著者
大久保 一郎 大日 康史
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

目的:individual based modelは、近年の感染症モデルとして最もパワフルなモデルであり、新型インフルエンザ対策では広く用いられている。しかしながらモデルはあくまでモデルあり、実際の人の所在、移動を表現したものではない。モデルをより現実的に近づける努力は重要であるが、それでもやはり現実性は乏しい。本研究では逆に、実際の人の所在、移動のデータからモデルを構築した。方法:1998年10-12月に実施された、首都圏在住の約88万人の1日の移動、所在が記録された抽出率約2.7%のデータを用いる。所在は、自宅、学校等の別、1648カ所のゾーンで表示され、鉄道の乗降駅、時間も記録されている。まず、このデータを用いてまず接触回数を求め、実際の社会での接触がscale freeであるかどうかを検討する。新型インフルエンザの自然史、感染性を有する期間、無症候比率、無症候の場合の感染性、受診率は先行研究によった。感染性は家庭および社会での感染性がR0=1.5になるように調整した。シミュレーションは、海外での感染者が、感染3日後に帰国、八王子の自宅に帰宅後感染性を有するとした。職場は丸の内としてJR中央線で通勤するとした。結果:無作為に抽出した638名で計測された社会,家庭,電車でのべき乗bはいずれの場合でも有意に正であった。感染者数は、最速で対応の意思決定がなされた場合の感染7日目で3032人と少ないものの、首都圏全域、特に鉄道沿線に拡散していることが明らかになった。考察:本研究で示された実際の移動データを用いての数理モデルは、現実的な対策立案に活用できるモデルを提示できたと言えよう。今後、新型インフルエンザ対策のガイドライン策定においては有用なツールになると期待される。
著者
江守 陽子 前原 澄子 工藤 美子 森 恵美
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995 (Released:1995-04-01)

母子相互作用において、近年もっとも注目されているのは母子の行動心理学的な作用であろう。見つめあい、タッチング、抱いて揺するなどは効率よく子供の注意を喚起する効果が認められている。こういった相互作用によって母と子がしっかりと結ばれ、また、それによって子供の成長が促進されるのであれば、看護者はできるだけ長く、かつ有効にその機会を持つような援助を考えるべきであろう。本研究では母親が子どもを抱いてあやすという行動に着目し、それが児にどのような影響を及ぼすのかを観察した。その結果は以下の5点に要約できた。1.抱くという刺激は児を泣きやます効果が認められる。2.たて抱きは、刺激直後の児の覚醒状態を急激に下げ、その後、穏やかに下降させる。すなわち、児を泣きやますには即効性があり、敏活な状態にする効果が認められる。3.横抱きは、刺激直後の児の覚醒状態は穏やかに下降し、その後(40〜80秒後)、さらに下降する。4.抱き上げずに布団を掛けるだけでは児の覚醒レベルの変化は認められなかった。5.啼泣の中止や敏活性を高める目的では運動感覚に対する刺激が有効である。
著者
林 史典
出版者
筑波大学
雑誌
文藝言語研究. 言語篇 (ISSN:03877515)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.165-183, 1983
著者
鳥越 皓之
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998 (Released:1998-04-01)

現在、私たちの国では、さまざまな環境保全の試みがなされている。とりわけ本研究のような人工的自然環境の研究の場合、いわゆる「まちづくり」の活動とたいへん強く関わっている。ちなみに、本研究でいう人工的自然環境とは、人間が手を加えた自然環境を意味し、いわゆる純粋な自然環境と対置する用語である。本研究の期間、奈良県吉野山を中心としつつも、かなりの地域を実地に調査することができた。とりわけまちづくりについて熱心に取り組んでいる地域を訪問し、それが結果的に人工的な自然環境-田畑やせせらぎ、里山、公園など-の保全に関わっている実態をつぶさに調査できたことは大きな収穫であった。吉野山の調査においては、どうして吉野山は千年以上も、桜の山を保全できたのだろうかという疑問のもとに、そのノウハウ、価値の体系、歴史的経緯などを、かなりの調査期間をとって調査をした。そして、信仰から始まった桜の保全が花見の隆盛などを経て、明治以降のいまでいうNPOの成立までの変化を追った。またこのNPOが時代の状況の変化のなかでどのような「生き残り作戦」をとっていったのかという事実も明らかにすることができた。一言でいえば、軍国気分の高いときにはそれに合わせた論理を、民主主義が評価されると、一般国民の意見を入れるというような対応をしつつ、桜を保全するNPO組織を保持することで桜の山を維持できたことが分かった。とりわけ特筆しておきたいことは、この研究を通じて、たんに人工的自然環境の研究にとどまらず、この研究が応用・政策的研究であるために、結果として「社会学の応用可能性」を探るという社会学そのものへの貢献もできたことであった。
著者
石田 志穂
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003 (Released:2003-04-01)

