著者
増田 富士雄 宮原 伐折羅 広津 淳司 入月 俊明 岩淵 洋 吉川 周作
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.106, no.7, pp.482-488, 2000-07-15
被引用文献数
13 21

神戸沖の大阪湾底で掘られたコアの完新統の部分について, 堆積相解析を行い, 高密度の^<14>C年代値と相対的海水準変動から, 次のような完新世の大阪湾の海況変動を復元した.11000年前に海面高度は約-50 mにあった.海進に伴い後退する三角州はエスチュアリーとなった.海面高度が約-30 mに上昇した9700年前に, 明石海峡での潮流が発生した.海面高度が約-12 mになると, 淀川河口が河内湾に退き, 備讃瀬戸が繋がり, 現在のような瀬戸内海が成立した.この時から約3000年前まで, 大阪湾全体が強い潮流の影響下にあった.5300年前〜5000年前が大阪湾では最も海面が高い時期であった.1700年前頃に, 河内湾が埋め立てられ, 淀川三角州が大阪湾にまで前進し, 1000年前には神戸沖にまでその影響がおよぶようになった.
著者
今井 民子 笹森 建英
出版者
弘前大学
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.29-53, 1991-10

ヴァイオリン音楽の発展を可能にした背景には,17世紀から18世紀の楽器製作の改良,演奏技術の確立があった。この論文では,先ず楽器製作の変遷を概観する。この時代の演奏技術の確立を把握する上で重要なのは,器楽形式の発展と,一連の技法書の出版,技巧を駆使して葵すカブリスの類の作品の出現である。レオボルト・モーツァルトMozart, Johann GeorgLeopoldやジェミニア一二Geminiani,FrancescoSverioの奏法に関する著書,ロカテッリLocatelli,PietroAntonioのカブリスは重要な役割をはたした。この論文では,彼らによって掲示された技法を具体的に考察する。20世紀,特に1945年以降は,音楽様式,演奏法が画期的な変貌を遂げた。その技法上の特質を明らかにする.これらを踏まえて,音楽文化が新芽し,形成され,さらに発展,変遷していく過程に教育書がどのような役割を果たすのかについても検証する。
著者
大門 正幸
出版者
人体科学会
雑誌
人体科学 (ISSN:09182489)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.22-31, 2020

<p>「胎内記憶」という表現は本来「母親の胎内にいる時の記憶」を指す語であるが、「過去生記憶」や「中間生」と呼ばれる受胎前の記憶、「誕生時記憶」なども含めた総称として用いられるようになってきている。胎内記憶研究の第一人者とされる池川明氏の活躍によって一般に知られるようになったこの概念は、広く受け入れられるようになると同時に、様々な批判を受けるようにもなってきた。本稿では、「専門家」による「胎内記憶」批判を検討し、それらが妥当性に欠けるものであることを示す。一方、「胎内記憶」推進派の言説や実践についても改善が望まれる点がある。特に次の二点は重要である。第一に、人生観に関する知見という「胎内記憶」研究から得られる「態度価値」を重要視するあまり、たとえば「子どもはみな親を選ぶ」のような過度な一般化がなされ、実際のデータから乖離してしまうことがある点である。「胎内記憶」を「根拠」とするのであれば、データについてはより慎重な取り扱いが必要であろう。第二の点は、「胎内記憶」と密接に関わる特殊能力の取り扱いについてである。具体的には、胎児との対話や、重い障がいを持った子どもとの対話など、「胎内記憶」同様、従来の脳還元主義的意識論では説明できないコミュニケーションである。これらについては、「胎内記憶」の真実性と同様に、調査・研究によってその実在性が確認されるべきであろう。</p>
著者
膽吹 覚
出版者
龍谷大學國文學會
雑誌
國文學論叢 (ISSN:02887770)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.51-58, 2008-02
著者
小川 明水 伊東 栄典
出版者
情報処理学会九州支部
雑誌
火の国情報シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, no.2, pp.1-4, 2021-03-01

