著者
笹川 篤史 折登 由希子
出版者
長崎大学
雑誌
經營と經濟 : 長崎工業經營専門學校大東亞經濟研究所年報 (ISSN:02869101)
巻号頁・発行日
vol.93, no.4, pp.33-56, 2014-03-25

While the consumption tax rate in Japan is 5% as of 2013,the government plans to increase it to 8% in 2014 and to 10% in 2015.However, the government will also introduce reduced tax rates on certain items for the low-income group. In this study, we use an optimization method to remove regressivity of reduced tax rate and then analyze the optimal solutions.
著者
真鍋 義孝
出版者
長崎大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
2000

南西諸島における集団史を探るため、地域的変異の調査を続けている。本年度は、南西諸島の南端近くに位置している石垣島に居住する若年者(男64名・女86名)の歯冠に出現する非計測的形質の頻度を調査した。17形質のうち日本の在来系集団と渡来系集団で特に明瞭な差を示す12形質の出現頻度について、日本列島における各時代の12集団と比較した。その結果、石垣島現代人において在来系的特徴を示す形質はわずかに屈曲隆線(LM1)だけであるが、シャベル型(UI1)、斜切痕(UI2)、第5咬頭(UM1)、4咬頭性(LM2)、プロトスタイリッド(LM1)の比較的多くの形質では渡来系的であった。また、ダブルシャベル型(UI1)、舌側面近心辺縁隆線(UC)、舌側面遠心副隆線(UC)、カラベリ形質群(UM1)、Y型咬合面溝(LM2)、第6咬頭(LM1)の多くの形質では在来系と渡来系の中間的特徴を示していた。さらに多変量解析を適用すると、石垣島現代人は沖縄本島と種子島の現代人に最も近く、南西諸島内の地域的変異はかなり小さいことが明らかになった。これらの南西諸島の3集団は1つのクラスターを形成し、東アジアの中では東北アジア型と東南アジア型の境界領域に位置していたが、日本列島の集団の中では在来系よりも渡来系集団に圧倒的に近く位置していた。また、南西諸島の中で厳密に比較すると、種子島が石垣島や沖縄本島よりもやや東北アジア型に近く位置していた。これらの結果は、現代人に限定した場合の「アイヌ・琉球同系説」を否定する。ところが、種子島における時代的変化を考慮に入れた場合、沖縄本島の先史時代にも在来系集団が存在していたと想定され、その後に渡来系遺伝子の流入が起こった可能性を示唆するものである。南西諸島内の地域的変異は小さなものであったが、厳密な比較で認められた南西諸島内における南北のクラインは、渡来系遺伝子の流入が北から起こった可能性を示唆している。
著者
辻 英之 益田 和彦 杉本 洋輔
出版者
長崎大学
雑誌
長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi (ISSN:03693228)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.157-161, 2011-09-25

症例は58歳女性、50歳時にVogt-小柳-原田病(原田病)を発症し、最近はステロイド点眼のみを続けていた。2010年7月より4.5kgの体重減少あり。8月に入り、咽頭痛、口渇、全身倦怠悪化するため8月2日近医受診、随時血糖433mg/dl、HbA1c 9.8%(以下HbA1cは国際標準値で表記)あり、投薬加療開始されるも、ケトーシス悪化傾向にあり、当院紹介され8月6日入院となった。入院時採血、検尿で、抗GAD抗体 1214.3U/ml、血中CPR空腹時 1.0ng/ml、食後2hr 1.2ng/ml、尿中CPR 15.6マイクロg/日、CPR 5min 0.5ng/mlであること、約1年前の空腹時血糖84mg/dl、HbA1c 5.6%であることなどから急性発症自己免疫性1型糖尿病と考え、インスリン強化療法を導入、加療を開始した。入院時の眼底検査では典型的な夕焼け眼底を認めるものの、糖尿病性変化はなかった。患者の同意を得、測定したHLAでは、A*1101 A*2402 B*3501 B*5401 C*0102 C*0303 DRB1*0405 DQB1*0401 DPB1*0501でVogt-小柳-原田病、1型糖尿病に疾患感受性のあるHLA DRB1*0405が陽性であった。
著者
葉柳 和則
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学総合環境研究 (ISSN:13446258)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.157-167, 2007-08

