著者
金子 元久
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

大学教育の内容・水準を規定するのは単にカリキュラムや授業技術だけではなく、大学組織が教員と学生をどのように編成し、教育機能を発現させていくかが重要なカギであることが認識されてきた。そうした観点からこの研究では、①大学の組織形態とその構造・機能はどのように概念化することができ、また国際的にみればどのような特徴があるのか、②その中にどのような利害関係、ダイナミクスが働き、それが教育機能にどのような影響を与えているのか、そして③組織構造を改革するにはどのような可能性と条件があるのか、を明らかにすることを目的とした。そのために以下の作業をおこなったA.国際調査・比較: 上の観点から大学組織の形態と大学教員のあり方について、諸外国のケースについて文献調査をおこなうとともに、特にアメリカ、ドイツの大学に訪問調査をおこなった。とくに日本の「学部」のあり方がどのような特徴をもっているのかを明らかにするために、ドイツについてはカッセル大学、 大学の事例を詳細に調査し、日本との相違を明らかにした。B.日本における事例調査分析: 日本の大学の組織的特質とその変化を明らかにするために文献調査を行うとともに、筑波大学、京都大学、金沢大学、熊本大学、九州大学について詳細なインタビュー調査を行った。C.大学・学部データの作成とその分析: 分析の基礎として日本の国公私立大学について、大学別、学部別の学生数、教員数などのデータべースを作成した。以上の作業をもとにして、大学組織と、教員のあり方、教育機能のあり方について分析を行った。これに基づいて、日本の特質をまとめるとともに、アメリカ、ドイツ、イギリスから大学組織・教員についての専門家を招聘し、University Organization and the Professoriate と題する国際会議の準備をおこなった。
著者
山岸 駿介
出版者
筑波大学
雑誌
大学研究 (ISSN:09160264)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.131-152, 2001-03

山岸でございます。前回の5回のシリーズの時には、3回か4回出席をいたしました。今回は、先週も来られませんで、来週も駄目でということで、不参加が続いてしまいました。前回、一橋大学の事務局長さんが、どのようなことをお話になった ...
著者
園山 繁樹
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

家庭では会話ができるにもかかわらず、学校等で話せなくなる選択性緘黙については、いまだわかっていないことが多い。本研究では質問紙調査と事例研究を行い、以下の成果を得た。a)選択性緘黙の状況は個人差が大きく多様である。b)小学校低学年以下の子どもには、教師・親・コンサルタントによる協働的アプローチが有効である。c)小学校高学年以降では、本人の自発性を強化するアプローチの有効性が示唆された。
著者
稲岡 信之 加藤 裕司 久保野 雅史 熊井 信弘 辻 弘 中村 豊 長谷川 和則
出版者
筑波大学
雑誌
研究報告 (ISSN:10091860)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.131-146, 1988

本校では中学を卒業すると全員が高校へ上がってくるが、この生徒達と試験を受けて高校から入ってくる生徒(40数名)との間には学力差がある。本校の中学を卒業した生徒の英語力の方が低いのである。また、これらの生徒の中には英語に対する興味を失いかけている者もいる。その最も大きな原因は「高校入試」のために勉強してきたか否かであろう。 ...
著者
岡本 崇
出版者
筑波大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

輻射輸送は,宇宙物理学において極めて基本的かつ重要な物理過程であり,例えばガスの冷却,大質量星や銀河中心超巨大ブラックホールからの輻射によるガスの光電離加熱や輻射圧による銀河風の駆動など,銀河形成においても無視できない役割を担っているはずである.しかしながら,空間3次元,角度2次元,波長1次元の計6次元を扱わねばならないという多次元性のために,現在までの研究ではその効果はほぼ無視されてきた.本研究では,輻射輸送計算の精度を落とさずに大幅に加速する新たなアルゴリズムを開発し,実際にその性能と精度を確認した.その結果既存のアルゴリズムでは実現不可能であった多数の光源を用いた輻射輸送計算を可能にした.この手法を用いることにより,銀河内の星による輻射性フィードバックの効果等を定量的に調べることが可能になり,銀河形成に対する理解が深まることが期待される.今後は流体計算,自己重力計算コードと統合し,上記の,大質量星や銀河中心超巨大ブラックホールからの輻射が銀河形成に果たす役割を明らかにしていく計画である.また,大規模な銀河形成シミュレーションを行い,銀河のハロー星の起源についても研究を行った.その結果,現在の標準的な宇宙モデルの元では,銀河系のハロー星を説明することが困難であることを明らかにした.
著者
野上 元
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、現代日本における「戦争の記憶」の継承と断絶を課題とする調査研究であり、特に二つの柱を持っている。一つは、長野県下水内郡栄村における戦争体験の(継続)調査である。体験者の高齢化もあり、すでに聞き取りは困難だが、むしろその困難なプロセス自体が今しかできない本研究の意義となる。もう一つは、歴史博物館や平和記念館などによって展示・保存される「戦争の記憶」についての調査研究である。本研究における特徴を述べるとすれば、それを特に「地域」という枠組みにおいて考察する点にある。
著者
櫻井 勝康
出版者
筑波大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-04-01

