著者
新井 邦二郎 飯田 浩之 藤生 英行
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998 (Released:1999-04-01)

子どもの自己決定権意識の構造を解明するために,小学生(5年生),中学生(2年生),高校生(2年生)と小学生・中学生の保護者(親)を対象に質問紙調査を行った.調査内容は,自己決定権意識(子どもが自分のことは自分で決定してよいと考える程度),自己決定欲求(自分で決定したいと考える程度),自己決定能力(自分で決定する自信の程度),自己決定環境(自分に決定が任されている程度)の4つである.その結果,次のような結果が見い出された.【子どもの結果】1 小学生・中学生・高校生とも,自己決定権意識よりも自己決定欲求のほうが高いレベルにある.(2)小学生・中学生・高校生とも,自己決定能力を自己決定欲求よりも,低く認知している.中学生・高校生は自己決定能力を自己決定権意識よりも低く認知している.(3)小学生・中学生・高校生とも,自己決定欲求や自己決定権意識よりも,自己決定環境を低く認知している.自己決定能力との関係では,小学生は自己決定能力よりも自己決定環境を低く認知し,中学生ではそれらを同レベルに捉えるが,高校生では自己決定能力よりも自己決定環境を高く認知している.【保護者の結果】(1)小学生・中学生の保護者は,子どもの自己決定権意識よりも自己決定欲求を高めに認知している.(2)小学生・中学生の保護者は,子どもの自己決定能力を自己決定欲求よりも低く,自己決定権意識とほぼ同レベルに認知している.(3)小学生・中学生の保護者は,子どもの自己決定欲求や自己決定権意識ならびに自己決定能力よりも,自己決定環境を低く認知している.以上のように,日本の小・中・高等学校の子どもに自己決定欲求が特に日常生活上の身近な出来事について高く見られるが,自己決定権意識はそれほどの高さではなく,自己決定能力は低く認知されている。このような結果をふまえて、小学校高学年までに放任ではなく指導的観点から自己決定環境を用意し,自己決定能力を身につけ,この自己決定能力とバランス(調和)のとれた自己決定権意識を発達させることが重要と思われる。
著者
斎藤 功 佐々木 博
出版者
筑波大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986 (Released:1987-03-31)

近年, 山菜は自然食品の最たるものとして需要が増大している. 本研究は落葉広葉樹林帯(ブナ帯)で広範にみられる山菜の採取および山菜の促成栽培の実態を解明し, それに風土論的考察を加えることを目的としたものである.山菜の採取は, 伝統的にブナ帯の山村, とくに多雪地の山村で行われてきたが, 山菜の促成栽培はブナ帯の少雪地で多い. 山菜の促成栽培は, フキ, ワラビ, タラノメ, コゴミ等が行われるが, タラノメの促成栽培が典型であろう.本来, タラノメは春にとるものであるが, 促成栽培はそれを夏冬の12〜3月に採取するものをいう. 当初, 山からタラノキを切り, それを植木として温室内で栽培したものであるが, 促成栽培の普及につれて, タラノキを桑のように栽培するのがみられるようになった. 現在, タラノメのキの落葉後, 台木を切り, 一芽ごとに10〜15cmに切ったものを温室内のオガクズ床に伏せこみ, 12月下旬〜3月下旬にタラノメが7〜8cmに仲が〓ように栽培している.このタラノメの促成栽培は, ブナ帯で冬季出稼を止めさせるまでになったが, 栽培技術が容易なこと, ビニールハウスを転用できることなどで普及した. 当初, 〓境期の山菜としてタラノメは高価に販売されたが, その栽培の普及とともに価格が低下した.結論的にいえば, タラノメの促成栽培は, 生産基盤の脱弱性をもった風土産業といえよう.なお, 研究結果の詳細については, 別さつの研究成果報告書を参照されたい.
著者
柴田 政子
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

