著者
石田 京子
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.65, pp.103-117_L8, 2014-04-01 (Released:2016-06-30)
参考文献数
9

Diese Abhandlung versucht eine Nachprüfung von Kants sogenannte Theorie der Ablehnung der Weltrepublik. In dem zweiten Definitivartikel von Zum Ewigen Frieden wird die Bestimmung des Völkerrechts vorgestellt, wonach nicht ein Einheitsstaat wie etwa ein Weltstaat oder ein Völkerstaat, der alle Staaten in sich vereinigt, sondern ein Völkerbund, den Kant auch Friedensbund nennt, dem Begriff des Völkerrechts zugrunde liegt. Kants Argumentation der Grundlegung dieses Völkerbundes ist bisher oft als problematisch betrachtet und als „unkantisch (unKantian)“ kritisiert worden. In Bezug auf dieses Problem richte ich zunächst mein Augenmerk auf das analytische Argument bei der Erläuterung des zweiten Definitivartikels, dass ein Völkerstaat mit dem Begriff des Völkerrechts in Widerspruch steht. Dieses analytische Argument hat eine große Bedeutung für die Konstruktion des Systems des öffentlichen Rechts a priori durch Vernunft, das aus drei Klassen, d. h., Staatsrecht, Völkerrecht und Weltbürgerrecht, besteht. Das Völkerrecht muss nämlich als vom Staatsrecht unterschiedlich klassifiziert werden. Diese beiden Rechte müssen voneinander unterschieden werden, nicht nach dem jeweiligen Geltungsbereich, sondern nach der Art der Regierungsverfassung, die die Leistungen des jeweiligen Rechts ausführt. Daher ist der Völkerstaat von Natur aus derselbe, der sich nur auf das Staatsrecht bezieht, insofern er ein souveräner Staat ist,obzwar er alle Staaten als seine Mitglieder behandeln kann. Dieses analytische Argument spielt die Rolle, alle anderen Alternativen als den Völkerbund aus der Völkerrechtstheorie a priori auszuschließen.Dagegen spielt das empirische Argument, das scheint, der Legitimität eines Einheitsstaats ablehnend gegenüberzustehen, eine andere Rolle als das obige analytische Argument. Das empirische Argument dient nicht dazu, auf die rechtliche Gültigkeit eines Völkerbundes oder die Unrealisierbarkeit eines Einheitsstaats hinzuweisen. Vielmehr zeigt es die Möglichkeit auf, einen durch rein rechtsphilosophi sche Betrachtungen legitimierten Völkerbund aus den Mechanismen der Natur wie menschlichen Neigungen zu etablieren und weist den Gedanken ab, dass solch ein Bund unrealisierbar sei. Kant sichert den Staaten die Pflicht, einen Völkerbund zu etablieren, indem er die wirkliche Nichtunmöglichkeit davon zeigt, was nach der Vernunft recht ist.
著者
遠藤 尚
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015