宋代までの内丹における「性功」とは一般的に、欲望を除去して静浄な心境を保つという仏教的精神修養であった。しかし、宋学の影響を内丹も受け、明清に至ると「性功」を「気質の性」が気の偏倚のために偏ってしまわないよう保つこととする例があらわれた。ただし、多くの内丹家は、「理」には言及せず、あくまでも「気」に即する「気質の性」のみを「性功」の対象としていた。内丹思想は純粋な理念としての「理」へと向かう可能性を帯びつつも、「気」の操作体系である以上「気」を越えられないというジレンマを抱えていたのである。このような思想的状況にあって、清の劉一明は、「陰陽交合」を陰気と陽気の交合とはとらえず、「性」と「情」の交合とした。つまり、劉一明は煉気に取って代えて、修性を内丹の主要功法としたのである。内丹はもはや「気」の操作体系ではなくなり、人間の精神のみを対象として操作し、それを修煉するものとなったのである。劉一明が最終的に目指すのは、「天賦の性」(朱子学における「本然の性(理)」にあたる)のみの人間となること、人間の「理」化であった。人間の「理」化とは、具体的には人間が気の影響を受けない純粋な理念としてとらえられることを指す。劉一明は「玄竅」という論理的概念装置を設定し、その力動性によって、気としての人間を理念・思惟としての人間へと位相転換・次元移動するのである。劉一明は、人間の質料的気としての側面をもはや重視せず、人間の本質を純粋な理念・思惟それ自体にあると考えたのである。明清思想史は、ふつう心学から経世致用の学へ、ないし理学から考証学へと転換したと説明されている。しかし、内丹思想の世界においては、人間の精神活動・知的営為を純粋化・抽象化して考える思索・思弁が展開されていたといえるのである。しかもそれは禅や心学のように直観・直覚に帰結するものではなく、いくつかの概念装置を準備しつつ、論理的に方法として追求されるものであった。明清の思想には、従来考えられてきた思想史的展開とは異なる、もう一つの道が存在していたのである。
著者
村井 文江 田代 順子 谷川 裕子
出版者
筑波大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001 (Released:2001-04-01)

インタビュー内容を再度分析した。結果、健康上"しかたない"と認識していることの概念と"しかたない"という認識と健康行動の関連が明確になった。1)健康上での"しかたない"ことの概念健康上"しかたない"と認識されることは、自分のコントロールが及ばないと感じているところで生じた健康上の気がかりや問題(先行要件)によって、深刻ではないがしたいことができないなどの喪失が生じている状態であった。そして、その状態を"しかたない"と認識することで、「なぜ自分が」という否認から「自分のこと」として引き受けていた。"しかたない"と認識する内容は、人生経験や価値観によって個人差があり、状況によっても変化し常に"しかたない"こととして存在するわけでなかった。また、時間的特徴として、月経痛のように生じる期間が限られていることや繰り返すことが認められた。今後の予測としては、軽減または消滅することを期待しているが明らかな見通しがなかった。帰結として、健康行動を模索する場合と自然の解決を待つ場合が認められた。健康行動の結果、解決・軽減することもあるが不変の状況も認められた。2)"しかたない"という認識と健康行動との関連月経時の痛みに焦点を当てて、月経痛の状況と健康行動について、月経時の痛みを"しかたない"と認識している群としていない群で比較検討した結果、"しかたない"という認識と健康行動に以下の関連が見出された。"しかたない"という認識は、月経時の痛みそのもののとそのことに対する健康行動の結果に対するものの2つがあった。月経時の痛みそのものを"しかたない"と認識している場合にとられている健康行動は「我慢する」ことであった。月経時の痛みそのものを"しかたない"とは認識していない場合には、健康行動が模索されていたが、痛みの程度によって模索状況は異なっていた。また、健康行動の結果、月経時の痛みを"しかたない"と認識している場合は、健康行動によって個人が期待する結果が得られていない状況であり、かつ、その後の健康行動の模索があきらめられている状況であった。今後は本研究での成果を踏まえ、女性の健康増進を支援するプログラム開発を検討していきたい。
著者
久野 節二 野上 晴雄 首藤 文洋 大島 直樹 山中 敏正
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