目的1. オーガズムを視覚的に捕える-オーガズムの脳内表現 -1-1. Cat-FISHによるオーガズムをコードする神経細胞群の探索1-2. in vivoイメージングによるオーガズムをコードする神経細胞群の神経活動の計測目的2. オーガズムを機能的に捕える-オーガズムのコントロール -2-1. CANEシステムによるオーガズムをコードする神経細胞群の操作
著者
真木 太一 脇水 健次 礒田 博子 杜 明遠 八田 珠郎 安部 征雄 山田 パリーダ 川野 光子 吉越 恆 森尾 貴広
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

中国敦煌・奈曼の開墾農地のダスト量・濃度には人間活動が大きく影響する。リアルタイムPCR解析DNA鑑定法により沖縄・福岡・つくば採集黄砂から口蹄疫ウイルス付着の可能性を確認した。黄砂の構成鉱物は塩類と二次生成物が主で硫酸塩の含水鉱物があり、最表面には人為起源の窒素が偏在し、石膏付着から中性のpHと高湿度の輸送気象環境が推測できた。2010年3月の宮崎県内口蹄疫の初発生は、中国甘?省の豚口蹄疫の付着黄砂が伝播源と推測された。

3 0 0 0 IR 水子について

著者
清水 邦彦
出版者
筑波大学
雑誌
比較民俗研究 : for Asian folklore studies (ISSN:09157468)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.172-180, 1994
著者
北岡 明佳
出版者
筑波大学
巻号頁・発行日
1991

筑波大学教育学博士学位論文・平成3年3月25日授与 (甲第822号)
著者
本間 真人
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

漢方エキス製剤のうち抑肝散製剤(抑肝散と抑肝散加陳皮半夏)について、患者389名(平均年齢:68.6歳)を調査し、副作用の低K血症の発現頻度とリスク因子を検討した。抑肝散製剤投与開始後の34日(1-1600日)に、94名(24.2%)が低K血症を発現していた。低K血症のリスク因子として、抑肝散の投与(抑肝散加陳皮半夏ではない)、K低下薬剤の併用、低アルブミン血症、満量投与の4つが同定された。甘草含量が少ない抑肝散製剤でも、低K血症の発症頻度が高いことが明らかとなった。その傾向は特にK低下薬の併用患者で顕著であり、低アルブミン血症や抑肝散の満量投与で注意が必要であると考えられた。
著者
栗原 祐子
出版者
筑波大学
巻号頁・発行日
2003

Includes bibliographical references
著者
阿瀬 雄治
出版者
筑波大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