Die vorliegende Arbeit setzt sich zum Ziel, "Gegen-Umwelt (anti-environment)", einen Schltisselbegriff der Medientheorie von Marshall Mcluhan, im Kontext der Okologie im weiteren Sinne neu zu bewerten. Die Hauptthese der Mcluhanschen "Gegen-Umwelt-Theorie" heiBt: "Von Kunstlern geschaffene Gegen-Umwelten und Gegen-Situationen liefern Mittel, die es uns ermoglichen, die Umwelt unmittelbar zu erkennen und besser zu verstehen". Im Innenraum einer Umwelt kann man nur schwer erkennen, wie sie sich in Wirklichkeit befindet. Durch die "Gegen-Umwelten" als Medien kommt seine Umwelt zum Vordergrund. Eigentlich hatte der okologische Gedanke ein starkes Interesse an Sprache bzw. Poetik, das aber durch die pragmatische und technokratische Haltung der neueren Okologie ausgeschlossen und unterdriickt worden ist. So gesehen liefern die "Gegen-Umwelten" Moglichkeiten, Okologie erneut als Poetik zu beleben.
著者
北 潔 稲岡 健ダニエル 原田 繁春 斎本 博之
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々は寄生虫のエネルギー代謝系酵素群が極めて特殊な性質を持ち、宿主中での寄生適応に重要な役割を果している事を明らかにして来た。シアン耐性酸化酵素(Trypanosome alternative oxidase)は宿主の血流中に生息するアフリカトリパノソーマの増殖に必要不可欠であり、薬剤標的として有望な酵素である。そこで我々が見出した特異的阻害剤アスコフラノンに着目し、化学の領域から生命現象を捉え、その応用を視野に入れたケミカルバイオロジーの観点により酵素の特徴、阻害剤との相互作用、そしてアスコフラノンの生合成経路を明らかにした。
著者
片峰 茂 伊藤 敬 西田 教行 桑田 一夫
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

われわれが化合物データベースより見出した新規抗プリオン物質GN8がリコンビナントプリオン蛋白に対して実際に結合するかどうかを,をBIAcoreT100を用いて調べた結果から,GN8が実際にリコンビナントプリオン蛋白に対して結合し,その解離定数は,4μM程度であることが分かった。全長のマウス・リコンビナント・プリオンのNMRスペクトル(HSQC)をGN8の存在下及び非存在下で測定した。その結果,GN8の特異的結合サイトが,N159とE196であることが明らかとなった。これらの部位は,ミリ秒からマイクロ秒の遅いタイムスケールの揺らぎを行っており,遺伝性のヤコブ病における変異部位とも関連していることが確認された。また,GN8の類縁体を複数(60種類),有機合成し,抗プリオン活性を測定した結果,そのいずれにおいても,ほぼ抗プリオン活性が認められた。このことより,GN8の基本骨格を保ちつつ,抗プリオン作用が最大になるようにその化学構造を最適化することが可能であることが分かった。プリオン感染マウスに対し,GN8を脳内投与したところ,特に副作用もなく,優位な寿命延長効果が認められたことから,GN8は,抗プリオン薬のリード化合物として非常に有望であると考えられる。GN8小分子化合物で脳血液関門を通過しやすいことが期待され,実際培養脳血液関門モデルを通過することが判明したが、マウス末梢投与においても有効であることが分かりつつある。以上により,GN8の作用メカニズムは,細胞型プリオンに結合し,その立体構造を安定化させるためであることが明らかとなった。
著者
井上 義彦
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学総合環境研究 (ISSN:13446258)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.153-163, 2006-08-01
著者
久保 憲昭
出版者
長崎大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