快い匂い情報の受容が感性を発現する脳活動に与える効果について、本能の上位機構としての前頭葉と実行機構としての視床下部を中心に研究した。ヒト脳に関する光トポグラフィ解析では柑橘類の匂いの受容が前頭葉の神経活動を鎮めることが示唆された。また、動物実験では同種の匂い受容が視床下部のストレス反応を調節する神経細胞の活動を鎮静化することが示された。今後は、人間のストレス反応に対する効果を検証する必要がある。
著者
秋山 学
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003 (Released:2003-04-01)

3年間に及んだ本科研では,狭義の「西洋古典学」に関わる当地の現況把握のみならず,様々な伝承形態のうちに現在なお中欧諸国に息づいているギリシア・ローマあるいはビザンツ,さらにはルネサンス期文化の諸相を捉えることに努めてきたが,その成果は同題目による研究成果報告書(A4版124頁)のうちに集約されている.同書は全5部より成り,各章題は1.中欧・ハンガリー地域研究,2.ギリシア・カトリック教会研究,3.教父学,4.西洋古典学,5.仏教・比較思想研究となっている.ここでは特に「ギリシア・カトリック教会」が維持してきた伝承を強調しておきたい.すなわち,中東欧域に広く展開する同組織は,ビザンツ神学・典礼,および東方教会法を護持しながらヴァティカンと一致し,ラテン語や西方教会法,教皇史などに関する知的水準を維持し,古代中世東西地中海文化の結節点として現在なお機能している.その中でもハンガリーのものは,同地の言語がアジア系でもあることから,今後わが国の西洋古典教育に対しても大きな裨益をなすものであろう.研究代表者はこれまで主としてギリシア教父の視点を活かしながら,西洋古典を賦活化するために「予型論」の視座を用い,これを古典解釈の基軸とする試みを行ってきた.今回の科研で,その視点を現代に継承するものとして「ギリシア・カトリック教会」を位置づけることが叶い,昨今衰退の甚だしい古典古代文化教育に対しても新しい視点を提供することができるのではないかと期待している.この他,特に15世紀マーチャーシュ王治下のハンガリーに開花した高度な人文主義的文化は「ヴァティカンに次ぐ」とまで評された絢爛たる蔵書に集約されるものであり.往時の文化水準は,ほぼ旧ハンガリー王国の故地とも重なる現中欧諸国にあって,なお衰えることなく継承されている.未知であった中欧は,今後の欧州文化研究にとって不可欠な一地域となるであろう.
著者
新井 邦二郎 飯田 浩之 藤生 英行
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998 (Released:1999-04-01)

子どもの自己決定権意識の構造を解明するために,小学生(5年生),中学生(2年生),高校生(2年生)と小学生・中学生の保護者(親)を対象に質問紙調査を行った.調査内容は,自己決定権意識(子どもが自分のことは自分で決定してよいと考える程度),自己決定欲求(自分で決定したいと考える程度),自己決定能力(自分で決定する自信の程度),自己決定環境(自分に決定が任されている程度)の4つである.その結果,次のような結果が見い出された.【子どもの結果】1 小学生・中学生・高校生とも,自己決定権意識よりも自己決定欲求のほうが高いレベルにある.(2)小学生・中学生・高校生とも,自己決定能力を自己決定欲求よりも,低く認知している.中学生・高校生は自己決定能力を自己決定権意識よりも低く認知している.(3)小学生・中学生・高校生とも,自己決定欲求や自己決定権意識よりも,自己決定環境を低く認知している.自己決定能力との関係では,小学生は自己決定能力よりも自己決定環境を低く認知し,中学生ではそれらを同レベルに捉えるが,高校生では自己決定能力よりも自己決定環境を高く認知している.【保護者の結果】(1)小学生・中学生の保護者は,子どもの自己決定権意識よりも自己決定欲求を高めに認知している.(2)小学生・中学生の保護者は,子どもの自己決定能力を自己決定欲求よりも低く,自己決定権意識とほぼ同レベルに認知している.(3)小学生・中学生の保護者は,子どもの自己決定欲求や自己決定権意識ならびに自己決定能力よりも,自己決定環境を低く認知している.以上のように,日本の小・中・高等学校の子どもに自己決定欲求が特に日常生活上の身近な出来事について高く見られるが,自己決定権意識はそれほどの高さではなく,自己決定能力は低く認知されている。このような結果をふまえて、小学校高学年までに放任ではなく指導的観点から自己決定環境を用意し,自己決定能力を身につけ,この自己決定能力とバランス(調和)のとれた自己決定権意識を発達させることが重要と思われる。
著者
斎藤 功 佐々木 博
出版者
筑波大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986 (Released:1987-03-31)