<b>1.はじめに </b> <br> 発展途上国農村地域において、薪炭は依然として重要な家庭用燃料であり、森林資源の維持、管理等との関係で地理学、および周辺分野においても検討されてきた。人口密度が高く、開発の進んだインドネシア、ジャワ島においても、自然資源と住民の世帯生計の両立は重要な課題である。ジャワ島については、Parikesit et al.(2001)が、西ジャワ州における1997年の調査を元に、農村世帯生計における森林以外から得られる薪の重要性を指摘している。しかし、2000年以降、灯油からLPGへの家庭用燃料転換プログラムの実施や離農の進行など、ジャワ島農村部住民をとりまく社会経済的状況は大きく変動しており、農村世帯の燃料源や薪の利用状況にも変化がみられることが推察される。そこで、本報告では、2012年から2014年にかけて、中部ジャワ州1村、および西ジャワ州3村において実施した調査を元に、世帯の燃料源と薪の利用状況および入手経路を検討し、ジャワ島農村部における薪燃料の位置づけと薪資源の維持管理の現状について明らかにすることを目的とする。<br><b>2.対象地域の概要と研究方法</b> <br> 本研究の調査対象地域は、中部ジャワ州プマラン県ススカン村(A村)、および、西ジャワ州西バンドゥン県スンテンジャヤ村(B村)、チアンジュール県シンダンジャヤ村(C村)、チビウク村(D村)である。A村は、ジャワ島中部北海岸、チョマル川氾濫原下流部に位置しており、農地の大部分は水田である。また、A村は、ジャカルタとスラバヤを結ぶ幹線道路から北へ約3kmと近く、郡庁所在地からも4kmの位置にあるため、都市とのアクセスが容易な村となっている。B、C、D村は、西ジャワ州チタルム川流域の村である。B村はチタルム川上流部に位置し、総面積の53%を森林が占める。C村およびD村は、チタルム川中流域盆地部の穀倉地域に位置する互いに隣接した村である。B村はチラタ湖南岸に接しており、C村は郡庁所在地となっている。<br> A村では、2012年8月から9月にかけて175世帯を対象とした世帯経済調査を実施した。また、B村およびC村では、2013年9月にそれぞれ、120世帯、111世帯を対象とした同様の調査を行った。D村についても、2014年12月に、110世帯を対象とした調査を実施した。調査項目は、世帯構成員の属性、世帯構成員の就業状況、世帯の動産・不動産所有状況、農地の経営状況、燃料源等である。<br><b>&nbsp; 3.ジャワ島農村部における薪燃料の位置づけと薪資源の維持管理状況</b><br> 2006年に実施された家庭用燃料転換プログラムにより、灯油からLPGへの燃料の転換が進んだことが明らかとなった。一方で、いずれの村においても、薪を利用する世帯が一定の割合を占めており、特に比較的所得の低い世帯において薪の利用が多くみられた。また、副次的な燃料として薪を利用する世帯もみられた。このように、薪は、ジャワ島農村部において世帯支出の抑制や安定化という機能を依然として維持していることが確認された。また、薪の入手は、集落の屋敷地周辺で行われている場合が多く、採取に際した規制等もほとんど観察されなかった。これは、薪を利用する世帯が限られているため、薪の需要量が、屋敷地周辺の枯れ木や間伐材の発生量の範囲内にあることが一因にあるものと推察される。<br><b>参考文献</b><br> Parikesit, K. Takeuchi, A. Tsunekawa, O.S. Abdoellah 2001. Non-forest fuelwood acquisition and transition in type of energy for domestic uses in the changing agricultural landscape of the upper Citarum watershed, Indonesia. <i>Agriculture, Ecosystems and Environment</i> 84: 245-258.
著者
中嶋志保里 浜田 徹哉 上田 淳也 奥出 直人
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.90(2004-HI-110), pp.65-72, 2004-09-10

若者を中心に形成される「サブカルチャー」は、その独自のスタイルが新たな文化の形として近年脚光を浴びる一方で、外部からはブラックボックスのような存在と見なされシャットアウトされている。こういった状況において、外部の人間(ビギナー)と内部の人間(エキスパート)という二項乖離の概念を打ち破って、新たなカルチャーや人との交流のニーズを満たし、アクティビティーの合間にコミュニケーションを発生させるタンジブルメディアがGismoである。ビギナーの動作によりその興味と合致したコミュニティーへナビゲートし、携帯するリュック内の興味をエキスパートと共有することで交流を深めていく。エキスパートはそうした外部との接触から、新たなカルチャーとの出会いを果たす。またエキスパートの技の情報を搭載したチップを交換するシステムは、ビギナーの技術上達にも役立つことが期待される。
著者
于 睿政 檜垣 雄也 唐 夢苑 井上 智雄
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:21888744)
巻号頁・発行日
vol.2016-GN-98, no.3, pp.1-7, 2016-03-07

