著者
安藤 明人 Akihito Ando
雑誌
武庫川女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09163115)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.21-28, 2001-03-31

In Japan, soccer lottery is scheduled to start in 2001 as a new type of publicly-managed gambling. Relatively little is known about the effects of the advent of sports betting on youth gambling. The purposes of this study were to examine the prevalence of gambling and pseudgambling games among college students in Japan. 384 college students (aged 18-28) were administered questionnaire that inquires multiple domains of gambling behavior such as participation in gambling, dependency in gambling and cognition of gambling. Also was measured the desire for control to explore the possible relation between personality characteristics and gambling dependency. The majority of students gambled at least once in their life. However, most did not play any gamble or pseud-gambling game on a weekly/daily rate. The proportion of regular and problem gamblers found in this study were lower than prevalence rates reported in the US and Canada. Gender effect was found for gambling frequency and dependency. Male students gambled more often than female students. Cognitive factors seemed to be important in the explanation of gambling activity. Factors related to cognitive biases on gambling were discussed with reference to cognitive influences such as illusion of control, biased evaluations, and desire for control. College students will be the first generation of youth to be exposed to official sports betting and it will be important to continue monitoring the prevalence of youth gambling.
著者
榎本 恵子
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.61-87, 2013-10-10

「喜劇の父」と評価され,フランス演劇に大いなる影響を与えた古典ラテン喜劇作家テレンティウスの作品の翻案が初めて17世紀フランスの舞台で上演されたのは1691年である。同じように「喜劇の父」と称されていたプラウトゥスの喜劇の翻案が上演されてから,約60年後のことである。ブリュエスはパラプラと共同でテレンティウスの『宦官』を『口の利けない男』として翻案し上演した。彼らの前には,ラ・フォンテーヌが翻訳し出版されているが,上演された記録はない。 テレンティウス原作『宦官』が如何に劇作家や観客の興味を引く作品であったかを考察し,この作品が17世紀のフランスの風習と,演劇の規則にそぐわない側面があることを浮き彫りにする。それにもかかわらず,時代の流れに適応させていったラ・フォンテーヌ,ブリュエスとパラプラの視点を検討する。そしてそこから17世紀フランスの劇作家にとって古典喜劇作家「テレンティウス」が意味するものを改めて確認していく。
著者
井上 清子
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.9-16, 2019-03-30

「成人期ADHD 日常生活チェックリストQuestionnaire Adult ADHD with Difficulties(QAD)」の信頼性と妥当性を検討することを目的として、大学生350 名を対象に、質問紙調査を行った。QEDの各項目得点および合計得点に男女差があるかを調べるために、t検定を行ったところ、すべての項目および合計得点において有意差はみられなかった。QADの内的整合性による信頼性を検討するために、クロンバックのα係数を求めたところ、α=.84と十分な信頼性がみられた。QADの合計得点とCAARSの各下位尺度得点の間にはいずれも有意な負の相関がみられ、特に、QAD の得点は、不注意の問題や症状との相関が高いことが確認された。今回の結果から、男女を問わず、大学生の不注意症状を中心としたAD/HD傾向による日常生活の支障の程度を数量的に把握するために、QADは有効である可能性が示された。
著者
藤岡 和暉 町田 貴史 松原 崇 上原 邦昭
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2019-MPS-123, no.2, pp.1-6, 2019-06-10

深層学習に基づく画像のモダリティ変換は, 2 つのドメインの同時分布とそれらの間の変換の学習を目的としている.特に,敵対的学習 (GAN) に基づく手法の 1 つである CycleGAN は目覚ましい結果を示している.しかし,CycleGAN による画像のモダリティ変換は,変換前後における整合性の維持が難しく,異なるドメインの大規模な訓練データを生成するパフォーマンスを低下させる.この問題を解決するために,本研究では CycleGAN を改良した.具体的には,CycleGAN では変換後の画像 1 枚のみで識別するところを,本研究では変換前後の画像をペアにして識別することで,整合性の維持を図る.また,CycleGAN と提案手法を比較するために,変換画像から生成されたデータセットを用いて YOLOv3 を訓練することにより定量的に評価した.実験結果より,提案手法がデータ増強に有効であることを示した.
著者
小椋 純一
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.148, pp.379-412, 2008-12-25

