著者
林 俊雄
出版者
東洋史研究會
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.110-136, 1985-06-30

Ever since the Xiongnu 匈奴 the nomadic kingdoms arising on the Mongolian plateau had made raids into China and the objects of pillage had always been humans and livestock. Chinese were taken captive and made to settle in groups in the northern part of the Mongolian plateau as farmers and handicraftsmen. The Tuque also took Chinese captive in order to settle them as farmers, but in contrast to other nomadic kingdoms this was done in the southern paxt of the Mongolian plateau. in the area between the Yinshan 陰山 mountain range and the Yellow River. This area was more suitable for agriculture, but had the drawback of being too close to China proper. At the time of Mochuo 黙啜, the second khan of the second Tuque khanate, the area was taken back by the Tang dynasty. Abandoning the possession of this area and an economy based on pillage, Mochuo's successor Piqie 毗伽 changed policies, putting the emphasis on trade instead. In this can be seen the origins of the policy of emphasizing trade adopted by the ruling stratum of the following Uighur khanate, but the development of cities as centers for agriculture and handicraft industry and as locations for trade had to wait until the advent of the Uighur khanate.
著者
島田 千穂 高橋 龍太郎
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.221-226, 2011 (Released:2011-07-15)
参考文献数
10
被引用文献数
2 3

高齢者終末期ケアでは,一律に治癒を目標にすることはできず,より安楽にすること,本人や家族の希望に沿うことが求められる.多元的な価値観が必要となり,多職種間で関わる意義を生かすため,ケア目標を共有し,目標に沿って役割を果たすことになる.医師の役割も,医療的なアセスメントと医療提供,家族の意向確認,家族への説明など多岐にわたる.終末期ケアは,地域や施設の多職種連携が試されるケアであるともいえる.
著者
Kengo SONODA
出版者
Catalyst Unit
雑誌
Translational and Regulatory Sciences (ISSN:24344974)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.120-121, 2021 (Released:2021-12-24)
参考文献数
1
被引用文献数
2
著者
堤田 泰成
出版者
上智大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2018-04-25

本研究の課題は、ショーペンハウアーの哲学、特にその救済思想(「意志の否定」論)を中世キリスト教思想の受容と展開という点から明らかにすることにある。最終年度にあたる本年度は、昨年度の研究成果を踏まえつつ、当初の年次計画通り(2) 普遍と特殊、(3) 自由意志と恩恵、というテーマから研究課題を遂行した。(2)について、ショーペンハウアーが中世スコラ学の「個体化の原理」というタームを用いて現象界の数多性を説明している点に着目し、「一者」としての意志(普遍)とその現象である個体(特殊)の問題を、トマスやスアレス、ロック、ライプニッツの個体論なども参照しながら検討した。これにより、中世スコラ学からスアレス、近世哲学を経由してショーペンハウアーへと至る「個体化の原理」の哲学・思想史的系譜を文献的な裏付けをもって解明することができた。(3)について、ショーペンハウアーの「意志の否定」論とキリスト教の恩恵論との関係性を、エゴイズム(我意)の放棄という共通項から考察することを試みた。昨年度の研究成果からショーペンハウアーの「意志の否定」論とキリスト教の神秘主義、聖人論との間に予想以上に深い関連があることが判明したため、彼が「意志の否定」の体現者と見なしているアッシジの聖フランチェスコを考察の対象とした。ショーペンハウアーの所蔵していた『聖ボナヴェントゥラによる聖フランチェスコ伝』(ビヒャルト編、1847年)の書き込みの検討を行い、彼がフランチェスコのうちに清貧・禁欲・同情という「意志の否定」において重要とされる三つの要素を見出していたこと、またフランチェスコの人間と自然への歓びに溢れた生活のうちに本来的な自己を実現・現実化する積極的な生(人生)の肯定のあり方を見出していたことなどを確認した。

1 0 0 0 OA 鉄とさび

著者
堀 武男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1984, no.349, pp.105-109, 1984-09-20 (Released:2010-08-24)
著者
劉 冠偉 李 媛 池田 証壽
雑誌
じんもんこん2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.203-208, 2020-12-05

本研究は国語学国文学の研究における重要文献の観智院本『類聚名義抄』を対象に,漢字字形共有データベースGlyphWikiによるその写本字形を再現することを目標とする.筆写体である字形を可能な限り字体上の特徴を残し,書写の影響を捨象して活字化を行う.本稿はGlyphWikiで再現した字形とその利用についての詳細を報告する.
著者
劉 冠偉 李 媛 池田 証壽
雑誌
じんもんこん2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.83-88, 2018-11-24

近年,スマートフォンやタブレットのようなモバイル端末が普及し,日常生活を変えつつあり,日本語教育・日本語研究にも使えるようになると予想される.しかしながら,構築・公開が盛んである古典籍・古文書のデータベースはPC 向けが多く,PC 以外の端末で利用する際は表示サイズのずれや機能障害がしばしば発生する.そこで,筆頭著者(劉)はモバイル端末でデータベースを利用しているユーザを想定した利便性が高い言語資源データベースのWeb APP「HDIC Viewer」を開発した.今回は,さらに利便性の向上を主題とする.篆隷万象名義のほか,大広益会玉篇と新撰字鏡を加え,三つの古辞書間の横断検索の実現,IDS 漢字検索の改善,Web API の提供について述べる.
著者
堀部 猛
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.218, pp.279-298, 2019-12-27

古代の代表的な金属加飾技法である鍍金は、水銀と金を混和して金アマルガムを作り、これを銅製品などの表面に塗り、加熱して水銀を蒸発させ、研磨して仕上げるものである。本稿は、『延喜式』巻十七(内匠寮)の鍍金に関する規定について、近世の文献や金属工学での実験成果、また錺金具製作工房での調査を踏まえ、金と水銀の分量比や工程を中心に考察を行った。古代の鍍金については、今日でも小林行雄『古代の技術』を代表的な研究として挙げることができる。専門とする考古資料のみならず、文献史料も積極的に取り上げ、奈良時代の帳簿からみえる鍍金と内匠式の規定を比較することを試みている。しかしながら、内匠式における金と水銀の分量比をめぐっては、明快な解釈には至っていない。氏の理解を阻んでいるのは、奈良時代の史料が鍍金の材料を金と水銀で表すのに対し、内匠式が「滅金」と水銀を挙げていることにある。「滅金」が何を指し、水銀の用途は何であるのか、また、なにゆえこうした規定となっているのかが課題となっている。内匠式では「滅金」は金と水銀を混和した金アマルガムを指し、その分量比は一対三としている可能性が大きいこと、それに続く水銀は「酸苗を着ける料」として梅酢などで器物を清浄にする際に混ぜ、また対象や部位によりアマルガムの濃度を調節するのに用いるものとして、式が立てられていると解した。鍍金の料物を挙げる内匠式の多くの条文では、水銀が滅金の半分の量となっており、全体に金と水銀が一対五の分量比となるよう設定されている。この分量比は、奈良時代の寺院造営や東大寺大仏の鍍金のそれとほぼ同じである。以上のような滅金と水銀による料物規定は内匠式特有のものであり、実際の作業工程に即して式文を定立したことによると評価できる