著者
寒川 典昭 荒木 正夫 渡辺 輝彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.375, pp.133-141, 1986-11-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
12

This paper discusses the uncertainty of the estimated population parameters in the hydrologic frequency analysis. Firstly, the changes of the distribution shape and the probable variate of a fixed recurrence interval are investigated using the observed hydrologic data. Next, when the population parameters of the normal distribution are regarded as the random variables, the method of estimation of the decrease degree of the uncertainty, which is measured by the entropy of the distribution in unknown expectation-known variance and unknown expectation-unknown variance, is developed in some detail. Besides, applying this method of estimation to the observed hydrologic data, the validity of this method is investigated. Finally, the possibility of the application of this method to the non-normal population is suggested briefly.
著者
伯野 元彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学論文集 (ISSN:1884846X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1002-1006, 2007

志賀原発2号機は、昨年3月耐震設計に想定された、最大地震加速度を超えるような地震動が起こるかもしれないので、その運転を差し止めるように命じられた。ただ、この判決の元になっているのは、設計のための最大加速度を超えると直ちに危険であるという考え方である。実際の構造物は少しくらい超えても壊れはしない。多度津の大振動台での耐震壁の実験では、加振最大加速度の10倍くらいまで終局状態にはならなかった。また、今回の能登半島地震では、想定の地震より大きいM6.9 であり、17kmの近距離であったが、全く何の被害も生じなかった。
著者
市川 紀一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.111-122, 1997

Improvement works of Jinau-river, the largest river in Toyama prefecture, were performed twice during the latter Meiji era, Abstruct of these works is described in historical materials published by Toyama city and Toyama prefecture.<BR>This paper provides new aspect of these improvement works especially of the process of accomplishment based on unpublished materials owned by Ynkitaro Takada, which were newly found by author several years ago and also makes some investigation on the difference drown by existing records.<BR>It was also found Johannis de Rijke, who had been a technical advisor of the Joganji-river improvement works, had been also participated in the JinaU-river projects, The contents of his construction planning even today, enlighten us not only in theory but also in construction method.
著者
根橋 直人
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.349-354, 1993

辰巳用水 (1632・寛永9年完), 玉川上水 (1654・承応3年完) と共に江戸時代の三大用水と称された深良用水 (通称箱根用水, 1670・寛文10年完) の概要と, 後年同用水の水争いの逆川事件とその主謀者須永伝蔵の概略について述べる。
著者
天羽 誠二 中野 晋 木村 剛士 津川 茂
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1393-1398, 2008

We investigated the real-time forecast system of a storm surge to reduce its disaster. Typhoon properties such as central atmospheric pressure were forecasted before several hours by two methods. The one is forecasting by using neural network technique based on the past typhoon data and the other is utilization of typhoon forecast information by the Meteorological Agency. As a result of the comparison of both methods, it was found that the latter gave more correct forecast of typhoon properties. Based on the forecasting values of typhoon, we carried out the real-time forecasting of a storm surge and examined the practical utility of this system.
著者
村上 友基 沼田 宗純 目黒 公郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.I_506-I_512, 2014
被引用文献数
2

地震による石垣構造物の崩壊を防ぐためには,事前に耐震性能を把握し,その性能が不十分な場合は,適切な耐震補強を実施することが不可欠である.そこで本研究では,2次元拡張個別要素法を用いて石垣構造物の地震動応答解析を行い,その結果を踏まえて,耐震補強策を検討した.具体的には,道路橋示方書の地震動データを用いて解析し,その時の石垣の挙動を把握した.耐震補強策として,施工範囲の短縮と景観の維持を優先して,石垣に対する耐震補強法としてアンカー補強を選択した.<br> その結果,無補強時とアンカー補強時の比較に加え,アンカー補強の違いによるパターン分けで,石垣構造物に対する耐震補強の必要性と補強パターンによる地震動応答の変化の傾向を示し,アンカー補強の有効性を確認した.
著者
野間 康隆 山本 浩之 西村 毅 笠 博義 西形 達明 西田 一彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集C(地圏工学) (ISSN:21856516)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.444-456, 2013
被引用文献数
5

城郭石垣の維持管理においては地震時の安定性評価手法の確立が課題となっている.本研究では,城郭石垣を対象として地震時の変形を予測し,なおかつ,その結果を用いて動的安定性評価を行う手法について検討を行った.具体的には,粒状体の解析手法の一つである個別要素法を用いて城郭石垣の地震時変形予測を考え,各石垣構成材(築石,栗石,地盤)の物性値と入力物性値との関係を明確にした上で実物大城郭石垣モデルの振動台実験結果の再現を試みた.この結果,地震力が作用した場合の築石の変形量や変形モードを的確に再現できることが確認された.さらに,文化財である城郭石垣を対象として地震時の安定性を評価することを目的として,上記の解析結果を「孕み出し指数」により評価する手法についての提案を行った.
著者
橋本 隆雄 宮島 昌克 冨澤 元
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集 (ISSN:18848435)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.565-568, 2001

