著者
森 陽子 望月 清 樋口 輝久 馬場 俊介
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究論文集 (ISSN:13495712)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.45-57, 2004

<I>Fuji-bashi</I>, completed in 1915 over the Fuji River in Sizuoka Prefecture, is probably the longest span suspension bridge as well as only one railway suspension bridge in Japan before the World War II. However it's existence has been forgotten for a long time. The reason of oblivion will be as follows; that is, it was constructed by a private paper-manufacturing company, and it was used only four years until it was destructed in the stormy night with intent to save disaster. The purpose of this paper is to regain its reputation, and try to emphasize that <I>Fuji-bashi</I> is one of the important structures in the history of civil engineering of the modernized era in Japan. The paper contains lots of original data concerning its construction.
著者
中村 豊
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学研究発表会 報告集 (ISSN:18848451)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.115-115, 2005

2004年新潟県中越地震では営業運転中の新幹線列車が初めて脱線したが, 種々の事前対策が功を奏し, また幸運にも恵まれて災害とはならなかった. 新幹線には地震対策のひとつとして, 不測の事態が発生したときに災害の程度をできるだけ軽減させるための早期検知システムが設置されている. 今回の地震でも, 上越新幹線に設置されたコンパクトユレダスが, 震央地域でP波検知後1秒で警報を発し, 震央域の全列車を緊急停止させた. 脱線列車に対しては, 警報から本格的な地震動が到来するまで3秒弱しかなかったが, 被災したかも知れないところを130m近く走行せずにすみ, 対向列車突入の危険性も大幅に低減した. 直下に発生した地震に対しても, コンパクトユレダスは想定どおり効果を発揮することが実証された. また, 今回の脱線現象を分析した結果, 主要な脱線は特定の高架橋ブロック間の著大な相対変位によって順次発生したと推定され, 地震後, 脱線車輌がレール上を胴体着陸状態で滑走して著大な摩擦熱が発生し, 列車通過とともにレールの変形・破断が発生したと想定された.
著者
依藤 光代 松村 暢彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_363-I_372, 2013

大都市近郊に位置する都市の中心市街地に立地する商店街である生駒駅前商店街において,継続的な活性化の運営の変遷および継承の要因を,担い手個人レベルに着目しながら明らかにすることを目的として,文献およびヒアリング調査を実施した.その結果,特徴的な4つの運営の時代に分けられ,ハード整備事業が中心の行政主導の運営から,ソフト事業に比重が移され,その運営の担い手が,商工会議所主導,商店街役員主導,商店街役員及び多くの個店主導と変遷してきたことが分かった.<br>ハード整備実施後に活性化活動が途切れることなく,ソフト的な活性化活動にスムーズに結びついていくためには,商店主らが共同で定例的に行う取組によるつながり,及び活性化活動の実践の中で商店街役員らの間に形成されるつながりが重要であると考えられる.
著者
河尻 陽子 金森 亮 山本 俊行 森川 高行
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_487-I_500, 2014
被引用文献数
2

各都市でカーシェアリングサービスの拡充が進んでいるなか,本研究では名古屋市を中心に事業展開されているカーシェアリングの利用実態の把握を目的に,運営管理データを分析する.用いた運営管理データは数カ月間の車両GPSデータや予約データであり,利用車両軌跡の追跡による利用目的の把握,クラスター分析による利用パターンの把握,地域特性を考慮した利用目的判別モデル(決定木)を構築する.分析結果から名古屋のカーシェアリングは男女で利用パターンが異なること,利用直前の予約が多いこと,私事目的での利用が最も多いこと,を明らかにした.
著者
星谷 勝 山本 欣弥
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.654, pp.355-366, 2000-07-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
13
被引用文献数
2 5

ライフラインネットワークやトラス構造物といった現実の工学システムは, 多くの要素から構成されており,構成要素の部分的な被害がシステム全体の破壊に直結するとは限らない. 本研究では, このようなシステムの有する保有耐力, いわゆる冗長性を, Shannon の情報エントロピーを用いて物理的に定義し, 冗長性指数 (redundancy index) を提案している. 次に, 古くから扱われている並列システムを例題として, 信頼性 (reliability) と冗長性 (redundancy) の持つ意味について詳しく検討している. さらに, 簡単なネットワークモデルを用いてシステムの形状, リンクの破壊確率とシステムの信頼性および冗長性について検討を行った. 本研究で示した冗長性指数は, De, Kammchandani and Comell によって定義された冗長性指数と比べて, 優れた特長を有していることがわかった.
著者
山田 浩章 松下 泰弘 井岡 良太 平野 辰昇 川口 浩二 猪股 勉
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_19-I_24, 2015
被引用文献数
1