【目的】蟯虫の感染経路については、感染マウスとの接触および感染マウス飼育ケージ内の床敷きを介して感染することは知られているが、それ以外の感染経路が存在するか否かは未だ不明である。今回、長崎大学先導生命科学研究支援センター動物実験施設において、ネズミ盲腸蟯虫の駆虫薬による駆虫後に再発を経験したこともあり、再発を防止するためには蟯虫卵の飼育室内分布状況を明らかにし、感染経路を探し出すことが必要と考え、実験を行うこととした。【方法】ネズミ盲腸蟯虫の感染を粘着テープ法により確認したAKRマウス♂9匹を実験に使用した。飼育方法は、木製チップを入れたプラスチックケージに給餌器兼用のステンレス製フタに飼料と給水瓶をセットして3匹ずつ3ケージに分けて入れ、一方向気流方式飼育ラック内で1週間飼育した。蟯虫卵分布の観察ポイントとして、ケージ本体、フタ、給水瓶、床敷き、給餌後残飼料、飼育棚、排気ダクト内粉塵、ケージ交換時着用手袋と実験着及び実験台、マウス固定器、電子天秤用体重測定カップの12カ所を設定した。蟯虫卵の検出は対象物により飽和庶糖液による浮遊法または粘着テープ法で行った。今回実験着以外は浮遊法で検査を行ったが、前処理として対象物を0.05%Tween20液1Lで洗浄後、その洗浄液を金網製ザルで濾した後、遠心分離機にて3000rpm10分間遠心して沈渣を検査に供した。【結果及び考察】今回の実験で蟯虫卵が検出されたのは、検出個数が多い順に、床敷き462個、ケージフタ33個、ケージ15個、飼育棚8個、マウス固定器・給水瓶3個、排気ダクト内粉塵2個、手袋・体重測定カップ・実験台1個で、実験着と給餌後残飼料は0個であった。今回の実験の結果から感染経路を推測すると、使用済みの床敷き、ケージ、フタを介して感染している可能性が高く、また、飼育棚、マウス固定器、給水瓶、排気ダクト内粉塵、手袋、体重測定カップからの感染も少なからずあることが示唆された。
著者
平田 勝政
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学教育学部教育科学研究報告 (ISSN:03882802)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.83-106, 1990-06
著者
坂梨 薫 渡部 節子
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.91-98, 1998
被引用文献数
4

実習指導のより効果的なあり方を検討する目的で,ECTB(Effective Clinical Teaching Behaviors)を用いて,看護婦の実習指導に対する自己評価の調査を実施した.今回は看護婦の経験年数による違いを中心に分析し,以下のことが明らかになった. 1)経験年数1~3年目の看護婦と4~5年目・6年目以上を比較すると,全項目の平均点で有意差がみられた.さらに,各項目の平均点をみると経験年数4~5年目では,43項目中30項目,6年目以上では43項目中38項目有意に低かった. 経験年数4~5年目の看護婦と6年目以上の間に有意差がみられたのは43項目中3項目であった.実習指導評価に関しては経験年数1~3年目と4年目以上の間に隔たりがみられた. 2)平均点の高かった項目は,経験年数に関係なく「良くやった時は誉め認めようとしていた」,「緊張している時にはリラックスさせるようにした」など学生との関係性や指導態度を示す内容であった. 経験年数別にみると,1~3年目の看護婦に学生との関係性や指導態度を示す内容が多く,4年目以上の看護婦では学生との関係性や指導態度のみではなく実践指導や指導方法に関する項目がみられた. 3)平均点の低かった項目は,経験年数に関係なく「実習グループの中で刺激しあって向上できるように援助していた」,「学生同士で意見交換ができるように働きかけていた」など,学生のグループダイナミクスを喚起し,意欲を向上させるような内容を示す項目と「看護者としての良いモデルになっていた」であった. 経験年数別にみると,1~3年目の看護婦は学生の意欲向上に関する項目が低い評価であり,4年目以上の看護婦は「看護婦間の指導方法は統一していた」という指導方法に関する項目が,6年目以上では看護実践に関する項目がみられた.Using ECTB (Effective Clinical Teaching Behaviors), a survey of nurses' self-assessments of their clinical teaching was carried out to consider how to make clinical teaching more effective. An analysis of differences according to their years of experience has shown the following results: 1)Comparing the nurses having 1 to 3 years experience with those having 4 to 5 years experience and having more than 6 years experience, a significant difference was found in the average score of all the items. Examining each average score of every item, the nurses having 4 to 5 years experience had significantly low average scores in 30 out of 43 items and those having more than 6 years experience had significantly low average scores in 38 out of 43 items. Significant differences were seen in 3 out of 43 items between the nurses with 4 to 5 years experience and those with more than 6 years experience. In almost all items of the self-assessments of their clinical teaching, there were wide differences between the nurses with 1 to 3 years experience and those with more than 4 yeare experience. 2)Regardless of their years of experience, the average scores were high in the items concerning the relationship to their students or their teaching attitude such as "tells students when she/he has done well", or "keeps self available when students are in stressful srtuations" Examining the average scores according to their years of experience, the nurses with 1to 3 years experience had the high average scores in many items concerning the relationship to their students or their teaching attitude. The high average scores of the nurses having more than 4 years experience were found in the items concerning not only the relationship to their students or their teaching attitude but also practical instruction and the teaching method. 3)Regardless of their years of experience, the low average scores were found in the items concerning stimulation to the group dynamics of students to raise students' motivation such as "Interacts well with students in a group situation", or "Permits freedom of discussion", and the item "is a good role model for students". Considering according to their years of experience, the nurses with 1 to 3 years experience had low opinions of themselves in the items concerning stimulation to students' motivations. The nurses with more than 4 years experience judged themselves low in the item concerning the teaching method, "is organized with clinical instruction". It was in the items concerning nursing practice that the nurses having more than 6 years experience had low opinions of themselves.
著者
片峰 茂
出版者
長崎大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

