著者
宮崎 州正
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.431-434, 2007-06-05
参考文献数
14
被引用文献数
2

ガラス転移の特徴である,ダイナミクスの急激なスローダウンの背後には,空間的に不均一な動的構造があることが最近明らかになった.現在,この構造の定量化が実験と数値実験により急速に進んでいるが,これを説明する微視的理論は存在しなかった.我々は,ガラス転移における唯一の第一原理理論と言われるモード結合理論を拡張することにより,ガラス転移点近傍における動的構造を定量的に評価することに初めて成功した.
著者
上田 和夫
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.316-323, 2010-05-05
参考文献数
51

抵抗極小の現象に対する近藤効果による説明は多体効果の研究の本格的な幕開けを告げるものであった.不純物スピンに関する近藤効果の本質が明らかになるとともに,多体相関の研究は局所的問題から格子系へと展開し,重い電子系からさらには銅酸化物超伝導体を含め強相関電子系の磁性と超伝導というジャンルを形成した.一方,ナノサイエンスの舞台である二次元電子系の量子ドットにおける輸送現象にも近藤効果が本質的役割を果たすことが明らかになり,非平衡状態における多体相関が関心を集めている.近藤効果に淵源を持つこれら二大潮流の研究の現状と今後の動向について私見を述べる.
著者
川上 則雄
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.95, no.4, pp.373-396, 2011-01-05

近年、凝縮系物理で注目を集めている強相関電子系について、いくつかの例を取り上げて入門的な講義を行う。まず、強相関電子系における豊富な物理について説明した後、量子揺らぎの最も大きい「1次元電子系」の話題から始める。1次元系の普遍的性質を記述する「朝永ラッティンジャー液体」を臨界現象という観点からながめてみると、多様性の中に潜む「美くしさ」が自然に浮きあがる。カーボンナノチューブや量子細線への応用も紹介する。次に、多体効果の典型例である局所的な電子相関「近藤効果」について概説する。近藤効果は古くから研究されているが、最近でも重い電子系や量子ドット系など、広い分野で精力的に研究が展開されている。いたるところに顔を出す、とびきり重要な概念である。近藤効果には電子相関のエッセンスが凝縮されており、実験の人もぜひマスターしたい必須アイテムである。最後に「モット転移」の話をする。特に、強相関現象の解明には欠かせない動的平均場理論を紹介する。電子相関効果を扱うことは一般に難しいが、「局所的な相関効果を正確に扱おう」というアプローチが動的平均場のエッセンスである。「平均場なのにダイナミクスが扱えるの?」という疑問にも答えたい。
著者
水島 健
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.97, no.2, pp.149-192, 2011-11-05

近年,スピン3重項超伝導・超流動体におけるAndreev束縛状態に注目が集まっている.量子渦や表面で出現するAndreev束縛状態はMajorana性や奇周波数対振幅,さらにはバルクに内在するトポロジカル不変量等と密接に関わっており,非常に多彩な側面を持っていることが近年の研究により明らかにされつつある.本稿ではBogoliubov-de Gennes方程式の解析解を基にして,スピン3重項超伝導・超流動体におけるAndreev束縛状態の出現やその多面性について解説する.この系のフェルミ場の演算子の性質はMajorana場と類似性を持つ.Majorana零エネルギーモードの特異性に起因して,その零モードが付随した量子渦は非可換エニオン統計に従う.
著者
柳瀬 陽一
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.97, no.2, pp.99-148, 2011-11-05

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
池野 絢子
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.140-153, 2008-06-30

This research is going to talk about the formation of 'Arte povera' as an artistic movement. Today, Arte povera is well-known all over the world as that which used 'poor' materials, such as woods, papers, coals, etc. Although this definition does not always accord with the works in respect of materials and concepts, that critical term 'povera' has succeeded in grouping up the various artists. In fact 'povera' is so ambiguous term that we can do nothing but refer to the text of a critic, Germano Celant, who named this movement. But it can be thought that between the critical discourses and the diverse works, there should be essential difference. Making it clear, this text will study from following three perspectives; the strategy of Celant, contradiction between his rhetoric and acts of artists, and problem with historicization and reception of 'Arte povera.' Through these analyses, it is aimed to show what is included in and what is excluded from the territory of 'Arte povera' along its history.
著者
清水 雅夫 奥富 正敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.1409-1418, 2001-07-01
参考文献数
9
被引用文献数
35

ステレオ画像処理や各種画像計測, 流体計測の分野では, 領域ベースのマッチングが多く使用されている. 通常は, 画素分解能以上の精度を得るために, 一致度評価値を利用したパラボラフィッティングによってサブピクセル推定を行っている. しかし, その際の推定値の精度や性質に関する研究は少ない. 本論文では, マッチングに使用する画像を特定の関数で近似し, サブピクセル推定における誤差を解析した. この結果から, サブピクセル推定に固有の現象を説明した. 更に, サブピクセル推定における誤差を大きく低減する手法を提案する. この手法は, 一致度評価値の算出方法とは独立で, 実装が容易である. この手法の効果を確認するために, 3種類の画像を使用して実験を行った.
著者
小川 晋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.82, no.12, pp.1243-1247, 1999-12-25

JIS C 0301(電気用図記号)が改正されたので,その改正の経緯,主な改正点などについての概要を紹介する. 今回の改正では,既存のJIS C 0301を(平成11年2月20日)廃止し,新たに対応国際規格であるIEC 60617シリーズに準じた規格体系としてJIS C 0617シリーズを制定した.
著者
水島 賢太郎
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.48-57, 1989-10-31