今日、関東地方低地部を含む日本南部における典型的な鎮守の杜は、常緑広葉樹林(照葉樹林)であり、それは古くから人の手があまり入ることなく続いてきたと考えられることが多い。しかし、明治期以降の文献、地形図、写真をもとにした考察から、そうした通念は誤ったものである可能性が高くなってきている。ただ、これまでの考察事例はまだあまり多くはなく、かつての神社の杜が一般的にどのような植生であったかを述べるには、もっと多くの事例を検討する必要がある。そこで、本稿においては、古い写真や絵図類を主要な資料として、かつての神社の杜の植生について、より多くの事例を検討した。古い写真としては、『京都府誌』(一九一五)と『日本写真帖』(一九一二)に収められた神社の写真を、主に現況と比較しながら検討した。その結果、それらの写真からわかる神社の杜の植生は、一部には今と大きく変化していないように見えるものもあるが、多くの場合、今日の状態とは大きく異なっていた。すなわち、今日では神社の杜の植生には、クスノキやシイやカシなどの常緑広葉樹が主要な樹木となっていることが多いが、明治末期から大正初期にはスギやマツなどの針葉樹が重要な樹木として多く存在する傾向があった。また、神社付近の樹木は、今日よりも少なく、また小さいことが多い傾向があった。一方、絵図類については、幕末に発行された『再撰花洛名勝図会』(一八六四)と初期の洛中洛外図四点(一六世紀初期~中期)に描かれた神社の杜について、主に同時代に同じ神社を独自に描いた図の比較検討により、絵図類の写実性を検討しながら、それぞれの時代における神社の杜の植生について考えた。その結果、かつての神社の杜の植生は必ずしも一様ではなく、神社により大きく異なっていたが、概してマツがある程度見られるところが多く、またスギが神社の杜の重要な樹種であった場合が多かった。また、一部には常緑広葉樹の割合が大きかったと思われる神社もある。
著者
日戸 直紘 伊藤 恵 大場 みち子
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2019-CE-152, no.14, pp.1-8, 2019-11-08

多くの情報系大学において,Project-Based Learning (PBL) が広く取り入れられ,有効性や実践例が多数報告されている.一般講義と同様に PBL においても,講義設計や学び ・質の状況把握から講義改善や学びの支援を行うことが望ましい.プロジェクト途中段階での成果や達成度の把握,受講初期と終盤の学びの状況などのプロセスを評価する必要性があるが,それらの評価実施は難しい.我々はプロセスを評価し改善するモデルである能力成熟度モデル統合 (CMMI) に基づいた PBL のためのプロセス評価手法を開発し,本手法を用いた PBL の評価に関する研究を行っている.先の研究では,開発した評価手法を用いて,実際に本学で実施されている PBL に適用して有効性を示した.しかし,この手法では学生自らが自己評価を行うことから評価結果の客観性や妥当性に課題が残る.本論文では,これらの課題解決を目指し,PBL で利用されるコミュニケーションツールと開発ツールに着目し,ツール群の可視化情報を利用したPBL のプロセス評価方法を提案する.先の研究と同様のプロジェクトを実験対象として,従来手法と本論文で提案する手法を用いた場合の実験結果の比較分析を行った結果と考察について報告する.
著者
小澤 貴史
出版者
拓殖大学人文科学研究所
雑誌
拓殖大学論集. 人文・自然・人間科学研究 = The journal of humanities and sciences (ISSN:13446622)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.78-92, 2019-10-31

1900(明治33)年,台湾協会学校として誕生した拓殖大学は,数度にわたる校名変更を重ね現在に至っている。なかでも,本学史的資料において心理学教育に関する科目名称が確認できるのは,1922(大正11)年に遡る。この時期本学は,大学令による東洋協会大学の設置が認可された年であり,建学後22年目にあたる。以来,心理学部を有さない大学ではあるが,脈々とその教授活動が進められてきたことが窺い知れるが,ここに焦点を当てた研究及び資料は存在しない。本稿の目的は,本学における心理学教育について,上述の1922(大正11)年から1949(昭和24)年の新制紅陵大学移行までを対象期間として,心理学における世界的潮流と本邦における心理学の発展過程を明らかにすると共に,本学の建学の精神及び独自の歴史の流れの中にあってその教育を担った教員を明らかにし,業績や研究内容を探究し,結果として一つの学統として本学自校史に確立することを意図した史的研究である。
著者
浅井 澄民
出版者
拓殖大学言語文化研究所
雑誌
拓殖大学語学研究 = Takushoku language studies (ISSN:13488384)
巻号頁・発行日
vol.141, pp.101-116, 2019-10-31

2020年,拓殖大学は創立120周年を迎える。この節目の時にあたり,拓殖大学の創立時に関わった桂太郎,後藤新平,新渡戸稲造の足跡と本学との関わりを振り返り,特に彼らが如何に外国語,外国文化と接触したかについて確認し,今後の外国語教育,そして「拓殖人材」育成の糧としていく。