プリオン病病原体の実体にせまる手がかりとして多様なプリオン株(strain)の存在がある。プリオン株を遺伝的背景が同一の動物に接種した場合、それぞれの株に特異的な病態が惹起される。株の分子機構解明が病原体の実体解明に直結すると考えられる。先行するプリオン株感染が後続の異なるプリオン株感染を阻止するという現象が動物実験では報告されている。しかし免疫系の関与などその詳細は不明である。複数のプリオン株に感受性を示す培養細胞(GT1-7)を用いてプリオン株間の干渉現象を種々の株の組み合わせで検討した。とくに、感染細胞中にほとんどプロテアーゼ抵抗性の異常プリオンタンパク(PrP^<res>)の蓄積を来たさない弱毒株(SY)による強毒株(Chandler,22L, Fukuoka-1)感染阻止効果も検討したChandler感染細胞は後続のFukuoka-1感染に感受性であったが、22L感染はFukuoka-1感染を完全に阻止した。このことは、感染阻止現象が所謂ワクチン効果によるものではなく、感染細胞中での干渉機構によるものであることを強く示唆している。また、この干渉が株の組み合わせに規定されることも判明した。さらに、感染細胞中にほとんどPrP^<res>の蓄積を来たさないCJD由来弱毒株(SY)が強力にChandler,22L, Fukuoka-1など複数の強毒株(高レベルのPrP^<res>を有する)の感染を干渉することが明らかとなった。このことはPrP^<res>が干渉を規定する因子ではないことを意味している。干渉の分子機構解明を通してプリオン病原体の本体を明らかにすることが今後の課題となる。また、無毒化プリオン株を用いたBSEなどの強毒プリオン感染予防方策開発への途を開いた成果でもある。
著者
本間 季里 鵜殿 平一郎 由井 克之
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

hsp70にマラリア原虫CS蛋白のCTLエピトープを結合させた融合蛋白をマウスに免疫することにより、CS特異的CTLの誘導と部分的防御免疫得られることを我々はこれまで明らかにしてきたが、本研究の目的は抗原特異的CTLの誘導機序を明らかにすることである。1.バキュロウイルスによるリコンビナント蛋白の作製上記で用いた融合蛋白は大腸菌で発現させた融合蛋白であるため、大腸菌由来のLPSなどの僅かな混入により樹状細胞の抗原提示能が影響される可能性がある。そこで、大腸菌由来物質の混入を回避するため、バキュロウイルスによるリコンビナント蛋白の作製を行なった。2.抗原特異的CTLの誘導機序を明らかにするためのモデルシステムの確立H2-K^b拘束性に卵白アルブミンペブチドOVA_<257-264>を認識するCD8^+T細胞のT細胞レセプターのトランスジェニックマウス(OT-1)のリンパ節より精製したCD8^+T細胞と、モデル抗原としてのOVA_<257-264>を結合させたマウスhsc70(hsc70-OVA)の融合蛋白をパルスした抗原提示細胞(APC)を培養する。APCがhsp70-OVAを取り込みOVA_<257-264>の提示を行なったか否かは、OT-1由来CD8^+T細胞からのIFN-γ産生を指標に行なった。その結果、樹状細胞はhsc70-OVAを取り込み、OVA_<257-264>をOT-1T細胞に提示出来ることが明らかとなった。3.抗原特異的CTLの誘導機序の解析樹状細胞をブレフェルデインA、クロロキンなどの抗原提示経路の阻害剤で前処置することにより、抗原特異的CTLの誘導機序を解析した。その結果、外来性抗原として取り込まれたhsc70-OVAの提示には樹状細胞内のTAP分子は必ずしも必要ないこと、エンドソームでCTLエピトープとMHCクラスI分子が会合する経路が存在することを明らかにした。
著者
竹島 史直 赤澤 祐子
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

