著者
李 志炯
出版者
筑波大学
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.51(146)-72(125), 2001

はじめに 島崎藤村の『新生』は、従来、〈告白〉文学として扱われることが多かった。その理由は、藤村が、姪こま子との近親相姦の関係をこの作品によって公表した、と読者が受け取ってきたからに他ならない。 ...
著者
山田 雄司
出版者
筑波大学
巻号頁・発行日
1998

identifier:http://hdl.handle.net/2241/2050
著者
後藤 嘉宏 安光 裕子 中林 幸子 白井 亨 岡部 晋典
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

中井正一は、1930-37年に同人誌『美・批評』と『世界文化』、新聞『土曜日』を主宰したとされる。本研究はこれらの媒体の共通性と異質性を、記事内容の分析を通じて捉えた。『世界文化』と『土曜日』はほぼ時期の重なる媒体であるが、後者に中井は肩入れする。マルクス主義者が多く欧米の紹介記事も多い『世界文化』に比して、『土曜日』はより中道的で中国関連の記事も多い。また『美・批評』の後継誌が『世界文化』であるものの、主題、広告について『美・批評』は『土曜日』に似た側面もある。『世界文化』に一見、距離をおく中井であるが、彼の代表作「委員会の論理」は同誌に載せたが、本研究はそのことの意味を探った。
著者
権 哲源
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2018-04-25

血管は血管内皮細胞と血管平滑筋細胞の2つの細胞から構成されている。中でも、我々が注目しているアペリン受容体(APJ)は、血管内皮細胞における血管拡張作用が広く研究されている一方で、血管平滑筋細胞における役割は不明であった。そこで、本研究では、血管平滑筋細胞特異的にAPJを過剰発現したマウス(SMA-APJ)を作製し、血管平滑筋細胞APJと血管収縮に焦点を当てた解析を行っている。昨年度までの研究において、アドレナリン受容体アゴニストのノルアドレナリンやフェニレフリン、およびアドレナリン受容体の阻害剤を使用した薬理実験から、アペリン誘導性の血管異常収縮に対するα1Aアドレナリン受容体(α1A-AR)の関与が示唆されていた。しかし、これら生理活性物質は、いずれもアドレナリン受容体の「α1サブタイプファミリー」に作用する可能性があり、α1Aアドレナリン受容体の関与を直接的に断定するものではない。そこで、本年度は、α1Aアドレナリン受容体の選択的アゴニストであるA-61603を活用し、SMA-APJに対してアペリンとA-61603を同時投与した場合でも、血管の協調的な収縮が見出されることを明らかとした。さらに、この協調的な収縮が、SMA-APJ/α1A-AR-KOマウスにおいて有意に消失したことから、血管平滑筋細胞APJが担う血管異常収縮に対する、「α1Aアドレナリン受容体の関与」を断定できた。アドレナリン受容体は9つのサブタイプを有するGPCRである。複雑な血管組織・タンパク質が相互に作用する血管収縮に対し、1つのGPCRサブタイプの役割を断定できたのは、大きな進捗であったと考える。以上の研究成果に併せて、本年度は、国際学会(ポスター1件)と国内学会(ポスター2件)での発表を行った。さらに、J. Biochem誌に第五著者として研究成果の一部が掲載された。
著者
新城 靖
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、カジュアル利用者(コンピュータに不慣れな利用者)にも簡単に利用できるプライバシを保護するオペレーティング システムを実現することである。そのために、申請者が考案した「多重世界モデル」をもちいる。これは、SF (Science Fiction) のパラレルワールドを、OS レベルで実現するものである。本研究では、多重世界モデルを用いて、「双子の研究」を行う。双子の研究とは、氏名や生年月日等の個人情報をわずかに変化させ た類似の実行環境でプログラムを動作させ、その差を調べることである。これにより、プライバシ情報を含むファイルや通信を特定し 削除するツールを作成する。平成29年度には、Docker を用いて作成した2つの類似の実行環境「双子の環境」で動作させるための Web ブラウザを実装した。この Web ブラウザは、協調ブラウジングの技術を用いて、片方の Web ブラウザの動作をもう片方の Web ブラウザに伝え、同じサーバを同じようにアクセスすることが用意に可能になる。また、コンテナ発信される通信内容を Man-In-The-Middle Proxy を用いて解析することに成功した。これにより、サーバから送られてくる通信内容を比較することが可能になった。平成29年度には、複数のコンテナでブラウザを実行し、ドメイン名により自動的にコンテナを切り替える仕組みを実現した。利用者が登録されたドメイン名のリンクをクリックすると、それドメイン名に対応したコンテナで動作しているブラウザに動作が引き継がれる。この仕組みにより、利用者は、複数のネットネームを簡単に使い分けられるようになる。利用者が誤って別のコンテナで接続すべきサーバのリンクをアクセスしたとしても、自動的に本来の実行環境を選び、実行を継続できるようになった。
著者
清水 紀宏 春日 晃章 中野 貴博
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、家庭の社会経済的条件と子どもの運動・スポーツ習慣、体力・運動能力との関係を明らかにするとともに、そうした体力・スポーツに関わる格差が、子どもたちの学校生活や社会関係に及ぼす悪影響を検討した。主要な結果は次の通りである。1.世帯収入が多く、学校外スポーツに多くの投資をしている家庭の子どもほど、体力・運動能力は高かった。また、家庭の社会経済的条件は、スポーツ機会の格差を通じて、体力格差や意欲格差を生じさせていた。2.体力の高さは、学校満足感や孤独感などの学会生活変数にもつ大きな影響を及ぼしていた。
著者
礒田 正美 銀島 文 小原 豊 松嵜 昭雄 岸本 忠之 溝口 達也
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究の目的は、日本型教科教育を国際共有する契機として、算数教育の場合においてそのターミノロジー(学術用語体系)を英語で著す教員(研究者を含む)研修書を開発し、そのターミノロジーの採用によって、いかに教材を語る教授学的内容知識が深化するかを示すとともに、その成果をふまえ個別算数教育用語の語用マップを作成し、そのターミノロジーをユニバーサルに通用する内容に更新することにある。
著者
堀 大介
出版者
筑波大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2018-08-24

