著者
松村 圭史朗
出版者
日経ホーム出版社
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
no.291, pp.92-101, 2007-04

「これは厄介なことになったぞ」。京都市のアパホテルで耐震偽装が見つかった1月下旬。涙ながらの釈明会見に臨む女性経営者の姿を見ながら、あるREIT(リート)運用会社の幹部は頭を抱えた。
著者
近藤 英俊
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.269-288, 2002-12-30

西欧医療の近代化は、強力な医師会の設立と国家への介入、国家による医療規制と資格化、そして他の医療の排除と市場の独占、すなわち専門職化(professionalization)という職業集団の戦略に負うところが大きい。ところが現在世界各地では伝統医療従事者による専門職化が進められている。このことは伝統医療が西欧医療と同じような近代化を経験しつつあることを意味するのだろうか。本稿はナイジェリア・カドゥナ市における伝統医療の専門職化に焦点を当て、その動向を吟味する。カドゥナの伝統医療の専門職化は1970年代末にナイジェリアのメトロポリスであるラゴスの伝統医師会の指導のもとに始まり、当初はリーダーのカリスマ性も手伝って順調に組織化が行われた。しかしその後伝統医師会はリーダーシップを狙う野心的な伝統医によって派閥化、さらに会員認定証をめぐる不正行為のせいで事実上機能を停止する。すなわち伝統医師会の歴史は伝統医のあいだの不信感、グループの離散集合、そして組織の暫定性に彩られている。また確かに伝統医は会員認定証を所持し、「伝統医」や「ハーバリスト」といった呼称を使うようになっているが、彼らはそれらを政治的経済的関心にもとづいて様々に流用している。つまり医療知識の基準化や、アイデンティティーの統合・単一化が起こっているわけではない。この専門職化に見られる諸特徴はカドゥナ伝統医療の全般的な変化の一端を示している。その変化とは治療者が自らを規定する社会条件を再帰的に変革していくような近代化の過程ではなく、むしろそれとは対極的な変化、治療者がその実践・活動を複数化、断片化、流動化していく過程である。いいかえればここでは伝統医が反省的な専門家(expert)ではなく、状況に応じて複数の文化を渡り歩く起業家(entrepreneur)となりつつあるように思われる。
著者
笹川 慶子
出版者
日本映像学会
雑誌
映像学 (ISSN:02860279)
巻号頁・発行日
no.65, pp.40-54, 2000

The Musical is not only escapism nor mere entertainment as many film scholars have written. It is also ideological operations. This paper focuses on the narrative analysis of the Hollywood Musical genre during World War Ⅱ, suggesting how it produces the ideological effects of "utopian vision" on the spectator through its structure,style,and theme. To this end,I first proceed to clarify the difference between the Musical and the classical narrative. I then explore the historical development of the Musical narrative, with relation to the technological innovations and the ideological shifts. The Musical narrative contains the classical narrative and the spectacular song and dance numbers, which provide the spectator with the images of "real" and "utopia". This dual structure is frequently concluded with a big production number, emphasizing the American brotherhood and unity. Through these examinations, I suggest that the Musical narrative helps to bring to the spectator, more or less, the progressive utopian sensibility, the anticipation of the better world,and the faith in American Democracy.
著者
越後谷 智子 見延 真奈美 金沢 京子 大場 公孝 村川 哲郎
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.51-61, 1998-02-10

おしまコロニー幼児トレーニングセンターつくしんぼ学級は,1993年より自閉症とその関連するコミュニケーションに障害をもつ人たちの治療教育であるTEACCHプログラムを導入している。このプログラムは,自閉症児やコミュニケーションに障害をもつ幼児の療育に有効であったとともに,他の発達障害をもつ幼児への療育にも少なからず影響を与えた。「通園療育」の基本的な考え方や日常の療育方法は,決して単一の技法やプログラムからのみ学んだものではないが,TEACCHプログラムから得た理論的かつ実践的な知識もまたそれぞれのクラス療育やつくしんぼ学級全体の療育体制のなかで,個に即した評価や工夫によってさまざまに応用されている。自閉症やダウン症などいろいろな発達障害をもつ幼児が混在するカレーパンマンクラスのM・K君の療育を通して,その成果と課題について報告する。
著者
鶴島 瑞穂 斉藤 孝信
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.58-85, 2018