不飽和脂肪酸の1つであるパルミトレイン酸(PO)は、炎症抑制作用があることが糖尿病や脂肪肝の研究で知られています。私たちは、POの炎症性腸疾患への関わりを調べるために、炎症性腸疾患患者の血清や手術標本の解析とマウスを用いた実験腸炎への影響を調べました。血清PO濃度はクローン病患者で健常人や潰瘍性大腸炎患者と比較し有意に上昇し、手術標本の腸間膜脂肪組織内PO濃度もクローン病患者の炎症部で非炎症部や大腸癌患者と比較して有意に上昇しました。マウスの腹腔内にPOを投与したところ、コントロールと比較して腸炎の改善が認められました。POは腸管炎症の抑制に関わっている可能性があると考えられました。
著者
大渡 伸 山内 正毅
出版者
長崎大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

地球温暖化の進行に伴い、熱中症による緊急入院患者が増加している。屋外における熱中症対策と共に紫外線対策が必要である。しかし、熱中症対策と紫外線対策は二律背反する。本研究は、紫外線対策を考慮した熱中症対策に有効な衣服や熱耐性の獲得に関する情報を提供し、熱中症と紫外線障害を回避する健康情報を公開する事で社会貢献を目指す。
著者
竹本 泰一郎 千住 秀明 和泉 喬 門司 和彦 太田 保之 中根 允文
出版者
長崎大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1994

火山噴火災害の健康影響を把握し,継続的な健康管理にサーベイランスシステムを構築することを目的とした。長崎県雲仙普賢岳噴火の被災地である島原市と深江町で継続的に現地調査を行い、下記所見を得た。1)被災地の小中学生では噴火後「外で遊ぶことが減った」「テレビをみる・ゲームをする」など屋内の生活行動が増え、「夜中に起きる」「寝る時間が遅くなった」「朝起きるのがつらい」といった生活時間の変化も高頻度であった。「風邪を引きやすい」「咳・痰が出やすい」「喉が痛い」といった火山噴出物に由来する自覚症状も高頻度であった。また、これらの生活行動の変化・自覚症状が学校や家庭の避難で増強されていたことも特徴的であった。2)地域住民についてのアンケート調査では「眼の症状」が最も高頻度で、次いで「咳・痰の症状」であった。これらの有訴率は壮年期の女性、被害が大きい地区、避難住民で高かった。噴火活動の鎮静化とともに皮膚粘膜の刺激症状が低下したが、「咳・痰」「喘息」「呼吸困難」など呼吸器に関する症状は遷延化する傾向が認められた。3)スパイログラムによる呼吸機能検査では県内の非被災地に比べ閉塞性障害の頻度が高かった。4)避難住民に関する全般的健康調査(GHQ)では、壮年期の男女にストレスが強いこと、精神的健康度に頻回の避難、通院、自営業従事などが関わっていることが示唆された。以上の結果は、火山噴火の健康影響が火山噴出物による直接影響とともに避難・移住による生活環境や生業活動の変化をも包含していることを物語っている。
著者
佐藤 加代子
出版者
長崎大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