本研究最終年度の今年度の成果は、ロンドン大学教育大学院図書館(英)及びゲオルク・エッカート・インスティテュート(独)において、初年度に調査した教科書と、二年目に行った教科書内容に重要に関わる政府による指導指針の文書について、不足していた部分や補足したい資料について集中的に調査したことである。このことで、技術的問題等で欠損していた部分や、コピーやスキャン文書が不鮮明であった部分、また調査の当時に文書が不在であったなどの理由で欠けていた箇所を補充することができた。この研究の意義は、ヨーロッパにおける第二次世界大戦の戦勝国と敗戦国が、各々いかなるアプローチでその歴史を公教育という場で解釈し伝えてきたかということを探るとともに、両国の事例を比較検討することを通して、アジアにおける歴史対話という重要な政治的・教育的課題を抱えるわが国の歴史教育のあり方について再考するひとつの手がかりを提示することであった。よって、本年度の論文・口頭での研究発表は、上記調査結果を踏まえ、日本の歴史教育への取り組みについて議論をする内容となった。この三年間の研究を通して発見できたことは、当初の予想とほぼ同様で、ドイツの教科書記述の詳細さ・綿密さ・分量の多さからして歴史教育に対する重点政策が読み取れ、イギリスに関しては第二次世界大戦とはナチス・ドイツが中心的アクターとして理解できる記述がほとんどであった。独英両国の大戦に関わる歴史教育の実態を詳細に調べられたことは、全体として大きな成果であったと考えるが、一方で、前期・後期中等教育の教諭であった本研究者は、活字で認識する歴史としての教科書が、各学校・各教室・各教員により様々な環境・解釈で用いられ、当然のことながら教育内容を把握する上ではひとつの方法・側面に過ぎないことを現場で強く認識してきた。よって、本研究に今後つながる研究として、学校の教室外であるが広い意味で公の場で行われている歴史教育について、本件と同様とくた第二次世界大戦の歴史において、わが国と深く関わる国々を対象に調査したいと考える。
著者
長谷川 悦示
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.64, pp.79-83, 2003-03

今年度における筑波大学のスポーツクラブの活躍は近年のなかでも目に見張るものがある。バレーボール男子が大学選手権6連覇を達成し、バレーボール女子も15年ぶりに選手権制覇でアベック優勝を果たした。同様に剣道の男女が団体で …
著者
宇陀 則彦 松村 敦 寺井 仁
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

本研究は学習と情報資源(教材、図書、学術論文、Web情報)の相互作用に焦点をあてた。思考と情報資源は連動しており、理想的な環境は適切な情報資源が思考に追随してくれることである。本研究では、電子図書館システムと密に連動することで図書館の豊富な情報資源をオープンコースウェアと連携させ、学習者の思考に情報資源が追随する非定型学習環境を構築した。研究を通じて得た知見は、学習における情報資源の役割は予想以上に大きいこと、思考と情報資源の相互作用は補完的であること、情報資源を提供するサービスは学習プロセスと乖離しており、改善を要することの3点である。
著者
中尾 憲司
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.101-104, 2001-03

白川英樹名誉教授が昨年の3月まで奉職されていたのが物質工学系というためであろうか、学系長の私に白川先生のノーベル化学賞受賞について何か書くようにとの依頼があった。既にこのことに関連した多くの文章が出ており、 …
著者
葉山 大地
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

本年度は,冗談に対する聞き手の反応(迎合的反応,回避的反応,感情表出反応)と冗談の不達の関連を検討した。まず,大学生203名を対象として,日常生活において,つまらない冗談や怒りを感じる冗談に対する反応傾向が過激な冗談(聞き手の外見や悩みをからかう冗談や性的・倫理的タブーを含む冗談)を友人から言われる頻度に及ぼす影響を検討した。その結果,迎合的反応と感情表出反応をする頻度が多いと,過激な冗談を言われる頻度が高まることが示された。次に,大学生417人を対象として,日常生活で,怒りを感じる冗談に対する反応傾向を規定する要因として,パーソナリティ要因(拒否感受性),動機づけ要因(個人志向性・社会志向性)を取り上げ,その影響を検討した。その結果,個人志向性が高くなると,迎合的反応の頻度を低下させる一方、回避的反応の頻度を高めることが示された。また,社会志向性が高くなると、迎合的反応の頻度を高める一方、回避的反応をする頻度を低下させることが示された。拒否感受性が高くなると,迎合的反応の頻度を高める一方、感情表出反応の頻度を低下させることが示された。迎合的反応をする頻度が高いと,自尊心が低いことが明らかとなった。さらに,冗談に対して怒りを感じた場面を取り上げ,聞き手の反応が状況的要因(話し手との関係性,周囲の友人の反応)や拒否感受性によってどのような影響を受けるのかを場面想定法によって検討した。その結果,拒否感受性が高い回答者は,親友が話し手で,かつ周囲の友人が笑っていない状況において,迎合的な反応を行なわないと評定することが示された。冗談の聞き手に関する研究はほとんど行われていないため,本研究により,聞き手が迎合的反応をすることによつて冗談の不達が起こる可能性が高まるという知見や,冗談に対する聞き手の反応が状況要因やパーソナリティ要因によって異なるという知見が得られた点は,意義があるといえる。
著者
本田 靖 西保 岳 鍋倉 賢治
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