「東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査」は,国民の東京大会への関心や意識・価値観の変化などを把握し,2020年に世界最高水準の放送・サービスを実現する上での基礎的なデータを得るために実施する時系列調査であり,今回はその2回目の調査となる。東京開催の評価(よい+まあよい)は87%と多数を占める。東京オリンピックへの関心度(大変+まあ)は80%と高いが,リオデジャネイロ大会直後の前年調査と比べ,「大変関心がある」は減少(34%→27%)した。関心事では「日本人や日本チームの活躍」が78%と最も多く,「世界最高水準の競技」(42%)や「各国のメダル獲得数」(17%)を上回った。東京パラリンピックへの関心度は61%であった。伝えるべき側面については「純粋なスポーツとして扱うべき」が39%で最も多く,前年(37%)から増加した。「障害者福祉の視点を重視して伝えるべき」は5%であった。障害者スポーツのイメージでは「感動する」(63%)が最も多い。「感動する」と答えた人の割合を障害者スポーツの視聴経験別に集計すると,「テレビの競技中継を見たことがある」人では82%,「ニュースや競技中継以外のテレビ番組で見たことがある」人では77%,「テレビのニュースで見たことがある」人では70%と高い一方,「見たことはない」人では38%にとどまり,視聴経験が豊富になるにつれて理解が深まることがわかった。期待する放送サービスでは,見逃し配信(40%→44%)やインターネット同時配信(29%→38%)など,おもにスマートフォン向けの放送サービス充実を求める意見が前年から増加した。
著者
佐々木 冠 Sasaki Kan
出版者
筑波大学一般応用言語学研究室
雑誌
言語学論叢 (ISSN:0914966X)
巻号頁・発行日
pp.45-60, 2009-02-27

城生佰太郎教授退職記念論文集 2009年 特別号(Special Issue Dedicated to Professor Hakutaro JOO, Special Issue 2009)
著者
杉本 一直
出版者
愛知淑徳大学言語文化学会
雑誌
言語文化 (ISSN:0919830X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.13-27, 1994-03-24

私の研究
著者
酒井 潔 加瀬 宜子
出版者
学習院大学
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.137-231, 2008

In the fi rst volume of Jinbun (2002) I published the fi rst 23 letters from Gouichi Miyake to Torataro Shimomura, with a further plan to publish the remaining 33 letters in the second volume. However, after that first publication, one of the pupils closest to Shimomura, Professor Atsushi Takeda, discovered many more letters as he continued his search. Therefore, I thought it better to wait until all of these letters were discovered. The letters from Miyake to Shimomura had reached 106 when Professor Takeda died from cancer unexpectedly in 2005. This meant the loss of the sole person in charge of Shimomura's study and opus postumum. So I have decided to publish these remaining 83 letters in this number of Jinbun (Nr.7), though we cannot exclude absolutely the possibility that further letters may be found. While most of the fi rst letters published were written before or during the war, most of this second batch of 83 letters were written after the war, and the last one can be dated approximately from the end of the 1950s to before 1964. We can see from the texts of these very valuable documents how the philosophers of the so-called "Kyoto School", the pupils of Kitaro Nishida (1870-1945), tried to promote their studies and to help each other during that diffi cult, catastrophic period; especially, how Miyake and Shimomura, pupils of Nishida, made great eff orts to reconstruct Japanese philosophical society and to lead incoming scholars to the principle of academic philosophy and of "systematic thinking". As for the development of the philosophy of Miyake, one can notice that he already mentioned in that period his turn toward an empiricist standpoint after engaging with the philosophy of mathematics, the phenomenology of Husserl and Heidegger, and the history of philosophy from Greek to Kant and German idealism. This fact demonstrates Miyake's "Humanontology" (Ningensonzairon) which is presented and thematised in his second main work Human Ontology (Tokyo, 1966), makes its appearance much earlier than one had once supposed. (Kiyoshi Sakai)
著者
鈴木 信雄 津田 和彦
雑誌
第69回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.1, pp.71-72, 2007-03-06
著者
片岡 寛明 原 章 長尾 智晴
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.12, pp.3232-3241, 2003-12-15
参考文献数
12
被引用文献数
5