<研究目的>抗がん剤を含む細胞毒性薬剤の取り扱いの危険性に関しては、医療従事者の抗がん剤曝露を最低限に抑えるために、曝露防止に関して様々な検討がなされており、世界的にガイドラインが作成されている。本邦でも抗悪性腫瘍剤の院内取扱い指針として「抗がん剤調製マニュアル」が出され、医療従事者における抗がん剤曝露に関する注意喚起がなされている。しかし、マニュアルやガイドライン、様々な曝露防止に対する検討がなされているのは、ほぼ注射剤の抗がん剤調製に関する事であり、同様に曝露の危険性が高い散剤についての詳細な検討はない。そこで今回、同じ分包機を使用することによる他剤への汚染、また、汚染された散剤を服用することによる他の患者への影響を最小に抑えることを目的とした。<研究方法>6-メルカプトプリン製剤を自動散剤分包機で分包後、洗浄剤として重曹、酸化マグネシウム、乳糖で洗浄を行った。それぞれの洗浄散剤中に含まれる6-メルカプトプリン量を高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて定量した。<研究成果>洗浄散剤中に含まれる6-メルカプトプリン量は重曹で3回目には検出限界以下、酸化マグネシウムで4回目には検出限界以下、乳糖では5回目でも6-メルカプトプリンが検出された。以上の結果より、洗浄剤として炭酸水素ナトリウムを使用し3回以上洗浄することが最も確実に抗がん剤を洗浄できる方法であることが明らかとなった。当院では、抗がん剤を分包する際は、他の散剤の分包が無い時に行っており、分包後清掃を行っている。効果的な洗浄剤の種類と使用法を明らかにできたことで清掃作業者への影響を最小に抑えることが出来ると考えられる。
著者
安武 敦子 才津 祐美子 渡辺 貴史 佐々木 謙二 迫 宏幸
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-07-18

日本で加速度的に高齢化が進むなか,離島はその先陣を切って進んでいるといえる。離島集落は管理能力不全が起こり始め,集落の再編期に直面するなか,コンパクト化に向けて進んでいく傾向が見られる。しかし予備調査から,離島では相当の対価を支払っても,現住地に居住継続したいという結果を得た。地域の特色と居住傾向がどう関係しているのかを見ると,結果として居住者の満足度や生きがいの差は立地や利便性と強い関連性は見いだせない。隔絶性の高い地域で,高齢者が自発的に活動に参加し,また廃校の活用においても,多くの主体によって複数の空間が複数の用途に柔軟に活用されるなど,地域や個人の自立性が高いことが推察できる。
著者
五十嵐 章 長谷部 太
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

デング出血熱の発病機構に係るウイルス毒力説の直接的証拠を得る目的で、1993年タイ国東北部ナコンパノムにおいて臨床的に重篤度の異なる患者から分離された2型デングウイルス遺伝子の塩基配列と、それから推測されるアミノ酸配列を比較解析した。(1)ウイルス蛋白質のアミノ酸配列から、分離株は3つの亜型に分類され、亜型1は最も重症のDSS患者からの分離株、亜型2はDHF患者分離株2株とDF患者分離株2株、亜型3はDF患者分離株3株であった。(2)3'非コード領域(3'NCR)に推測される2次構造からも分離株は3つの亜型に分類され、亜型1はDSS患者分離株、亜型2はDHF患者分離株2株とDF患者分離株3株、亜型3は2株のDF患者分離株であった。これらの結果から、亜型1のアミノ酸配列と亜型1の3'NCRを有するウイスル株に感染した場合、臨床症状は重篤化する可能性があるのに対して、亜型3のアミノ酸配列と亜型3の3'NCRを有する株の感染は軽症で済む可能性が推測される。LLC-MK2細胞に形成されるプラークサイズは、ウイスル遺伝子の構造よりもむしろ、各株が分離された患者の血清反応と関係している。更に1993年、タイ国バンコックの流行から分離された4株の4型デングウイスル遺伝子を比較解析した。その結果、軽症のDF患者分離株に特異的なアミノ酸置換、及び比較的重症のDHF grade II分離株にそれぞれ特異的なアミノ酸置換が存在した。これらのアミノ酸置換は蛋白質の性状に重大な影響を与えると考えられるので、上記2型デングウイスルの結果と総合してデング出血熱の発病機構にウイスル遺伝子の塩基配列が関与していることを推測させる。これらのアミノ酸置換或いは3'NCR構造を有するウイルス株の生物学的性状の解析と、デング出血熱発病機構との係わりは今後の研究課題である。