学習においては学習教材や学習内容だけではなく,学習者の環境も重要と考えられる.大規模オンラインコミュニティにおける学習では学習環境として学習者の社会環境があるが,これが学習とどのような関係にあるかは十分研究されていない.対面状況と比べて学習者相互のインタラクション手法が限定されているオンラインコミュニティにおいて,学習者同士の社会的関係はどの程度学習成果に重要なのかという問題について,イラスト投稿サイトを題材として検討した.イラスト投稿ユーザーはイラストの学習者と見ることができ,その投稿イラストを時系列的に見ることにより上達の程度がわかる.またユーザー同士の相互リンクを友人関係と見ることができる.上達群の学習者はより多数のイラストを投稿していたことのほか,学習者と友人の投稿状況は非上達群でより強い相関があること,上達群の友人と非上達群の友人はやや異なるタイプであるという興味深い結果が得られた.
著者
西井 伸洋
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.124, no.2, pp.161-163, 2012-08-01 (Released:2012-09-03)
参考文献数
10
著者
蛭田 明宏 松本 良 石田 泰士 戸丸 仁 町山 栄章 シュナイダー グレン 青山 千春 弘松 峰男
出版者
The Sedimentological Society of Japan
雑誌
堆積学研究 (ISSN:1342310X)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.89-93, 2007-04-20 (Released:2008-12-12)
参考文献数
6
被引用文献数
1

The Umitaka (UT) spur in Japan Sea is characterized by methane-induced features such as Bottom-simulating reflectors (BSRs), pockmarks, mounds and ∼600 m high plumes in the water column (Aoyama et al., 2004). These features seem to indicate active fluid and/or gas venting on the UT spur. In order to estimate methane flux and gas hydrate existence, we measured sulfate and chloride ion concentration of pore water. Sulfate ion concentration has revealed much stronger methane flux than Brake Ridge and chloride anomaly seems to result of recent gas hydrate formation and past dissociation.

7 0 0 0 IR 動機と語彙

著者
内田 健 Uchida Ken
出版者
早稲田大学社会学会
雑誌
社会学年誌 (ISSN:02887126)
巻号頁・発行日
no.54, pp.101-116, 2013-03

C.W.ミルズが1940年に論文「状況に布置された行為と動機の語彙」を公刊して以降、社会学的な「動機」研究は着実な進展を遂げてきた。だが、その過程で、「モーティヴ・トーク」にかかわるさまざまなコンセプトの精緻化が多くの論者の手ではかられてきたのにくらべて、ミルズがケネス・バークから継承した「動機の語彙」という発想じたいを彫逐する作業はなおざりにされてきたきらいがある。本稿は、「動機」の指示対象に何を含めるべきか、また、「語彙」に分析の焦点を合わせるとは何を意味するのかを検討し、「動機の語彙」という発想をもつポテンシャルを明らかにすることに目的を置く。
著者
當間 孝子 宮城 一郎 比嘉 由紀子 岡沢 孝雄 佐々木 均
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.65-71, 2005
参考文献数
22
被引用文献数
2 29

2004年6月12-18日に, 琉球列島の西表島の森林地帯の2ヵ所で, 蛙の声をCDプレイヤーで鳴らし, 直ぐ近くにCDCライトトラップを設置し蚊類を採集した.第一地点で合計777個体, 2地点で257個体のハエ目の昆虫が採集された.それらのうち, 次の4種の吸血性昆虫(雌)が両地点で目立って多く採集された.マックファレンチビカは第一地点で580個体(74.6%), 第二地点で193 (75.1), ヤエヤマカニアナチビカ19(2.4)と27 (10.5), ヤマトケヨソイカ106 (13.6)と20(7.8), また, ルソンコブハシカが第一地点のみで39個体(5.0%)が採集された.これらの蚊にケージ内でヌマガエルを暴露すると, 吸血行動が見られ, 多くの個体が吸血した.このことからこれらの蚊は自然界でカエルの鳴き声に誘引され, 吸血していると思われる.
著者
森田 雅也
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Sociology, Kansai University (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.103-111, 2015-03

本研究は、JSPS 科研費(研究課題番号:26380551)の助成を受けたものである。A questionnaire survey was conducted to determine how workers employed under the discretionary working system feel about their work situation, especially in relation to their superiors. The sample comprised 154 respondents; 120 of these were employed under the discretionary working system in thetype of professional work, whereas 34 were employed under the same system in the type of planning work. In this article, the results of this survey will be presented as obtained, without any analytical commentary.裁量労働制適用者154人(専門業務型裁量労働制120人、企画業務型裁量労働制34人)を対象に、裁量労働制適用者として働くことをどう考えているかについて、特に上司の管理のあり方との関係をみるために質問票調査を行った。資料として、単純集計結果等を掲載する。
著者
尾崎 勇 神成 一哉 馬場 正之
雑誌
青森県立保健大学雑誌 = Journai of Aomori University of Health and Welfare (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.31-36, 2016-03

