著者
三笠宮 崇仁
出版者
東京女子大学
雑誌
史論 (ISSN:03864022)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.293-308, 1957
著者
宮﨑 友里
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.si4-9, (Released:2019-02-23)
参考文献数
48

本稿は,地方自治体の行動原理について,社会心理学の理論を適用することの有用性を探るものである。これまで,政治社会学や政治心理学において,国家から個人に至るまで政治主体の心理性は繰り返し確認されてきた。しかしながら,政治主体を地方自治体に限定した場合,心理性の検討は極めて限定的であったと言えるだろう。地方自治体は各種の政策形成に取り組んでいるが,その中でも経済的利潤の増大を目的としているとは捉えがたい観光政策が散見される現状は注目に値する。そこで本稿では,地方自治体を自律した行為主体と措定し,その政策形成過程に対して,集団一般の行動原理について心理的側面から説明してきた社会的アイデンティティ理論の観点を導入して解釈する。注目する点は,地方自治体としての集団概念と,観光資源活用の関連である。本稿では,水俣市を事例として,水俣病を用いた来訪者誘致に至る過程について,水俣市の集団概念に注目しながら追跡する。事例分析の結果は,水俣市において水俣病経験が先進的経験として肯定的に意味づけられた時,水俣病を用いた来訪者誘致への取り組みが進展した,というものである。
著者
福岡 孝幸 伊藤 一秀
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.76, no.659, pp.25-33, 2011-01-30 (Released:2011-03-07)
参考文献数
18
被引用文献数
3

The indoor environment can play a significant role in the transmission and exposure of various contaminants. In some emerging aerial infections, such as influenza virus, tuberculosis virus, and other biological, the airborne route of transmission is thought to be important to evaluate exposure health risk. In this paper, first, we have presented the relationship between basic SIR (MK) model and Wells-Riley model, and introduced the analytical procedure of coupled analysis of CFD based prediction of unsteady contaminant concentration distribution and basic SIR model to predict exposure risk of residents in large enclosed space. The results of sensitivity analysis that changed ventilation rate and other parameters of infections showed non-uniform distribution in enclosed spaces and strong dependence on unsteady contaminant distribution.
著者
朝倉 均 本間 照 成澤 林太郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.85, no.7, pp.1066-1071, 1996-07-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
7

続発性吸収不良症候群のうち,本邦でみられる代表的疾患であるA型胃炎,胃切除後症候群, Crohn病,全身性疾患に伴う腸病変(アミロイドーシス, PSS, α鎖病)および糖質吸収不全に伴う下痢などの病態について解説した.続発性吸収不良症候群は糖質,脂質,蛋白質,ビタミンB12,鉄,水・電解質,胆汁酸などの消化吸収不全を伴っているので,それがもたらす徴候は多岐にわたるので,患者をよく見ることが大事である.
著者
伴 信太郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.12, pp.2673-2680, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
9
被引用文献数
1

日本の医師国家試験は,認知領域の試験としては信頼性,透明性,公平性,効率性の高い試験となっているが,技能,態度を測定できておらず,妥当性に欠ける.又法的に見ても医師法第九条を満足していない.国家試験は卒前教育にも強い影響を与えており,早急に臨床実習に積極的に取り組んだ学生ほど合格し易くなるような設計をすべきである.また,改革のためにはその成果を検証しながら進めることが不可欠であり,常設の国家試験センターの設置を構想すべきである.
著者
鶴谷 奈津子
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.261-268, 2011-09-30 (Released:2012-10-13)
参考文献数
29
被引用文献数
1

パーキンソン病 (Parkinson's Disease : PD) は運動症状を主体とする疾患であるが, 近年ではさまざまな非運動症状をきたすことが報告され, 注目を集めている。本稿では, 多岐に渡る PD の非運動症状の中でも認知機能障害に焦点を当て, とくに社会的認知機能について詳しく述べる。社会的認知とは, 他者の情動表出や内的な心理状態などのコミュニケーションに重要な情報処理を担う, よりよい人間関係を築くために必要な機能である。これまでの研究により, PD 患者では他者の表情を見て情動を読み取る表情認知や, 損得の情報を学習し適切な行動を選択する意思決定過程において, 健常者とは異なるパターンが観察されている。また最近では, 社会的認知の重要な基盤のひとつである「心の理論」機能の障害の有無が検討されている。これらの認知機能障害は PD 患者の日常生活や社会活動に影響を及ぼす可能性があり, 慎重に評価する必要があると思われる。
著者
山口 二郎 マグル アンソニー ヘルド デヴィット 川崎 修 MCGREW Tony HELD David アンソニー マグル デヴィッド ヘルド アンソニー マグルー デヴィッド・ヘルド ヘルド
出版者
北海道大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