地球温暖化の進む今日、夏期スポーツ時の熱中症等への安全対策を含めて、暑熱環境に対する順化のメカニズム速やかに順化する方法開発への期待が高まっている。本研究では、体温上昇時の体温調節と換気亢進反応に着目して、そのメカニズムとトレーニング効果、過去の生活環境の影響に関して検討した。得られた結果は、1)安静時および運動時における、体温上昇に伴う換気亢進割合と体温上昇に対する前腕血流の増加割合との間の関係は、安静時と運動時の両条件にいて見られること、また、最大酸素摂取量と安静時及び運動時に得られた換気亢進割合の大きさおよび前腕血流の増加割合との間にも有意な相関関係がみられ、体温上昇に伴う換気亢進割合は、暑熱耐性を評価する際の新しい生理学的指標となる可能性が示唆された。2) 7日間の暑熱トレーニングによって、皮膚血流量増加に関する体温調節反応は顕著な向上が見られたが、体温増加に対する換気亢進反応に対しての効果は見られなかった。3)安静時において、体温上昇時の換気亢進反応に対する末梢化学受容器の貢献度は2割程度であること、体温上昇時の換気亢進に伴う血中二酸化炭素分圧の低下は、換気反応には影響しないが、脳血流量には影響すること(体温上昇時の脳血流量低下の3割程度を説明する)が示唆された。4)過去の生活環境や運動経験と現在の暑熱反応との間で有意な関係は見られなかった。その理由の一つは対象集団がやや小さいこと(40名),もう一つは対象者のほとんどがスポーツを日常的い行っており,ここ数年あるいはそれ以上の間,暑さに対してのトレーニングを積んでいるために差が検出しにくくなっていたことが考えられる.
著者
白木 賢太郎
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.79, pp.60-61, 2008-03
著者
池田 裕
出版者
筑波大学
雑誌
筑波大学地域研究 (ISSN:09121412)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-17, 2002-03

秋のアフリン渓谷, 10月ともなると,シリア北部のアフリン渓谷には秋の空気が強まり,シリア・トルコ国境検閲所の山あい-その名もバーブ・エル・ハワ「風の門」という-を通って流れ込んでくる風も徐々に冷たくなってくる。アイン・ダラ遺跡は「風の門」の北およそ50㎞,シリア第二の都市レッポの北西70㎞地点にある(図1)。遺跡丘(テル)の西側 ...
著者
呉 悦
出版者
筑波大学
雑誌
筑波大学地域研究 (ISSN:09121412)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.59-71, 1994
著者
岩田 洋夫 矢野 博明
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

本研究では、全方向に動く移動機構を有する可動床が、循環することによって無限に続く歩行面を提供する、歩行感覚呈示装置を実装し、それに昇降機構を搭載することによって、階段などの凹凸面のある歩行面を模擬することを実現した。本システムが体験者に与える効果を、足圧力等の計測によって評価した。
著者
藤田 晋吾
出版者
筑波大学
雑誌
哲学・思想論集 (ISSN:02867648)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.233-248, 2001

はじめに たんなるアナロジーの域を出ないが、マルクスの『資本論』に対するスラッファの『商品による商品の生産』の関係は、ホワイトヘッド=ラッセルの『数学原理』に対するウィトゲンシュタインの『論理哲学論婚』になぞらえることができる。 ...

1 0 0 0 IR ADAの成立過程

著者
中野 善達
出版者
筑波大学
雑誌
筑波大学リハビリテーション研究 (ISSN:09178058)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.26-28, 1991

1990年7月26日は、アメリカ合衆国の障害をもつ人びとにとって、「独立記念日」ともいわれている。それはこの日、一般法律第101-336号「障害をもつアメリカ人に関する法律(1990年)」(Americans With Disabilities Act of 1990:ADA)が成立したからである。この法律は、正式には「障害に基づく差別の明確かつ包括的な禁止を確立するための法律」 ...