【目的】パーキンソン病患者において,発病の危険因子と考えられている農薬ばく露について調査すること。【方法】2013 年7 月から11 月の間にA 県S 地方のM総合病院の神経内科外来に通院している患者に農薬ばく露に関するアンケート調査を実施した。調査票回収後にパーキンソン病(PD 群)とパーキンソン病以外の神経疾患(Non-PD 群)の2 群に分類して解析を行った。【結果】PD 群56 名(男性14 名,女性42 名,平均年齢74.1±9.9 歳(平均±標準偏差)),Non-PD 群81 名(男性29 名,女性52 名,平均年齢64.1±16.8 歳)であった。農薬ばく露スコア(最高点が8 点)の平均値はPD 群3.2±2.6 で,Non-PD 群1.9±2.2 で,2 群間で平均値も分布の型も統計学的に有意に異なっていた。PD 群では農業従事者の比率が高く,農薬ばく露の頻度が高かった。【結論】A 県S 地方ではパーキンソン病患者に占める農業従事者の比率,農薬ばく露の頻度ともに高かったことから,農薬ばく露がパーキンソン病発病の危険因子の1 つであることが確認された。【Purpose】We conducted a questionnaire survey on exposure to agricultural chemicals and risk ofParkinson disease.【Methods 】A short form of agricultural chemicals exposure questionnaire was developed. The questionnaire was administered to all patients who visited the outpatient clinic of Neurology, M GeneralHospital in the S district of A prefecture, between July 1 and November 30, 2013. The collected questionnaires were divided into two groups based on the clinical diagnosis of the patients; Parkinsondisease (PD) group and other neurological diseases (Non-PD) group.【Results 】PD group consisted of 56 patients (14 males, 42 females; mean age: 74.1±9.9 years (mean±standard deviation)).Non-PD group included 81 patients(29 males, 52 females; mean age: 64.1±16.8 years). The mean value of agricultural chemicals exposure score (the maximum score is 8) for PD group was 3.2±2.6 and that for Non-PD group, 1.9±2.2 ; The mean value and a pattern of distribution for agricultural chemicals exposure score differed between the two groups. In PD group, the ratio of thefarmer was high compared to Non-PD group and thereby, the incidence of agricultural chemicals exposure also was high.【Conclusions】We found that, in the S district of A prefecture, the ratio of the farmer and the incidence ofagricultural chemicals exposure are high in patients with PD and confirmed that agricultural chemicalsexposure is one of the risk factors for PD.
著者
張 馨方
出版者
北海道大学文学研究科
雑誌
研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.83-94, 2017-11-29

『類聚名義抄』は日本平安時代に成立した部首分類の漢和字書であり,原撰本系と改編本系が存する。原撰本系には,図書寮本が唯一の伝本であり,引用の典拠を明記した漢和字書である。改編本系には,現在,高山寺本・観智院本・蓮成院本・西念寺本・宝菩提院本などが知られる。観智院本は唯一の完本であり,そのほか,高山寺本・蓮成院本・西念寺本・宝菩提院本はいずれも零本である。 原撰本系に比べて,改編本系の諸本には漢字字体の増補という特徴が認められる。ただし,これまでの改編本系諸本についての研究では,漢字字体を主眼とした調査は成されていなかったといえる。 『類聚名義抄』では漢字字体を「掲出されるもの」と「注文に含まれるもの」に分けることができる。本稿では,注文中の漢字字体の記載に注目し,原撰本系図書寮本と改編本系観智院本・蓮成院本とで対照可能な「法」帖の「水」「冫」「言」の三部を調査対象とし,改編本系の改編方針の解明を目指して,原撰本系図書寮本と改編本系観智院本・蓮成院本との記載を比較分析する。その検討の手順を具体的に述べると,まず,図書寮本・観智院本・蓮成院本の三本それぞれにおいて注文中の漢字字体の記載状況を調査し,次に,原撰本系図書寮本と改編本系観智院本・蓮成院本とを比較対照して注文中の漢字字体の記載について考察・分析する。