骨導刺激による聴性誘発反応で中耳疾患に病態によりI波の出現が異なる。骨振動音の内耳への伝達特性は頭蓋振動、合気蜂巣、鼓膜の振動ならびに外耳道内に生ずる音波の振幅や位相特性が振動周波数による変化として捕らえた。測定方法は骨導受話器を一側の乳突部に圧抵し、その近くに加速度計を装着、両側外耳道にミニュチュアマイクロホンを内臓したプローブを装着した。それぞれの出力波形を4チャンネル記録計に記録しFFTアナライザおよびマイコンにて解析した。鼓膜のインピーダンスの測定成績より外耳道側より見た鼓膜インピーダンスは伝音機能正常においては共鳴周波数は1200Hz付近にあり、耳小骨連鎖離断の場合は耳小骨の残存状態にもよるがほぼ700Hz付近にある。連離固着の場合は1700Hz以上にある。頭蓋の固有振動数は1700Hz-1800Hzにある。乳突蜂巣のなす共鳴周波数は800Hz付近にある。以上の固有振動数に応じた総合的振動特性が伝達関数の特異性として外耳道内の音波として捕らえられた。この骨伝導の様相が中耳伝音障害によりどのような変化が生じるかを観測した。鼓膜に穿孔の無い一側が正常な伝音障害耳について測定した。耳小骨連鎖離断症では1000Hzでは患側の振幅は増大し位相も進む。2000Hzになると振幅は減少し位相も遅れる。連鎖固着の場合は1000Hzの振幅は減少し位相は正常耳と変化ない。真珠腫性中耳炎においては乳突蜂巣の抑制されている程度にもよるが、振幅特性は高周波数域に移行し、位相特性には特徴を見いだせない。これらの種々の病態と伝達特性に合わせ周波数毎の骨振動の周波数特異性をシミュレイションした。骨振動にて生じた外耳道内音波を一旦メモリーに格納し、再度同期させて出力したものと骨振動とを合成することで骨振動の直接に聴覚に関与する成分と間接的に関与する成分による機能差を解析することを今後の課題とする。
著者
宮崎 均 ZRELLI Houda ZRELLI Houda
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

世界的に慢性腎不全症患者は増加の一途をたどっており、我が国の患者数も1300万人に及ぶ。腎機能低下で血中濃度が上昇する尿毒症物質インドキシル硫酸(IS)が、腎機能の増悪化のみならず、動脈硬化など種々の合併症を誘導することが明らかになってきた。また、ISが細胞内で活性酸素種(ROS)を産生することでこれら作用を発揮することも分かりつつある。本研究は、食成分から慢性腎不全の改善及び血管障害の改善を目指す研究である。具体的には、ローズマリーの抗酸化化合物カルノシン酸(CA)を用い、本年度は動脈硬化の初期段階に関わる血管内皮細胞及び慢性腎不全に密接の関わる腎尿細管上皮細胞HK-2に対するISの悪影響の予防・改善効果を実証することを目的とした。平成26年度は、まず培養血管内皮細胞を用い以下の結果を得た。① ISは細胞内のROS産生及び転写因子NFκBの活性化を介して細胞接着因子であるICAM-1、VCAM-1、E-selectin、さらには単球走化性因子MCP-1の発現を増加させ、これをCAがROS産生やNFκB活性化を抑えることで負に制御すること、② ISが細胞へ作用後、ROS産生のみならず、ROS産生酵素であるNOX4の発現、ISの作用を仲介するダイオキシン受容体AhRの発現をも増加させること、を示し、ISの慢性的な暴露が動脈硬化の発症・進展を促進するさらなる証拠を得た。HK-2細胞についても以下の結果を得た。① ISによりAhRの核移行やROS産生が生じ、それをCA、AhR拮抗薬、ISを細胞内に輸送するOATトランスポーター阻害剤が抑制すること、② ISによるNOX4発現増加もCAやトランスポーター阻害剤で抑えられること、を明らかにした。これらの結果は、CAがISによる慢性腎不全の進展や合併症である動脈硬化の進展に対し、抑制的な効果を持ちうることを示唆するものである。
著者
大谷 奨
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、1970年代の日本における国立医大の増設とその際の地方における誘致運動を検討することで、地方に国立医大が設立される意味と、誘致に際する地元負担の額が均質化される過程を検討しようとするものである。文部省は国立高専設置の際と同様に設置地域の財政的な協力(地元負担)を求めた。これに対し自治省は、地方財政法上問題があるとして文部省に申し入れを行ったり、県に安易に応じることのないよう注意を促す。自治体も誘致を競い合う一方で負担額について協議していた。その結果、地元負担の内容はほぼ均質化されることとなり、同時に、自治体の早期開設を望む姿勢が単科医大という新構想大学を受容させることになった。
著者
中村 逸郎
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

プーチン・ロシア大統領はロシア正教会を利用してロシア愛国主義を育成し、その愛国主義に支えられる正教国家の樹立をもくろんでいることが結論として明確になった。正教会にしても、プーチンに妥協するのと引き換えに、ロシア政府からの経済支援を引き出そうとしている。1917年ロシア社会主義革命で剥奪された正教会財産(現在は連邦国有財産となっている)の返還を段階的に求めており、プーチンに妥協を重ねることで正教会の経済活動の活性化をねらっている。今後のロシア政治は、プーチンと正教会の長である総主教の権力闘争に発展する可能性がある。