労働者が強いストレスを感じている事柄で「対人関係」の問題は大きな割合を占めており、対策が求められている。職場で褒めて・褒められることは対人関係を円滑にするのみならず、モチベーション維持やパフォーマンス向上にも繋がる。脳機能イメージング技術によって、社会的報酬によって脳機能が活性化する機序が明らかにされつつあるが、多くの研究はシミュレーション環境で実施されている。本研究では職場の実際の対人関係の中で、褒められることによる脳機能の変化を、近赤外線分光法による計測で定量化する。そして、より良好なコミュニケーションや職場環境の形成に寄与したい。
著者
高井 英輔
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

アルツハイマー病と関連する老人班の主要成分であるアミロイドβ線維をターゲットに、大気圧プラズマの作用の新たな利用原理を開発することを目的に実験を行った。実験はプラズマを照射する時間を変えて行い、照射時間に伴うアミロイドβ線維の変化を種々の方法で観察した。その結果の1つ目として、プラズマ照射にしても線維には形状や線維長、分子量、線維量といったマクロな変化は観察されなかった。次に、マクロな変化は起きていないアミロイドβ線維のプロテアーゼ耐性を調べた。0-30minプラズマ照射したアミロイドβ線維にトリプシンを加え、24h常温で静置した後の波長350nmにおける吸光度を調べると、プラズマ照射時間に伴って吸光度が減少しており、20および30minでその値は約30%減少していた。この結果はプラズマ照射されたアミロイドβ線維のみがトリプシンの分解を受けたことを意味しており、プラズマ照射によってプロテアーゼ耐性が喪失してことを示している。実際に30minプラズマ照射したアミロイドβ線維をトリプシン分解後にAFMにて観察すると球状の凝集体となっていた。したがって、プラズマ照射によってプロテアーゼ耐性が喪失することを発見した。プロテアーゼ耐性が喪失したメカニズムを調べるため、0-30minプラズマ照射したアミロイドβ線維の2次構造をCDスペクトルで、βシート含有量をThT蛍光強度で、線維表面の親水-疎水性をANS蛍光スペクトルで測定した。すると、アミロイドβ線維のβシート含有量および線維表面の疎水性が減少していることが示唆された。以上のようなアミロイドβ線維の性質変化はアミノ酸側鎖の官能基における酸化反応に起因していると考えられ、プラズマ照射によってプロテアーゼ耐性が喪失した機構であると言える。以上の結果から、大気圧プラズマの作用の新たな利用原理としてアルツハイマー病と関連する老人班の主要成分であるアミロイドβ線維を除去するのを促進することに利用できることを提案した。
著者
星野 光男 藤田 尚昌 阿部 弘樹 古賀 寛尚
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

代数幾何学におけるセール双対の理論をネター多元環の場合に拡張し、この概念を用いて、ネター多元環のゴレンシュタイン性の特徴付けを与え、かつ、ゴレンシュタイン多元環上の与えられた傾斜鎖複体に対して、その準同型多元環がまたゴレンシュタイン多元環になるための必要十分条件を与えた。ここで、ネター多元環とは可換ネター環上の多元環で加群として有限生成のものを指し、ゴレンシュタイン多元環とは可換ゴレンシュタイン環上のネター多元環で導来圏における基礎環上の双対が射影的生成素を移動したものと同型になるものを指す。
著者
山川 隼平
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2019-04-25

棘皮動物は左右相称の祖先から五放射相称の体制を獲得した。進化過程を通し棘皮動物はなぜ他でもなく五放射相称の体制を獲得したのだろうか。本研究ではヒトデにおける五放射の発生機構を明らかにし、その獲得プロセスの分子基盤の解明を目指す。ヒトデは変態期に入ると幼生体内に五放射相称の成体原基を形成する。これまでに成体原基のパターン形成への関与が示唆される候補因子を幾つか絞り込んだ。そこで、今後はゲノム編集技術の導入等により以上の因子の五放射形成への関与を検証する。
著者
吉岡 洋輔
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