近年, 山菜は自然食品の最たるものとして需要が増大している. 本研究は落葉広葉樹林帯(ブナ帯)で広範にみられる山菜の採取および山菜の促成栽培の実態を解明し, それに風土論的考察を加えることを目的としたものである.山菜の採取は, 伝統的にブナ帯の山村, とくに多雪地の山村で行われてきたが, 山菜の促成栽培はブナ帯の少雪地で多い. 山菜の促成栽培は, フキ, ワラビ, タラノメ, コゴミ等が行われるが, タラノメの促成栽培が典型であろう.本来, タラノメは春にとるものであるが, 促成栽培はそれを夏冬の12〜3月に採取するものをいう. 当初, 山からタラノキを切り, それを植木として温室内で栽培したものであるが, 促成栽培の普及につれて, タラノキを桑のように栽培するのがみられるようになった. 現在, タラノメのキの落葉後, 台木を切り, 一芽ごとに10〜15cmに切ったものを温室内のオガクズ床に伏せこみ, 12月下旬〜3月下旬にタラノメが7〜8cmに仲が〓ように栽培している.このタラノメの促成栽培は, ブナ帯で冬季出稼を止めさせるまでになったが, 栽培技術が容易なこと, ビニールハウスを転用できることなどで普及した. 当初, 〓境期の山菜としてタラノメは高価に販売されたが, その栽培の普及とともに価格が低下した.結論的にいえば, タラノメの促成栽培は, 生産基盤の脱弱性をもった風土産業といえよう.なお, 研究結果の詳細については, 別さつの研究成果報告書を参照されたい.
著者
柴田 政子
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

本研究最終年度の今年度の成果は、ロンドン大学教育大学院図書館(英)及びゲオルク・エッカート・インスティテュート(独)において、初年度に調査した教科書と、二年目に行った教科書内容に重要に関わる政府による指導指針の文書について、不足していた部分や補足したい資料について集中的に調査したことである。このことで、技術的問題等で欠損していた部分や、コピーやスキャン文書が不鮮明であった部分、また調査の当時に文書が不在であったなどの理由で欠けていた箇所を補充することができた。この研究の意義は、ヨーロッパにおける第二次世界大戦の戦勝国と敗戦国が、各々いかなるアプローチでその歴史を公教育という場で解釈し伝えてきたかということを探るとともに、両国の事例を比較検討することを通して、アジアにおける歴史対話という重要な政治的・教育的課題を抱えるわが国の歴史教育のあり方について再考するひとつの手がかりを提示することであった。よって、本年度の論文・口頭での研究発表は、上記調査結果を踏まえ、日本の歴史教育への取り組みについて議論をする内容となった。この三年間の研究を通して発見できたことは、当初の予想とほぼ同様で、ドイツの教科書記述の詳細さ・綿密さ・分量の多さからして歴史教育に対する重点政策が読み取れ、イギリスに関しては第二次世界大戦とはナチス・ドイツが中心的アクターとして理解できる記述がほとんどであった。独英両国の大戦に関わる歴史教育の実態を詳細に調べられたことは、全体として大きな成果であったと考えるが、一方で、前期・後期中等教育の教諭であった本研究者は、活字で認識する歴史としての教科書が、各学校・各教室・各教員により様々な環境・解釈で用いられ、当然のことながら教育内容を把握する上ではひとつの方法・側面に過ぎないことを現場で強く認識してきた。よって、本研究に今後つながる研究として、学校の教室外であるが広い意味で公の場で行われている歴史教育について、本件と同様とくた第二次世界大戦の歴史において、わが国と深く関わる国々を対象に調査したいと考える。
著者
長谷川 悦示
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.64, pp.79-83, 2003-03

今年度における筑波大学のスポーツクラブの活躍は近年のなかでも目に見張るものがある。バレーボール男子が大学選手権6連覇を達成し、バレーボール女子も15年ぶりに選手権制覇でアベック優勝を果たした。同様に剣道の男女が団体で …
著者
宇陀 則彦 松村 敦 寺井 仁
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

