著者
伊原木 大祐
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.339-362, 2009-09-30 (Released:2017-07-14)

神義論をめぐる現代的論争は、J・L・マッキーによって提示された「悪の論理的問題」をいかに克服するかという課題から始まった。しかし、そこから出された対案の多くは、「悪の情動的問題」に対する有効な解決法とはなりえていない。本論文は、とくに感情面を重視した応答の一つとして、ジョン・K・ロスによる「抗議の神義論(反-神義論)」に注目する。ロスの(反)神義論は、ヴィーゼルやルーベンスタインと共にアウシュヴィッツ以降の時代状況を強く意識している点で、数あるキリスト教神義論の中でも独自なスタンスを保っている。また、その議論は、悪における「正当化しえないもの」の要素に注目している点で、エマニュエル・レヴィナスらの現代哲学的位相とも深い部分で接している。この点を確認した後、ドストエフスキーが『カラマーゾフの兄弟』で描いたイワン・カラマーゾフの「反逆」を分析することで、ロスの議論を宗教哲学的な観点から補完する。
著者
水本 正晴
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.63-77, 2006-06-25 (Released:2009-05-29)
参考文献数
11
被引用文献数
3 2

David Chalmers presented a zombie argument, from which the falsity of physicalism allegedly follows. Although many authors who criticize this argument attack the derivation of the metaphysical possibility of zombies from the logical possibility of zombies, in this paper I will argue against the very first premise of the argument: the logical possibility of zombies. I will show the a priori impossibility of zombies, through what I call the Blinking Qualia argument.

2 0 0 0 妖怪学講義

著者
井上円了 著
出版者
哲学館
巻号頁・発行日
vol.巻2 理学部門, 1894
著者
一條 智康
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.1143-1150, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
20

ユマニチュード®はジネストとマレスコッティの2人によって創案された認知症ケアの技法である. 本稿では, ユマニチュードの語源をネグリチュードの歴史的意義にまで遡って解説し, 「ユマニチュード®」 の概略を紹介した. さらに, 治療的自己, マルチモダール, オキシトシンなどの観点から文献的考察を加えた.超高齢社会を迎えた日本にとって, ユマニチュード®の有用性は今後ますます広く受け入れられると思われる. その哲学を学び実践できれば, 人と人の 「絆」 という最も根本的に重要でありながら, 現代社会において希薄となっている大事な視点にわれわれが立ち返るきっかけをつかめるかもしれない. 「われわれがお互いに『人間としての尊厳』が保たれていることを再認識できる」 ユートピアが実現できることが期待される.
著者
桑原 雅子
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.78-91, 2018-11-20 (Released:2019-12-02)
参考文献数
32

20世紀なかばを端緒として,1990年代の「デジタル革命」以降に急展開し,現在も進行中の科学の変貌と,それに伴って台頭しつつある新科学主義を扱う.この状況に,広義の科学論(科学史・科学社会学・科学哲学+科学技術社会論)は,いかに対応し得たか.科学論自体を批判的に問い直すべきときである. 今世紀になり,コンピュータ容量の急速な増大とともに,計算科学,データサイエンス,ベイズ統計学の伸長が著しい.これらの数理科学を駆使する学術研究を「21世紀型科学」と名付ける.21世紀型科学の特徴と新科学主義の台頭を論じたうえで,日本のSTSが取り組むべき諸課題を提起する.最後に,これらの課題を遂行するためには,21世紀型科学を対象とするインターナル・スタディーズが必要であることを主張する.
著者
小熊 正久
出版者
小熊正久
巻号頁・発行日
2010-03-01

メディアの哲学の構築 : 画像の役割の検討を中心として : 平成19年度~平成21年度(2007~2009)科学研究費補助金(基盤研究(C))研究成果報告書 ; 研究課題番号: 19520007 ; 研究代表者: 小熊正久 ; p30-40
著者
出村 和彦
出版者
東京都立大学哲学会
雑誌
哲学誌 (ISSN:02895056)
巻号頁・発行日
no.43, pp.1-17, 2001-03-20