動画・イラスト・音楽・小説などのコンテンツを投稿・閲覧するCGMサイト(Consumer GeneratedMedia)が人気である。CGMサイト内で人気を得たコンテンツが,ネットや実世界に広がるようになっている。例えば人気を得たオンライン小説が,漫画やアニメになり,多くの閲覧者を得ている。内容が多様で,かつ品質が均質でないオンライン小説群から,人気小説の傾向(流行の傾向)を抽出したり,将来人気となる小説を見つけることが出来れば,商機に繋がる。オンライン小説では,ある人気小説に触発された作家が,その人気小説のオマージュ小説を投稿することで,流行が始まることが有る。本研究では,ある人気小説に触発されて次々と生み出される小説群の繋がりを創作の連鎖と呼ぶ。本研究では,オンライン小説の将来流行予測や人気小説発見を行う前提として,小説の連鎖関係に基づくオンライン小説の傾向を分析する。
著者
馬 健 井上 朝雄
出版者
九州大学大学院芸術工学研究院
雑誌
芸術工学研究 (ISSN:13490915)
巻号頁・発行日
no.35, pp.1-20, 2021-10-01

This paper focuses on the use of natural light in the exhibition rooms of contemporary art museums. Through daylight simulations, it examines the effects of daylighting methods on the illuminance of the exhibition rooms, and clarifies some of the possibilities of using natural light in exhibition spaces. First of all, in order to clarify the overall picture of daylighting methods, multivariate analysis was used to classify the daylighting methods of the exhibition rooms with top lights, and the characteristics of the results were discussed. Based on the results of the classification, daylight simulations are conducted for 11 representative cases, and the characteristics of natural light use in each case are discussed under the conditions of different season, time of day, etc. from the viewpoint of instantaneous illuminance values. In order to compare the results with the instantaneous illuminance values under ideal weather conditions, annual daylight simulations were conducted using meteorological data that can also consider the actual weather conditions of each case study. The characteristics of the light environment of the 11 cases were discussed in terms of spatial illuminance distribution, calculated values, appearance time of the specified range of illuminance, and climatic characteristics. Finally, by comparing the above simulation results with the design background of some case studies, the effects of the daylighting amethods were comprehensively discussed.
著者
島谷 謙
出版者
世界文学会
雑誌
世界文学 (ISSN:03852903)
巻号頁・発行日
no.134, pp.87-94, 2021-12
著者
高田 治樹 菊地 学 尹 成秀
出版者
目白大学
雑誌
目白大学心理学研究 = Mejiro journal of psychology (ISSN:13497103)
巻号頁・発行日
no.16, pp.1-13, 2020

本研究は,多種のオタクカテゴリとオタクカテゴリに対する印象との関連性を検討することを目的として調査を実施した。調査対象者は,自身をオタクと自認するオタク群258名となり,自身をオタクと認識しない一般群258名を対象とした。オタク群と一般群によるオタクカテゴリごとの印象の差を検討した結果,カテゴリによって,オタク群は一般群よりも社交性に関するポジティブなイメージを抱きやすく,マナーの悪さに関するネガティブなイメージを抱いていた。また,一般群はオタク群よりもオタクカテゴリに対して不健康で,大人しいという印象を抱いていた。さらに,オタクカテゴリと印象評定との相互関連性を双対尺度法によって検討した結果,腐女子とマンガオタクは過激で妄想しやすいという印象でまとめられ,女性アイドルオタクと声優オタクは不健康という印象でまとめられ,ゲームオタクと鉄道オタクは陰気でマナーが悪いという印象でまとめられ,アニメオタクやコスプレイヤーは恋愛が苦手で大人しいという印象でまとめられた。本研究の結果から,一般群においていまだにオタクに対する偏見がみられ,その偏見はオタクカテゴリごとの異なる印象が統合された偏見である可能性が示唆された。