本研究は学習と情報資源(教材、図書、学術論文、Web情報)の相互作用に焦点をあてた。思考と情報資源は連動しており、理想的な環境は適切な情報資源が思考に追随してくれることである。本研究では、電子図書館システムと密に連動することで図書館の豊富な情報資源をオープンコースウェアと連携させ、学習者の思考に情報資源が追随する非定型学習環境を構築した。研究を通じて得た知見は、学習における情報資源の役割は予想以上に大きいこと、思考と情報資源の相互作用は補完的であること、情報資源を提供するサービスは学習プロセスと乖離しており、改善を要することの3点である。
著者
中尾 憲司
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.101-104, 2001-03

白川英樹名誉教授が昨年の3月まで奉職されていたのが物質工学系というためであろうか、学系長の私に白川先生のノーベル化学賞受賞について何か書くようにとの依頼があった。既にこのことに関連した多くの文章が出ており、 …
著者
葉山 大地
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

本年度は,冗談に対する聞き手の反応(迎合的反応,回避的反応,感情表出反応)と冗談の不達の関連を検討した。まず,大学生203名を対象として,日常生活において,つまらない冗談や怒りを感じる冗談に対する反応傾向が過激な冗談(聞き手の外見や悩みをからかう冗談や性的・倫理的タブーを含む冗談)を友人から言われる頻度に及ぼす影響を検討した。その結果,迎合的反応と感情表出反応をする頻度が多いと,過激な冗談を言われる頻度が高まることが示された。次に,大学生417人を対象として,日常生活で,怒りを感じる冗談に対する反応傾向を規定する要因として,パーソナリティ要因(拒否感受性),動機づけ要因(個人志向性・社会志向性)を取り上げ,その影響を検討した。その結果,個人志向性が高くなると,迎合的反応の頻度を低下させる一方、回避的反応の頻度を高めることが示された。また,社会志向性が高くなると、迎合的反応の頻度を高める一方、回避的反応をする頻度を低下させることが示された。拒否感受性が高くなると,迎合的反応の頻度を高める一方、感情表出反応の頻度を低下させることが示された。迎合的反応をする頻度が高いと,自尊心が低いことが明らかとなった。さらに,冗談に対して怒りを感じた場面を取り上げ,聞き手の反応が状況的要因(話し手との関係性,周囲の友人の反応)や拒否感受性によってどのような影響を受けるのかを場面想定法によって検討した。その結果,拒否感受性が高い回答者は,親友が話し手で,かつ周囲の友人が笑っていない状況において,迎合的な反応を行なわないと評定することが示された。冗談の聞き手に関する研究はほとんど行われていないため,本研究により,聞き手が迎合的反応をすることによつて冗談の不達が起こる可能性が高まるという知見や,冗談に対する聞き手の反応が状況要因やパーソナリティ要因によって異なるという知見が得られた点は,意義があるといえる。
著者
本田 靖 西保 岳 鍋倉 賢治
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

地球温暖化の進む今日、夏期スポーツ時の熱中症等への安全対策を含めて、暑熱環境に対する順化のメカニズム速やかに順化する方法開発への期待が高まっている。本研究では、体温上昇時の体温調節と換気亢進反応に着目して、そのメカニズムとトレーニング効果、過去の生活環境の影響に関して検討した。得られた結果は、1)安静時および運動時における、体温上昇に伴う換気亢進割合と体温上昇に対する前腕血流の増加割合との間の関係は、安静時と運動時の両条件にいて見られること、また、最大酸素摂取量と安静時及び運動時に得られた換気亢進割合の大きさおよび前腕血流の増加割合との間にも有意な相関関係がみられ、体温上昇に伴う換気亢進割合は、暑熱耐性を評価する際の新しい生理学的指標となる可能性が示唆された。2) 7日間の暑熱トレーニングによって、皮膚血流量増加に関する体温調節反応は顕著な向上が見られたが、体温増加に対する換気亢進反応に対しての効果は見られなかった。3)安静時において、体温上昇時の換気亢進反応に対する末梢化学受容器の貢献度は2割程度であること、体温上昇時の換気亢進に伴う血中二酸化炭素分圧の低下は、換気反応には影響しないが、脳血流量には影響すること(体温上昇時の脳血流量低下の3割程度を説明する)が示唆された。4)過去の生活環境や運動経験と現在の暑熱反応との間で有意な関係は見られなかった。その理由の一つは対象集団がやや小さいこと(40名),もう一つは対象者のほとんどがスポーツを日常的い行っており,ここ数年あるいはそれ以上の間,暑さに対してのトレーニングを積んでいるために差が検出しにくくなっていたことが考えられる.
著者
白木 賢太郎
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.79, pp.60-61, 2008-03