今日、ソロバンを電卓と同種の計算道具であるという見方に立ったソロバン教育は、あまり意義が無いと思われる。しかし、ソロバンの主たる機能をメモリー(記憶装置)とみれば、コンピュータの概念およびプログラミング指導へのソロバン利用の可能性が生まれる。この立場からソロバンとコンピュータ教育について考察した。その考察に当たっては、情報と教育について原点に立つという意味で、認知科学的視点を取り入れた。
著者
馬 芙榕 五味渕 大賀 室田 真男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.583, pp.93-98, 2007-03-02

閲覧するWebページのうち,約80%は以前閲覧したことのあるページである.そこで,本研究では,Webブラウザの過去の閲覧情報を効果的に活用できるようにすることを目的とし,履歴・ブックマーク・ScrapBookを横断的に検索できるツールを開発した.本ツールは,これまでそれぞれ独立に保存されていた情報を,一度の操作で検索・表示する機能を有する.さらに,既存の検索エンジンの検索結果も同時に表示する機能を有する.また,被験者による本ツールの評価実験を行った.その結果,本ツール用いることにより,過去の閲覧情報の検索と活用に有効であることが分かった.Webページを利用する調べ学習などの活動において,本ツールは学習効率の向上に有効に利用できる.
著者
涌田 龍治 Ryuji WAKUTA 仙台大学 Sendai College
出版者
仙台大学学術会
雑誌
仙台大学紀要 (ISSN:03893073)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.16-24, 2007-03

The purpose of this article is to understand consumption processes of J. League Team Licensed Goods. Especially we focused on the temporal change of them. Generally speaking, people believe the orthodoxy that there is a plus correlativity between spectatorship and consumption of Team Licensed Goods. However, in my past research, we could find the fact that the orthodoxy included incorrect parts. In this article, we retest two hypotheses using the same questionnaire method toward different spectators who consist of Oita Trinita spectators. The hypotheses are as follows: 1) There is a plus correlativity between experience of spectatorship and experience of buying Team Licensed Goods. 2) There is a plus correlativity between experience of spectatorship and experience of using Team Licensed Goods in the stadium. The results of this research are the same as the past results. That is, the hypothesis 2) is supported. However, the hypothesis 1) is not supported.
著者
濱田 康行
出版者
社団法人 全国信用組合中央協会
雑誌
信用組合
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.10-13, 2005-05
著者
盛田 真千子 香川 幸子
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1-12, 1993-05-01
被引用文献数
4

慣用色名は誰にでも理解され, 色が想像できるものでなければならないのだが, 時代変化の激しさと, 多様化, 個性化の進展している社会のなかで, 認識が必ずしも一致するとは限らない。そのため, 色名かどのように認識されていろか, また, その認識に影響を及ぼす諸要因について, 若年層の男子に調査を実施し, 第1報, 第2報と比較検討した。若年層の男子においては, JIS Z 8012から選出した105語の慣用色名で, 認識がされている色名は53.3%, 認識があいまいな色名は18.1%, 認識がされていない色名は28.6%であった。被調査者の生活意識の因子分析では7因子が抽出され, 因子の構造に男女間で差がみられた。男子は女子より, 経済や外国の文化に関心が高く, 手工芸には関心は低い傾向にあった。男子の色名の認識度は, JIS S 6028, JIS S 6026, JIS S 6006などの顔料に直接, 記名されてある色名で, 認識が高かった。女子は男子より色名の色を正確に把握し, 色名も多く認識していた。これは, 女性の服装色や色に対する関心が高いことが, 影響していると考える。また, 文化や生活環境と深く結びついた色名が, 高い認識につながり, 暖色系統の色名は, 寒色9紫系統の色名より認識されやすい傾向が, 男子の調査でもみられた。
著者
兼宗 進 中谷 多哉子 御手洗 理英 福井 眞吾 久野 靖
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.44, no.13, pp.58-71, 2003-10-15
参考文献数
21
被引用文献数
25

近年,教育課程の改訂により,小学校から高等学校までの初中等教育において情報教育の導入が進められている.筆者らは,「情報教育の中でプログラミングを体験することは計算機の動作原理を学ぶうえで効果的である」という考えから,初中等教育で活用可能なプログラミング言語である「ドリトル」を開発し,それを用いたプログラミング教育について研究を行ってきた.本稿では,中学校においてドリトルを用いて実施したプログラミング教育とその評価について報告する.行った授業では,プログラミング経験のない生徒を対象に,タートルグラフィックスとGUI部品を用いたプログラミングを扱った.また,アンケートと2回の定期試験の結果に基づき,オブジェクト指向を含むプログラミングの概念が生徒にどのように理解されるかを分析した.Recently, IT education curriculum at K12 (kindergarten and 12-year-education) schools are being started in Japan. Programming experiences will be useful for students to learn essence and principle of computers. However, we insist that the use of "modern" languages is indispensable to achieve the goal. In this paper we describe our experiences of using "Dolittle" object-oriented programming language in junior high school classes. Turtle graphics, figure objects, and GUI objects were taught in the class, and paper tests and enquiries were conducted for evaluation. As the result, majority of the students understood basic concepts of programming and object-orientation, and enjoyed the classes.