著者
古島 義雄
出版者
福山大学経済学研究会
雑誌
福山大学経済学論集 (ISSN:02884542)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.1-26, 2014-03

公表された数値から推計すると、銀行が直接あるいは与信者として関与するシャドーバンキングの規模は10~20兆元であり、15兆元とするとGDPの29%、預金の16%である。シャドーバンキング拡大の第1の背景は2004年から法律が整備され、2007年に導入された自己資本比率規制、BIS規制にある。第2は、金融政策であり、人民元の為替レートを米ドルに実質的に固定する為替政策によって、介入額が大幅に増加し、その財源を準備預金に頼ってきた結果、高率の預金準備を回避するためにも、オフバランス取引が選好された。第3は、資本市場の不振であり、2007年に株価はピークを付けた後、株式の新規発行はほとんど不可能となった。一方、リーマンショック以降の景気刺激策として、地方政府の財政出動が行われ、その資金調達の多くが銀行借り入れによるものと推測される。かくして、すべての当事者にとってオフバランスとすることが有利となり、通常の銀行業務をオフバランス化した結果、シャドーバンキングが急増してきたと推測される。
著者
渡辺 和子
出版者
リトン
雑誌
死生学年報 = Annual of the Institute of Thanatology, Toyo Eiwa University
巻号頁・発行日
vol.9, pp.231-246, 2013-03-31

誤植訂正のためPDF差し替え(2015年4月22日)
著者
鈴木 哲
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学学芸学部研究紀要 = JSLA (Journal of the School of Liberal Arts) (ISSN:18849865)
巻号頁・発行日
no.13, pp.25-44, 2020-11-30

中島敦(1909-42)は格調高い表現,学識,厭世観を特徴とする東京生まれの小説家で(Kodansha, 1993, p. 1038),1951年以後高等学校国語教科書採用の「山月記」(1942)で知られる。夫人の中島(旧姓橋本)タカ(1909-84)は愛知県碧海郡依佐美村(1906-55)の出身である。本稿は敦が1931年と1942年に依佐美村大字高棚字新池(現安城市高棚町)のタカの生家を訪問したとする従前説を検討, 1933年3月と1942年8月であったことを明らかにする。また, 敦の万葉歌「あをみづら,よさみの原」 (7:1287)への関心,敦が依佐美の「無線電信の高い塔が立っている風景」にあったとする1942年8月のタカ回想を紹介する。タカが東京で33歳の小説家を看取ったのは里帰りの4カ月後である。
著者
寺田努
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2013-EC-30, no.4, pp.1-6, 2013-11-16

近年,ステージパフォーマンスやメディアアートにおいて画像処理や装着型センサを用いたインタラクティブなものが多数登場している.体験型メディアアート等においてはその有効性はすでに明確であると思われる.これは技術が体験者のために利用されており,体験者がどのように動くかはあらかじめ分かっていない状況に対応しなければいけないシステムであるためである.一方,プロフェッショナルなパフォーマにセンサを装着させようという取り組みも起こっているが,この場合,聴衆にとってはパフォーマがインタラクティブに演出を生成していようが,生成していまいが,見た目にはわからない.本稿では,パフォーマンスをインタラクティブにすることのメリットとデメリットについて議論し,インタラクティブな形でパフォーマンスを行う実システムを紹介する.
著者
藤井 隆至
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.259-290, 1993-11-10

本稿は,雑誌『郷土研究』がどのような主題をもち,どのような方法でその主題を分析していったかを解明する。この雑誌は1913年から1917年にかけて発行された月刊誌で,柳田国男はここを拠点にして民間伝承を収集したり自分の論文を発表したりする場としていた。南方熊楠からの質問に対して,この雑誌を「農村生活誌」の雑誌と自己規定していたが,それでは「農村生活誌」とは何を意味するのであろうか。彼によれば,論文「巫女考」はその「農村生活誌」の具体例であるという。筆者の見解では,「巫女考」の主題は農村各地にみられる差別問題を考究する点に存していた。死者の口寄せをおこなうミコは村人から低くみられていたけれども,柳田はミコの歴史的系譜をさかのぼることによって,「固有信仰」にあってミコは神の子であり,村人から尊敬されていた宗教家で,その「固有信仰」が「零落」するとともに差別されるようになっていったという説を提出している。差別の原因は差別する側にあり,したがって差別を消滅させるためには,すべての国民が「固有信仰」を「自己認識」する必要があるのであった。その説を彼は「比較研究法」という方法論で導きだしていた。その方法論となったものは,認識法としては「実験」(実際の経験の意)と「同情」(共感の意)であり,少年期から学んでいた和歌や学生時代から本格的に勉強していた西欧文学をもとにして彼が組み立ててきた認識の方法である。もう一つの方法論は論理構成の方法で,帰納法がそれであるが,数多くの民間伝承を「比較」することで「法則」を発見しようとする方法である。こうした方法論を駆使することによって彼は差別問題が生起する原因を探究していったが,彼の意見では,差別問題を消滅させることは国民すべての課題でなければならなかった。換言すれば,ミコの口寄せを警察の力で禁止しても差別が消滅するわけではなく,差別する側がミコの歴史を十分に理解することが必要なのであった。
著者
能登 真一 毛利 史子 網本 和 杉本 諭 二木 淑子
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.126-133, 1999-04

半側空間無視症例に対し,右手使用の木琴を用いた訓練を考察し,訓練効果をシングルケースデザインで検討した.木琴療法は180度回転させて設置した木琴を演奏するものである.ABAB法を用いて訓練効果を検討した結果,ベース期と介入期,除去期と再介入期の間に半側空間無視の成績の有為な改善を認めた.半側空間無視の改善は,左方向への音階の探索により左方向への運動意図が高まったことと,音楽の利用により右半球が活性化されたためと考えられた.
著者
吉弘 憲介
出版者
桃山学院大学総合研究所
雑誌
桃山学院大学総合研究所紀要 = ST. ANDREW'S UNIVERSITY BULLETIN OF THE RESEARCH INSTITUTE (ISSN:1346048X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.99-113, 2020-03-10

In Japan’s high elderly society, the private sector has had the role provided rental houses to besatisfied with safety life for older people since 2011 established regarding the law.Notably, the caring serviced housing for older people was increasing rapidly after 2011.However, the caring serviced housing number, price, and condition vary according to prefecturearea and corporate type.This survey appears in varying housing conditions and geographical features of the caring servicedhousing for older people by using a statistical approach and GIS.