GPS海洋ブイは,現在,国土交通省港湾局のナウファスの「GPS波浪計」として日本全国に18基設置され,沖合の大水深海域で波浪の定常観測を実施している.GPS海洋ブイは津波観測も可能であり,東日本大震災による大津波発生時には,岩手県釜石沖などに設置されていたGPS波浪計が津波を観測し,気象庁の津波警報の更新に利用されたが,津波をより早期に観測するには更に沖合にGPS海洋ブイを設置する必要がある.しかし,従来のGPS海洋ブイではGPS測位法と無線通信によるデータ伝送の制限から設置可能距離は沖合20km程度までであった.本稿では,更なる沖合観測のために開発した新型GPS海洋ブイの概要と実海域での実証実験の状況について報告する.
著者
鈴木 温 鈴木 和佳奈 栗田 歩
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_375-I_385, 2015
被引用文献数
2

近年,我が国では大都市を中心に保育所待機児童の発生が問題視され,施設の拡充等による子育て支援体制の強化が求められている.保育所の需給ギャップと空間的ミスマッチを解決するため,保育所アクセシビリティに関する研究が行われてきた.しかし,いくつかの課題も残されていた.そこで,本研究では,それらの課題を解決するため,マッチング理論を応用した新たな保育所アクセシビリティ指標を提案し,名古屋市緑区を対象として,新たな保育所アクセシビリティを用いた分析を行った.その結果,より現実に近い入所選考プロセスを表現可能となり,保育所アクセシビリティの空間分布だけでなく,待機児童の発生を分析可能であることが確認できた.
著者
谷井 敬春 廣田 政矢 菊地 裕一 釜谷 薫幸 高橋 浩
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
トンネル工学研究発表会論文・報告集 (ISSN:18849091)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.297-302, 2002

A large-scale collapse occurred when the face reached about 900m point from the east portal. Soil from collapse containing cobble gravels became an avalanche with a large amount of water, and has surged to the portal. Ground surface of 130m from collapse point was caving like Crater. These was no human damage and a little material damage though it was such a huge disaster. Countermeasures are as follows, caving area was restored with air-mortar, boring was done for drainage from the tunnel, grouting was done right under the collapse area. The tunneling work was completed from the record-breaking collapse two years later.
著者
石倉 智樹 杉村 佳寿 石井 正樹
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.617-623, 2005

本研究は, 世界の主要な空港オペレータを対象に, 空港の運営・財務状況を比較分析し, 日本の空港運営システムの特徴を考察した. 欧州をはじめ世界では大規模な空港オペレータが複数空港を運営しているが, 我が国の空港オペレータは単一空港運営にもかかわらず資産規模が世界最高水準であることが示された. 関西国際空港株式会社については, 自己資本比率が小さいため金利費用負担が大きく, 世界でも稀少な経常損失を記録する空港オペレータの事例となっていることや, 他の空港オペレータに比べて, 保有資産の構成が収益姓の低い下部構造に集申し, 資産回転率が低い状態であることが明らかとなった.
著者
田中 邦博 長弘 雄次
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.475-486, 1997

日本経済の近代化に大きな影響を与えた北部九州筑豊炭田において、1887 (明治20) 年以降石炭生産量の増大と共に、従来から川ひらたと称する小舟による遠賀川の水運に頼っていた石炭の輸送が隈界に達し、陸運の必要性が高まるにつれて1889 (明治22) 年に筑豊興業鉄道が創立され、1891 (明治24) 年筑豊若松-直方間が開通した、, 以後石炭輸送の産業鉄道として活躍し、1897 (明治30) 年九州鉄道と合併するまで地域の発展に貢献したが、その創立から進展合併までの歩みを交通史としてとりまとめた。
著者
田中 邦博 市川 紀一 亀田 伸裕 畑岡 寛
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.371-377, 2000

九州鉄道に次いで、1891 (明治24) 年に筑豊炭を若松港に陸送するために敷設された産業鉄道・筑豊興業鉄道は、筑豊炭の輸送力の大幅強化をもたらした。相乗効果として、洞海湾開発や積出港の進展を促し、その後の豊州鉄道・小倉鉄道創立の引き金ともなった。また、1897 (明治30) 年、官営八幡製鉄所誘致が実現するに至り、工業都市としての北九州市の骨格が作られた。このように、産業鉄道が北九州市の近代化に果たした役割は大きなものであった。本報は、産業鉄道の内、北九州のほぼ中央を南北に縦断した小倉鉄道を取り上げ、その発足と進展の歩みを史的な立場からまとめたものである。
著者
篠田 哲昭 中尾 務 早川 寛志
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.183-190, 1991

人類が「火」を手にして以来、薪・石炭・石油・原子力とエネルギーを求め続けてきた。<BR>なかでも石炭は18世紀半ばイギリスに始まった産業革命の原動力であり、その波及効果が鎖国状態であったわが国に開国を迫る大きな力となってきた。<BR>当時の石炭は、箱館の国内向けには僅かにオランダから贈られた軍艦の燃料等として需要があった程度であるが、修好通商条約によって箱館港に入港する諸外国の黒船にとっては欠かすことのできない燃料であった。<BR>幕末の北海道における石炭山は釧路場所の白糠炭山、岩内場所の茅沼炭山が主な産地であった。先進諸外国を見聞した榎本武揚が炭山の必要条件に, 「一に運輸、二に品位、三に分量」と説いたが、本報告は茅沼炭山の「運輸」について史料を整理し取りまとめたものである。
著者
島田 敬 山下 達雄 山本 正生 竹林 幸治
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集F (ISSN:18806074)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.556-566, 2010