本論文では,遺伝的プログラミング(Genetic Programming; GP)を改良した手法である遺伝的オートマトン(Genetic Automata Generation; GAUGE)を提案し,本手法が不完全知覚をともなうエージェントの行動制御に有効であることを示す.不完全知覚問題に対する従来手法としては,インデックスメモリを用いる手法やGPオートマトンが提案されている.しかし,インデックスメモリは解が複雑になると探索空間が膨大になり最適化が困難になる.また,GPオートマトンの性能はあらかじめ設定した状態数に左右される,といった問題点がある.GAUGEでは,個体は記号間にパスを張りめぐらしたグラフ構造をとり,内部状態の違いによる条件分岐を自動生成することにより問題解決を行う.また,本手法は問題に必要な状態数を進化過程で獲得するため,GPオートマトンのように状態数に対する試行錯誤を必要としない.本論文では,本手法を迷路探索問題やタルタロス問題に適用しその有効性を検証する.実験の結果,本手法は,従来手法と比べて冗長なノード数を抑えつつ,適切に状態数を設定したGPオートマトンと同等の性能を示した.問題解決に必要な状態数が未知の問題に対しては本手法が有効であると考えられる.Generally, it is difficult for Genetic Programming (GP) to solve perceptual aliasing problems. In previous work to solve such problems, Index memory and GP-Automata have been proposed. However both of the methods have problems. Since the search space of an index memory is huge, it is difficult to obtain a well tuned program by GP. The performance of GP-Automata is influenced by the fixed number of states. Moreover, individual structure of both methods is tree structure.Therefore, redundant nodes will increase and search efficiency will get worse.In order to solve such a problem, we propose a new method, Genetic Automata Generation; GAUGE.Individuals in GAUGE have structure like an automata. Our method automatically obtains the adequate number of states for solving a given task.Several experiments to investigate the performance of our method were executed using Map Search Problems and Tartarus Problems. These experimental results showed that GAUGE was applicable to perceptual aliasing problems. And GAUGE showed the performance equivalent to a well tuned GP-Automaton.
著者
大村 海太 髙玉 和子
出版者
駒沢女子短期大学 学長 光田 督良
巻号頁・発行日
no.52, pp.67-76, 2019-03-06

保育士養成課程において保育士資格を取得する際、保育所と児童福祉施設等における実習は必修科目と定められている。保育者養成校に入学する学生の多くは幼稚園教諭、あるいは保育所保育士として勤務することを想定している。しかし、入学後に保育士の資格必修として行われる児童福祉施設等における実習を経験した学生の中に、児童福祉施設等での勤務を志望する学生がいる。そこで、本稿では保育実習Ⅰでの施設実習において、実習のどのような要素が学生自身の進路や保育者像に影響を与えているかということについて、インタビュー調査による質的分析を行った。その結果、6 のカテゴリとそれぞれに付随するサブカテゴリが抽出され、多くの学生は物的環境より人的環境に魅力を持っていることや、福祉型保育士としての視点や技術が身についていたこと等が明らかとなった。
著者
村岡 潔
出版者
佛教大学社会福祉学部
雑誌
社会福祉学部論集 (ISSN:13493922)
巻号頁・発行日
no.16, pp.65-77, 2020-03-01

本稿は、福祉や医療の現場おけるケアテイカーが、病気や障害に苦しむクライエントのライフスタイルを適切に理解し、効果的な援助を行なうための鍵となる有用な観念として、患者や障害者等のクライエントの私秘的言語とその世界および心身像の概念をとり上げる。徘徊など認知症の周辺症状(行動・心理症状)は、一見、無意味な困った行動とされてきたが、ケアテイカーが、その背景にあるクライエントの意味付けを探すことは、その内的意識に心を寄せることになる。第I節では、I・ハッキングの私秘的言語と公共的言語の観念を敷衍し、そこからクライエントにとって私秘的世界と公共的世界の違いを対比した。特に私秘的世界は、内言や内的意識とつながっており、クライエントの理解に不可欠な観念であることを示した。第II節では、C・ヘルマンに従いつつ、本稿での階層性(個的心身像、ミクロとマクロの社会的心身像)を持つクライエントの心身像を定義し、私秘的世界とのつながりについても言及した。第III節では、ケアテイカーが、クライエントの内言を探り、その私秘的世界を見ることに成功するならば、クライエントのライフスタイルをよりよく理解できる鍵となりえることを指摘し、こうしたケアテイカーのクライエントへのアプローチとして「異邦人的接遇」を紹介した。第IV節では、「夕暮れ症候群」など認知症のクライエントの抱える問題を具体的示しつつ、そこに含まれる私秘的世界への異邦人的接遇のあり方を示した。第V節では、自閉スペクトラム症の人からの「非定型発達者」も「定型発達者」も、その私秘的世界が異なっているとしても、その価値には差がないというステートメントを提示した。クライエントとケアテイカー私秘的世界と公共的世界心身像認知症異邦人的接遇