人」、「フランス」、「フランス人」の6つの語彙について、詳細に使用状況の調査を行った。その結果、地域主義は存在したが、それは即座に反乱に結びつくものではなかったことがわかった。現地で収集した一次史料の調査は以上であるが、この分析を導くにあたっては、既存の革命史研究が大いに参考になった。例えば、解説付きの国王裁判議論集は、人民への判決の委託、いわゆる「人民上訴」が、敵対勢力に抵抗するための戦術的方便であるという認識を与えてくれた。ゆえにマルセイユのジャコバン・クラブの、「人民上訴派」への態度は硬化したのである。また逆に、リン・ハントの『人権を創造する』からは、革命期には様々な対立がありながらも、各勢力は絶えず融和の道を探っていたことへの着想を得た。地方史を研究する上では、地方ごとの差異、中央との敵対、という側面が強調されがちであるが、共通点も踏まえて考察しなければ一面的なものになるのであり、そのような認識を導くのは常に様々な先人による諸研究の読解であることを改めて認識することができた。
著者
仲澤 眞
出版者
筑波大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999 (Released:1999-04-01)

プロスポーツ観戦者のセグメントマーケティング戦略の策定に有効な情報を開発するために、日本プロサッカーリーグの公式戦(平成11年、平成12年)及び第3回FIFA女子ワールドカップ大会(平成11年)の観戦者を対象とした社会調査を実施した。観戦者のセグメントファクターとして、ジェンダー、観戦動機、観戦歴、観戦頻度、組織化の有無、競技会場の立地、競技会場の収容規模などの有効性が示唆された。各々のファクターについて、マーケティングレコメンデーションを含め、論文化を進めた。一方、それらレコメンデーションのフィジビリティースタディーとして、2つのプロサッカークラブのマーケティング担当者と共同で、いくつかの試験的な事業を行った(平成12年)。日本プロサッカーリーグの観戦者調査からは、Vicarious Achievement、Drama、Community Attachement、Player Interest、Team Interestの観戦行動に関係の深い6つの社会心理的特性が抽出された。それら社会心理的特性と観戦行動の関係についての分析は、北米スポーツマネジメント学会で報告した(平成11年)。国内では、日本体育学会及び日本スポーツ産業学会において、社会心理的特性と観戦者特性との関係について報告した(平成11年)。第3回FIFA女子ワールドカップ大会のデータからは、女性アスリートの観戦者の社会心理特性について、北米スポーツマネジメント学会で報告した(平成12年)。
著者
大久保 一郎 大日 康史
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

目的:individual based modelは、近年の感染症モデルとして最もパワフルなモデルであり、新型インフルエンザ対策では広く用いられている。しかしながらモデルはあくまでモデルあり、実際の人の所在、移動を表現したものではない。モデルをより現実的に近づける努力は重要であるが、それでもやはり現実性は乏しい。本研究では逆に、実際の人の所在、移動のデータからモデルを構築した。方法:1998年10-12月に実施された、首都圏在住の約88万人の1日の移動、所在が記録された抽出率約2.7%のデータを用いる。所在は、自宅、学校等の別、1648カ所のゾーンで表示され、鉄道の乗降駅、時間も記録されている。まず、このデータを用いてまず接触回数を求め、実際の社会での接触がscale freeであるかどうかを検討する。新型インフルエンザの自然史、感染性を有する期間、無症候比率、無症候の場合の感染性、受診率は先行研究によった。感染性は家庭および社会での感染性がR0=1.5になるように調整した。シミュレーションは、海外での感染者が、感染3日後に帰国、八王子の自宅に帰宅後感染性を有するとした。職場は丸の内としてJR中央線で通勤するとした。結果:無作為に抽出した638名で計測された社会,家庭,電車でのべき乗bはいずれの場合でも有意に正であった。感染者数は、最速で対応の意思決定がなされた場合の感染7日目で3032人と少ないものの、首都圏全域、特に鉄道沿線に拡散していることが明らかになった。考察:本研究で示された実際の移動データを用いての数理モデルは、現実的な対策立案に活用できるモデルを提示できたと言えよう。今後、新型インフルエンザ対策のガイドライン策定においては有用なツールになると期待される。
著者
江守 陽子 前原 澄子 工藤 美子 森 恵美
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995 (Released:1995-04-01)

