著者
西村 昌彦
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.39-48, 1979-01-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

1.おもに1974-77年の間,京都府下の3地域においてカワセミとヤマセミの造巣場所を調査した。2.両種の巣場所と考えられる崖をおもに道路ぞいに捜し,発見したすべての崖および巣穴の測定•記載を行った。3.ヤマセミは川から1000m以上離れた崖もよく利用するが,カワセミの巣穴は大部分が500m以内に限られる。またヤマセミは高くかつ崖内の造巣層に障害物が少ない崖に造巣するが,カワセミはとくに選択の傾向を示さない。4.カワセミが営巣に不利と思われる崖にも造巣することについて,おもに行動圏の大きさの面から,ヤマセミと比較しながら説明を試みた。
著者
矢野 栄二
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.1-11, 2018-02-25 (Released:2018-05-20)
参考文献数
78
被引用文献数
2 6
著者
長岡 朋人 安部 みき子 澤藤 匠 森田 航 川久保 善智
出版者
聖マリアンナ医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

目的:本研究では、日本人の死亡年齢構成の時代変化と気候変動の関係を探った。中世終わりから江戸時代にかけて小氷期による寒冷化が世界中で起き、ヨーロッパでは低身長化に見られるように健康状態が悪化したという。本研究では、弥生時代から江戸時代にかけて、古人骨の死亡年齢構成を復元することで、気候変動の影響が強かった中世から江戸時代の健康状態の変化を追跡した。方法:指標としたのは仙腸関節にある腸骨耳状面であり、若年個体では滑らかであるが高齢になると骨棘や孔が多く現れる。バックベリーらの腸骨耳状面に基づく死亡年齢の推定方法は、腸骨耳状面の溝、テクスチャー、骨棘、孔から1~7の7段階(数字が小さいほど骨が若い状態である)に分類し、その後年齢に対応させるという手順をとる。弥生時代、鎌倉・室町時代、江戸時代の古人骨を資料に、腸骨耳状面段階の構成を直接比較した結果:本研究では、弥生時代から江戸時代にかけての死亡年齢構成を復元し、時代による健康状態の変化を調査した。その結果、中世において短命のピークを迎え、江戸時代にかけて徐々に回復する傾向が明らかになった。考察:死亡年齢構成の時代推移と寒冷化の傾向は一致しなかった。その理由として、都市の衛生環境の改善や農耕技術の発展が挙げられる。しかし、その結果は気候変動が日本人の健康状態に影響を与えていないわけではない。江戸時代前期はストレスマーカー(クリブラ・オルビタリア)の頻度が最も高く低身長を特徴とする。死亡年齢構成と寒冷化が一致しない理由としては、むしろ自然災害や戦乱などにより、人骨の死亡年齢構成が若齢化したことが想定できる。
著者
北川 泰久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.1000-1002, 2014 (Released:2014-12-18)
参考文献数
10

片頭痛と脳梗塞の関係について従来の報告をレビューし,自験例について検討した.従来,片頭痛性脳梗塞は前兆のある典型的片頭痛の経過中に発生する脳梗塞のみがその基準を満たすが頻度は低い.欧州でのMRI研究では前兆のある片頭痛でおこる脳梗塞は後方灌流領域に好発し,虚血性脳卒中のリスクは約2倍である.45歳未満の前兆のある片頭痛をもつ女性は,経口避妊薬を避けて禁煙することで,このリスクを避けうる.片頭痛は古典的な脳梗塞のリスクである高血圧,糖尿病などにくらべれば影響の少ない因子である.われわれの検討では片頭痛患者の白質病変は前方灌流領域に好発し,欧米とはことなった結果であった.本邦での多数例での検討を要する.片頭痛の白質病変の病態の1つにRCVSが関係している可能性がある.
著者
長沼 祥太郎 杉山 芳生 澁川 幸加 浅川 裕子 松下 佳代
出版者
京都大学高等教育研究開発推進センター
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
no.25, pp.13-24, 2019