雑草メロンのもつ単為結果性の遺伝的機構を解明し、育種的利用のための科学的・技術的知見を獲得することを目的として、単為結果性の遺伝解析を実施するとともに、単為結果性メロン系統と現行メロン品種・系統間の交雑後代の単為結果能力の選抜を実践し、単為結果性メロン品種の育種可能性を探った。その結果、雑草メロンの単為結果性は2つの主要な劣性遺伝子により支配されていると考えられ、本系統を素材として、幅広い作型で単為結果するメロンF1品種の育成が可能であることが明らかになった。
著者
蒔苗 直道
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

戦後教育改革期の数学教育における単元学習の再評価を行った。従来の数学教育史において否定的にとらえられてきた単元学習について、その構想と展開を新たな史料を基に精査することを通して、戦前から戦後への数学教育の連続性の観点から、数学教育史における意義を再評価した。特に、戦後教育改革期における算数・数学の指導内容の構成、立式の意味指導、割合の考え方、図形の性質と論証がどのように変化しているのかを実証的に明らかにした。
著者
今泉 容子
出版者
筑波大学
雑誌
文藝言語研究. 文藝篇 (ISSN:03877523)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.97-136, 1999

健康で長生きするには食事がキーワードだ、とテレビや雑誌がしゃべりつづける今日。グルメや料理のドラマやアニメや漫画は、一九八〇年代後半から九〇年代前半にかけてかなり流行した。『美味しんぼ』は『ビッグコミック・スピリッツ』 ...
著者
那須 昭夫
出版者
筑波大学
巻号頁・発行日
2002

identifier:http://hdl.handle.net/2241/6262
著者
藤田 敏郎
出版者
筑波大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

含硫アミノ酸タウリンは, 生体内に広く分布するアミノ酸であり, また魚貝類などに豊富に含まれているが, タウリンは神経組織内でneuromodulatorとして働き, 神経末端からのノルエピネフリン遊出を抑制することが, in vitroの実験にて証明されている. そこで高血圧症における食事療法の一つとして含硫アミノ酸タウリンに着目し, タウリン摂取の降圧効果を明らかにするために, その降圧作用機序における交感神経系の役割について基礎的検討を行った. その結果, deoxycorticosterone acete(DOCA)-食塩高血圧ラットにおいて, タウリンの投与が高血圧の発症を抑制するとともに血圧上昇後にも降圧をもたらし, その機序に交感神経系の抑制が重要な役割を果していることを報告した. さらに, タウリン投与ラットの視床下部ではタウリン含量の著明な増加が認められた.近年タウリンは, 中枢神経系において神経機能調節因子として働いている可能性が示唆されていることから, タウリンの降圧作用ならびに交感神経抑制作用は中枢神経系の変化を介する可能性が考えられる. さらに最近, クロニジンなどの中枢性交感神経抑制剤の降圧作用機序に, 内因性オピオイドペプチドの賦活化が関与するとの報告がなされ注目されている. 本研究はDOCA-食塩高血圧ラットにおけるタウリンの降圧作用機序における内因性オピオイドの役割を検討した.その結果, taurine投与群ではopiate receptor antagonistのnaloxone投与により有意な昇圧が認められたことから, taurineの降圧作用ならびに, 交感神経抑制作用は, 一部脳内opioid活性の賦活化を介する可能性が推察された.
著者
川崎 真弘
出版者
筑波大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-04-01

発達障害者はコミュニケーションが苦手であることが知られているが、その原因については不明な点が多い。本研究では京都大学医学部と共同研究することで、定型発達との比較脳波研究を行った。これまでに計測した協調コミュニケーション課題時の脳波解析より、発達障害者は他者との協調で前頭葉に認知負荷がかかることを示し、論文発表した(Kawasaki, Funabiki, et al., Cogn. Neurodyn. 2014)。これらの脳活動は発達障害の特徴の中でも特に「こだわり傾向」と関係することがわかった。さらにこれまでに定型発達者を対象として交互発話中に発話リズムが同期する2者間では脳波リズムが同期することを示してきた(Kawasaki, et al., Sci. Rep. 2013)。この解析方法を用いて、定型発達者と発達障害者の2者間の脳波リズム同期を比較した結果、発達障害者は脳波リズムが同期が少ないことがわかった。さらに位相振動子モデルおよび情報理論を用いて2者間の関係性を推定する研究を行っている。この成果について現在論文執筆中である。また発達障害者と定型発達者に対して、運動模倣課題を行った結果、発達障害者の多くは心的回転を、定型発達者の多くは視点取得の戦略を用いることが分かった。さらに発展研究として、視覚・聴覚記憶課題時の脳波、fMRI実験を実施し、発達障害者の注意の偏りに起因した脳活動や、うつ病患者の脳ネットワークの障害の検証を行っている。上記の研究は将来的に脳メカニズムから精神疾患を判断する診断法の開発に貢献する。