2000年10月6日、鳥取県西部の山間部を震源とするマグニチュード7.3の鳥取県西部地震が発生した。この地震により斜面表層崩壊と落石による道路斜面被害が多かった。また、宅地造成盛土でも斜面崩壊や低地での液状化の発生により被害が生じた。特に震源地に近い西伯町法勝寺中学校では、高台にある軟式野球場の高さ14mの盛土法面が2.5mのテンションクラックを生じ、地上高さ4.5mの下部擁壁を崩壊する斜面崩壊を生じた。そこで筆者らは、土質調査と土質試験を行い、そこから得られる土質定数を用いて被害発生のメカニズムについて考察した。
著者
原 忠 國生 剛治 田中 正之 古地 祐規 平賀 有輝 松山 優子 吉野 拓也
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学論文集 (ISSN:1884846X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1123-1127, 2007

1914 (大正3) 年3月15日秋田県中央部の大仙市 (西仙北町) を震源とするマグニチュード7.1の内陸型 (直下型) 地震が発生した. この地震により秋田県内陸部で斜面崩壊が発生し, 布又地区では傾斜勾配が6~7°程度の比較的緩い流れ盤斜面上での地すべりにより, 河道閉塞を引き起こした.<BR>本研究では, 緩傾斜な流れ盤斜面での地すべり発生メカニズムを解明するため, 現地より採取したすべり面近傍の試料を用いて物理試験および一軸圧縮試験を行い, 得られた結果を報告する.
著者
三浦 久 洪 性俊 田中 伸治 桑原 雅夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_1143-I_1148, 2012
被引用文献数
1

本稿では首都高速道路3号上り線の六本木付近を対象に追突事故直前における交通流特性について分析した結果を報告する.大橋JCT供用前後の日交通量の変化に比べて事故発生率が大きく変化したことは,追突事故が発生しやすい特定の交通流状態が存在し,その状態が減少したことが要因と考えられる.パルスデータを利用して個別車両の速度等を分析した結果,研究対象区間の下流側から上流側への減速波の伝播の有無が大きく影響することが確認され,追突事故リスクの高い交通流状態となる条件を抽出した.また,判別分析を行い,ある交通状況において減速波が上流側に伝播するかを精度高く予測することができた.
著者
鈴木 彰一 西坂 淳
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_79-I_86, 2014

国土交通省は,道路の老朽化対策に向けた大型車両の通行適正化方針の一部として,ITS技術を活用した通行経路把握による特殊車両通行許可制度の新たな運用の準備を進めている.本論文では,特殊車両通行許可データを用い,特殊車両の通行経路把握を目的として,効率的な情報収集が可能な箇所から段階的に路側機の追加配置箇所を選定し,現状,および路側機追加配置時の通行経路の把握水準を算出することを試みた.その結果,現状の高速道路上を中心とする路側機配置では特殊車両の通行経路把握水準が不十分であること,直轄国道上に路側機を追加配置する場合には,900箇所程度に追加配置した後は,それ以上路側機設置箇所を増加させても通行経路把握水準が大きく向上しないことを明らかにした.
著者
ペータ ステンベルク 椿 龍哉
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
応用力学論文集 (ISSN:13459139)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.437-444, 2003

The knowledge of material properties of solidifying concrete is of major importance during construction process when many subsequent damages can be prevented. In this paper an evolutionary material model which can be used during the whole period when solidifying concrete undergoes the transition from a liquid to a solid state is proposed. The evolution of the material parameters is governed by a function of water/cement ratio and elapsed time after mixing which corresponds to the degree of hydration of concrete. The model can be used for modeling uniaxial behavoir of solidifying concrete including creep. The parameters for the evolutionary function were determined from three experimental methods for uniaxial loading.
著者
水野 修 大原 健史 野池 達也
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.573, pp.111-117, 1997-08-22 (Released:2010-08-24)
参考文献数
24
被引用文献数
1 10

豆腐製造工程で排出される残渣「おから」を基質とし, 嫌気性細菌によるおからの分解に伴う水素生成を, 35℃における回分実験により研究した. 固形物濃度を2.3-9.2%の範囲で変化させて, 累積水素生成量および水素生成活性に及ぼす固形物濃度の影響およびおからの分解特性を検討した.最大累積水素生成量は0.020m3・kg VS-1 (固形物濃度6.4%), 累積生成ガスの54-78%は水素であり, 累積水素生成量は固形物濃度による大きな影響を受けなかった. 水素生成は, おからより溶出した溶解性糖濃度の低下に伴って起こり, 主な代謝産物は酢酸, プロピオン酸, n-酪酸およびエタノールであった.
著者
近藤 光男 青山 吉隆 高田 礼栄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.171-178, 1995
被引用文献数
1