本研究の目的は、学習者自身によるパフォーマンス評価の評価結果は妥当な評価に近づきうるかどうかを明らかにすることである。本研究ではまず、「市民的オンライン推論能力」を素材として、パフォーマンス課題とルーブリックを開発した。先行研究を参考に、回答を客観的に判断可能な箇所を課題に組み込み、ルーブリックとの対応関係を明確化して採点しやすさを追究した。次に、ある私立大学の学生90名がパフォーマンス課題に取り組み、ルーブリックを用いて自己評価・相互評価を行った。分析では、これらの学生の自己・相互評価の結果を課題作成者による評価結果と比較し、それらの一致度(一致率・相関係数)を算出した。その結果、いずれも高い一致度を示した。本研究は、学習者自身の自己評価や相互評価は、評価方法や対象とする能力によっては、より専門的な鑑識眼を持った採点者と大きな齟齬なく採点できることを示した。このことにより、パフォーマンス評価の実行可能性を高める上で、学習者自身の採点結果を使用できる可能性が示唆された。
著者
安原 隆雄 伊達 勲
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.197-202, 2009 (Released:2016-05-11)
参考文献数
23

神経疾患に対する細胞移植・再生療法は, 分子生物学的技術の発展により, 新しい治療戦略として注目されている. 脳虚血に対して我々はこれまで, カプセル化細胞移植や成体由来神経幹細胞移植を中心に多くの研究報告を行ってきた. また, もやもや病に対する間接血行再建術時にVEGF遺伝子導入を併用する治療法や, くも膜下出血後の脳血管攣縮に対するタンパク質セラピー法についても研究を行った. 本稿では, 最近の脳性麻痺モデルを用いた基礎研究を交えて, 我々が行ってきた脳虚血に対する研究を解説する. 最後に, 細胞移植・再生医療分野の臨床研究をレビューし, 神経疾患に対する細胞移植・再生療法について今後の方向性を検討する.
著者
大村 健二 金平 永二 佐々木 正寿 疋島 寛 橋爪 泰夫 林 外史英 山田 哲司 北川 晋 中川 正昭 瀬川 安雄 林 守源
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.266-271, 1988-02-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
8

肝動脈塞栓術(TAE)施行例を, TAE施行前にあらかじめ胆摘を行った群(A群, 8例)と,胆摘を行わなかった群(B群, 50例)に分け, TAE後の生化学検査値の変動および不快な臨床症状と胆嚢梗塞の関係を検討した. TAE後のGOT, GPT, LDHの変動は両群間に差を認めなかった. B群においてTAE後γ-GTP, Al-pはそれぞれ16例(32%), 9例(18%)で上昇したが, A群では1例も上昇しなかった.また,両群ともTAE後高頻度に発熱を認めたが,腹痛はB群で38例(76%)と高率であるのに対し, A群ではわずかに1例に認めたのみであった. B群の8例に対しTAE後に胆摘を行ったが,そのうち6例に胆嚢梗塞の所見をみた. TAE後の血中の胆道系酵素上昇には, TAEによる胆嚢梗塞が関与していることが推測された. TAE後の不快な臨床症状を予防するために,初回手術時に胆嚢摘出術を施行することが有用と思われた.
著者
酒井 憲二
雑誌
調布日本文化 = The Chofu's Japanese culture
巻号頁・発行日
vol.9, pp.六五-八三, 1999-03-25
著者
Yoshiyuki Okada Keisuke Ikeda Kosuke Shinoda Fujio Toriumi Takeshi Sakaki Kazuhiro Kazama Masayuki Numao Itsuki Noda Satoshi Kurihara
出版者
Fuji Technology Press Ltd.
雑誌
Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics (ISSN:13430130)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.598-607, 2014-07-20 (Released:2019-07-01)
参考文献数
11
被引用文献数
11

Nowadays, users of Twitter, one of famous social networking service, have rapidly increased in number, and many people have been exchanging information by Twitter. When the Great East Japan Earthquake struck in 2011, people were able to obtain information from social networking services. Though Twitter played an important role, one problem was especially pointed out: false rumor diffusion. In this study, we propose an information diffusion model based on the SIR model and discuss how to prevent false rumor diffusion.
著者
川島 嘉明
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.89, no.10, pp.1386-1391, 1969

Berberine was extracted from slices of Berberis thunbergii, cut into various sizes (#1-#4), with water and methanol at 37&deg;. Results of analysis of extraction rate, indicated that the mechanism of extraction consists of washing, diffusion, and capillary extraction, and mass transfer coefficients for each mechanism were determined. Comparing with the extraction of berberine from the cortex of phellodendron, <SUP>3)</SUP> mass transfer coefficients were distinctly larger.
著者
古籏,安好
出版者
日本教育心理学協会
雑誌
教育心理学研究
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, 1968-03-31