研究計画の最終年度に当たる今年は、経済のグローバル化が各国の国内政治体制に与える影響について総括的なまとめを行い、ポスト主権国家時代における民主主義体制の新たなモデルの構築を行うことが目標であった。プラザ合意およびガットからWTO(世界貿易機構)への移行と過去十年、先進国の政治システムを取り巻く国際環境は大きく変動し、各国の政策を規定する独立変数としてこれらの国際機構、非制度的な国際協力システム、さらに条約の存在がきわめて重要な意味を持つに至った。今回の比較研究の結果得られた最大の知見は、これらの国際的な政策の標準、規格が各国に浸透することによって、従来の政治的な対立軸とは違った次元で新たな政治的対抗軸が出現しつつあるという事実であった。経済政策の関する国際的標準の浸透をグローバル化と呼んでおく。グローバル化の主たる柱は、政府規制の縮小、財・サービスの貿易の自由化、企業に対する税制の下方への共通化である。一方で各国の指導者レベルでは、サミット、G7首脳会議、APECなどこれらの政策の国際的標準かを協議する機会が近年ますます増えており、指導者におけるグローバル化へのコミットメントは深まりつつある。しかし、グローバル化は各国の国内政治において強いリパ-カッションを引き起こし、それぞれの国の政党システムや政党の支持基盤を大きく揺るがすに至った。日本については山口が経済政策、財政・金融政策についてケーススタディを行った。そこでは、いわゆる55年体制の崩壊について、当時の与党の内粉など政党内の政治力学的要因によって説明できるとする一般的見解に対して、巨視的に見た場合、自民党政権による国内の各セクターに対する保護と引き替えに成立・持続してきた55年体制が、グローバル化によってその基盤を堀り崩されてきている点に注目すべきことを指摘した。もちろん、政治変動の引き金は与党内の権力抗争が引いたにせよ、グローバル化を推進することによって利益を得るセクターと政治力を使ってグローバル化を阻止することに全力を挙げるセクターとの間の矛盾の中で政党自体が意志決定不全状態に陥っている。この点は、55年体制以後の政党再編成の中でも中心的な争点となる。ヨーロッパ、アメリカについてヘルド、マグル-が事例研究をふまえた分析を加えた。ヨーロッパの場合、EUという地域レベルでのセミ・グローバル化が進み、国内政治へのショックが小幅なものになった。しかし、通貨統合については各国で国益優先主義と統合優先主義との対立が起こり、EUの統治能力が問われている。アメリカでは、NAFTAの締結によってグローバル化はさらに拍車がかかり、国内政治の基盤も変化した。農民組合、労働組合、製造業者など伝統的に影響力を持ったセクターは政治的に交代し、民生、共和を問わず新しい指導者はグローバル化によって利益を得るセクターを支持基盤に取り込もうとしている。グローバル化から落ちこぼれるセクターは第三政党の結成や、共和党内際保守派(孤立主義派)への支持に向かっている。いずれの場合でも、既存の政党はグローバル化に対して一致した対応をとることはできず、政党横断的な形でグローバル化に対する態度が分かれていることが共通している。1990年代後半に日本のみならず、ヨーロッパ、北米でそれぞれ政党政治の危機がいわれ、政党再編成の可能性が論じられる背景には、グローバル化に対して政党が共通の利益を発見できないという事実が損するという点で参加者の見解が一致した。こうした事態は、従来の政党政治や民主主義に関する古典的なモデルの限界を物語る。川崎はこうした変化を受けた民主主義、政治権力の再編成について試論を提示した。政治権力を2層に分け、古典的な資源配分にかかわる権力のシステムと、こうした各国の権力システムの存立の基盤自体を操作するハイパー・システムとしての権力を想定する必要があるというものである。
著者
山口 二郎 酒井 哲哉 村上 信一郎 新川 敏光 中北 浩爾 米原 謙 石川 真澄
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

1990年代後半には、英、独、仏の三カ国で社会民主主義政党の再生が起こり、イタリアでは政党再編成の中で中道左派連合が政権を獲得した。日本でも同じように政治改革を契機とする政党再編成の動きがあったにもかかわらず、社会民主主義政党の衰弱、事実上の退場という対照的な現象が起こった。その原因は次の諸点に求められる。第1に、日本社会党が1950年代後半に政権政党としての政策構想を放棄して以来、野党化の論理の中に埋没した。護憲平和主義が野党としての存在を正当化する最大の根拠となった。第2に、自民党政権時代に整備された地方重視の公共投資や弱小産業保護のための規制政策が、社会的平準化とセーフティネットの役割を代替し、本来の社会民主主義の出番がなくなった。この点はイタリアとよく似た状況であったが、イタリアの場合左翼政党の連合がEU加盟という国家目標に沿って自由主義的な改革を取り入れ、政権担当能力を示したのに対して、日本の場合社会党が規制緩和や官僚制改革について政策を示せなかったことで、90年代の政治において周辺的な地位に追いやられた。第3に、労働組合という旧来の支持基盤の衰弱、市民の台頭という有権者意識の変化に対応できなかった。これらの要因によって1990年代の日本で社会民主主義政党が衰滅していったが、新自由主義的な構造改革によって旧来の擬似セーフティネットが壊されたのちには、再び新たな社会民主主義的政策を軸にした政治勢力の結集が可能となる可能性もある。

11 0 0 0 OA 変容、世界

著者
ナンシー ジャン゠リュック マンチェフ ボヤン
出版者
首都大学東京人文科学研究科 人文学報編集委員会
雑誌
人文学報. フランス文学 (ISSN:03868729)
巻号頁・発行日
vol.513-15, pp.29-52, 2017-03-25

特集:ジャン=リュック・ナンシーの哲学の拍動
著者
商業興信所 著
出版者
商業興信所
巻号頁・発行日
vol.第39回, 1931
著者
川島 英之
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.3_44-3_49, 2016-07-25 (Released:2016-09-25)

データ基盤システムを役割で大別すると,SQL問合せ処理システムとトランザクション処理システムという2つのサブシステムに分けられる.従来型のデータベース管理システム(DBMS)はこれらを兼ね備えている.一方,性能向上のために,近年はサブシステム毎の高度化が行われている.本論文ではこれらに関する近年の動向を解説する.