これまで,滑走路等の建設工事では,舗装工事と航空灯火設置等の電気工事とを別々に施工する方法が採用されてきた.関西国際空港第2滑走路工事では,「航空灯火基台設置と舗装の一体施工法」及び新型の「航空灯火基台」を考案・開発し,現地実験等を行い実施工に採用した.これにより,第2滑走路工事において,工期短縮,建設コスト縮減,環境保全の課題解決に大きく貢献することができた. </br> 本研究は,「航空灯火基台設置と舗装の一体施工法」を実用化するために行った灯火基台開発及び現地実験を総括するとともに,工期短縮,建設コスト縮減,環境保全効果について分析を行ったものである.
著者
森 伸一郎 和仁 晋哉
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学研究発表会 報告集 (ISSN:18848451)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.183-183, 2005

2004年10月23日にマグニチュード6.8の新潟県中越地震が発生し, 初めて新幹線が脱線した. その原因を振動という立場から検討するために著者らは脱線区間に沿う地盤の常時微動測定を行った. H/V比による地盤の卓越周期と表層地盤の層厚の関係を明らかにした. 沖積層の卓越がH/V比の2次ピークに相当することがわかった. また, これらの点で1次元の地盤モデルにより地震応答を評価し, 加速度, 変位, 線路に沿う曲率などの応答を求めた. さらに, 被害の生じていない高架橋の応答も1質点系により評価した. 地震時の列車の位置を, 列車運転規則や乗員乗客の証言により推定した. これらに基づき脱線原因を考察した.
著者
奈良 松範
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地球環境シンポジウム講演論文集 (ISSN:18848419)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.177-180, 2006

According to the report of the United Nations (1998), one child has died at a time at 8 seconds owing to water-related illness, 80% of sick cause in a developing country is sewage, and there is no sewer institution in 50% of world population. 2, 500 million people who cannot drink safe sterilized water exist in the world. The way things stand, a situation is getting worse steadily. In this research, experimental examination was performed about the method for manufacturing water simple and cheap, and safe in view of a water shortage in a developmental-stage area, and the point that safe water is not supplied especially. Consequently, the thin laminar flow multi-stage processing process of having used the photocatalyst was developed as the suitable water purification method for a developing country. According to this method, the coliform bacteria count was removed by the conditions of 1cm in thickness of thin laminar flow, and 7cm of distance with a light source 100% in 5 hours after a processing start for holding time 3 hours. In order to evaluate water quality purification performance, the COD reduction which is a water pollution index, and the coliform bacteria count which are the health of water and the index of safety were examined.
著者
奈良 松範
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地球環境シンポジウム講演論文集 (ISSN:18848419)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.101-106, 2007

In this research, the water purification system using a photocatalyst was proposed and examination experimental about the effect and practical use possibility was performed. The titanium dioxide which is a photocatalyst is cheap, and exists abundantly as resources. The oxidization/reducing power which this titanium dioxide has are used for the purpose of decomposition removal of the quality of a water pollutant, and sterilization of a disease germ (typically estimated by coli form bacillus). Since the photocatalyst effect which a titanium dioxide has can provide the energy which advances an oxidation-reduction reaction by solar energy, it is energy saving very much in the point of not needing electric power using drained type resources. In old research, it was made difficult to use a photocatalyst for water disposal with many amounts of processing. So, in this research, while confirming the availability of solar energy, it inquired about the increase in the amount of water disposal by adopting the continuous processing method of a multilayer type. From the result of a batch type and a continuation type experiment, the validity of this method has been checked to the glucose which is model waste water, polluted river water, and all the object corruption water of sewage disposal water.
著者
林 良嗣 冨田 安夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.395, pp.85-94, 1988-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
34
被引用文献数
3 8

This study is an attempt to develop a forecasting method of population attributes by zone in a metropolitan area. Random utility models are used to formulate each event of household related to individual's life cycle and residential relocations. As the forecasting method, a micro-simulation technique, which can chase individuals' behaviours and can provide flexible aggregation, is employed. The validity test and policy tests proved the advantages of the model, compared with existing models.
著者
宮本 和明 安藤 淳 清水 英範
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.365, pp.79-88, 1986-01-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
13
被引用文献数
2 6

A model to forecast total demand for housing by its type is built for a metropolitan area. The model is built based on disaggregate behavioral analyses using nested logit models. The nested logit models describe locational behaviors of households, that is, choice between remaining at the present house and moving to a new house, and choice of housing type. They have enough variables to explain these locational behaviors, and the parameters are estimated with good fitness. This study also discusses the way to estimate the numbers of different types of households, which is indispensable in forecasting total demand of housing in the area. It is proved that the forecasting model based on the above mentioned approach can estimate housing demand for the period from 1975 to 1980 in Tokyo metropolitan area with good fitness.