集団行動の諸要因の相互関係を公式化するためのカギは集団参加性にある。そこでまずこの概念について取り扱い,その3因子である連帯性・勢力性および親和性の相互関係を分析的に考察した。ここで用いた技法を集団行動の3変数すなわち集団生産性・集団凝集性および集団参加性の相互関係の分析にも適用した。この技法は重相関と重決定係数を算出し,変数相互の相対的寄与量をみることによって,相互関係を見とおすというものである。これによって,若干の成果を得た。その主要な点は次のようである。 (1)集団凝集性と集団参加性はともに課題遂行に有意の相関をもつことが示されたが,相対的寄与量からいえば,凝集性よりも参加性により重みがあることをより明確にできた。 (2)集団参加性は,平等的集団での場合には階層的集団よりも生産性に関連が深くなる。平等的集団では,階層的集団よりもいっそう相互作用が積極的かつ効果的で,課題遂行に寄与し,課題遂行と参加性との対応がより大きい。しかし平等的集団でも知能水準の下位群の場合には,そういう傾向はそれほど明確に示されないので,課題遂行と参加性との対応にはある限界があるだろう。 (3)3つの変数のおのおのが,相互に他の2変数によって推定される割合いは,課題Iの方が課題IIよりもおよそ大きくなる傾向がある。この要因は,成員の目標達成のための手段的相互依存関係の程度にあると考えられる。一般には,課題の困難を増すにつれて協同の度合いを高めなければならないが,課題Iは課題IIよりもこのような協同事態により適切なものとなっていることを示す。 (4)こうして,協同・競争の集団を力学的な活動体系とみる考え方を実証しえたと思われるが,3変数の相互関係の基本的な様相(configuration)からは,協同と競争の集団間に差はみとめられない。 しかし,集団成員のパーソナリティ特徴は,集団過程に劣らず重要である。集団過程とパーソナリティの相互関連を検討することが,今後の課題となる。これは他の機会に発表したいと考えている。
著者
古籏 安好
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.26-31, 1968-03

集団行動の諸要因の相互関係を公式化するためのカギは集団参加性にある。そこでまずこの概念について取り扱い,その3因子である連帯性・勢力性および親和性の相互関係を分析的に考察した。ここで用いた技法を集団行動の3変数すなわち集団生産性・集団凝集性および集団参加性の相互関係の分析にも適用した。この技法は重相関と重決定係数を算出し,変数相互の相対的寄与量をみることによって,相互関係を見とおすというものである。これによって,若干の成果を得た。その主要な点は次のようである。 (1)集団凝集性と集団参加性はともに課題遂行に有意の相関をもつことが示されたが,相対的寄与量からいえば,凝集性よりも参加性により重みがあることをより明確にできた。 (2)集団参加性は,平等的集団での場合には階層的集団よりも生産性に関連が深くなる。平等的集団では,階層的集団よりもいっそう相互作用が積極的かつ効果的で,課題遂行に寄与し,課題遂行と参加性との対応がより大きい。しかし平等的集団でも知能水準の下位群の場合には,そういう傾向はそれほど明確に示されないので,課題遂行と参加性との対応にはある限界があるだろう。 (3)3つの変数のおのおのが,相互に他の2変数によって推定される割合いは,課題Iの方が課題IIよりもおよそ大きくなる傾向がある。この要因は,成員の目標達成のための手段的相互依存関係の程度にあると考えられる。一般には,課題の困難を増すにつれて協同の度合いを高めなければならないが,課題Iは課題IIよりもこのような協同事態により適切なものとなっていることを示す。 (4)こうして,協同・競争の集団を力学的な活動体系とみる考え方を実証しえたと思われるが,3変数の相互関係の基本的な様相(configuration)からは,協同と競争の集団間に差はみとめられない。 しかし,集団成員のパーソナリティ特徴は,集団過程に劣らず重要である。集団過程とパーソナリティの相互関連を検討することが,今後の課題となる。これは他の機会に発表したいと考えている。
著者
三好和憲
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.855-856, 2008-07-15