本研究では、地方圏内における人口の社会移動を対象とし、農山村対都市部の構図の中で人口移動は地域の効用格差によって生じるとの仮定によってモデルを作成し、それを用いて移動のメカニズムを解明した。モデル分析では、わが国の地方圏の1つである徳島県を対象とし、県内の50市町村を分析単位とした。その結果、1人当たり所得、生活環境施設の利用機会、故郷や都市までの時間、地価が人口移動の影響要因になっていることが明らかになった。また、地域内の道路整備による時間短縮は都市部に比べ、農山村の効用をより高めることがわかった。しかしながら、農山村と都市部の間には大きな効用の差が依然として存在しており、農山村からの人口流出問題の解決は短期的には厳しい状況にあると思われる。
著者
鈴木 穣 宮原 茂 竹石 和夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
衛生工学研究論文集 (ISSN:09134069)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.65-74, 1990-12-20 (Released:2010-03-17)
参考文献数
8

An oxygen supply method to wastewater using gas permeable film in the form of tube was investigated for the purpose of reducing energy consumption for supplying oxygen. Oxygen transfer rate was measured in the case with or without biofilm, which proved the high rate of oxygen transfer with nitrifying biofilm supplied with ammonium substrate. Simultaneous nitrification and denitrification occurred, when the tube with nitrifying biofilm was applied to the treatment of wastewater, resulting in the high rate of organic matter removal. However, periodic sloughing of denitrifying biofilm which formed on the nitrifying biofilm was needed to keep the oxygen transfer rate high. Energy comsumptiom of the process using this tube was calculated to be less than 40% of that of the activated sluge process.
著者
渡辺 亮一 山崎 惟義 島谷 幸宏 河口 洋一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境工学研究論文集 (ISSN:13415115)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.67-73, 2007-11-16 (Released:2011-06-27)
参考文献数
2

裂田水路は, その最初の記述が日本書紀に書かれている非常に由緒ある農業用水路である. また, 造られてから1500年以上経った現代でも使い続けられている日本で唯一の水路である. この水路は, 古代の土木技術の面影を残している貴重な土木遺産であるとともに, 生息している水生生物にとっても非常に希少な生息空間である. ここには24種の魚種が生息しており, その中には8種の希少種が含まれている. しかしながら, 平成15年から始まった水環境整備事業によって, 護岸改修が行われている. 本研究では, この改修工事に伴って, 絶滅危惧種であるスナヤツメの生息量がどのように変化するのかを明らかにすることを目的として研究を行った. その結果, 護岸改修に伴う物理的環境の変化によって, 河床材料が粗粒化したため, スナヤツメの生息量が減少したことが明らかとなった.
著者
渡辺 亮一 山崎 惟義 島谷 幸宏 河口 洋一 兼重 俊介 神尾 章記
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1153-1158, 2008 (Released:2010-08-25)
参考文献数
6

SAKUTA ditch is the oldest irrigation channel in Japan. The first description is described in the Japanese Chronicle of Japan that is the Japanese oldest history book. SAKUTA ditch is located in FUKUOKA Prefecture. In other words it is the very precious irrigation channel which continues being used for more than 1500 years. According to the field observation results performed in SAKUTA ditch, it becomes clear that 24 species of fishes are existed. In recent years, however, there have been increasing demands from local residents for the creation of the convenient irrigation channel.The objective of this study is to evaluate the fish habitat and to discuss the relationship between vegetation covered ration and physical environmental condition in SAKUTA ditch. The study results indicate that the density of fishes in channel is related to the vegetation covered ratio and the velocity distribution in the ditch. These results suggested that the water's edge structure and the vegetation covered ratio in channel are greatly influenced to fish habitat evaluation.
著者
横田 公忠 矢田部 龍一 八木 則男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.529, pp.155-163, 1995-12-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
14
被引用文献数
2

日本各地の蛇紋岩の風化した粘性土の強度特性ならびに含有鉱物を調べた. その結果, 強度特性に関しては,φ′が30°前後と大きく, φrへの低下が殆どないものと,φ′が30°を下回り,φrへの低下も大きいものの2つに大別できた. この強度特性の違いは含有鉱物の違いにあることを鉱物分析により示した. 即ち, 前者はアンティゴライトやクリソタイルを含み, 後者は, モンモリロナイトやクロライトを含んでおり, それがせん断抵抗角に大きく影響していることを示した.