母子相互作用において、近年もっとも注目されているのは母子の行動心理学的な作用であろう。見つめあい、タッチング、抱いて揺するなどは効率よく子供の注意を喚起する効果が認められている。こういった相互作用によって母と子がしっかりと結ばれ、また、それによって子供の成長が促進されるのであれば、看護者はできるだけ長く、かつ有効にその機会を持つような援助を考えるべきであろう。本研究では母親が子どもを抱いてあやすという行動に着目し、それが児にどのような影響を及ぼすのかを観察した。その結果は以下の5点に要約できた。1.抱くという刺激は児を泣きやます効果が認められる。2.たて抱きは、刺激直後の児の覚醒状態を急激に下げ、その後、穏やかに下降させる。すなわち、児を泣きやますには即効性があり、敏活な状態にする効果が認められる。3.横抱きは、刺激直後の児の覚醒状態は穏やかに下降し、その後(40〜80秒後)、さらに下降する。4.抱き上げずに布団を掛けるだけでは児の覚醒レベルの変化は認められなかった。5.啼泣の中止や敏活性を高める目的では運動感覚に対する刺激が有効である。
著者
林 史典
出版者
筑波大学
雑誌
文藝言語研究. 言語篇 (ISSN:03877515)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.165-183, 1983
著者
鳥越 皓之
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998 (Released:1998-04-01)

現在、私たちの国では、さまざまな環境保全の試みがなされている。とりわけ本研究のような人工的自然環境の研究の場合、いわゆる「まちづくり」の活動とたいへん強く関わっている。ちなみに、本研究でいう人工的自然環境とは、人間が手を加えた自然環境を意味し、いわゆる純粋な自然環境と対置する用語である。本研究の期間、奈良県吉野山を中心としつつも、かなりの地域を実地に調査することができた。とりわけまちづくりについて熱心に取り組んでいる地域を訪問し、それが結果的に人工的な自然環境-田畑やせせらぎ、里山、公園など-の保全に関わっている実態をつぶさに調査できたことは大きな収穫であった。吉野山の調査においては、どうして吉野山は千年以上も、桜の山を保全できたのだろうかという疑問のもとに、そのノウハウ、価値の体系、歴史的経緯などを、かなりの調査期間をとって調査をした。そして、信仰から始まった桜の保全が花見の隆盛などを経て、明治以降のいまでいうNPOの成立までの変化を追った。またこのNPOが時代の状況の変化のなかでどのような「生き残り作戦」をとっていったのかという事実も明らかにすることができた。一言でいえば、軍国気分の高いときにはそれに合わせた論理を、民主主義が評価されると、一般国民の意見を入れるというような対応をしつつ、桜を保全するNPO組織を保持することで桜の山を維持できたことが分かった。とりわけ特筆しておきたいことは、この研究を通じて、たんに人工的自然環境の研究にとどまらず、この研究が応用・政策的研究であるために、結果として「社会学の応用可能性」を探るという社会学そのものへの貢献もできたことであった。
著者
石田 志穂
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003 (Released:2003-04-01)

宋代までの内丹における「性功」とは一般的に、欲望を除去して静浄な心境を保つという仏教的精神修養であった。しかし、宋学の影響を内丹も受け、明清に至ると「性功」を「気質の性」が気の偏倚のために偏ってしまわないよう保つこととする例があらわれた。ただし、多くの内丹家は、「理」には言及せず、あくまでも「気」に即する「気質の性」のみを「性功」の対象としていた。内丹思想は純粋な理念としての「理」へと向かう可能性を帯びつつも、「気」の操作体系である以上「気」を越えられないというジレンマを抱えていたのである。このような思想的状況にあって、清の劉一明は、「陰陽交合」を陰気と陽気の交合とはとらえず、「性」と「情」の交合とした。つまり、劉一明は煉気に取って代えて、修性を内丹の主要功法としたのである。内丹はもはや「気」の操作体系ではなくなり、人間の精神のみを対象として操作し、それを修煉するものとなったのである。劉一明が最終的に目指すのは、「天賦の性」(朱子学における「本然の性(理)」にあたる)のみの人間となること、人間の「理」化であった。人間の「理」化とは、具体的には人間が気の影響を受けない純粋な理念としてとらえられることを指す。劉一明は「玄竅」という論理的概念装置を設定し、その力動性によって、気としての人間を理念・思惟としての人間へと位相転換・次元移動するのである。劉一明は、人間の質料的気としての側面をもはや重視せず、人間の本質を純粋な理念・思惟それ自体にあると考えたのである。明清思想史は、ふつう心学から経世致用の学へ、ないし理学から考証学へと転換したと説明されている。しかし、内丹思想の世界においては、人間の精神活動・知的営為を純粋化・抽象化して考える思索・思弁が展開されていたといえるのである。しかもそれは禅や心学のように直観・直覚に帰結するものではなく、いくつかの概念装置を準備しつつ、論理的に方法として追求されるものであった。明清の思想には、従来考えられてきた思想史的展開とは異なる、もう一つの道が存在していたのである。
著者
村井 文江 田代 順子 谷川 裕子
出版者
筑波大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001 (Released:2001-04-01)

インタビュー内容を再度分析した。結果、健康上"しかたない"と認識していることの概念と"しかたない"という認識と健康行動の関連が明確になった。1)健康上での"しかたない"ことの概念健康上"しかたない"と認識されることは、自分のコントロールが及ばないと感じているところで生じた健康上の気がかりや問題(先行要件)によって、深刻ではないがしたいことができないなどの喪失が生じている状態であった。そして、その状態を"しかたない"と認識することで、「なぜ自分が」という否認から「自分のこと」として引き受けていた。"しかたない"と認識する内容は、人生経験や価値観によって個人差があり、状況によっても変化し常に"しかたない"こととして存在するわけでなかった。また、時間的特徴として、月経痛のように生じる期間が限られていることや繰り返すことが認められた。今後の予測としては、軽減または消滅することを期待しているが明らかな見通しがなかった。帰結として、健康行動を模索する場合と自然の解決を待つ場合が認められた。健康行動の結果、解決・軽減することもあるが不変の状況も認められた。2)"しかたない"という認識と健康行動との関連月経時の痛みに焦点を当てて、月経痛の状況と健康行動について、月経時の痛みを"しかたない"と認識している群としていない群で比較検討した結果、"しかたない"という認識と健康行動に以下の関連が見出された。"しかたない"という認識は、月経時の痛みそのもののとそのことに対する健康行動の結果に対するものの2つがあった。月経時の痛みそのものを"しかたない"と認識している場合にとられている健康行動は「我慢する」ことであった。月経時の痛みそのものを"しかたない"とは認識していない場合には、健康行動が模索されていたが、痛みの程度によって模索状況は異なっていた。また、健康行動の結果、月経時の痛みを"しかたない"と認識している場合は、健康行動によって個人が期待する結果が得られていない状況であり、かつ、その後の健康行動の模索があきらめられている状況であった。今後は本研究での成果を踏まえ、女性の健康増進を支援するプログラム開発を検討していきたい。
著者
久野 節二 野上 晴雄 首藤 文洋 大島 直樹 山中 敏正
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

快い匂い情報の受容が感性を発現する脳活動に与える効果について、本能の上位機構としての前頭葉と実行機構としての視床下部を中心に研究した。ヒト脳に関する光トポグラフィ解析では柑橘類の匂いの受容が前頭葉の神経活動を鎮めることが示唆された。また、動物実験では同種の匂い受容が視床下部のストレス反応を調節する神経細胞の活動を鎮静化することが示された。今後は、人間のストレス反応に対する効果を検証する必要がある。
著者
秋山 学
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003 (Released:2003-04-01)

3年間に及んだ本科研では,狭義の「西洋古典学」に関わる当地の現況把握のみならず,様々な伝承形態のうちに現在なお中欧諸国に息づいているギリシア・ローマあるいはビザンツ,さらにはルネサンス期文化の諸相を捉えることに努めてきたが,その成果は同題目による研究成果報告書(A4版124頁)のうちに集約されている.同書は全5部より成り,各章題は1.中欧・ハンガリー地域研究,2.ギリシア・カトリック教会研究,3.教父学,4.西洋古典学,5.仏教・比較思想研究となっている.ここでは特に「ギリシア・カトリック教会」が維持してきた伝承を強調しておきたい.すなわち,中東欧域に広く展開する同組織は,ビザンツ神学・典礼,および東方教会法を護持しながらヴァティカンと一致し,ラテン語や西方教会法,教皇史などに関する知的水準を維持し,古代中世東西地中海文化の結節点として現在なお機能している.その中でもハンガリーのものは,同地の言語がアジア系でもあることから,今後わが国の西洋古典教育に対しても大きな裨益をなすものであろう.研究代表者はこれまで主としてギリシア教父の視点を活かしながら,西洋古典を賦活化するために「予型論」の視座を用い,これを古典解釈の基軸とする試みを行ってきた.今回の科研で,その視点を現代に継承するものとして「ギリシア・カトリック教会」を位置づけることが叶い,昨今衰退の甚だしい古典古代文化教育に対しても新しい視点を提供することができるのではないかと期待している.この他,特に15世紀マーチャーシュ王治下のハンガリーに開花した高度な人文主義的文化は「ヴァティカンに次ぐ」とまで評された絢爛たる蔵書に集約されるものであり.往時の文化水準は,ほぼ旧ハンガリー王国の故地とも重なる現中欧諸国にあって,なお衰えることなく継承されている.未知であった中欧は,今後の欧州文化研究にとって不可欠な一地域となるであろう.